FC2ブログ

■日本代表、中国に勝利も課題多し

 昨夜、日本代表のE-1選手権初戦となる中国とのゲームが韓国・釜山で行われ、日本が2-1で勝利しました。

対戦相手の中国代表は、ほとんどの選手が国内リーグでプレーしており、その戦力を評価すれば日本のホームで日本の勝利、アウェーでは引き分けが一番確率の高い試合結果と見ていました。

ただ今回対戦した両チームですが、日本は国内組のU-22代表候補とオーバーエイジをミックスした2軍チーム、中国もエスパニョールでプレーするウー・レイ等を欠く完全な2軍であり、条件は互角。

そうしたことを総合的に評価すれば、中立地でなら日本が勝たなければならないレベルの相手でしたが、2-1で勝利という結果は順当でした。

試合内容の方は、準備時間が少ない急造チームという制約があったので仕方のない部分はあるものの、チーム全体としても選手個々のレベルでも課題は残りました。


    ☆       ☆       ☆


 それではいつものように試合内容の方を分析していきます。

まず守備からですが、球際での一対一の闘いというベーシックなレベルではまずまず良かったと思います。

しかし攻から守へのトランジションが起こった際、相手のボール保持者への対応が相変わらず遅いです。

ボールをロストしたら、相手のボール保持者に一番近い選手がしっかり寄せて、ドリブルによる前進や前方への素早いパス展開を阻止し、できれば相手陣内でボールを奪い返せれば理想的。

残りの選手も速やかに後退しながら、味方のファーストディフェンダーと連携して相手のパスコースを消すようにプレスをかけつつ、プレスが上手くかからず突破されてしまうことも想定して、自陣にリトリートしてコンパクトな守備ブロックをつくる準備もしておく必要があります。

一番問題だったのは、試合終盤での失点シーンに象徴されるようにプレスとラインコントロールの連動のさせ方があやふやなところで、そこは強く反省すべきところです。

相手のロングボールやクロスの出どころに対してプレスに行ったり行かなかったりと中途半端で、相手に正確なボールを蹴らせてしまう場面がありました。

三浦選手を中心とするDF陣もラインコントロールの仕方があやふやで、相手のボール保持者にプレスがかかっていない状況では、自分たちが守るべきゴールと相手選手との間に立つことでマークすべき相手を自分の前において視界に入れておき、もし相手がDFラインのウラへ走り出したらついていかなければならないのですが、畠中選手がヘディングシュートを決めたドン・シュエシェンを自分の背後に置いてしまったため、簡単にウラを取らせてしまったことで失点を招いてしまいました。

完敗を喫した先月のベネズエラ戦(その1 その2)ではゴール前で人をつかまえきれず次々と失点を重ねていったわけですが、この試合でもほとんどそれが改善されていません。1失点で済んだのは相手のレベルが低かったからで、再びベネズエラレベルの相手とやったら大量失点してしまう可能性が高いでしょう。

相手のボール保持者にプレスがかかっていない状況では、相手選手を自分の前に置きウラへ抜けようとしたらついていく、ボール保持者にしっかりプレスがかかっており相手がDFラインのウラへパスを出せない状況でバックパスを選択したらその分DFラインを押し上げるといったラインコントロールの基本原則は、監督に言われたからやるのではなくてプロ選手ならユース年代(U-20)を卒業するまでには完璧にマスターしておきたいところ。

この試合、森保監督の代名詞とも言える3-4-2-1システムを久しぶりにフル代表のゲームで使いましたが攻撃に目を転じると、急造チームということでワントップと2シャドー、それにウイングバック(WB)がからむ連携面においてパスミスやポジショニングミスが多く、まだまだ改善の余地はあります。

また、良い形でボールを奪ってカウンターという場面でも、ボール保持者が自信無さそうにドリブルのスピードを緩めて周囲をキョロキョロしているうちにチャンスをつぶしてしまうケースが目立ちます。

せっかく速攻からの得点機を迎えているのですからもっと自信をもって、相手がボールを奪いにこなければゴールまでの最短距離をできるかぎり早くドリブルし、周囲の味方も全速力でサポートしてやってフィニッシュまでもっていき、せっかくのチャンスをフイにしないことです。

シュートを打てる場面でも自信なさげに味方へのパスを選択してそれがミスになってしまう残念すぎるシーンも散見され、いけると思ったらもっと勇気と自信をもってシュートを打って欲しいです。

アタッキングサードにおける次のプレーの優先順位はまずシュートであり、それが不可能な時に初めてドリブルやフェイントでシュートコースをつくって打つか、味方へのパスという選択肢が出てきます。

ただ、3-4-2-1というフォーメーションの優位性をこの試合でも感じることはできませんでした。

中国は日本が多用する4-2-3-1対策のためか、試合開始直後は4-1-2-3でプレーしていましたが、日本が3-4-2-1であることがわかると2シャドーをダブルボランチで見るために4-2-1-3へと変更してきました。

