■イラク戦「外伝」

 引き分けに終わったイラク戦から一週間以上たちましたが、試合が終わってしばらくたってから、監督が試合の直前や試合中に選手たちに出していた指示の内容のような、非常に重要な情報が出てくることがしばしばあります。

あるスポーツ専門紙から、ハリルホジッチ監督が代表選手たちにハードなトレーニングをさせすぎて、それがシリア戦・イラク戦で故障者が続出した原因ではないかという疑問が提起されています。

http://number.bunshun.jp/articles/-/828296

その記事を読むまで知らなかったのですが、ハリル監督はイラク戦に向けた2週間近い合宿中に、相当ハードな走り込みを選手たちにやらせたそうです。

しかしサッカー選手のコンディション調整法の常識として、1シーズンを乗り切るための持久力を養う目的で肉体に高い負荷をかける走り込みのようなトレーニングは、シーズン開幕前のオフ期間中に行うべきものであり、シーズン中は疲労回復をうながすためのジョギング以外、ハードな走り込みは避けるものです。(レギュラーポジションが取れないなどといった理由で、試合出場機会の少ない選手は除く)

運動をすることによって疲労が蓄積したり、筋肉の細かい破壊が起こったりしますが、肉体による回復が追いつかないほどハードなトレーニングを続けてしまうと、大きなケガの原因になりかねないからです。

特に、1年に及ぶハードなシーズンを終えたばかりの欧州組に厳しい走り込みを課すのは、無謀な行為と言えるでしょう。

実際、37℃以上という酷暑のなかでのゲームとなったイラク戦において、欧州組の久保・酒井宏両選手が相次いで負傷したことも痛い失点の原因となり、当初予定していた追加点をあげるための交代選手も使えず引き分けに終わってしまったのは不運だったという報道もありましたが、シリア・イラクとの2連戦でケガ人が続出したことは、直前合宿におけるハリル監督のまずい練習プランによって起こるべくして起こった可能性が高いです。

そのシリアとのテストマッチから久保選手の動きが重く、相当疲れているように見えましたし、昨年11月サウジ戦直前にやったオマーンとのテストマッチでも、原口選手が初めからヘトヘトの状態でピッチに入ってきて、「何かがおかしい」とは思っていました。

当時原口選手はW杯予選3試合連続ゴール中で、ハリルジャパンの事実上のエースFWだった時期です。今月のシリアとのテストマッチ時においては、調子が下降ぎみだった原口選手に代わり、予選2試合連続ゴール中の久保選手が、エースFWになっていました。

エースFWに強い期待をかけるあまり、ハリル監督がハードな練習をやらせすぎて、本番の試合で使いものにならない状態にしてしまったのではないでしょうか。

もしそれが事実だとしたら、ハリル監督には科学的かつ効果的なトレーニングを実施するための知識が欠けています。

当研究所だって、本当はハリル監督の良いところをほめる記事を書きたいのですが、サッカー監督としての能力を疑うようなところばかりが目についてしまいます。

さらに、シリア戦前後の記者会見で「戦術トレーニングをやる時間が1日しかなかった」「オートマティズム(選手の連動性)を高める時間が少なすぎる」と言っていましたが、日本代表監督に就任してから2年もの時間がありましたよね。

代表チームはW杯の開催サイクルに合わせて4年スパンで強化が行われますが、実際に活動できる日数はそれほど多くありません。

ですから、W杯の開幕ゲームから逆算して長期計画を立てて、攻守両面での組織力やオートマティズムを高めるトレーニングをやったり、若手に実戦経験を積ませたりして育成していくのが、プロの代表監督としての仕事なのです。

ハリル氏の場合、2次予選から目先の試合に勝つことだけを考えて、過去の実績を持つベテラン偏重の選手起用をしたり、中盤でパスをつないで失点することを恐れ、リードしたらひたすらロングボールを放り込む「タテポンサッカー」をやってきたから、W杯開幕が1年後に迫っているにもかかわらず、オートマティズムの欠如に大慌てしているのです。

8月31日になって「夏休みの宿題がぜんぜん終わっていない」と騒ぎ始める小学生じゃないんですから。


当ブログ過去記事・二手三手先を考えてサッカーをするということ(その1)) 

当ブログ過去記事・二手三手先を考えてサッカーをするということ(その2)) 


ハリル監督は毎度毎度ハッタリで、「私には最低2つ以上のタクティクス(戦術)がある」と言うのですが、フォーメーションや先発メンバーを大きく変えることはあっても、攻撃では「タテポンサッカー」しか見たことがありません。

