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■日本代表、守備組織の崩壊でベネズエラに惨敗

 今月19日、べネスエラとのテストマッチが吹田で行われ、日本は1-4で惨敗を喫しました。

今回の対戦相手ベネズエラ代表は、スペイン・ブラジル・中国リーグなどでプレーする選手たちで構成されたチームです。

日本とほぼ互角の実力の持ち主であり、日本のホームでこちらの勝利、アウェーではベネズエラの勝利が一番確率の高い試合結果であると評価していました。

この試合ではベネズエラがほぼベストメンバーだったのに対し、こちらは海外組の多くを欠いた1.6軍のようなチームでしたが、現時点においてはあのメンツが「日本の代表」だったわけですから、やはりホームでは勝たなければいけませんし、そうでなければ選手個々の成長もありません。

こちらに有利なホームゲームで3点差をつけられる大敗というのは絶対にあってはならない結果でしたし、試合内容の方も攻守両面で悪かったですね。


    ☆       ☆       ☆


 まずこの試合の“ストーリー”を振り返ってみますが、今年6月に行われたコパアメリカ2019チリ戦のデジャブみたいな試合でした。

日本代表は攻守両面で組織になっておらず、守備の組織力が低いために個での守りを強いられる展開。

コパアメリカのチリ戦ではボランチの中山選手が穴となったのですが、この試合では先発メンバーの中で個の能力が一番低い左サイドバック(SB)の佐々木選手のところが大きな穴となり、日本代表という名の“ダム”が決壊していきます。

日本の右サイドからクロスがあがると、逆サイドのゴール前にいた佐々木選手がいとも簡単にベネズエラのワントップ・ロンドンとの競り合いに負け、キックオフからわずか8分で失点。

30分には、やはり佐々木選手が安易に相手のボール保持者に食いついてしまい、佐々木選手が上がったウラのスペースをベネズエラにワンツーで崩されて0-2。

これでパニックになった日本は守備組織が完全に崩壊してしまいます。

33分には、右サイドからのクロスにまたしても佐々木選手がいとも簡単にエレラとの空中戦に競り負け、エレラが落としたボールにロンドンが詰めてハットトリック達成。

38分、自陣で柴崎選手がボールロストし、ベネズエラのショートカウンターからソテルドが決めて4失点目。

後半は日本もチーム組織を立て直し、守備の安定とともに攻撃も機能するようになり、山口選手のミドルで一矢を報いますが後が続かずゲームセット。1-4の惨敗という大変残念な結果となってしまいました。

 それでは日本代表の試合内容を守備から見ていきますが「一対一でのボールの奪い合い」という一番ベーシックな部分でファイトできていなかったり、相手のポストプレーを見ているだけで自由にやらせ放題だったりと選手個々のレベルもひどかったのですが、組織で守る部分もレベルが非常に低かったです。 

たとえば、サイドハーフ(SH)が相手のボール保持者にプレスをかけても隣接するポジションであるボランチやSBが連動していないため、相手のボール保持者は簡単にこちらのウィークサイド(日本の選手が少ない数的不利なエリア)にいる味方にボールを逃がすことができ、ベネズエラがショートパスを素早くつないでくる攻撃をしてきたこともあってほとんどプレスがかかりませんでした。

1人がプレスを掛けたら、隣接するポジションにいる味方が連動して相手のパスコースを消すようにプレスをかけ、日本のストロングサイドに相手のボール保持者を閉じ込めることができればボールを奪い返しやすくなりますし、たとえ奪い返せなくても相手の攻撃を遅らせることができます。

仮に4~5秒プレスをかけてもボールを奪い返せないのであれば、いったん自陣にリトリートしてコンパクトな守備ブロックをつくり、自分たちが守るべきスペースを限定してから、改めて相手のボール保持者にプレスをかけていくべきなんですが、このチームはゾーンディフェンスによる守備ブロックのつくり方がおかしくて、相手のボール保持者がサイドにいるとき、SHやSBがプレスをかけてもボランチやセンターバック(CB)がボール方向へスライドしないために、守備ブロックが横に間延びしてしまっています。

間延びしているのは縦に関しても同様であり、特に左SHの中島選手のプレスのかけ方が中途半端で、相手のボール保持者にキッチリ詰めるでもなく、かといってボランチと同じラインまで下がり守備ブロックをコンパクトに保つでもなく、あいまいなポジショニングをするので中島選手のウラにスペースが空き、ベネズエラにそこを使われると個の能力が低い佐々木選手一枚では守り切れずに次々と失点を重ねていきました。

ここでコンパクトな守備ブロックによるゾーンディフェンスのやり方をおさらいしておきます。

守備ブロックの横幅はペナルティエリアのそれと同じ距離で、そこに4人の選手が等間隔で並び、サイドに相手のボール保持者がいる場合は、それを保ったまま横へスライドします。

そして相手のボール保持者が自分が守るべきゾーンに入ってきたら(下図で言えば右SHのところ)プレスをかけます。隣接する右ボランチは相手のボール保持者が右SHを抜いて赤線の方へ進むことに備え、少し寄せてカバリングのポジションを取ります。

