■日本代表

■本田選手のこと

 今日は本田圭佑選手について述べたいと思います。

私の本田選手に対する評価は、2010年南アフリカW杯から14年ブラジルW杯まで先頭に立って日本サッカー界を引っ張り、「脱アジア化」を成し遂げた大功労者というものです。

このたび、3シーズン半におけるACミランでの彼の挑戦は終わりを告げましたが、成功という結果を残すことができなかったのは残念でした。

彼が当初ミランで望んでいたポジションはトップ下だったのですが、ブラジル代表カカーなど他の選手の存在であったり、監督がトップ下を置かないシステムを使ったりした関係で希望がかなわず、特にセードルフ監督時代以後、右ウイングという本来彼には不向きなポジションを任されることが多くなってしまいました。

若い頃の彼はドリブルのスピードは並でしたが、強いフィジカルコンタクト能力で追いすがる相手を跳ね飛ばして中盤でボールをキープしつつ、自らのパスでチームの攻撃を組み立て、ゴールもあげるプレーヤーでした。

しかしロシアリーグやW杯アジア予選レベルで当たる相手には「中盤の王様」として振る舞うことができたのですが、フィジカルコンタクトの強さ・上手さが数ランク上のセリエAに移籍すると、相手に体を寄せられてあっさりとボールを失ってしまうシーンが目立つようになります。

そこから人の見ていないところで相当な努力をしたのでしょう、1~2シーズン経過する頃にはフィジカルコンタクト能力がさらにアップし、相手に体を寄せられても簡単にボールを失うことは減りました。

ただ、残念ながら右ウイングとしては最後まで成功することはできませんでした。

加齢によってスピードが落ちたこともあり、右サイドを独力でタテに抜いてチャンスメークすることができないため、ほぼ100%ピッチ中央方向へカットイン・ドリブルしてくることを相手に完全に読まれており、真横にドリブルしながらあげるクロスはすべてはね返され、ミドルシュートも決まらないというプレーを繰り返すようになります。

さらにミラン入団時に背番号10を要求し、「セリエAやCLでの優勝を目指す」と宣言してミラニスタの期待を煽りまくり、自分で成功へのハードルを極限まで高くしてしまったことも裏目に出てしまったように思います。

本田選手は若い頃から「目標はW杯優勝」みたいな大風呂敷を広げ、自分を並大抵ではない努力をしないといけない状況に追い込むことで成長してきた選手です。

右肩上がりでサッカー選手としての能力が上がっていた若い頃はそれでも良かったのですが、30代に近づくにつれ、スピードや持久力など身体機能の衰えが見え始めると、各ポジションの中で最もスピードと運動量が要求されるウイングとして成功するのに、もはや努力すればどうにかなるという段階は過ぎてしまったことが明らかとなります。

結果として本田選手を「低迷する名門クラブをスクデットやビッグイヤー獲得へと導く救世主」と見ていたミラニスタは期待を大きく裏切られたと感じ、怒り狂うことになってしまったのではないでしょうか。

さらに、どんなに右サイドでの一対一に勝てなくても、再び右ウイングとしてピッチに立ち、やっぱり右サイドでの一対一に勝てないということをエンドレスで繰り返してチームも負け試合が増えていくわけですから、世界一サッカーを見る目が厳しいミラニスタのフラストレーションがたまりにたまってついに限界を超え、彼らの怒りが大爆発してしまったように思います。

プロの世界は「実力」と「結果」が全てですから、サイドでの一対一で「4勝6敗」は十分評価されますが、「0勝10敗」は許されませんし、それをエンドレスで続けていくことは絶対に許されません。

彼を応援する立場の人間として、ミラニスタから「パンキナーロ」(ベンチ要員)と名づけられて、ピッチに出ただけでブーイングを浴びせられるのを見るのは正直つらいものがありました。

 本田選手は、どうして右ウイングというポジションにそれほどまでにこだわっていたのでしょうか。

クラブからそのポジションを任された以上、絶対に成功しなければ自分のプライドが許さないという考えがあったのか、それともミランからそれ以外のポジションでプレーすることを許されなかったのでしょうか。

