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■日本代表、タジキスタンに我慢の勝利(その3)

 今回は、10月シリーズにおける森保監督の采配について考察していきます。

10月はW杯アジア二次予選としてホームでモンゴル戦、アウェーでタジキスタン戦が行われたわけですが、どういう選手を招集し、誰をどのポジションで起用するかという点で、森保監督の意図がわかりづらいケースが多かったように思います。

2試合で勝ち点6という結果はともかくとしても、モンゴル戦は相手との実力差を考慮に入れれば得点が少なかったですし、タジキスタン戦も特に前半は攻撃のシステムが機能したとは言えません。

エースFWの大迫選手が故障という非常事態を迎え、この10月シリーズに向けて招集されたのは、永井・浅野・鎌田の3選手でした。

同じスピード系FWでプレースタイルがかぶっている永井・浅野両選手を招集したことについてやや疑問に思ったのですが、永井・浅野両選手は、それぞれモンゴル戦・タジキスタン戦でヘディングシュートから得点をあげており、一応森保監督の策がハマった形にはなっています。

FWは、足だろうが頭だろうがゴールという結果を出してくれれば文句はありませんし、彼らがスピードを生かしたプレーだけでなく、ヘッドでもゴールを量産できるようになれば、どんな形からでも得点できてFWとしてプレーの幅が広がったという意味では、むしろ喜ばしいことです。

しかし、森保ジャパンの最終目標であるはずの「カタールW杯でベスト8以上」を念頭に置いた上で、W杯の決勝トーナメントで当たるであろう対戦チームに所属する欧州四大リーグレベルの屈強なセンターバックを相手にしても、高い確率で永井・浅野両選手がヘディングで得点できるということを森保監督が確信して彼らを代表に招集し、永井・浅野両選手にヘディングで得点させる攻撃システムを採用して現在チームづくりをしているということであれば理解できなくもありませんが、本当にそうだったのでしょうか?

モンゴル戦・タジキスタン戦ともにサイドからの浮き球のクロスで多くのゴールが生まれましたがそういう攻撃をするのであれば、上背があってヘディングに強いタイプのFWを最低1人は招集して試合に出せるようにしておくべきだったように思います。

ここで思い出されるのがザックジャパンで、4-2-3-1のセンターFWを磐田の前田選手が務めアジアカップ2011優勝も果たすのですが、前田選手はアジア予選の段階までは機能していたのに、ブラジルW杯を迎える前に加齢による衰えで結果が出せなくなり、急遽、若い柿谷選手や大迫選手を起用したものの経験不足は否めずに本大会は不発に終わり、世界レベルのセンターFWがいなかったこともザックジャパン敗退の一つの原因となりました。

今は大迫選手以外に四大リーグレベルのセンターFWが見当たらず、その大迫選手も3年後には32歳になります。ケガでW杯に出場できなかったり、カタールW杯を迎える前に加齢による衰えが出てしまう可能性もあり、3年後を見据えた長期戦略で四大リーグレベルのセンターバックを相手にしてもゴールが奪えるようなセンターFWタイプの選手を育成していくことは不可欠だと思われます。

日本サッカー界では、セカンドストライカータイプは続々と出現してくるのですが、典型的なセンターFWタイプの選手はなかなか出てきてくれません。

ならばニューカッスルの武藤選手でも札幌の鈴木武蔵選手でもシントトロイデンの優磨選手でも誰でも良いんですが、森保監督が3年後のW杯で活躍する可能性が高いとイメージできる選手を代表に呼んで、二次予選の段階から実戦で使って、四大リーグレベルのDFを出し抜いて得点できるFWになれるよう育てていくしかありません。

コパアメリカを総括した記事で、

(森保監督は)現時点における選手間の実力差に基づいたベストな11人を先発としてピッチに送り出してやらなければなりませんし、そうした選択でのミスは許されません。

と書きました。

世界で3番目にハイレベルな真剣勝負の場であるコパアメリカは、日本サッカー界にとって若手の成長のために捨てて良い大会ではない、現時点でのベストメンバーを呼ぶべきだと言いましたが、W杯行きの切符がかかったアジア二次予選はもちろん勝利という結果が求められるものの、若手の育成のために多少の失敗や冒険が許される大会です。

現時点における実績で上から順番に森保監督が選んだ「ベストメンバー」が、永井・鎌田・浅野の3選手だったのかもしれませんが、コパアメリカと違い、W杯アジア予選の段階では実力順に上から順番に23人の日本人プレーヤーを選べば良いというものではないと思います。

武蔵・優磨の両選手が代表FWとして現時点では経験も実力も十分ではないことはわかっていますが、一番重要なのはカタールW杯の最初の試合がキックオフされる時点で、どういうタイプの選手をどのポジションで起用し、どういうシステムで得点してどういうシステムで失点を防ぐのか、日本代表がやりたいサッカーの一応の完成形ができあがっていることです。

誤解して欲しくないのは、スピード系のFWを代表に呼んではいけないと主張しているのではありませんし、スピード系のFWが本来得意ではないヘッドでもゴールをあげられることはむしろ喜ばしいことです。

森保監督が3年後のW杯で、あまり上背のないスピード系のFWに浮き球のクロスから得点を取らせるようなサッカーをやりたいと考え、永井選手や浅野選手を代表に呼んで今そういうサッカーをやっているのであれば一応スジは通っていますし、カタールW杯で結果が出るなら言うことはありませんが、森保監督が意図するところは本当にそうなのでしょうか?