ゾーンディフェンス

相手のボール保持者はパスを前方へ出せないためピッチ中央方向へバックパスをしました。(下図)今度は右ボランチが守るべきゾーンに相手のボール保持者がいるため、右ボランチがプレスをかけます。右ボランチが相手に抜かれることに備え、右SHと左ボランチが少し寄せてカバリングのポジションを取るのは一つ前の図と同様。

ゾーンディフェンス2

相手のボール保持者は逆方向へのサイドチェンジパスを選択しました。ボールが空中を移動している間に、コンパクトな守備陣形を保ったままブロック全体を逆サイドへスライドさせます。

ゾーンディフェンス3

説明の便宜上省略していますが、もちろんFWも相手のパスコースを切りながらプレスをかける味方と挟み込むようにして相手からボールを奪い返すために連動したプレーが必要です。

後半、中島選手をトップ下に、原口選手を左SH、古橋選手を右SHに入れてからコンパクトな守備ブロックがつくれるようになり、それに伴って守備が安定していきましたが、前半のキックオフからそれができるようにしなければいけません。

W杯アジア二次予選のタジキスタン戦キルギス戦のエントリーでも再三指摘している通り、間延びした陣形のまま連動性の低いプレスをかけ、危なっかしい1対1のバトルをひたすら繰り返していくというのは、海外組を揃えたベストメンバーの森保ジャパンでも見られます。

それでもやられなかったのは、タジキスタンやキルギスが個でも組織でもサッカーのレベルが低かったからであって、ベネズエラのようにW杯で対戦するようなレベルの相手は見逃してくれません。

森保ジャパンは、プレスのかけ方や守備ブロックのつくり方など組織的な守備の約束事をただちに見直すべきなんですが、本来であれば監督からあれこれ言われなくても、こうしたゾーンディフェンスの組織戦術はユース年代を卒業するまでにはすべての日本人選手がマスターしておくべきで、Jリーグ各クラブの育成組織の奮起に期待します。

 攻撃に関しても、組織力が低くてベネズエラの守備をなかなか崩せませんでした。

この試合の日本代表はいつもとは違い、浅野・鈴木両選手が2トップを務める4-4-2でしたが、これは攻撃面では能力が高い2人のFWを生かしたいときに使うフォーメーションです。

裏を返して言えば、2トップには多くの役割が課されるのであって、ゴールをあげるのはもちろんのこと、中盤に下がって攻撃のビルドアップに参加したり、サイドに流れてボールを受けることでチームの攻撃に幅をつくったり、片方のFWがもう1人のFWのためにラストパスを出しゴールをアシストしたりと、幅広い仕事をこなさなければこのシステムは機能しません。

日本の4-4-2に対してベネズエラは4-1-4-1で来ましたが、相手とのマッチアップに関して言えば、相手のアンカーの両脇にスペースがあり、そこにいるこちらのSH2人が数的優位になっているのと、こちらの2トップに対して相手は4バックで見るわけですから、ベネズエラのSBは味方のアンカーによるサポートがなければ対面にいる日本のSHに加えサイドに流れてきたFWの両方を見なければならないので、こちらとしてはFWとSHとSBが上手く連携してサイドで数的優位をつくりながらパスをつなぎ、ベネズエラの守備を崩してゴールをあげたいところでした。

ところが日本の2トップは単純にウラへの走り込みを繰り返すぐらいで、味方からグラウンダーのパスを引き出す動きが質・量ともに全然足りません。

中島・原口の両SHも、主にピッチ中央方向へ強引なドリブルをし、時間がかかる攻撃を繰り返しては複数の相手に囲まれてボールをロストしていました。

逆に、日本がやりたい攻撃をベネズエラにやられてしまいました。

ベネズエラの3点目が典型的なんですが、各選手がボールを持つ時間を極力短くし、ボール保持者を周囲の味方が適切にサポートしていくつものパスコースをつくりグラウンダーのパスをテンポよくつないでいき、日本のMF陣がつくる守備ブロックのフィルターをできるかぎり短時間で通過して、アタッキングサードで良い形をつくり相手を仕留める。

森保ジャパンの攻撃は、一昔前の南米サッカーのように中盤でドリブルを多用することで多くの時間をかけているうちに相手はすっかり守備組織を整えてしまい、ボール保持者をサポートすべき周囲の味方もグラウンダーのパスを受けられるポジショニングが取れないのでパスコースがなく、ボール保持者は相手が2~3人待ち構えているところへ強引にドリブルで突っ込むか、苦しまぎれに浮き球のアバウトなパスを出すものの味方に通らずボールロストを繰り返すだけになってしまっています。

森保ジャパンは、ベネズエラのモダン(現代的)なパスサッカーに完敗でした。

もっとも浅野・鈴木の両選手は普段クラブで4-4-2のFWをやっているわけではないので、ぶっつけ本番でいきなり未経験のシステムを機能させろと言う方が無理というものであり、新しいシステムに慣れるための時間をあげる必要があります。

しかし中島選手が低い位置から強引なドリブルを始め、時間がかかるばかりでゴールに結びつかない、まったく効果的ではないプレーをタジキスタン戦あたりからずっと繰り返しているので、ドリブルという武器をどのエリアで使い、どのエリアでは使ってはいけないのか、森保監督が中島選手に明確に指導をするべきです。

選手個々の評価は次回とします。




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