本大会まで監督をやるつもりなら今からでも遅くはないので、オートマティズムを高めるようなトレーニングを開始するべきです。

代表選手たちも、監督の指示を鵜呑みにするんじゃなくて、ゲーム中に自分たちの頭で考えて戦術を選択できるようになることを強く求めます。

このイラク戦も、日本が前半8分に先制したあと、自陣に引いて「タテポンサッカー」をやり始めたらイラクに押し込まれて防戦一方になったのですから、「無失点で抑えていればOK」じゃなくて、イラクの攻勢をしのいだあと、先制ゴールをあげたときと同じようにバックラインを押し上げてパスサッカーで追加点を狙わないと。

ともかくハリルジャパンの最大の弱点は監督でしょうね。

 37℃の酷暑の中で、現地時間17時キックオフというのも強い疑問が残りました。

試合直前に、停電のおそれが「わずかながら」あるので、日没前のキックオフとなったという報道がありましたが、過去にU-16アジア選手権決勝をナイトゲームでやった実績がある以上、にわかには信じられません。

UAEやカタールのような金満産油国はお金に困っていないので、自分たちがプレーしやすい夜に試合を組みますが、イラク・シリア・ヨルダン・イエメン・アフガニスタンなどのように、金銭的余裕がない中東諸国はジャパン・マネーにつられ、日本国内で高いTV視聴率が見込める夜7~11時(現地時間では昼から夕方)に、日本とのW杯予選試合が組まれることが圧倒的に多いです。

事実、ブラジルW杯アジア最終予選でもイラクとやっていますが、2013年6月にやったイラクホーム扱いの試合は、停電の心配が無い産油国であるカタール開催だったにもかかわらず、現地時間17時30分キックオフだったことを忘れるわけにはいきません。

結局、日本でのTV視聴率を最優先させた結果、37℃という過酷な環境で日本代表選手に試合をさせてケガ人が続出し、ロシアW杯へ行くための勝ち点まで失ってしまったのですから目も当てられません。

これについては当研究所が、この予選が始まる前から警告していました。


当ブログ過去記事・アジア最終予選の組み合わせ決定!) 


この時期のテヘランは寒暖差が激しく、日中は37℃以上の酷暑となりますが、日没後は25℃以下まで気温が下がりグッと過ごしやすくなりますので、キックオフを3時間遅らせるだけでこの試合の結果に大きな違いが出た可能性があります。

もし日本代表がW杯行きを逃せば、我々サポーターが深く失望するのはもちろん、広告代理店もW杯での代表戦中継においてTVコマーシャル枠を販売する機会を喪失することになりますし、テレビ局もスポーツ新聞も売り上げが激減して誰も得をしません。

今でも代表戦中継を取り仕切っているのは電通さんだと思いますが、何が本当の利益なのか良く考えて、中東での代表選キックオフ時間を選んで欲しいです。

特にサッカー選手は生身の人間なのですから、「鬼十則」を押しつけるのはやめて頂きたいです。

 というわけでイラク戦の「外伝」をお届けしてきましたが、日本サッカー協会は、ハリルホジッチ監督続投で行くことを決めたようですね。

現在首位を走っているチームの監督を代える必要がどこにあると言う人もいるようですが、最終予選全10試合が終わった時点での順位が重要なのであって、今の段階で何位だとかはあまり意味がありません。

実際、次に当たるオーストラリアは日本が勝ち点1リードしているものの、最終戦はタイとのホームゲームで勝ち点3が計算できるので、日本戦は引き分けでも良しという考え方もできます。

日本が最終戦で当たるサウジは、日本との試合前にUAEとのアウェー戦を残していますが、もしそのゲームに勝ってしまうと、日本がオーストラリア戦でW杯行きを決められなかった場合、サウジはホームでの最終戦は引き分けでもW杯出場、日本はグループA3位とのプレーオフ行きとなってしまいます。

オーストラリア・サウジ両国が必ず守備を固めて引き分け狙いで来ると決めつけるのは危険ですが、相手が引いてカウンター狙いで来るところを、必ずゴールを奪って勝たなければならない日本が攻めるという展開は、「2試合のうち、どっちかに勝てばいいんだろ」と言うほど、簡単な状況ではありません。

しかも、ひたすらロングボールを放りこむカウンターサッカーしか戦術がないハリルジャパンは、相手に引かれて背後のスペースを消された状態で得点するのが苦手です。

ハリル監督は、スペースがあろうがなかろうが攻撃の選手に「ウラヘ抜けてボールを受けろ」しか言いませんし。


当研究所関連記事・良いカウンターアタックとは) 


だから当研究所はハリル監督を更迭し、引いた相手を崩すためにパスサッカー戦術も使える監督さんが日本代表に必要だと考えたわけです。

当研究所の懸念が外れて、日本代表が無事にW杯へ行けることを願っていますが、協会もメディアもふくめた日本サッカー界全体が、不都合な事実から目をそむけ、「根拠なき楽観論」へ流されているような気がしてなりません。




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