単純に上から実力順で選手を呼んだ結果プレースタイルが似通った選手ばかりになってしまうよりも、様々なタイプの対戦相手から得点を奪って勝つために、ある程度違ったタイプのFWを代表に招集して育てていった方が良いのではないでしょうか。

また2試合でワントップとしてテストされた鎌田選手ですが、今後はトップ下として他の選手と競わせるべきでしょう。

 次に右サイドハーフ(SH)のポジションですが、モンゴル戦で3アシストと出色の出来だった伊東選手をタジキスタン戦でベンチに置いた采配についても疑問でした。

ベルギーリーグで結果を出している伊東選手がタジキスタン相手に通用しないとは考えにくいですし、むしろ彼が先発だったら右サイドの攻撃が機能してもっと早く先制ゴールをあげられた可能性があります。

代わりに出た堂安選手が結果を残してくれればまだ納得できたのですが、攻撃面で貢献することはほとんどできませんでした。

モンゴル戦で好調だった伊東選手を引き続き起用してタジキスタン戦でも結果が出せれば、彼を良い意味で「調子に乗らせる」ことができますし、こういうときにサッカー選手はぐんと成長するもの。堂安選手もベンチから伊東選手のプレーを見ることで学ぶことも多いはずです。タジキスタン戦に出した伊東選手がダメならそこで堂安選手ら別の選手に再びチャンスを与えればいいわけですから。

東京五輪を目標に、森保監督は堂安選手を育てるためにあえて先発起用を続けているのかもしれません。

堂安選手は、相手の対策によって左足でのドリブルやシュートを封じ込まれた場合にどう活路を切り開いていくか、彼が今乗り越えるべき課題はそれなんですが、今年1月のアジアカップ2019から工夫も成長もほとんど見られず、同じ失敗を繰り返しているだけであり、そんな状態の彼に右SHの指定席を与えるのは、彼にとっても代表チーム全体にとっても大きなマイナスです。

 代表チームの強化で最も重要なことの一つは「強化の継続性」と「新しいことへのチャレンジ」とのバランスをどう取っていくかだと思います。

継続性を重視しすぎるとスタメンが固定されやすく、レギュラー組とサブ組の間にミゾができて、どんなに不調でもポジションが約束されているレギュラー組は慢心して努力することをやめ、どんなにがんばってもチャンスが与えられないサブ組は腐ってやる気を失い、結果としてチーム全体の競争力はダウンしてしまいます。(ジーコジャパンの「腐ったミカン事件」が典型)

逆に長期的な視野に立った強化の継続性というものを持たず、目先の勝利のため1試合ごとに選手やシステムを新しいものにとっかえひっかえしていると、若い選手が継続的に成功体験を積み上げながら成長していくことができず、アジア予選を突破したのはいいが後に残されたのは「おっさんジャパン」と揶揄されるような高齢化したチームで、W杯の本番直前になってそれに気づき愕然とするというハリルジャパンのような失敗を招いてしまいます。(そんなチームを決勝Tへ導いた西野さんはエラかった)

「強化の継続性」と「新しいことへのチャレンジ」とのバランスが上手く取れている23人こそ、W杯アジア予選の段階における「日本代表のベストメンバー」であるというのが当研究所の考え方です。

では「強化の継続性」と「新しいことへのチャレンジ」とのバランスをどう取っていけば良いのかと言えば、「上手くいっているところはいじらず、上手くいっていないところは修正する」が大原則だと思います。

また上手くいっていないところでも、「将来の伸びしろ」が大きいと思われる若い選手を辛抱強く使い続けることが必要なケースもありますが、いくらチャンスを与えてもまったく成長が見られない場合は、いったん見切りをつけて別の選手にチャンスを与えることも重要です。

前述の例で言えば、アジアカップ2019以降に壁にブチ当たって伸び悩む右SHの堂安選手のところで伊東選手を試しモンゴル戦で結果を出したのですから、継続性を重視して次のタジキスタン戦ではいじらない。

大迫選手がいれば話は別ですが、彼が負傷でおらずその代役も見当たらないセンターFWのポジションは上手くいっていないことが明白ですから、FW陣を即戦力だけで固めるのではなく、武蔵選手でも優磨選手でも良いので、森保監督がこれはと思う若いプレーヤーにもチャンスを与えてみる。

それによって結果を出した選手は「継続性」を重視して引き続き起用してやり、いくらチャンスを与えてもダメなら別の新しい選手にチャンスを与えるようにすれば、「強化の継続性」と「新しいことへのチャレンジ」とのバランスを上手く取れるようになるはずです。