もしトップ下以外で、彼のプレーの特徴やストロングポイントを生かすのであれば、左・真ん中・右のどちらから攻めるのか、速攻をかけるのか遅攻でじっくり攻めるのか、それともボールを落ち着かせて嫌な流れを断ち切るか、自分のパスでチーム全体を操るボランチ(イタリア語でいうレジスタ)が適任だったように思います。

ゴールを決めるFWが会社で言えば契約を取ってくる「営業」だとしたら、ボランチは社長室から指示を飛ばす「経営者」といったところでしょうか、

もちろんボランチだって機を見て攻め上がり、味方からリターンをもらって自分でゴールを決めることだってできますけどね。

ミランでしたら、4-3-1-2の“3”のポジションからチームを操ったピルロという偉大な“王様”がいたのですから、もしそのポジションで成功できていたら、「ピルロの後継者」として本田選手のミランにおける評価が現在とまったく違ったものになっていたかもしれません。 4-1-2-3でしたら、“2”のインサイドハーフも良いと思います。

 これで思い出すのが「フランクフルトのカイザー(皇帝)」の二つ名を持つ長谷部選手です。

カイザーというニックネームはもちろん、3バックのリベロのポジションから上がって攻撃を組み立てたドイツのレジェンド・ベッケンバウアーから来ているのでしょうが、長谷部選手に対するクラブ関係者・マスコミ・サポーターからの評価が非常に高いことをうかがわせます。

フランクフルトを率いるニコ・コバチ監督の現役時代、クロアチア代表は当時のクラニチャル監督が3バックを採用しており(2006年ドイツW杯で日本と対戦し0-0の引き分け)、彼の弟でバイエルンでプレーしていたロベルト・コバチが3バックの真ん中をやっていたので、そうした影響でニコ・コバチ監督も「3バック使い」なのかなと思うのですが、長谷部選手をリベロのポジションで使って今シーズンはかなりの成功を収めました。

ドルトムントで香川選手が成功したことでドイツにおける日本人選手の評価がグンと上がったのですが、それ以前にブンデスリーガへやってきた長谷部選手は相当苦労したはずです。

でも、「環境に適応するために自分を変える勇気」をつねに持ち、いくつものクラブを渡り歩いて、監督から任されたポジションならどこでもやるという長谷部選手の姿勢が、さまざまな経験を積むことを可能にし、チームの最後尾から豊富な経験にもとづいて的確にチームをコントロールする「ピッチ上の指揮官」として高い評価を受けるようになったわけです。

カイザーとまで呼ばれるようになった長谷部選手が、バイエルン戦で大ケガをしてしまったことが本当に残念だったのですが、やはり「サッカー選手はゲームに出てナンボ」「そのポジションで成功してチームを勝たせ、サポーターを幸せにしてナンボ」だと思います。

若手→中堅→ベテランと、サッカー選手としてのキャリアが進むたびに、自分の身体能力にも変化が起こってくるわけですが、それに適応するためにポジションやプレースタイルを変えることは決して恥でも負けでもありません。

前回W杯で優勝したドイツ代表を中盤の底から支えたシュバインシュタイガーをはじめ、多くのスター選手も経験してきたことです。


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■またしても同じミスを繰り返したハリル監督(その2)

前回のつづき

 選手個々で特筆すべき活躍だったのは、先制ゴールをあげた大迫選手。CKから難しい体勢だったとは思いますが、技ありのバックヘッドでチームがのどから手が出るほど欲しかった先制点をゲット。
 しかし、ポストプレーで懸命に前線で攻撃の基点をつくろうとしていましたが、強風のためボールの落下地点を見極めるのが難しかったのか、それともイラクに研究し尽くされていたのか、意図したように基点がつくれませんでした。
ハリルジャパンは、相手ゴールまでボールを運ぶ唯一の手段が「大迫選手にロングボールを当てたポストプレー」なのですが、相手チームに研究されてそれが封じ込められてしまうと、この試合みたいに点が欲しくてもボールをなかなか相手ゴールまで運べない、だからゴール確率の高いシュートチャンスがつくれないという状況に陥ってしまいます。 「大迫選手へのロングボール」以外のプランBがなければ、次のオーストラリア戦は相当厳しいと思いますが、吉田選手を前線にあげて、彼の頭めがけてロング蹴っている時点でハリル監督のプランBも「終わって」います。
 ポストプレーをするために大きくサイドへ動いたあと味方のボール保持者を見て立ち止まっているだけというシーンも多いので、ウイングやサイドバックに任せるところは任せ、自分は相手センターバックの前を中心としたピッチ中央方向へ速やかに移動して、味方からアシストをもらってシュートできるようなポジショニングを取るべきです。
 