3-4-2-1と4-2-1-3のマッチアップでは、相手の3トップに対して3バックの数的同数ではなく数的優位をつくって守るには両WBを下げる(つまり5バック化する)必要が出てきますが、それではこちらのWBがサイドで相手の2枚(ウイングとSB)に対して数的不利になってしまいます。

後半7分に右SBのミン・ティアンが誰のチェックも受けないままフリーでするする上がってきてポスト直撃のシュートを打つことができたのも、そのせいです。

3-4-2-1を積極的に使うならば、このシステムのおかげで勝てたという説得力のある結果が欲しいですね。

「広島や浦和みたいにJリーグで3-4-2-1を使って成功したクラブがあるじゃないか」という反論が出てきそうですが、Jリーグで3-4-2-1がある程度の成功を収めた理由は2点あると思います。

1点目は、単純に相手チームが個の能力で劣っていたこと。

そしてこちらの理由の方が大きいように思いますが、対戦相手が効果的な対策を立てられず3-4-2-1のチームがどう攻めてくるかわかっていながら何度も何度も同じような失敗を繰り返したこと。

特に高いレベルでのゾーンディフェンスができるクラブがJリーグにはほとんどないことが大きいように思います。

4バックでもマンマーク的な思考法から脱却できずに「3-4-2-1の2シャドーの1人がサイドへ流れてきたら、こちらのSBはWBとシャドーストライカーのどちらを見ればいいの?」と頭が混乱しているうちにやられてしまったチームがあるのではないでしょうか。

本来、DF4人MF4人で長方形のコンパクトな守備ブロックをつくってゾーンで守ればピッチをまんべんなくカバーできるのみならず、自分たちが守るべきスペースを限定しながらチャレンジ&カバーの関係をつくりやすいのですが、3-4-2-1のような3バック(5バック)系のフォーメーションだと形がいびつで、どうしても広いスペースで一対一の闘いが起こりやすくなります。

それで3-4-2-1のチームが成功してしまうと、ますますJリーグに高いレベルでのゾーンディフェンスが根付きにくくなるというある意味での、悪循環が起こっているように思います。



    ☆       ☆       ☆



 選手個々で特筆すべき活躍をしたのは、まず鈴木選手。
上田選手のパスを受けて抜け出した森島選手からのクロスをダイレクトで決めて貴重な先制ゴールをゲットしてくれました。
ただ、右WBの橋岡選手やワントップの上田選手との連携に改善の余地があり、チームの攻撃が左サイドに偏ってしまう一つの原因になっていました。トラップ・パス・ドリブルのミスも目立つので、ボールを自分の思い通りに蹴る・止めるという基本のプレーを丁寧かつ正確にして欲しいです。

上田選手は、ゲーム全体を通して前線で攻撃の起点となるポストプレーが良かったですね。先制ゴールのシーンでは、背後にいる相手を見ずに股を抜くヒールパスを出したのは偶然だとは思いますが、あのプレーで中国のDF組織が崩れ、鈴木選手のゴールにつながりました。大学サッカーからプロの世界に入ってどれだけ揉まれたか注目していたのですが、確かな成長がうかがえました。あとはFWとしてゴールやアシストなど目に見える数字の結果を残したいところです。

三浦選手は、チーム2点目となるヘディングシュートからのゴールは良かったのですが、本業の守備に限って言えば及第点に至らず。
前述のようにラインコントロールの仕方があやふやで、相手のボール保持者にプレスがかかっていない状況で不用意にバックラインをあげてしまったことが、試合終了間際の失点につながる一つの要因に。
また、前半13分の中国のセットプレーでフリーでヘディングシュートしたドン・シュエシェンのマークを畠中選手とどちらが見るかあいまいになるなど、相変わらずボールウオッチャーになりがちで、ゴール前で人をつかまえるということが出来ないというベネズエラ戦の課題が解決されていません。
ボールばかりを見ているから簡単にマークを外されてしまうわけで、相手のボール保持者と自分がマークすべき相手を同時に視野に入れられるボディシェイプをなるべく取るようにするということをまず心掛けるべき。

森島選手は上田選手のヒールパスを受けると相手ゴール前やや左を駆け上がり、相手の股を抜くクロスを出して、鈴木選手の先制ゴールをアシスト。左WBの遠藤選手との連携もまずまずでしたが、個でもチームとしても相手の守備を崩すプレーにまだまだ改善の余地はあります。

井手口選手は、正確なコーナーキックからチーム2点目となる三浦選手のゴールをアシスト。ボランチとして攻守両面でまずまずのプレーを見せてくれましたが、4-2-1-3で来た相手とのマッチアップでは井手口選手のところが数的優位にありましたから、相手のトップ下は橋本選手に任せ、もっと積極的に攻撃のビルドアップに絡んでいって欲しいところ。