現在の森保ジャパンは「強化の継続性」と「新しいことへのチャレンジ」とのバランスをどう取るのか、そのロジックに一貫性がないように見え、どういう選手を招集し、誰をどのポジションで起用するかという点で、森保監督の意図が理解しづらい一番の原因になっているように思われます。

W杯本大会では格上との対戦も予想されますが、ロシアW杯の日本VSセネガルでは、ペナの中で柴崎選手がボルドーでプレーするサバリとの一対一から簡単にクロスを通されてしまったことがオイペンでプレーしていたワゲのゴールにつながっており、柴崎選手を軸としたダブルボランチでは守備力の不足が懸念されます。

攻撃力の高い格上との対戦ではあえて柴崎選手を外し、例えば板倉プラス遠藤のような守備力を重視したダブルボランチを送り出すオプションを準備しておく必要があるように思います。

板倉選手はクラブの試合で不用意なスライディングタックルをしてしまうなど経験不足のところがあるのはわかっていますけど、W杯での格上チームとの対戦を想定するなら、センターバックもできる板倉選手の体の大きさやフィジカルコンタクトの強さは非常に魅力的で、アジア二次予選でもプレッシャーのかからない試合で起用するなど長期的な視野をもって育てていくべきではないでしょうか。

これは別の機会にでも触れますが、中島選手はもっとゴールに近い位置からドリブルを始めれば彼の攻撃力を最大化できると思うのですが、そのためにはバイタルエリアにいる中島選手の足元に正確にパスをつけられる高い技術を持ったダブルボランチが必要になりますし、そういう意味でも板倉選手にチャンスを与えたいのです。

W杯アジア二次予選の8試合のうち、ホームのモンゴル戦は日本が勝つためのハードルが一番低い試合でしたから、センターFWとして武蔵選手や優磨選手に、ボランチとして板倉選手にチャンスを与えるには絶好の機会でしたし、そこで結果を出せれば、二次予選で日本が勝つためのハードルが二番目に高いアウェーのタジキスタン戦で継続して起用しても良かったと思います。

11月のアウェーのキルギス戦は、二次予選で日本が勝つためのハードルが一番高い試合(理由は後述します)から、ここで実績のない新しい選手を試すのは少々リスクがありますよね。

だからこそ、さほどプレッシャーのかからないホームのモンゴル戦で試しておきたかったのです。

モンゴル戦ではハムストリングスをやって冨安選手が退場してしまいましたが、試合後のコメントでは少なくとも吉田選手は冨安選手が負傷してしまった太ももに試合前から張りがあったことを知っていたみたいですね。

(もし森保監督ら首脳陣がそれを知っていて出場させたのであれば問題)

欠場したらポジションを失うのではないかという不安があって自分からはなかなか言い出せなかったのかもしれませんし、W杯出場がかかった試合のように多少の無理をしないといけないケースもありますが、冨安選手に限らず全てのプレーヤーに言えることは、これ以上無理をしたら体が壊れるという自分の限界点をしっかり把握し、自分が次に出る予定の試合の重要性も加味しながら、休むべきところは休む勇気も大事だということです。

ベルギーやポルトガルでプレーするDFがモンゴルリーグのFWに簡単にやられるのは想像しにくいですし、なおさらモンゴル戦こそ植田選手や安西選手をスタメンから試して経験を積ませるチャンスだったように思います。


    ☆       ☆       ☆


 タジキスタンとのアウェー戦は、3-0という試合結果は順当でしたが、日本代表の試合内容は、特に前半戦に課題を残しました。

タジキスタン戦について、前半と後半を分けて考える必要はないという意見もありますが、タジキスタンレベルの相手に勝つことが今の日本にとっての最終目標であるならば、そういう考え方でも良いのかもしれません。

しかし日本の目標はW杯でベスト8以上の成績を残すことであり、W杯でタジキスタンレベルの相手と対戦する可能性はまずない以上、この試合の内容に満足してはいけないと思います。

W杯の決勝Tで当たるような相手は、前半の元気いっぱいのタジキスタンが相手でも、技術でもフィジカルコンタクトでも圧倒して1ゴール2ゴールとたたみかけられるレベルにあります。

ベスト8以上の成績を残すということはそういうレベルの相手に勝たなければいけないということです。

 次の試合の相手はキルギス代表ですが、アウェーのタジキスタン戦では0-1の敗戦で番狂わせを許したものの、アジアカップ2019では開催国UAEを完全アウェーの環境のもと延長戦まで追い詰めた実力の持ち主で、当研究所はこのグループ最強のライバルと見ています。

昨年11月のテストマッチでは4-0で日本が勝利していますが、あのときと同じ相手だからと甘く見ていると足元をすくわれかねません。

キルギスの首都ビシケクでのナイトゲームだと、11月は0℃くらいまで気温が下がる可能性もあるので、特に国内組はそれに対する準備が必要かもしれません。

 次回は、タジキスタン戦の「外伝」のようなものをお届けします。




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