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■日本代表、エルサルバドルに物足りない勝利

 昨日、日本代表はエルサルバドル代表と、ひとめぼれスタジアム宮城でテストマッチを行い、2-0で勝利しました。

対戦相手のエルサルバドルは、国内リーグでプレーする選手を中心に、パラグアイやアメリカ等でプレーする海外組を加えたチームです。

エルサルバドルのサッカーを見るのは超久しぶりで、北中米カリブ地域のNo.1を決める大会であるゴールドカップ(アジアでいうところのアジアカップ)の2002年大会以来だったのですが、メキシコやコスタリカがタテに早い速攻型のサッカーへ転換しつつあるなかで、あまり体の大きくない選手がショートパスを細かく細かくつないでくる、いかにも伝統的な中央アメリカのサッカースタイルはそのころから全然変わっていないですね。

世界各国のサッカースタイルからだんだん個性が無くなりつつあるのをさびしく感じることもしばしばなのですが、中央アメリカらしいサッカーを久しぶりに楽しめました。

そのエルサルバドル代表の戦力評価ですが、ホームでもアウェーでも日本が勝利できる相手、特にホームゲームであれば大量点差をつけての勝利が求められる相手と見ていましたが、日本が勝利したものの相手のレベルを考えれば2-0という結果には得点力に物足りなさを感じますし、あと1~2点は取れたのではないでしょうか。

前の試合に引き続き、この試合も3-4-2-1がテストされましたが、ゲーム内容も今一つだったように思います。


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 それではいつものように日本代表のゲーム内容を見ていきますが、継続して選手がトレーニングできたでしょうし、前の試合よりは選手同士の連携が良くはなってきていますが、3-4-2-1が機能して局面で数的優位がつくれて相手の守備組織を崩して勝った、3-4-2-1というフォーメーションの優位性のおかげで相手に勝てたという風にはあまり感じられませんでした。

先制ゴールは永井選手のスピードと個人技で取ったようなものでしたし、2点目もエルサルバドルの、人は足りているのに原口選手のウラへの飛び出しをノーマークで許すミスが伏線になったゴールです。

前の試合のように選手同士の距離感が悪く、ボール保持者が孤立して攻撃が行き詰ってしまうというシーンは少なくなりましたが、1トップ+2シャドー+2ウイングバックの連携はまだまだ改善の余地がありますし、実戦で使えるようにするにはもっと練度をあげていく必要があるように思います。

前半25分に見られた、小林→橋本→原口→南野→堂安とつながった攻撃は相手の守備組織も大混乱で効果的でした。残念ながら堂安選手から永井選手へのラストパスが通らずゴールに結びつかなかったのですが、こういう連携攻撃がより多く見られるといいですね。

またダブルボランチを中心に、パスを受ける時のボディシェイプが悪く、そのために本来は前へパスが出せるシーンでもバックパスになって攻撃が遅くなったり回り道したりするケースが多いのも非常に気になります。

ボディシェイプ
(クリックで拡大)

日本人選手の悪いクセですが、ボールをポゼッションしている時に、相手選手がたくさんいて前への攻撃が手詰まりになったサイドの選手からピッチ中央へパスが出ても、わざわざピッチが混雑している同じサイドへボールを戻してしまうシーンが見受けられました。

前方の状況にもよりますが、なるべくボールが右から来たら左へ、左から来たら右へとパスをさばいて、敵選手が少ない、相手チームにとってのウイークサイドへボールを逃がすようにすると、より攻撃がスムーズになるでしょう。

 相手チームの攻撃力が低かったこともあって、守備面で大きな問題は生じなかったように思いますが、後半5分すぎから10分間ぐらい日本のプレスが上手くかからなくなったように見えました。

そういう時はぶわっと広がったまま相手を際限なく追いかけていくのではなくて、5秒相手にプレスをかけてボールを奪い返すことができなかったら一度コンパクトな守備陣形を整えて自分たちが守るべきスペースを限定することで、守備を立て直すと良いと思います。

 後半15分から普段やっている4-2-3-1に戻したのですが、やはりやり慣れたシステムのせいか攻撃のビルドアップが自然にできるようになりましたね。惜しいシーンはあったものの、残り時間が少なかったりメンバーを大量に交代させたせいかゴールを決めるところまではいきませんでした。


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 選手個々で特筆すべき活躍をしたのは2ゴールを決めた永井選手。
1点目は、相手を2人置き去りにするキレのある切り返しで勝負あり。2ゴール目も原口選手の折り返しを予測した絶妙のポジショニングが良かったですね。 
日本人選手、特に得点から遠ざかっている選手ほどゴールに近すぎるところで待ち構えてしまうことが多いのですが、それだと折り返しが自分の背中を通ったり、自分の前に来ても相手GKに先に触られてしまったりして満足にシュートも打てないことがほとんどです。
しかし永井選手のように、自分の前にシュートを打つためのスペースを空けるため、ゴール前へ飛び込むタイミングを遅めにすれば、味方からの折り返しがズレたり、相手選手に当たってコースが変わるような予想外のことが起こっても、それに対応して正確なシュートを打ちやすくなります。他の選手も見習ってほしいと思います。
ところで右腕のケガは大丈夫だったでしょうか?

