■またしても同じミスを繰り返したハリル監督

 昨日、W杯アジア3次予選のイラクVS日本戦が中立地であるイランのテヘランで行われ、1-1で日本は引き分けてしまいました。(イラク国内がほぼ内戦状態のため)

対戦相手のイラクは、国内組の選手を中心にイタリアやUAE・サウジ等でプレーする海外組を合わせたチーム。日本との実力差は、ホームでもアウェーでも日本が勝たなければいけないレベルの相手と見ていました。

当然、中立地開催であれば絶対に勝ち点3を取らなければいけないゲームだったのですが、引き分けという結果に終わってしまったことは大変残念でした。

試合内容も最悪だったと思います。

        ☆        ☆        ☆

 それではこの試合のゲーム内容を分析していきますが、ハリルホジッチ監督は、昨年10月にホームでやったイラク戦とまったく同じ失敗を繰り返してしまいましたね。

日本は、たちあがりから各選手がうまく連動したパスサッカーでゲームを支配。前半8分にCKから大迫選手のゴールで先制点をあげたところまでは非常に良かったです。

まとまった陣形を保ったまま選手同士が適切な距離を保ってサポートし合うパスサッカーは、自陣と敵陣の間を長い距離走って往復する必要性が少なくなるため、あのような気候に適した攻撃戦術と言えます。

ここまで非常にうまくいっていたのですから、イラクに攻められる時間帯はあってもそのままパスサッカーで行って、2点目3点目を取ってこのゲームの結果を確定してしまえば良かったのです。

ところが毎度毎度のことながら、ここからが大問題。

1点を守ろうという意識が強すぎる日本は、急に守備ブロックを自陣深くに下げてしまい、パスサッカーのイラクにゲームの主導権を握られます。

攻撃は先制ゴールをあげるまでとはガラっと変わって、バックからひたすら浮き球のロングボールを前線の大迫選手へ放り込む、いつものタテポンサッカーへ。

しかし、大迫選手のポストプレーは相手にすでに研究し尽くされているようで、ほとんど前線で基点をつくれませんでしたし、ロングボールを蹴ったあと自陣から長い距離を走らなければならない味方の押し上げがどうしても遅れるので大迫選手も孤立して、追加点をゲットできるようなチャンスはほとんどつくれなくなっていきます。

相手ボールになったらなったで、今度は押し上げた選手が自陣へ向って長い距離を走って戻らなければならないので、気温37℃以上の酷暑の中でこのような戦術を選手にやらせるのは「愚か」の一言。

後半は、いったんイラクの攻勢が止まり、日本も何度か攻撃できるようになりますが攻めに厚みを欠き、追加点は奪えません。

そうこうしているうちに、バックとGKとの連携ミスから同点ゴールを許してしまいます。

ここまで、グラウンダーのパスを使ったコレクティブ・カウンターから先制点をあげたあと、1点を守ろうとする弱気なハリル監督の指示で、ロングボールをひたすら前線へ放り込むタテポンサッカーへ戦術を変更して、まったくシュートチャンスをつくれなくなり、後半に同点ゴールを許したホームのイラク戦とほとんど同じ展開。

違ったのは、試合終了間際にハリル監督の采配ミスを帳消しにしてくれる山口選手のミラクルゴールがなかったことだけ。

だからこの試合の前に、口を酸っぱくして言ったのです。

1点を守ろうとして中盤を省略したタテポンをやると、相手の攻撃を押し返して追加点をあげるための攻め手がなくなり、専守防衛の守備陣もついに耐え切れず、ホームでのイラク戦やアウェーのオーストラリア戦みたいに自滅するよと。


当ブログ過去記事・イラク戦をどう戦うべきか?


