FC2ブログ

■日本代表、キルギスに「帳尻合わせ」の勝利(その1)

 昨日、カタールW杯アジア二次予選を戦っている日本代表の第四戦、キルギスとの試合がアウェーのビシケクで行われ、日本が2-0で勝利しました。

今回の対戦相手キルギス代表は、国内でプレーする選手を中心に、ドイツ四部やベラルーシ・マレーシアでやっている海外組をあわせたチームです。その戦力はホームでもアウェーでも日本が勝利できるレベルと見ていましたが、アウェーで複数ゴールをあげての勝利という結果はとても良かったですね。

しかし、スコアが試合内容を反映しておらず、攻守にわたって日本のプレー内容は良くありませんでした。

再現性のある攻撃の形がなかなかつくれず、守備でもかなり危険なシュートシーンを相手につくられてしまいました。

プレー内容が悪いなりに上手くPKをもらったりセットプレーから得点することで、試合結果だけ何とか「帳尻を合わせた」形にはなりましたが、三次予選以降、対戦相手のレベルが上がっていくに従い、こういう中身に乏しいサッカーは通用しなくなり、望むような結果を出すことが難しくなります。



    ☆       ☆       ☆



 それでは試合内容を分析していきます。

ピッチ状態があまり良くないこともあったのかもしれませんが、日本は浮き球のロングボールを普段より多めに使った攻撃を仕掛けていきましたが、これがまったくといって良いほど機能せず。

ワントップの永井選手の頭めがけてロングを蹴っても、相手DFに競り勝って意図したところへボールを落とすことができず、それどころかバックが始めから誰も味方がいないところへロングを蹴ってしまったりして、パスが2本以上なかなかつながってくれませんでした。

グラウンダーのパスを出す場合も、味方がパスを受けられるポジショニングにいないのであれば、相手選手の死角から出てパスを受けられるポジションに移動するまでパスの出し手がボールをキープして一瞬タメをつくり、味方がパスを受ける準備が整ったのを確認してから出せば問題無くつながると思うのですが、味方がパスを受ける準備ができていようがいまいが状況を見ずに、出し手がほぼ自動的にダイレクトでパスを出してしまうため、パスがなかなか2本以上つながりません。

森保監督から「ダイレクトパスを使え」という指示が出ていたのかもしれませんし、永井選手や伊東選手など前線に足の速いプレーヤーがそろっていましたから、彼らのストロングポイントを生かしたいという気持ちは良くわかるのですが、つながらなければ、相手の守備陣形が整う前にパスを出しても意味がありません。

そこは日本の各選手がピッチ内の状況をよく見て、自分の頭で適切な判断をして欲しいですし、「ダイレクトパスを出すこと」それ自体が最終目的になってはいけません。

あくまでも最終目的は「ゴール」であり、ダイレクトパスはその目的を達成するための手段の一つにすぎません。

 再現性のある攻撃の形がなかなかつくれなかったもう一つの原因は、チーム全体のシステムにもあると思います。

この試合は、これまで左サイドハーフ(SH)のレギュラーだった中島選手に代わって原口選手が先発したのですが、中島選手が欠けてしまうと、攻撃時にチームとしてボールをキープして相手ゴール前まで運ぶという能力がガクンと落ちてしまうというのは、今年1月に行われたアジアカップ2019で何度も露呈した問題です。

ザックジャパンには本田選手という絶対的な司令塔がおり、ボランチには抜群の技術に裏打ちされたキープ力を誇るヤット選手もいました。

西野ジャパンには、トップ下に香川選手・左SHにはボールキープ力のある乾選手がいて、彼らが中心となって攻撃を組み立てていたわけです。

原口選手はどちらかというと「使われる選手」だと思いますし、南野選手はトップ下といっても七割がたフィニッシャーで、自らのキープ力やパスでチームの攻撃を組み立てていくようなタイプではありません。

そうした意味では、守備力があまり高くないところに目をつぶっても起用されているわけですから、ボランチの柴崎選手にはもっともっとやってもらわなければならないのですが、チームとしてボールをキープし相手ゴール前まで運ぶ「攻撃のビルドアップ」の局面における貢献度が、質・量ともに充分ではありません。

この試合の先発メンバーだと、味方からパスをもらって決定機をつくりゴールをあげる「使われる選手」の割合が多すぎて、チームとしてボールをキープしつつアタッキングサードまで運び、彼らにボールを供給する「使う選手」が圧倒的に不足しているように思われます。

いくら能力の高いフィニッシャーを前線に並べていても、彼らにボールが供給されなければ無意味です。

この試合でなかなか良い攻撃の形がつくれなかった最大の理由はこれではないでしょうか。

現状そうした選手が不足しているのであれば、板倉選手でも誰でも良いですから、強いフィジカル能力や高い技術力でボールをキープしてチームの攻撃を組み立てる能力を秘めていると思われる若手選手を何人かピックアップし、2~3年先の将来のことを見越して今から実戦でチャンスを与え育てていくことが非常に重要です。

現代サッカーではマルチロールをこなせる選手が重宝されますが、それぞれのポジションを任される選手にはベースとなる役割というものがありますし、誰がアタッキングサードにいる味方へボールを供給し、誰が決定機を作り出してゴールをあげるのか、そうした役割分担=システムがちゃんと機能するように、監督さんがしっかりと考えていかないといけません。

中島選手がこの試合で先発から外された理由は、この記事を書いている時点で管理人は把握しておりませんが、前回タジキスタン戦では途中交代させられたり、モンゴル戦では試合中にトップ下へポジションを移されるなど、森保監督は最近の中島選手のパフォーマンスに満足していなかったのかもしれません。

