FC2ブログ

■日本代表、キルギスに「帳尻合わせ」の勝利(その2)

前回の続き

 選手個々で特筆すべき活躍だったのはまず権田選手。前半31分にペナルティエリア内の至近距離から打たれたシュートをブロックしたのを始めとしてファインセーブ連発でした。もしキルギスに先制点をやっていたらこの試合の結果はまったく違ったものになっていた可能性があります。両チームのGKの能力差で勝たせてもらったような試合であり、当研究所が選ぶマンオブザマッチ。
プロのGKを目指している日本の子供たちも、チームを勝たせるのはゴールをあげるFWや10番だけではないということを良く見て欲しいですね。

南野選手は、遠藤選手のパスが伊東選手にうまくつながらずにゴールライン方向へ流れたものの、あきらめずに最後まで走り切り、パニくったキルギスのGKが不用意にダイブしてきたところで倒されてやるというマリーシアでPKをゲット。それを自ら冷静に決めて見せ、苦戦するチームを助けました。シュートはゴールやや右上に決まりましたが、たとえGKの読みが当たってもセーブしづらいコースであり、自分のキックの正確性に対する強い自信もうかがえます。
 ただ前半13分・18分の決定機のどちらかで最低でもあと1ゴールは記録できたように思いますし、中盤における攻撃のビルドアップ時につなぎ役としてもう少し貢献できればチーム全体のシュートチャンスが増え、結果として自分自身を助けることにもなります。

原口選手は、相手GKに経験不足のところがあったものの、ゴール前でのFKを直接決めてチーム2点目をゲット。
 ただ左サイドハーフとして自らのパスでチームの攻撃をビルドアップしたりアシストをしたりといった面ではもっとやれるはずです。
自らの後ろのスペースを相手右ウイングバック(WB)のマイヤーに使われ、長友選手が彼との一対一でやや苦しめられていましたが、プレスバックして長友選手と相手の右WBを挟み込むとか、ボランチの横まで戻ってコンパクトなブロックをつくり、そもそもスペースを与えないなど、守備面でも改善すべき点はあります。

酒井選手は、アシストこそつかなかったものの、タイミングの良い上がりから何度かダイレクトクロスをあげて攻撃の形をつくりましたし、フィジカルコンタクトに強い相手との一対一でも優勢で守備でも安定していました。

 逆に植田選手は相変わらずゾーンディフェンスの基本ができておらず、相手のボール保持者の位置などお構いなしに、一目散にゴールエリアの直前に戻ってきてしまう悪いクセがなかなか修正されません。(下図は過去記事の使いまわしですが、この状況がペナルティエリア内で起こっていると考えてください。右センターバックが植田選手です)

スカスカ

前半31分にペナルティエリア内で至近距離からシュートを打たれて大ピンチを招いた場面で、植田選手がボール保持者と応対している遠藤選手のナナメ後方かつ5mぐらいの適切な距離でカバリングのポジションが取れていれば、たとえ遠藤選手が抜かれてもキルギスの選手のクロスをブロックすることができていたかもしれませんし、もしそれができればそもそもあのシュートはありませんでした。失点につながりかねない戦術理解上の重大なミスであり、二度とこういうことが起こらないように速やかに修正をお願いしたいです。

3-3-3-1のフォーメーションできたキルギスは、右WBのマイヤーへのサイドチェンジパスを多用してきましたが、彼に応対した長友選手が一発で抜かれてしまうなどやや苦しめられました。
攻撃面でも上手く封じ込められてしまい、味方からのパスをトラップし損なって相手のスローインにしてしまうイージーなミスもあり、思うようなプレーをほとんどさせてもらえませんでした。

遠藤選手は、攻撃面で何本か良いパスがありましたが、守備ではフィジカルコンタクトで苦戦し、体を入れ換えられて抜かれたり、相手のスピードについていけず振り切られるなど、実戦から長いこと遠ざかり、試合勘を失っているように見えました。クラブで出場機会を増やすことが急務です。

キルギスは3人いる2列目が日本のダブルボランチをしっかりマークすることで攻撃をビルドアップできないように対策を打ってきましたが、遠藤選手はもちろん柴崎選手もそれに上手く対処できず、攻撃の選手になかなか良い形でボールを供給できませんでした。相手のマークをはがしてフリーになりパスを受け、2列目の味方に確実にパスをつなぐというボランチに欠かせない仕事が量・質ともに不足しています。
守備面でも相手ボール保持者への寄せが甘くなりがちで、前半23分の相手セットプレーでは、自軍ゴール前でこぼれ球を拾った相手選手の前に素早く立ちはだかりシュートコースを消すといった行動もせずボールウオッチャーに終始するなど、危険に対する予測も充分ではありません。
こういった課題を解消していかないとクラブでも出場時間がなかなか伸びていかないのではないでしょうか。