 本田選手は、CKから大迫選手のゴールをナイスアシスト。
先制ゴールをあげるまで右ウイングの彼のところでボールをキープしてタメをつくり、ある程度は攻めで貢献できていました。
 ただ、37℃の酷暑という特殊な条件下で、両チームともスローなサッカーをせざるを得なくなったため、本田選手のスピード不足が問題にならなかったという面があり、夏でも冷涼な気候が予想されるロシアW杯では、速いテンポの高速サッカーが展開されることが見込まれ、本大会を見据えれば本田選手の右ウイングは有効な選択肢ではないと思います。
実際、本田選手はスピードや技術で右サイドをタテに抜くことができず、ほぼ100%カットイン・ドリブルしてくることが確実なのを相手に研究し尽くされており、イラクが相手であっても個の能力で抜けないのですから、W杯で当たる欧州・南米の強豪相手ではなおさらです。 ACミランでの3シーズン半ですでに答えは出ており、彼は絶対にそれを認めないでしょうから、指導者が決断しないと。 どうしても彼を起用したいならシリアとのテストマッチで機能したセントラルMF(インサイドハーフ・ボランチ)に置くべき。
 後半ロスタイムに相手ゴール前でフリーでシュートしたシーンがありましたが、シリア戦でも指摘したように、シュート直前に相手GKをチラッと見て、GKの真正面にシュートを打ってしまうのは、岡崎選手と同様に「北京世代」の特徴なのですが、原因を早く分析・修正してゴール決定力を上げて欲しいです。

 原口選手はトップ下として運動量豊富に動き、味方の攻撃を助けていました。
彼は「熱いハート」が長所ですが、シュートやアシストなど得点チャンス時にマイナスに働いてしまい、全身に無駄な力が入って、シュートが大きくゴールから外れてしまったり、スルーパスが強すぎて味方が追いつけず、ボールがそのままゴールラインを割ってしまったりしています。十分わかっていると思いますが、ワールドクラスのプレーヤーになるためには、どんな時でも正確なシュートやパスができるように、自分のメンタルをコントロールする方法を覚える必要があります。

 遠藤選手は豊富な運動量で主に守備面でがんばっていました。
しかし相手と一対一でボールを競り合ったとき、あまりにも簡単につぶれてしまうケースがあり、もしレフェリーがファールを取ってくれなかった場合、失点につながりかねないピンチになってしまう可能性があります。

 逆に吉田選手は痛恨の判断ミスから失点の原因に。
たとえCKになったとしてもクリアしておけば何でもないところを、相手選手を自分の体でブロックして味方GKに取らせようとしたら、ボールが止まりそうになって川島選手と交錯、こぼれたボールを相手にゴールへプッシュされるという極めて消極的なプレーが痛い失点につながってしまいました。 当研究所がいつも言っているように「サッカーは、弱気で消極的な選手・チームが罰をうけるスポーツ」であるとつくづく思います。

 昌子選手もまずまずの出来でしたが、やはり自分の体で相手選手をブロックして、相手が蹴ったボールをゴールラインの外へ出して、味方のゴールキックにしようとする消極的なプレーが目立ちましたが、これも一歩間違うと後ろにいる相手にボールを奪われ、そのままゴールへ向かってドリブルされて失点しかねない危険なプレーです。ボールの勢いが強ければ、そのまま出しても構いませんが、弱い時はセーフティにタッチラインの外へ蹴った方がリスクは低いです。
「1点を取ったらそれを守り切って勝ちたい」というハリル監督の弱気で消極的なサッカーに対する考え方が、吉田・昌子の両センターバックに伝染してしまった感じです。

 交代出場の倉田選手は、先発組が体力面でキツイ中、再びリードを奪うために攻撃の中心となることが期待されました。
しかし、チームがロングボールをひたすら前線へ放り込んでいたこともありましたがほとんど機能せず、失望させられるような出来でした。

