■またしても同じミスを繰り返したハリル監督(その2)

前回のつづき

 選手個々で特筆すべき活躍だったのは、先制ゴールをあげた大迫選手。CKから難しい体勢だったとは思いますが、技ありのバックヘッドでチームがのどから手が出るほど欲しかった先制点をゲット。
 しかし、ポストプレーで懸命に前線で攻撃の基点をつくろうとしていましたが、強風のためボールの落下地点を見極めるのが難しかったのか、それともイラクに研究し尽くされていたのか、意図したように基点がつくれませんでした。
ハリルジャパンは、相手ゴールまでボールを運ぶ唯一の手段が「大迫選手にロングボールを当てたポストプレー」なのですが、相手チームに研究されてそれが封じ込められてしまうと、この試合みたいに点が欲しくてもボールをなかなか相手ゴールまで運べない、だからゴール確率の高いシュートチャンスがつくれないという状況に陥ってしまいます。 「大迫選手へのロングボール」以外のプランBがなければ、次のオーストラリア戦は相当厳しいと思いますが、吉田選手を前線にあげて、彼の頭めがけてロング蹴っている時点でハリル監督のプランBも「終わって」います。
 ポストプレーをするために大きくサイドへ動いたあと味方のボール保持者を見て立ち止まっているだけというシーンも多いので、ウイングやサイドバックに任せるところは任せ、自分は相手センターバックの前を中心としたピッチ中央方向へ速やかに移動して、味方からアシストをもらってシュートできるようなポジショニングを取るべきです。
 
 本田選手は、CKから大迫選手のゴールをナイスアシスト。
先制ゴールをあげるまで右ウイングの彼のところでボールをキープしてタメをつくり、ある程度は攻めで貢献できていました。
 ただ、37℃の酷暑という特殊な条件下で、両チームともスローなサッカーをせざるを得なくなったため、本田選手のスピード不足が問題にならなかったという面があり、夏でも冷涼な気候が予想されるロシアW杯では、速いテンポの高速サッカーが展開されることが見込まれ、本大会を見据えれば本田選手の右ウイングは有効な選択肢ではないと思います。
実際、本田選手はスピードや技術で右サイドをタテに抜くことができず、ほぼ100%カットイン・ドリブルしてくることが確実なのを相手に研究し尽くされており、イラクが相手であっても個の能力で抜けないのですから、W杯で当たる欧州・南米の強豪相手ではなおさらです。 ACミランでの3シーズン半ですでに答えは出ており、彼は絶対にそれを認めないでしょうから、指導者が決断しないと。 どうしても彼を起用したいならシリアとのテストマッチで機能したセントラルMF(インサイドハーフ・ボランチ)に置くべき。
 後半ロスタイムに相手ゴール前でフリーでシュートしたシーンがありましたが、シリア戦でも指摘したように、シュート直前に相手GKをチラッと見て、GKの真正面にシュートを打ってしまうのは、岡崎選手と同様に「北京世代」の特徴なのですが、原因を早く分析・修正してゴール決定力を上げて欲しいです。

 原口選手はトップ下として運動量豊富に動き、味方の攻撃を助けていました。
彼は「熱いハート」が長所ですが、シュートやアシストなど得点チャンス時にマイナスに働いてしまい、全身に無駄な力が入って、シュートが大きくゴールから外れてしまったり、スルーパスが強すぎて味方が追いつけず、ボールがそのままゴールラインを割ってしまったりしています。十分わかっていると思いますが、ワールドクラスのプレーヤーになるためには、どんな時でも正確なシュートやパスができるように、自分のメンタルをコントロールする方法を覚える必要があります。

 遠藤選手は豊富な運動量で主に守備面でがんばっていました。
しかし相手と一対一でボールを競り合ったとき、あまりにも簡単につぶれてしまうケースがあり、もしレフェリーがファールを取ってくれなかった場合、失点につながりかねないピンチになってしまう可能性があります。

 逆に吉田選手は痛恨の判断ミスから失点の原因に。
たとえCKになったとしてもクリアしておけば何でもないところを、相手選手を自分の体でブロックして味方GKに取らせようとしたら、ボールが止まりそうになって川島選手と交錯、こぼれたボールを相手にゴールへプッシュされるという極めて消極的なプレーが痛い失点につながってしまいました。 当研究所がいつも言っているように「サッカーは、弱気で消極的な選手・チームが罰をうけるスポーツ」であるとつくづく思います。