 逆に畠中選手はセンターバックとして残念な出来。Jリーグ優勝チームの主力CBのプレーとしては寂しいかぎりです。
相手のボール保持者に味方のプレスがかかっていない状況にもかかわらず、ドン・シュエシェンを自分の背後に置いてしまったため、オフサイド崩れで簡単にウラを取られてしまい失点の原因に。三浦選手と同様ボールウオッチャーになりがちで、ゴール前で人をつかまえるということが出来ないというベネズエラ戦の課題が解決されていません。ボールばかりを見ているから簡単にマークすべき相手を見失ってしまうわけで、相手のボール保持者と自分がマークすべき相手を同時に視野に入れることができる体の向きをどう取るかということを常に考えながらプレーしないといけません。
また自陣深くでボールを持っている時、プレスをかけてきた相手をドリブルやフェイントで抜いたプレーが2度ありましたが、リスクマネジメントが出来ていない無謀なプレーだと言わざるをえません。なぜなら、自陣深くで相手をドリブルで抜くことに成功しても1点にもなりませんが、もし失敗したらかなりの確率で失点につながるハイリスク・ローリターンのプレーだからです。

佐々木選手は、必死に努力しているということは見ていて伝わってきましたが、鈴木選手の先制ゴールにつながる起点となるパスを出したものの、守備ではファールをしなければ相手を止められないシーンが目立ちます。前半20分にゴール前左で味方のパスを受けたときにトラップが大きくなりボールを奪われてピンチを招き、後半に相手に不用意に飛び込んで抜かれるシーンが見られたのも相変わらずです。

名前のあがらなかった選手は及第点の出来か、プレー機会が少なく評価の対象外です。



    ☆       ☆       ☆



 森保監督の采配面では、またしても交代枠を一つ残してしまったわけですが、6人代えられるテストマッチならいざ知らず、この試合は一応公式戦ですから、3人しかない交代枠をフルに有効活用してほしいです。

例えば、試合の終盤に上田選手の足が止まり、前線からプレスがかけられなくなっていましたから、時間を消費して2-0のままゲームをクローズさせるためにも、後半35分を過ぎたら上田選手に代わり別のFWを入れるとか、やりようはあったのではないでしょうか。

また、E-1に臨む日本代表メンバー発表会見で森保監督は、ベネズエラ戦の1失点目の理由として、ゴール前で佐々木選手がロンドンとの一対一に負けたことよりも、相手にプレスがかからずクロスをあげさせてしまったことの方が大きいと説明しておられました。

しかし、相手チームのクロスを100%阻止することはほぼ不可能であって、個人にハッキリと責任を持たせた上で、いかにゴール前での一対一に負けないかということを考えるべきではないかと当研究所は疑問を提起したのですが、この試合でも、相手のクロスを阻止することはできず、ゴール前で畠中選手が相手との一対一に負けてしまったことが失点の原因となっており、森保監督も自らのサッカー観を修正なさらないと、何度でもやられてしまうことでしょう。



    ☆       ☆       ☆

 

 E-1選手権の初戦、中国との試合は2-1で勝利という結果は順当でしたし、準備時間が少ない中での急造チームという制約があって仕方ない部分はあったものの、内容の方も改善の余地は大きいです。

こういうレベルの相手が、W杯や五輪の本大会に出てくることはまずないということは忘れてはならないでしょう。ただ、代表経験の少ない選手に経験を積ませることができたのは収穫でした。

 最後に余談ですが、中国の選手が明らかに橋岡選手の首めがけてスパイクのウラで蹴りに行き、しかもレフェリーが一発退場にしないというところに「アジアの後進性」を痛感してしまいます。

中国の国民的作家・魯迅の小説に「阿Q正伝」があるのですが、主人公の阿Qがケンカに負けてボコボコに殴られても、「自分が相手に殴られたのではなく、相手のこぶしを自分の顔で殴ったのだ、だからケンカに勝ったのは俺だ」と、負け惜しみを言う場面があったように思います。

魯迅は、そういう中国人独特の「精神的勝利法」や中国社会の後進性、特に民衆の無知蒙昧さを嘆いて小説を書いたのですが、「自分が橋岡選手を蹴ったのではなく、むしろ橋岡選手の頭が(自分の足に)ぶつかってきたんだ」と日本の小学生でも言わないような稚拙な言い訳をした中国のサッカー選手を見るにつけ、魯迅が生きた100年前からほとんど進歩がないようですね。




サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。



■コメント

■コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

 



管理人多忙につき、マメにレスを差し上げられません。
ゴメンナサイ。
もちろん、すべてのコメントは拝見させていただきますが、サイトポリシーに違反したものは、予告なく削除します。
悪しからずご諒承ください。

プロフィール

スパルタク

  • Author:スパルタク
  • FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ






   

ブログ内検索