        ☆        ☆        ☆

 相手との実力差を考えれば、何としても勝ち点3が欲しかったイラク戦ですが、引き分けという結果は残念でしたし、試合内容も最悪だったと思います。

その原因のほとんどはハリルホジッチ監督の采配ミスにあり、選手たちが希望していたパスサッカーで先制ゴールをあげたところまでは良かったのですが、その後はハリル監督の指示どおり、1点を守り切るため自陣深くへ引いて、あとはひたすら前線へロングボールを放り込む「タテに速いサッカー」をやり、わざわざ自分たちから相手にゲームの主導権を渡し、相手の攻めに最後まで守り切れず、痛い勝ち点2を落してしまいました。

これはホームでのイラク戦やアウェーでのオーストラリア戦とまったく同じ采配ミスだということは、前回記事で述べた通りです。

先発メンバーの顔ぶれや交代出場選手のチョイスも疑問だらけであり、それも引き分けに終わってしまった大きな要因です。

対戦相手の強弱やピッチ内の状況に関係なく、ロングボールをひたすら前へ放り込む「タテに速い攻撃」と、マークの受け渡しはしているようですがほぼマンマークに近い守備「デュエル」という、20年以上前のカビが生えたような古臭い戦術しか使えず、選手のプレーの特徴や長所短所・選手間の優劣を正確に見抜いて、適材適所のポジションで起用するということもできないハリル監督。

唯一彼が優れている点は、自分を本当の実力以上に大きく見せる弁舌能力で、日本サッカー協会(JFA)の幹部も選手もそれにだまされてしまっているのではないでしょうか。

「だまされている」という言葉が悪ければ、過大評価しすぎていると言い直してもいいです。

ハリル監督は、代表選手の招集発表記者会見のとき、いつも大演説をぶつのですが、話は長いですけど中身は大したこと言っていません。

欧州サッカーのデータをしばしば引用するところを評価する人もいるようですが、「体脂肪率が何%以下でないとダメ」だとか「欧州のトップGKは身長190㎝以上」だとか、それだけなら日本の中学生だって言えますし、そもそもそんなデータにあまり意味はありません。

欧州各国リーグでやっている日本代表選手たちも、自分が所属するクラブの監督さんの指導法と比較してみてどうでしょうか。ハリル監督が練習中に出す指示内容やトレーニングメニューも、大したことないんじゃないですか。

代表の各選手に匿名でアンケートを取り、ハリル監督の練習内容や指示についてどう思うか、協会で調べてみたらどうでしょうか。

日本代表OBでハリルジャパンの試合映像を検証し、あんな内容のサッカーでW杯へ本当に行けるのか、徹底的に議論した方が良いです。

 ハリルさんが日本代表監督になった直後、彼の半生記を読んだのですが、カウンターサッカーでフランス2部のリールを1部にあげて、翌シーズン3位になるのですが、それが認められてパリサンジェルマン(PSG)の監督になったものの成功できませんでした。

PSGは優勝を義務づけられたリーグアンのビッグクラブですから、他のクラブが自陣に引いてカウンターを狙ってくるところを、ポゼッションサッカーで崩して勝ち点を取らなければなりません。

しかしカウンターサッカーしか手持ちの戦術がないハリル監督は相手の守備を崩せず、PSGを解任されたのではないでしょうか。何だか今の日本代表に通じるような話ですが、彼の実績らしい実績と言えばこれだけです。当時リーグアンは、スペイン・ドイツ・イングランド・イタリアの欧州四大リーグよりワンランク落ちるリーグだったことも付け加えておきます。フランス人選手は四大リーグでプレーすることによって「レ・ブルー」(フランス代表)を強くしていったのです。

彼はアルジェリア代表でブラジルW杯ベスト16という成績を残してはいますが、日本代表でやっている彼のサッカーの内容を見る限り、それはアルジェリアの選手個々の能力が高かったおかげじゃないでしょうか。もし本当に優秀な監督であったのなら、どうしてアルジェリア協会はハリル監督との契約を延長せず、W杯のあと簡単に手放してしまったのでしょうか。