伊東選手は右SHで起用されましたが、ほとんど機能していませんでした。最近、堂安選手が壁にブチ当たってもがいているため、伊東選手にチャンスを与えることについては賛成ですが、起用するなら素晴らしい出来だった先月のモンゴル戦から継続して使ってあげるべきであり、モンゴル戦の次の試合で先発から外し1ヵ月の「冷却期間」を置いてしまったため、直近の「旬」は過ぎてしまったようでした。サッカー選手は「生もの」であり、起用するタイミングは極めて重要だと思います。

永井選手もワントップで起用されましたがやはり機能せず。そもそも彼の頭めがけてロングボールを蹴ってどうにかしてくれというのは、彼本来のプレーの持ち味とは思えず、そのポジションに起用した選手とやりたいサッカーの戦術がミスマッチを起こしているのではないでしょうか。

山口選手は、チームが試合の流れを失った後半33分に守備の立て直しとして投入されましたが、フィジカルコンタクトに強いキルギスの選手に押され気味で、不用意なボールロストもあり、チームが流れを取り戻すまでには至らずでした。

中島選手も同じく後半33分に試合の流れを失ったチームの攻撃面でのテコ入れとして投入されましたが、自陣内深くからドリブルで相手2人が待ち構えているところへ突っ込んでいってボールロストするなど、チームにとって有益ではないプレーがこの試合でも見られました。ミャンマー戦でのカットインドリブルからのスーパーゴールが強烈な成功体験として彼の脳裏に焼き付き、その再現を狙いたいのは良くわかるのですが、ピッチのどのエリアからドリブルをスタートすれば、その破壊力をいかんなく発揮することができるのか自らのプレーをもう一度分析し直すべきです。

名前のあがらなかった選手は及第点の出来か、プレー機会が少なく評価の対象外ですが、吉田選手、代表100キャップおめでとうございます。



    ☆       ☆       ☆
 

森保監督の采配面では、後半15分ぐらいからチームが攻守両面で徐々に主導権を失っていったのですが、策が功を奏したとは言い難いものの、実戦から遠ざかっていて守備で劣勢だったボランチの遠藤選手と、右SHとしてほとんど機能していなかった伊東選手を交代させて、試合の流れを取り戻そうとした采配は支持できます。

ただし、どんなに遅くとも後半25分には交代を完了させておくべきで、いささか遅かったように思います。

第四審判が交代選手の番号を示すためのボードを間違えるというトラブルがあったのは同情できますが、やはり後半33分での投入は遅すぎました。


    ☆       ☆       ☆


 W杯アジア二次予選、日本代表にとって今年最後の試合となったキルギスとのゲームでしたが、アウェーで2-0の勝利という結果は非常に良かったのですが、試合内容に関しては課題が次々と出たように思います。

攻撃面では特定の選手がいなくなると、チームとしてボールをキープして(決して個人がボールを長い時間持ってという意味ではありません)アタッキングサードまで運んでいく、攻撃のビルドアップ能力がガクンと落ちてしまうという問題は、今年1月のアジアカップ2019からほとんど改善されていません。

その原因は、ダイレクトパスを出すことそれ自体が最終目的になってしまい、受け手がパスを受ける準備ができていようがいまいがお構いなしにタテに速いボールをいれてしまうことにもあるのですが、パスを受けて決定機を作り出し得点をあげる「使われる選手」が多すぎて、彼らにボールを供給する役割を担う「使う選手」が不足しているというチーム全体のシステムの問題も大きいように思います。

W杯本大会に近づくにつれて対戦相手のレベルが上がっていくと、チームのシステムや各ポジションどうしの連携面でのほころびを相手が見逃してくれなくなって、それが目に見える試合結果につながりかねません。

将棋では、攻撃にも守備にも関与できていない駒を「遊び駒」と言い、盤上で遊び駒を多くつくればつくるほど勝利から遠ざかってしまいます。

サッカーで「遊び駒」に相当するのは「機能していない選手」であり、ピッチ上にそういう選手が多ければ多いほど、試合に勝つのは困難になります。

そうした意味でもこのアジア二次予選中に、誰をどのポジションで起用して一つのチームとして機能させ、どういうシステムで相手からゴールを奪い、どういうシステムで失点を防ぐのか、チーム組織の土台をしっかりと固めておく必要があります。

もちろんそれはメンバーを固定しろという意味ではありません。「継続性」と「新しいことへのチャレンジ」とのバランスを取りながら、誰がどのポジションでプレーしても攻守両面で狙ったようなサッカーができるようにするということです。



サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。



■コメント

■コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

 



管理人多忙につき、マメにレスを差し上げられません。
ゴメンナサイ。
もちろん、すべてのコメントは拝見させていただきますが、サイトポリシーに違反したものは、予告なく削除します。
悪しからずご諒承ください。

プロフィール

スパルタク

  • Author:スパルタク
  • FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ






   

ブログ内検索