原口選手は、良いタイミングでウラへ飛び出して泥臭いプレーから永井選手の2ゴール目をアシスト。 
ただ、シャドーの選手ともっと連携を高めてサイドを崩して突破する場面を数多くつくりたいですし、自身でフリーでシュートするときは少なくともゴールの枠内には入れたいところです。

冨安選手は、永井選手へのアシストも含め高いフィード能力で攻撃面でも貢献。
相手FWのレベルもそれほど脅威ではありませんでしたが対人守備でも安定したところを見せてくれました。
一度だけバックパスが弱くなってヒヤッとさせられる場面があったので注意してほしいです。

伊東選手は、スピードを生かした突破で何度もゴールチャンスをつくりましたが、自分で打つべき時にパスしてしまったり、逆に自分で打てるチャンスをトラップミスで逸してしまったりしなければゴールという結果につながったはずです。
守備でも一対一で強さを見せてくれましたが、ベルギーへ移籍して顕著な成長が見られます。

 逆に堂安選手ですが、個で局面を打開しようとすること自体は間違いではありませんが、相手2人が待ち構えているところに強引に突っかけていってはボールロストを繰り返すのは明らかに無謀です。
それでも3回に1回は相手を抜いてゴール決定機をつくれるというのであればまだしも、一対一で全敗というのは許されません。もっとシンプルに味方をつかってアシストを稼いだり、一度味方にボールを預けてそこからリターンをもらってゴールを決めるなど、自分のドリブル突破が読まれていることに対しての工夫が欲しいです。そのためにも正確なパスを出す能力をもっと向上させることが欠かせません。
ドルトムントへ移籍した香川選手は1年目からルールダービーでのドッペルパックで勢いに乗ってゴールを量産するのですが、相手チームに徹底マークされて得点から遠ざかるようになります。
しかし香川選手はチャンスメーク能力を高めてフィニッシャーとしての能力にそれをプラスすることで、相手の対策という壁を乗り越えて再びゴールをあげられるようになりました。
堂安選手も今ブチ当たっている壁をきっと乗り越えられると思いますのでハードワークを続けて欲しいと思います。

小林&橋本のダブルボランチは、積極的なパス受けの動きは良かったですし、パスによる攻撃のビルドアップもまずまず、特に小林選手の左足からの正確なクロスやパスは良かったと思いますが、残念だったのはパスを受ける時のボディシェイプの悪さ。相手選手を背負っているわけでもないのに、相手ゴールを背にして味方からパスを受けるので、ムダなバックパスが増えてどうしても攻撃が遅くなるため、その間に相手が守備陣形を整えてしまいます。
フリーなら必ず半身でパスを受けてすぐに前を向き、前方にいる味方がやはりフリーのうちに正確にパスを出すことを心がけて欲しいです。
また、混雑しているサイドから来たボールを再びそこへ戻すのではなくて、なるべくボールが右から来たら左へ、左から来たら右へとパスをさばいて、敵選手が少ない、相手チームにとってのウイークサイドへボールを逃がすようにするのもボランチとして大切な仕事です。

2シャドーの一角に入った南野選手は、良いボールがなかなか入ってこないことにじれてしまったのか、後ろに下がってボールを受けるシーンが多かったのですが、4-1-4-1できた相手チームのアンカーの脇にできるスペースが一つの攻略ポイントになっていましたから、我慢してそのスペースをもっと上手く使って、1トップやウイングバックと連携して相手を崩すと良かったように思います。

 名前のあがらなかった選手は及第点の出来かプレー機会が少なく評価の対象外です。

え、久保建選手ですか? ゴールやアシストが無くてもデビュー戦であれだけできれば及第点じゃないでしょうか。 


   ☆       ☆       ☆


 エルサルバドルとのテストマッチは、相手のレベルを考えれば2-0で勝利という結果は、特に攻撃面で物足りないものがありますし、試合内容の方も、選手たちが3-4-2-1システムを上手く使いこなせていたかと言えば、まだまだ1トップ+2シャドー+2ウイングバックの連携や選手同士の距離感に改善の余地があるように見えます。

このレベルの相手はW杯の本大会にはまず出てきませんし、3-4-2-1を公式戦で使えるようにするためには、ここからさらに練度をあげていく必要があるでしょう。

ライトなサッカーファンの方は「試合に勝ったんだから内容も良いに決まっている」という見方をしがちですが、それでは本質を見失ってしまいます。

対戦相手のレベルや自分たちがやりたいことがどれだけ達成できたのか、自分たちのプレー内容を精査しなければ、試合内容の正しい評価はできません。

 次はいよいよコパアメリカとなりますが、その時点で選ばれた選手たちが日本にとってベストの代表です。

相手をリスペクトしすぎて試合をやる前から0-3で負けたような気持ちでゲームに入るのではなくて、自分たちの実力が本気の南米選手を相手にどれだけ通用するのか試す絶好のチャンスですから、平常心を保ちつつ後悔のないように「自分は現時点での実力を出し切れた」と納得できるようなプレーして欲しいです。




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世間は久保選手を絶賛する中で、あまり選手の善し悪しがわからない私は管理人さんの評価はさてどんなものかと、どちらかと言うと絶賛されてることを期待して更新を待ってましたが、そんな気持ちを見透かされたようなコメントで思わず笑ってしまいました
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