当研究所は常に、やっているサッカーの中身で監督や選手・チームを評価します。


基礎が大切


「サッカーの基礎から応用までのピラミッド」に基づき、ハリル監督がこれまで2年間、日本代表でやってきたサッカーの内容から判断して、このまま続けていっても、日本サッカー界にとってプラスになる要素は少ないと思われ、大変残念ですがこのタイミングで彼を解任すべきだと考えます。

後任は手倉森コーチを暫定監督にし、W杯出場権を獲得出来たら、テグさんを含め改めて内外からもっとも適任の人を代表監督に招聘したらどうでしょうか。

リオ五輪での采配を見る限り、あともう一息で結果がついてきませんでしたが、カウンターサッカーとパスサッカーの使い分けが出来ていた点や、コンパクトな陣形によるゾーンディフェンスを構築できていた点は評価しています。

私見ですが、このままハリル監督がタテポンサッカーを続けるのであればW杯出場の可能性は30%、選手選考と戦術の選択を間違えず、これから2か月の時間を使ってしっかりチーム組織を整備するという条件つきで、手倉森監督なら60~70%と見ます。

次のオーストラリア戦をシミュレーションするなら、大迫選手への浮き球のロングボールは身長が高くフィジカルの強い相手に跳ね返されて日本はシュートチャンスをほとんどつくれず、セットプレーやゴール前での混戦から相手に力づくでボールを押し込まれて失点、最後まで同点に追いつくことはできず痛恨の敗戦といったところでしょうか。

もしオーストラリア戦で最悪の結果となった場合、ハリル監督を解任して新監督にチームを託したとしても、たった2~3日で新しい戦術を選手に教え込み、自信と積極性を失ってしまったチームを立て直して、何が起こるかわからない酷暑のサウジアラビアに乗り込んでW杯出場権を獲得するというのは、より困難なミッションとなります。

だから監督を解任するのは今のタイミングしかないと考えるわけです。協会のほうで次の代表監督にふさわしいと評価する別の人物を用意しているのであれば、その方でも良いでしょう。

 報道によれば、日本サッカー協会の田嶋会長は「ハリル続投」という判断を下したようですが、それならば、もしハリル監督でW杯に行けなかった場合に、会長の責任問題となることは避けられません。

「会長の仕事は代表監督の人事だけではない」という言い訳は通用しませんし、ハリル監督で本当にW杯へ行けるというポジティブな理由と確信をお持ちなら、これ以上申し上げることはありませんが、「もし今ハリルを代えて失敗したら怖いから」という消極的な理由で続投を選ぶのであれば、良い結果が得られる可能性は低いと思います。

シャープや東芝のように、優秀な従業員も技術も持っていながら、リーダーの誤った判断でダメになっていく日本企業が増えています。

「液晶一本足打法」のシャープの場合、液晶テレビ製造というビジネスが儲からなくなり、赤字を垂れ流して銀行からの借金ばかりが増えているのに、自分たちが長年やってきたビジネスモデルを変えて失敗するのが怖くて厳しい現実から目をそむけ、いつまでも「現状維持」を選択し続け、グズグズしているうちに気づいたらもう取り返しのつかない状態になって事実上の倒産・外資による買収という結末になってしまいました。

欧米やアジア企業の場合、チャンスと見たら積極果敢に新しいビジネスや商品の開発に乗り出しますし、この先成功する見込みがないと判断したら、スピーディにその事業から撤退して損失を限定するのも速く、どのビジネスが成功する確率が高いのかを見極める判断力に優れた人がリーダーになるような企業風土を持っているところが多いです。

日本サッカー協会はどうでしょうか?