 昌子選手もまずまずの出来でしたが、やはり自分の体で相手選手をブロックして、相手が蹴ったボールをゴールラインの外へ出して、味方のゴールキックにしようとする消極的なプレーが目立ちましたが、これも一歩間違うと後ろにいる相手にボールを奪われ、そのままゴールへ向かってドリブルされて失点しかねない危険なプレーです。ボールの勢いが強ければ、そのまま出しても構いませんが、弱い時はセーフティにタッチラインの外へ蹴った方がリスクは低いです。
「1点を取ったらそれを守り切って勝ちたい」というハリル監督の弱気で消極的なサッカーに対する考え方が、吉田・昌子の両センターバックに伝染してしまった感じです。

 交代出場の倉田選手は、先発組が体力面でキツイ中、再びリードを奪うために攻撃の中心となることが期待されました。
しかし、チームがロングボールをひたすら前線へ放り込んでいたこともありましたがほとんど機能せず、失望させられるような出来でした。

        ☆        ☆        ☆

 相手との実力差を考えれば、何としても勝ち点3が欲しかったイラク戦ですが、引き分けという結果は残念でしたし、試合内容も最悪だったと思います。

その原因のほとんどはハリルホジッチ監督の采配ミスにあり、選手たちが希望していたパスサッカーで先制ゴールをあげたところまでは良かったのですが、その後はハリル監督の指示どおり、1点を守り切るため自陣深くへ引いて、あとはひたすら前線へロングボールを放り込む「タテに速いサッカー」をやり、わざわざ自分たちから相手にゲームの主導権を渡し、相手の攻めに最後まで守り切れず、痛い勝ち点2を落してしまいました。

これはホームでのイラク戦やアウェーでのオーストラリア戦とまったく同じ采配ミスだということは、前回記事で述べた通りです。

先発メンバーの顔ぶれや交代出場選手のチョイスも疑問だらけであり、それも引き分けに終わってしまった大きな要因です。

対戦相手の強弱やピッチ内の状況に関係なく、ロングボールをひたすら前へ放り込む「タテに速い攻撃」と、マークの受け渡しはしているようですがほぼマンマークに近い守備「デュエル」という、20年以上前のカビが生えたような古臭い戦術しか使えず、選手のプレーの特徴や長所短所・選手間の優劣を正確に見抜いて、適材適所のポジションで起用するということもできないハリル監督。

唯一彼が優れている点は、自分を本当の実力以上に大きく見せる弁舌能力で、日本サッカー協会(JFA)の幹部も選手もそれにだまされてしまっているのではないでしょうか。

「だまされている」という言葉が悪ければ、過大評価しすぎていると言い直してもいいです。

ハリル監督は、代表選手の招集発表記者会見のとき、いつも大演説をぶつのですが、話は長いですけど中身は大したこと言っていません。

欧州サッカーのデータをしばしば引用するところを評価する人もいるようですが、「体脂肪率が何%以下でないとダメ」だとか「欧州のトップGKは身長190㎝以上」だとか、それだけなら日本の中学生だって言えますし、そもそもそんなデータにあまり意味はありません。

欧州各国リーグでやっている日本代表選手たちも、自分が所属するクラブの監督さんの指導法と比較してみてどうでしょうか。ハリル監督が練習中に出す指示内容やトレーニングメニューも、大したことないんじゃないですか。

代表の各選手に匿名でアンケートを取り、ハリル監督の練習内容や指示についてどう思うか、協会で調べてみたらどうでしょうか。

日本代表OBでハリルジャパンの試合映像を検証し、あんな内容のサッカーでW杯へ本当に行けるのか、徹底的に議論した方が良いです。

 ハリルさんが日本代表監督になった直後、彼の半生記を読んだのですが、カウンターサッカーでフランス2部のリールを1部にあげて、翌シーズン3位になるのですが、それが認められてパリサンジェルマン(PSG)の監督になったものの成功できませんでした。

PSGは優勝を義務づけられたリーグアンのビッグクラブですから、他のクラブが自陣に引いてカウンターを狙ってくるところを、ポゼッションサッカーで崩して勝ち点を取らなければなりません。

しかしカウンターサッカーしか手持ちの戦術がないハリル監督は相手の守備を崩せず、PSGを解任されたのではないでしょうか。何だか今の日本代表に通じるような話ですが、彼の実績らしい実績と言えばこれだけです。当時リーグアンは、スペイン・ドイツ・イングランド・イタリアの欧州四大リーグよりワンランク落ちるリーグだったことも付け加えておきます。フランス人選手は四大リーグでプレーすることによって「レ・ブルー」(フランス代表)を強くしていったのです。

