■日本、イランを撃破し、一位でドイツへ

 埼玉スタジアムでの日本対オマーン戦からはじまった、2006W杯アジア予選の長い戦いも、いよいよ最後の試合となりました。

最終戦の相手は国内組だけを横浜に連れてきたイラン。まず試合を振り返りましょう。

 試合の立ちあがりは、激しいプレスをかけて主導権を握った日本ペース。 

前半28分に、左からのサイド攻撃で日本はチャンスをつくり、玉田選手の中央への折り返しを大黒選手があわせようとしますが届かず、ゴールチャンスを失ったかにみえましたが、右サイドの加地選手が、ボールがこぼれてくることを予測してベストポジションにつめており、ゴールへパスするようなていねいなシュートで日本先制。

一部の新聞はこのゴールを”ごっつあんゴール”と表現していましたが、私はこの言葉が大キライです。

加地は次のプレーを予測してつめていたのであって、決して偶然彼の前にボールがこぼれてきて、ただ押し込んだのではありません。

あのプレーは加地が頭で稼いだ一点なのであって、”ごっつあん”では決してないのです。

次のプレーを予測してポジショニングするという思想の薄い日本サッカー界だからこそ”ごっつあんゴール”という言葉が生まれたのでしょうが、そのような言葉を乱発する人達が存在する日本は、まだまだサッカー文化後進国だということでしょう。

 先制した日本ですが、そのあとがいけません。

イランが早く同点にしようと、中盤の早いパスの組み立てで攻勢を強めてきましたが、日本の中盤がそれを受身になって見てしまい、パスコースを限定するだけで、プレスを弱めてしまいました。

結果としてイランに自由にボールをつながれ、ダエイのシュートが日本のゴールポストを直撃するなど何度も危ないシーンがありましたが、中沢選手がセンターバックとボランチの一人二役の活躍をみせれば、宮本選手も必死のカバーで何とかしのいで後半へ。

(ダエイのシュートがゴール・ポストに当たってはずれたのを、「運が良かった」でかたずけたサッカー解説者もいたそうですが、あれは宮本がダエイのシュート・コースを限定する正しいポジショニングをしたからこそであって、決して運が良かっただけではありません)

 後半も日本のプレスがきいたのは最初だけで、徐々にイランにボールを支配され、防戦ぎみとなりました。

しかし、ゴールをあげたのは日本。

左からのCKを大黒がうまくあわせてバックヘッド、イランの選手がそのボールをゴールから手でかき出しましたが、日本のゴールと認められ、2-0とします。

 その直後、イランの怒涛の攻めが始まり、早い球回しからゴール前に張っていたダエイにパスが渡り、ダエイがターンしてゴールに向くところを中沢がたまらず引き倒してPK献上。

これをダエイがきっちり決めて一点差に追いすがりましたが、その後は日本が我慢してイランに時間を消費させて勝利。

日本が一位でW杯ドイツ行きを決めました。

 この試合良かった点は、各選手に積極性がみられた点でしょう。

攻撃では、大黒はゴールマウスが見えたら、どんどんシュートを打つ積極的なプレー、加地は次のプレーを予測してあらかじめ良い位置にポジショニングしておく頭脳的なプレー、そして三都主選手の早いタイミングで出てくる鋭いクロスといったプレーが良かったですし、

守備では、中沢があるときはCB、またあるときは前へ出てボランチとなって、相手の攻撃をすばやくつぶすなど獅子奮迅の働きが光っていました。

 逆に課題としては、監督の采配(選手交代)と、このところ毎度のことですが、小笠原・遠藤・福西の三選手の中盤のポジショニングが悪く、攻撃はFWへのロングの放り込みに頼りがちで、結局相手にボールを支配されてしまうということの2点です。

 まず最初の課題ですが、今回のイラン戦は、埼玉での北朝鮮戦と基本的に同じ展開でした。

北朝鮮戦もイラン戦も前半の早いうちに日本が先制点をゲットできましたが、どうも国内組の小笠原・遠藤・福西三選手の中盤は、リードするとプレスを弱めて一休みしてしまい、相手の攻撃を受身になって見てしまうというクセがあるようです。

その結果、相手の攻撃を勢いづけてしまい、危険なピンチを招いてしまいがちです。

 北朝鮮戦の場合、試合の流れが悪いことは明らかなのに何の手も打たず、後半に同点ゴールを浴びてからジーコ監督は慌てて選手を交代させましたが、今回の場合は、同点とされなかったために、試合の流れが悪いままでも動きませんでした。

しかし、遅くとも後半20分までには動いて、小笠原・遠藤のうちどちらか、もしくは両方を代えて、中盤の悪い流れを変えるべきだったと思います。

 ジーコはリードしているとシビレて動けなくなりがちです。 「選手交代で失敗したくない」という気持ちが強いのでしょう。

しかし、「試合の流れが良いから動かない」というならわかりますが、「リードしているから動かない、失点してから動く」というのでは、選手交代が常に後手後手の手遅れであることを意味します。