つづく


◇    ◇     ◇     ◇     ◇     ◇    ◇

  2017.6.13 ワルジシュガー・シャヒード・ダストゲルディ
                             (テヘラン)

          イラク 1 - 1 日本


          カミル 78'       大迫 8'


        GK カッシド       GK 川島

        DF アドナン       DF 酒井宏
           スラカ          (酒井高 76)
           イブラヒム         吉田
           サリム           昌子
                          長友
        MF ヌーリ
          (アットワン 70)   MF 遠藤
           アブドルアミル      井手口
           カミル           (今野 62)
          (ラサン 76)        原口 
           アブドルザフラ     (倉田 70)
           ヤシン
          (タリク 59)      FW 本田
                           大迫
        FW アブドルラヒム       久保



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当ブログ関連記事・2016年を振り返って

当ブログ関連記事・日本代表、オーストラリアと勝ち点1を分ける(その3)


当ブログ関連記事・タイに勝利も、課題山積(その3)


  

■またしても同じミスを繰り返したハリル監督

 昨日、W杯アジア3次予選のイラクVS日本戦が中立地であるイランのテヘランで行われ、1-1で日本は引き分けてしまいました。(イラク国内がほぼ内戦状態のため)

対戦相手のイラクは、国内組の選手を中心にイタリアやUAE・サウジ等でプレーする海外組を合わせたチーム。日本との実力差は、ホームでもアウェーでも日本が勝たなければいけないレベルの相手と見ていました。

当然、中立地開催であれば絶対に勝ち点3を取らなければいけないゲームだったのですが、引き分けという結果に終わってしまったことは大変残念でした。

試合内容も最悪だったと思います。

        ☆        ☆        ☆

 それではこの試合のゲーム内容を分析していきますが、ハリルホジッチ監督は、昨年10月にホームでやったイラク戦とまったく同じ失敗を繰り返してしまいましたね。

日本は、たちあがりから各選手がうまく連動したパスサッカーでゲームを支配。前半8分にCKから大迫選手のゴールで先制点をあげたところまでは非常に良かったです。

まとまった陣形を保ったまま選手同士が適切な距離を保ってサポートし合うパスサッカーは、自陣と敵陣の間を長い距離走って往復する必要性が少なくなるため、あのような気候に適した攻撃戦術と言えます。

ここまで非常にうまくいっていたのですから、イラクに攻められる時間帯はあってもそのままパスサッカーで行って、2点目3点目を取ってこのゲームの結果を確定してしまえば良かったのです。

ところが毎度毎度のことながら、ここからが大問題。

1点を守ろうという意識が強すぎる日本は、急に守備ブロックを自陣深くに下げてしまい、パスサッカーのイラクにゲームの主導権を握られます。

攻撃は先制ゴールをあげるまでとはガラっと変わって、バックからひたすら浮き球のロングボールを前線の大迫選手へ放り込む、いつものタテポンサッカーへ。

しかし、大迫選手のポストプレーは相手にすでに研究し尽くされているようで、ほとんど前線で基点をつくれませんでしたし、ロングボールを蹴ったあと自陣から長い距離を走らなければならない味方の押し上げがどうしても遅れるので大迫選手も孤立して、追加点をゲットできるようなチャンスはほとんどつくれなくなっていきます。

相手ボールになったらなったで、今度は押し上げた選手が自陣へ向って長い距離を走って戻らなければならないので、気温37℃以上の酷暑の中でこのような戦術を選手にやらせるのは「愚か」の一言。

後半は、いったんイラクの攻勢が止まり、日本も何度か攻撃できるようになりますが攻めに厚みを欠き、追加点は奪えません。

そうこうしているうちに、バックとGKとの連携ミスから同点ゴールを許してしまいます。

ここまで、グラウンダーのパスを使ったコレクティブ・カウンターから先制点をあげたあと、1点を守ろうとする弱気なハリル監督の指示で、ロングボールをひたすら前線へ放り込むタテポンサッカーへ戦術を変更して、まったくシュートチャンスをつくれなくなり、後半に同点ゴールを許したホームのイラク戦とほとんど同じ展開。

違ったのは、試合終了間際にハリル監督の采配ミスを帳消しにしてくれる山口選手のミラクルゴールがなかったことだけ。

だからこの試合の前に、口を酸っぱくして言ったのです。

1点を守ろうとして中盤を省略したタテポンをやると、相手の攻撃を押し返して追加点をあげるための攻め手がなくなり、専守防衛の守備陣もついに耐え切れず、ホームでのイラク戦やアウェーのオーストラリア戦みたいに自滅するよと。


当ブログ過去記事・イラク戦をどう戦うべきか?