あるいは日本が入ったアジア二次予選グループFにおいて最強のライバルとの対戦、しかもアウェー戦ということで、守備力がより高い原口選手を入れることで、守備に重きを置いたカウンターサッカーで相手を仕留めようという森保監督のゲームプランだったのかもしれません。

私は、自らのストロングポイントを放棄して相手の良さを消すサッカーをしなければならないレベルの相手はこのグループにいないという認識ですので、前者を前提として述べていきますが、ここ数試合中島選手が機能していないように見えるのは、彼のパフォーマンスが落ちてきているというよりも、次にどういうプレーを選択するかの判断が適切でないことが最大の理由だと思います。

ミャンマーとのアジア二次予選初戦で、カットインドリブルからあまりにも見事なゴールを決めたため、中島選手がドリブルを始めると1対1を徹底的に避け、2人3人と密集して取り囲む対策を各国が取り始めました。

中島選手自身も、あのゴラッソの再現を狙っているのだと思いますが、低い位置からドリブルを開始して、相手が2人3人と密集しているところへわざわざドリブルで突っかけていってはロストするということを繰り返しています。

ミャンマー戦のシーンを良く見て欲しいのですが、堂安選手が相手陣内でボールを奪い返した後、バイタルエリア左スミにいた中島選手にパスが渡り、ミャンマーの右サイドバックとの一対一から、ハーフスペースまでカットインドリブルをしていき、あのゴールが決まったわけです。

以前の記事でもちょっと触れましたが、中島選手のドリブルの破壊力を最大化するためには、ミャンマー戦のようにいかに高い位置から彼のドリブルをスタートさせるかが重要であり、そのためには、バイタルエリアにいる中島選手の足元へ高い精度でパスをつけられる選手をボランチあるいはトップ下に置くことが欠かせません。

中島選手自身も中盤での攻撃の組み立てに参加するときは、低い位置からドリブルをスタートして相手の2列目やボランチの選手を抜こうとするのではなくシンプルに味方にボールを預け、自分はバイタルエリアにあがってフリーでパスを受けることができるポジションを取ることが極めて重要です。

中島選手にどの位置からドリブルをスタートさせるか、彼のドリブルの破壊力を最大化するためにどういうフォーメーションにし、中島選手にボールを供給する選手をどのポジションに置くか、それは森保監督が構築するシステム次第ですし、監督が構築するシステムがしっかりしていなければ、中島選手を含めチーム全体も攻守にわたって機能しなくなってしまいます。

ロシアW杯では攻守両面で組織的に、いま流行りの言葉で言えば「ONE TEAM」となって戦ったことが日本のストロングポイントとなり、大会前には予想だにしなかった決勝トーナメント進出という結果を出すことができたわけですが、各ポジション同士が有機的に連携してチームを一つの組織として上手く機能させるという部分で、森保ジャパンは課題があるように思います。

 守備面でもフィジカルコンタクトを中心に、相手との1対1でやや手こずったように見えましたし、攻から守へのトランジションが起こったときに相手のボールホルダーへの寄せが遅くなりがちで、精度の高いサイドチェンジパスを出されたり、相手のカウンターからフィニッシュまで行かれてしまったり、ゴール前でのポストプレーから狙い通りのところへボールを落とされて危険なシュートを打たれたりと、課題が多く出たように思います。

相手のシュート技術の低さに助けられて大事には至りませんでしたが、レベルの高い相手なら決められてもおかしくない場面がありましたので、速やかに修正して欲しいです。

キルギスは3-3-3-1で、相手の右ウイングバックとこちらの左SB(長友選手)が1対1になる場面が多く、そこから多くのチャンスをつくられてしまいましたが、間延びした陣形でひたすら1対1のバトルを繰り返していくのではなく、両サイドハーフがボランチのラインまで戻ってきてコンパクトな4-4の守備ブロックをつくって守るべきところは守るということも必要です。

前半31分には、ペナルティエリア内で至近距離からシュートを打たれて大ピンチを招いた場面ですが、吉田選手は正しいポジショニングが取れているのに、植田選手が彼のすぐそば1mという意味のない場所にいるため、相手のボール保持者に応対している遠藤選手の背後に広大なスペースを空けてしまっています。

結局、タテにボールを持ち出した相手に遠藤選手が抜かれてしまいますが、植田選手がいるところが遠すぎるため、クロスを選択したボール保持者にもシュートを打った相手にも全く対応できていません。

植田選手がボール保持者と応対している遠藤選手の後方5mぐらいのところでカバリングのポジションが取れていれば、キルギスの選手のクロスをブロックすることができていたかもしれませんし、もしそれができればあのシュートもありませんでした。

「無くて七癖」ということわざがありますが、相手のボール保持者の位置に関係なく一目散にゴール前に戻ってきてしまうという植田選手の悪いクセは本当に直りませんね。

もしあのキルギスのシュートが決まっていたら、この試合の結果がまったく違ったものになっていた可能性があります。

選手個々の評価は次回にしましょう。




サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。

■コメント

■ [名無しさん]

さすがにもう森保監督は擁護できませんね
■コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

 



管理人多忙につき、マメにレスを差し上げられません。
ゴメンナサイ。
もちろん、すべてのコメントは拝見させていただきますが、サイトポリシーに違反したものは、予告なく削除します。
悪しからずご諒承ください。

プロフィール

スパルタク

  • Author:スパルタク
  • FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ






   

ブログ内検索