事前の報道では、あくまでもタテポンサッカーをやらせたいハリル監督と、40℃近い環境でそれは無茶なので、ある程度ボールをポゼッションして相手を走らせることで自分たちの体力を温存したい選手側とで意見が食い違い、長い時間ミーティングが行われたそうですが、先制ゴールをあげるまでは選手側がやりたい戦術でいって、1点取ったあとはハリル監督の言うとおりにタテポンをやって、どうしても欲しかった勝ち点2を失ってしまったということじゃないでしょうか。

もしそうならハリル監督は、またしても采配ミスで選手たちの足を引っ張ったことになります。

ホームのイラク戦・アウェーのオーストラリア戦・そしてこの試合と何度同じミスを繰り返せば、学習するのでしょうか。

ハリル監督は、サッカーIQが低すぎます。

 監督の弱気なメンタリティが日本の各選手たちのプレーにも影響を与えていたように見え、クリアしておけば何でもないところを、CKから失点したくないという気持ちが強すぎたのでしょう、敵選手を自分の体でブロックして味方GKにボールをキャッチさせようとしたDFのプレーが致命的な失点につながってしまいました。

こういうプレー一つとっても、監督のサッカーに対する思想・哲学が反映されるものです。

1点を取ったらそれを守り切ってゲームを終えたいという、ハリル監督の消極的で弱気すぎる考え方は「勝者のメンタリティ」とは言えず、実際、勝利という結果につながっていません。

 また2次予選の段階からずっと指摘しているように、ハリル監督は選手の特徴や長所短所・選手間の優劣を正確に見抜いて、適材適所のポジションで起用するということができません。

 



                大迫           

      久保                  本田

                原口     
                 

             遠藤    井手口  
                  

      長友     昌子    吉田    酒井宏
    

                 川島



上記が、この試合の先発メンバー&フォーメーションです。

シリア戦後にハリル監督が「すべてが間違っていた」とコメントしていたので、「えっ、攻めの形がまったくつくれなかった前半戦と改善された後半戦との違いがわからなかったの?」と、私は嫌な予感がしていたのですが、良い攻撃の形をつくれていたシリア戦の後半のシステムをそのまま持ってこずに、ぶっつけ本番でこのようなスタメンにしたことについてはひとまず脇に置いておきます。

それにしても、2次予選の初戦でシンガポールと引き分けたときから、敗戦でのスタートとなった3次予選開幕のUAE戦、そしてもう少しで致命的な引き分けとなるところだったホームでのイラク戦で、さんざん機能しなかったにもかかわらず、性懲りもなくこの試合で右ウイングに本田選手を持ってくるハリル監督は学習能力というものが無いのでしょうか?

前述のように、キックオフからパスサッカーで攻めていたときは、本田選手のところでボールをキープしてタメをつくり、ある程度は攻めで貢献できていました。

しかし1点リードしたあとは、チームがタテポンサッカーになったこともあって、ほとんど機能せず。

本田選手はスピードや技術で右サイドをタテに抜くことができず、ほぼ100%カットイン・ドリブルしてくることが確実なのを相手に研究し尽くされており、イラクは2人がかりでインサイドを切ってきて、真横にドリブルしながらアバウトにあげるクロスはすべてはね返され、精度の低いシュートも決まらず。

さらにハリル監督は、自分が送り出した選手がピッチ内で異常な動きをしていても気づくことができません。

昨年11月にホームでやったサウジ戦で、前半5分に久保選手が足を痛め、強いボールをほとんど蹴ることができなくなったにもかかわらず、後半ロスタイムまで気づかずにプレーさせてしまうということがありましたが、この試合の後半でも足を痛めてしまった久保選手、そして酒井宏両選手にもっと早く気づき、交代させることはできなかったのでしょうか。

実際のゲームでは、後半17分に脳震とうを起こした井手口選手に変えて今野選手を投入し、25分にまだ動けていた原口選手に変えて倉田選手を入れたのですが、その直後に失点。

勝ち点3を取らなければならない日本は最低でもあと1ゴール必要になったのですが、そのタイミングで酒井宏選手が動けなくなってしまいます。

そこでハリル監督は、酒井高選手を代わりに投入したのですが、この采配はあり得ませんでした。どう考えてももう1点取りに行く選手起用ではありません。

もし私が監督だったら乾選手を入れて左ウイングとし、足を痛めてほとんど動けない久保選手はトップ下でボールのつなぎ役に徹してもらい、倉田・遠藤のダブルボランチにして、酒井宏選手が抜けた右サイドバック(右SB)には今野選手をもってきます。