事前の報道では、あくまでもタテポンサッカーをやらせたいハリル監督と、40℃近い環境でそれは無茶なので、ある程度ボールをポゼッションして相手を走らせることで自分たちの体力を温存したい選手側とで意見が食い違い、長い時間ミーティングが行われたそうですが、先制ゴールをあげるまでは選手側がやりたい戦術でいって、1点取ったあとはハリル監督の言うとおりにタテポンをやって、どうしても欲しかった勝ち点2を失ってしまったということじゃないでしょうか。

もしそうならハリル監督は、またしても采配ミスで選手たちの足を引っ張ったことになります。

ホームのイラク戦・アウェーのオーストラリア戦・そしてこの試合と何度同じミスを繰り返せば、学習するのでしょうか。

ハリル監督は、サッカーIQが低すぎます。

 監督の弱気なメンタリティが日本の各選手たちのプレーにも影響を与えていたように見え、クリアしておけば何でもないところを、CKから失点したくないという気持ちが強すぎたのでしょう、敵選手を自分の体でブロックして味方GKにボールをキャッチさせようとしたDFのプレーが致命的な失点につながってしまいました。

こういうプレー一つとっても、監督のサッカーに対する思想・哲学が反映されるものです。

1点を取ったらそれを守り切ってゲームを終えたいという、ハリル監督の消極的で弱気すぎる考え方は「勝者のメンタリティ」とは言えず、実際、勝利という結果につながっていません。

 また2次予選の段階からずっと指摘しているように、ハリル監督は選手の特徴や長所短所・選手間の優劣を正確に見抜いて、適材適所のポジションで起用するということができません。

 



                大迫           

      久保                  本田

                原口     
                 

             遠藤    井手口  
                  

      長友     昌子    吉田    酒井宏
    

                 川島



上記が、この試合の先発メンバー&フォーメーションです。

シリア戦後にハリル監督が「すべてが間違っていた」とコメントしていたので、「えっ、攻めの形がまったくつくれなかった前半戦と改善された後半戦との違いがわからなかったの?」と、私は嫌な予感がしていたのですが、良い攻撃の形をつくれていたシリア戦の後半のシステムをそのまま持ってこずに、ぶっつけ本番でこのようなスタメンにしたことについてはひとまず脇に置いておきます。

それにしても、2次予選の初戦でシンガポールと引き分けたときから、敗戦でのスタートとなった3次予選開幕のUAE戦、そしてもう少しで致命的な引き分けとなるところだったホームでのイラク戦で、さんざん機能しなかったにもかかわらず、性懲りもなくこの試合で右ウイングに本田選手を持ってくるハリル監督は学習能力というものが無いのでしょうか?

前述のように、キックオフからパスサッカーで攻めていたときは、本田選手のところでボールをキープしてタメをつくり、ある程度は攻めで貢献できていました。

しかし1点リードしたあとは、チームがタテポンサッカーになったこともあって、ほとんど機能せず。

本田選手はスピードや技術で右サイドをタテに抜くことができず、ほぼ100%カットイン・ドリブルしてくることが確実なのを相手に研究し尽くされており、イラクは2人がかりでインサイドを切ってきて、真横にドリブルしながらアバウトにあげるクロスはすべてはね返され、精度の低いシュートも決まらず。

さらにハリル監督は、自分が送り出した選手がピッチ内で異常な動きをしていても気づくことができません。

昨年11月にホームでやったサウジ戦で、前半5分に久保選手が足を痛め、強いボールをほとんど蹴ることができなくなったにもかかわらず、後半ロスタイムまで気づかずにプレーさせてしまうということがありましたが、この試合の後半でも足を痛めてしまった久保選手、そして酒井宏両選手にもっと早く気づき、交代させることはできなかったのでしょうか。

実際のゲームでは、後半17分に脳震とうを起こした井手口選手に変えて今野選手を投入し、25分にまだ動けていた原口選手に変えて倉田選手を入れたのですが、その直後に失点。

勝ち点3を取らなければならない日本は最低でもあと1ゴール必要になったのですが、そのタイミングで酒井宏選手が動けなくなってしまいます。

そこでハリル監督は、酒井高選手を代わりに投入したのですが、この采配はあり得ませんでした。どう考えてももう1点取りに行く選手起用ではありません。

もし私が監督だったら乾選手を入れて左ウイングとし、足を痛めてほとんど動けない久保選手はトップ下でボールのつなぎ役に徹してもらい、倉田・遠藤のダブルボランチにして、酒井宏選手が抜けた右サイドバック(右SB)には今野選手をもってきます。