また昨日は蒸し暑い気候でしたので、交代ワクを使わずに先発の11人を試合終了5分前まで引っ張ったのも無理があったような気がします。

このあたり、試合の流れやスタジアムの気候を考えて、選手交代をもっとうまく使って欲しいと思います。

 次に、繰り返し指摘していることですが、小笠原・遠藤・福西の三選手の中盤のポジショニングの悪さです。

これは三選手だけの責任ではないのですが、昨日のイラン戦では、2トップから最終バックラインまでの間延びが、ひどかったです。

そしてCB+ボランチの守備チーム2トップ+トップ下の攻撃チームの間に、ぽっかりとスペースが出来て、守備チームと攻撃チームの二つの日本代表がバラバラに動いていました。

日本代表守備チームの選手がボールをイランから奪って周りを見ると、ボールのあるサイドには味方のサポート選手が誰もおらず、逆サイドや前線に、2人も3人も張っているような場面が何度も見られ、

こうなってくると、後ろからひたすらロングを放り込んで、遠くに張っている選手は相手の裏をひたすら狙うといったように、攻撃パターンが限定されてしまいます。

しかも一本一本のパスが長くなればなるほど、プレーの正確性・確実性は下がってきます。

 もし3-4-1-2なら、セットプレーなどの特別な状況をのぞいて、この4ラインをきっちり維持しつつ、ラインとラインの間の縦の距離と、同じラインに属する選手間の横の距離をなるべく一定にして、離れ過ぎないようにしておかなければなりません。

選手同士で一定の距離が保てれば、一本一本のパスは短くて済み、インサイドキックのようなシンプルなプレーで、精度の高い攻撃の組み立てが可能になるのです。

 今回、中盤の攻めの組み立てに責任を負っていたのは、小笠原と遠藤の両選手でしたが、彼らのプレーを見ていると、”レベルの高いサッカー”についての基準が世界とズレている気がします。

二人のプレーを見ると、ロングのピンポイントパスを多用したり、ヒールやアウトサイドを使った難しいキック、パスが来てもスルーするまたぎのプレーといった、いわゆるサーカス・プレーを好んでいるようですが、決して成功しているようには見えません。

逆に、基本とも言うべきインサイドキックのショートパスを攻撃の組み立てに使うことは、あまり多くありません。

どうも彼らのプレーからは「誰でもできるインサイドキックじゃ、レベルの高いプレーは出来ない」といった思想がうかがえるのですが、基本中の基本であるインサイドキックこそ、大切にして欲しいプレーです。

局面局面でポジショニングさえ正しく取れれば、サーカスプレーをしなくても、基本のインサイドキックとインフロントキックだけで創造性あふれる攻撃を組み立てることは充分可能なのです。

むしろポジショニングが間違っているために、難しいキックをしなくてはならなくなると言っても良いでしょう。

 いつもファンタジーにあふれた、すばらしい攻撃を見せてくれる、ブラジルやチェコ、ポルトガルといったチームはヒールキックやまたぎのプレーだけで、攻撃を組み立てているわけではありません。

プレーの大半が基本的なもののはずです。彼らは一つ一つはシンプルな基本プレーを自由自在に複数組み合わせることで、創造性の高いプレーを我々に見せてくれるのです。

小笠原・遠藤両選手には「正しいポジショニングやインサイドキックといった、基本こそ一番大切」という点を見失って欲しくはありません。

 今回の試合は勝ち点3をきっちり取ったことは評価できますが、それが可能だったのは、試合の開催地がホームだったことと、相手がイランでしかも国内組だけで組んだチームだったからです。

 日本代表のサッカーレベルそのものはW杯グループリーグ敗退レベルでした。 これから2006年本大会までのテストマッチで代表のレベルを高め、グループリーグ突破レベル、ベスト8やベスト4を狙えるレベルまで持っていかなくてはなりません。

そのために残された時間は、決して多くはないのです。

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2005.8.17 横浜国際競技場

  日本  2 - 1  イラン

 '28 加地     '79 ダエイ(PK)
 '76 大黒

GK 川口    GK ミルザプール

DF 田中    DF ノスラティ
   宮本       カメリ
   中澤       ゴルモハマディ
            カエビ
MF 加地
   福西    MF アラビ
   遠藤       ネクナム
  (今野 84)    ニクバフト
   三都主     (モネイ 73)
   小笠原      ジャバリ
           (カゼミアン 46)
FW 大黒
   玉田    FW ダエイ
  (阿部 89)    ボルハニ
           (モバリ 46)
  

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