これなら乾選手中心にもう1ゴール狙って十分攻撃できる布陣ですし、酒井宏選手が抜けた守備の穴も本職がセンターバックの今野選手で埋められるはずです。(下図)



                大迫           

      乾                  本田

                久保     
                 

             倉田    遠藤      
                  

      長友     昌子    吉田    今野    

                
                川島




過去記事をサルベージするのが面倒なのであえてやりませんが、これまで何度も指摘したように、ハリル監督は、代表各選手のプレーの特徴・長所短所・選手間の優劣を正確に見極めるということができないので、突然のアクシデントに見舞われたときに、臨機応変に選手を起用してピンチを乗り切るということもできません。

「右SBのポジションを争うのは酒井宏と酒井高。だから宏樹がダメなら高徳」という脳ミソがカチコチに硬直した発想しかできないのでしょう。

やはりハリル監督は、サッカーIQが低すぎます。

 この試合の会場となったダストゲルディスタジアムの芝の状態が心配だと盛んに報道されていましたが、上記の「イラク戦をどう戦うべきか?」で述べたとおり、ほとんど問題ありませんでした。

にもかかわらず、荒れたピッチ対策でひたすら浮き球のロングボール攻撃をやり続け、攻撃でパスを出せる選手ではなく、遠藤・井手口・倉田ら守備に強い選手ばかりをピッチに送り出したのだとしたら、いったいどこを見てサッカーをやっていたのかと言わざるを得ません。

「イラク戦は勝ち点3を取らなければいけない試合だ」ということを監督はちゃんと理解できていたのでしょうか。

ロングボールを前線へ放り込むタテポンサッカー(いわゆるタテに速い攻撃)とマンマークディフェンス(デュエル)という、20年前のカビが生えたような古臭いたった一つの戦術を、気温40℃近い酷暑の中だろうが、タイやイラクのように相手が自分たちより格下だろうが、前の試合と同じ失敗を何度も何度も繰り返そうが、ただひたすらやり続けることしかできないハリル監督。

「この選手はこのポジションで」「芝が悪いからロングボール攻撃しかできない」などと、一度思い込んだらどんなに自分のチームが上手くいっていなくても軌道修正することができず、頑迷に同じことを繰り返すことしかできないおじいちゃん、というのがハリル監督に対する評価です。

同じボスニア人でも、戦術の引き出しがいくつもあって、上手くいかなければ臨機応変に修正し、数学者のように論理的なチーム作りをしていたオシム前監督とは、似ても似つかないタイプの監督さんです。

90年代初めのヨハン・オフト時代から、歴代代表監督をずっと見てきましたが、 プロサッカー監督としての能力は最低クラスのように思われます。

実際にやっているサッカーの内容からして、J1下位からJ2レベルぐらいではないでしょうか。

 「最低限のノルマである勝ち点1を取ってW杯出場に王手をかけたのだから、次のオーストラリア戦に勝てば良いじゃないか」と考える人もいるでしょうが、オーストラリアより弱いイラクに勝てなかったのですから、いくらホームとは言え、8月のオーストラリア戦に勝つのは現状では相当厳しいと思います。

今のハリルジャパンには、「ゴールを奪うための明確な攻撃の形」というものが皆無であり、イラクより格段に守備力の高いオーストラリアから点を取るのは非常に困難です。点が取れなければ試合に勝てません。

サッカーというスポーツは、技術や身体能力のほかに「選手の自信や積極性」というものが勝敗を大きく分けます。

もしオーストラリアに勝てずに自信を失った状態でアウェーのサウジ戦を迎えれば、予想もしなかった最悪の結果もあり得ます。

残念ですが、ここでハリルホジッチ監督を解任し、新しい監督のもと、残り2か月の貴重な時間を使って新しい戦術を選手たちに授け、万全の態勢でオーストラリア戦を勝ちに行くべきです。

 選手個々の評価は次回とします。

つづく




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■コメント

■検索からとんできました。 [いちサッカー経験者]

鋭い考察と素晴らしい分析、日本サッカーに対する熱い気持ち、お人柄が伝わってくる凄く読みやすい文章ですね。

本当に先日の試合には、がっかりさせられました。書きたいことは沢山ありますが、これからも更新楽しみにしています。
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