これなら乾選手中心にもう1ゴール狙って十分攻撃できる布陣ですし、酒井宏選手が抜けた守備の穴も本職がセンターバックの今野選手で埋められるはずです。(下図)



                大迫           

      乾                  本田

                久保     
                 

             倉田    遠藤      
                  

      長友     昌子    吉田    今野    

                
                川島




過去記事をサルベージするのが面倒なのであえてやりませんが、これまで何度も指摘したように、ハリル監督は、代表各選手のプレーの特徴・長所短所・選手間の優劣を正確に見極めるということができないので、突然のアクシデントに見舞われたときに、臨機応変に選手を起用してピンチを乗り切るということもできません。

「右SBのポジションを争うのは酒井宏と酒井高。だから宏樹がダメなら高徳」という脳ミソがカチコチに硬直した発想しかできないのでしょう。

やはりハリル監督は、サッカーIQが低すぎます。

 この試合の会場となったダストゲルディスタジアムの芝の状態が心配だと盛んに報道されていましたが、上記の「イラク戦をどう戦うべきか?」で述べたとおり、ほとんど問題ありませんでした。

にもかかわらず、荒れたピッチ対策でひたすら浮き球のロングボール攻撃をやり続け、攻撃でパスを出せる選手ではなく、遠藤・井手口・倉田ら守備に強い選手ばかりをピッチに送り出したのだとしたら、いったいどこを見てサッカーをやっていたのかと言わざるを得ません。

「イラク戦は勝ち点3を取らなければいけない試合だ」ということを監督はちゃんと理解できていたのでしょうか。

ロングボールを前線へ放り込むタテポンサッカー(いわゆるタテに速い攻撃)とマンマークディフェンス(デュエル)という、20年前のカビが生えたような古臭いたった一つの戦術を、気温40℃近い酷暑の中だろうが、タイやイラクのように相手が自分たちより格下だろうが、前の試合と同じ失敗を何度も何度も繰り返そうが、ただひたすらやり続けることしかできないハリル監督。

「この選手はこのポジションで」「芝が悪いからロングボール攻撃しかできない」などと、一度思い込んだらどんなに自分のチームが上手くいっていなくても軌道修正することができず、頑迷に同じことを繰り返すことしかできないおじいちゃん、というのがハリル監督に対する評価です。

同じボスニア人でも、戦術の引き出しがいくつもあって、上手くいかなければ臨機応変に修正し、数学者のように論理的なチーム作りをしていたオシム前監督とは、似ても似つかないタイプの監督さんです。

90年代初めのヨハン・オフト時代から、歴代代表監督をずっと見てきましたが、 プロサッカー監督としての能力は最低クラスのように思われます。

実際にやっているサッカーの内容からして、J1下位からJ2レベルぐらいではないでしょうか。

 「最低限のノルマである勝ち点1を取ってW杯出場に王手をかけたのだから、次のオーストラリア戦に勝てば良いじゃないか」と考える人もいるでしょうが、オーストラリアより弱いイラクに勝てなかったのですから、いくらホームとは言え、8月のオーストラリア戦に勝つのは現状では相当厳しいと思います。

今のハリルジャパンには、「ゴールを奪うための明確な攻撃の形」というものが皆無であり、イラクより格段に守備力の高いオーストラリアから点を取るのは非常に困難です。点が取れなければ試合に勝てません。

サッカーというスポーツは、技術や身体能力のほかに「選手の自信や積極性」というものが勝敗を大きく分けます。

もしオーストラリアに勝てずに自信を失った状態でアウェーのサウジ戦を迎えれば、予想もしなかった最悪の結果もあり得ます。

残念ですが、ここでハリルホジッチ監督を解任し、新しい監督のもと、残り2か月の貴重な時間を使って新しい戦術を選手たちに授け、万全の態勢でオーストラリア戦を勝ちに行くべきです。

 選手個々の評価は次回とします。

つづく




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