彼はアルジェリア代表でブラジルW杯ベスト16という成績を残してはいますが、日本代表でやっている彼のサッカーの内容を見る限り、それはアルジェリアの選手個々の能力が高かったおかげじゃないでしょうか。もし本当に優秀な監督であったのなら、どうしてアルジェリア協会はハリル監督との契約を延長せず、W杯のあと簡単に手放してしまったのでしょうか。

当研究所は常に、やっているサッカーの中身で監督や選手・チームを評価します。


基礎が大切


「サッカーの基礎から応用までのピラミッド」に基づき、ハリル監督がこれまで2年間、日本代表でやってきたサッカーの内容から判断して、このまま続けていっても、日本サッカー界にとってプラスになる要素は少ないと思われ、大変残念ですがこのタイミングで彼を解任すべきだと考えます。

後任は手倉森コーチを暫定監督にし、W杯出場権を獲得出来たら、テグさんを含め改めて内外からもっとも適任の人を代表監督に招聘したらどうでしょうか。

リオ五輪での采配を見る限り、あともう一息で結果がついてきませんでしたが、カウンターサッカーとパスサッカーの使い分けが出来ていた点や、コンパクトな陣形によるゾーンディフェンスを構築できていた点は評価しています。

私見ですが、このままハリル監督がタテポンサッカーを続けるのであればW杯出場の可能性は30%、選手選考と戦術の選択を間違えず、これから2か月の時間を使ってしっかりチーム組織を整備するという条件つきで、手倉森監督なら60~70%と見ます。

次のオーストラリア戦をシミュレーションするなら、大迫選手への浮き球のロングボールは身長が高くフィジカルの強い相手に跳ね返されて日本はシュートチャンスをほとんどつくれず、セットプレーやゴール前での混戦から相手に力づくでボールを押し込まれて失点、最後まで同点に追いつくことはできず痛恨の敗戦といったところでしょうか。

もしオーストラリア戦で最悪の結果となった場合、ハリル監督を解任して新監督にチームを託したとしても、たった2~3日で新しい戦術を選手に教え込み、自信と積極性を失ってしまったチームを立て直して、何が起こるかわからない酷暑のサウジアラビアに乗り込んでW杯出場権を獲得するというのは、より困難なミッションとなります。

だから監督を解任するのは今のタイミングしかないと考えるわけです。協会のほうで次の代表監督にふさわしいと評価する別の人物を用意しているのであれば、その方でも良いでしょう。

 報道によれば、日本サッカー協会の田嶋会長は「ハリル続投」という判断を下したようですが、それならば、もしハリル監督でW杯に行けなかった場合に、会長の責任問題となることは避けられません。

「会長の仕事は代表監督の人事だけではない」という言い訳は通用しませんし、ハリル監督で本当にW杯へ行けるというポジティブな理由と確信をお持ちなら、これ以上申し上げることはありませんが、「もし今ハリルを代えて失敗したら怖いから」という消極的な理由で続投を選ぶのであれば、良い結果が得られる可能性は低いと思います。

シャープや東芝のように、優秀な従業員も技術も持っていながら、リーダーの誤った判断でダメになっていく日本企業が増えています。

「液晶一本足打法」のシャープの場合、液晶テレビ製造というビジネスが儲からなくなり、赤字を垂れ流して銀行からの借金ばかりが増えているのに、自分たちが長年やってきたビジネスモデルを変えて失敗するのが怖くて厳しい現実から目をそむけ、いつまでも「現状維持」を選択し続け、グズグズしているうちに気づいたらもう取り返しのつかない状態になって事実上の倒産・外資による買収という結末になってしまいました。

欧米やアジア企業の場合、チャンスと見たら積極果敢に新しいビジネスや商品の開発に乗り出しますし、この先成功する見込みがないと判断したら、スピーディにその事業から撤退して損失を限定するのも速く、どのビジネスが成功する確率が高いのかを見極める判断力に優れた人がリーダーになるような企業風土を持っているところが多いです。

日本サッカー協会はどうでしょうか?

つづく


◇    ◇     ◇     ◇     ◇     ◇    ◇

  2017.6.13 ワルジシュガー・シャヒード・ダストゲルディ
                             (テヘラン)

          イラク 1 - 1 日本


          カミル 78'       大迫 8'


        GK カッシド       GK 川島

        DF アドナン       DF 酒井宏
           スラカ          (酒井高 76)
           イブラヒム         吉田
           サリム           昌子
                          長友
        MF ヌーリ
          (アットワン 70)   MF 遠藤
           アブドルアミル      井手口
           カミル           (今野 62)
          (ラサン 76)        原口 
           アブドルザフラ     (倉田 70)
           ヤシン
          (タリク 59)      FW 本田
                           大迫
        FW アブドルラヒム       久保



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