■シリアとのテストマッチ、課題と収穫

 昨日、日本代表はシリアとのテストマッチを行い、1-1で引き分けました。

シリア代表は、イラク・ヨルダン・中国などでプレーする海外組に国内リーグに所属する選手をあわせたチームで、日本との実力差はホームで日本の勝利、アウェーで引き分け程度と見ていました。

ホームでドローという結果は残念だったのですが、これはあくまでもテストマッチであり、決して良いこととは言えませんが、私はあまり悲観していません。

試合内容は、日本の方に課題がたくさん出たように思いますが、収穫もありました。

        ☆        ☆        ☆

 日本代表の先発メンバーは以下のようなものでした。

 

                大迫           

      原口                  久保

            香川      今野     
           (倉田)        

                 山口  
                  

      長友     昌子    吉田    酒井宏
    

                 川島



 シリアは、立ち上がりからフィジカルコンタクトの強さを生かしてガチガチ体をぶつけながら厳しくプレスをかけてきたので、仮想イラクとして非常に良いトレーニングになったように思いますが、日本は攻めで苦しみましたね。

シリアは日本をちゃんと研究して試合に臨んでくれたようで、大迫・久保両選手がポストプレーをやろうとすると、すぐさま2~3人の選手で取り囲み、前線で基点をつくったり味方にボールを落したりするプレーを徹底的につぶしにきました。

そうしたこともあって、日本は中盤でグラウンダーのパスを中心に、攻撃を組み立てようとしたのですが、選手同士のコンビネーション不足で良いパスがつながらず、前半はほとんどシュートチャンスをつくれませんでした。

これまでハリルジャパンが、浮き球のロングボールを多用したクォリティの低いサッカーをやってきた弊害がはっきりと表れた試合でした。

スタメンのMF陣を見れば、中盤でゲームをつくれそうなのが香川選手ぐらいしかいないのに、開始10分で負傷退場してしまったのは非常に痛かったですね。

代役の倉田選手に期待がかけられましたが、山口・今野両選手がボールを持ってパスコースを探していても、2人から遠すぎるポジションで立ち止まっていることが多かったです。それでは中盤で攻撃を組み立ててパスを3トップに供給することはできません。

そうではなくて、例えば右インサイドハーフの今野選手がバックからパスを受けるために下がり、バックから出たパスが今野選手に向って転がっている間に、倉田選手は次の展開を読んでピッチのやや右に寄り、今野選手の5~7mナナメ前方のグラウンダーのパスが受けられるポジションでサポートしてやり、前を向いた今野選手がダイレクトもしくはワントラップした後タイミング良くパスを出して、今度は倉田選手に向ってボールが転がっている間に、彼をサポートするために久保・大迫の両選手がグラウンダーのパスが受けられるバイタルエリアのポジションに移動、2人のFWのどちらかが倉田選手からのパスを相手4バックの前で受け、DFラインのウラヘ抜けるもう1人のFWのためにスルーパスを出したり、あるいは直接DFラインのウラヘ走りこんで倉田選手からのスルーパスもらってゴールを決めるような、何手先ものプレーを読んだ11人のプレーヤーによる連動性が欲しいのです。

相手の守備陣形を見た瞬間、どのルートを通してボールをバイタルエリアまで運び、最終的にDFラインのウラへ走りこむ味方にパスを通して相手GKとの一対一の形をつくるのか、日本代表の11人が同じピクチャーを頭の中で描くことができるような、共通理解にもとづく連動性です。

こうしたことが自然にできるように、これからも継続して練習していくことです。

ただ、ハリル監督が送り出したMF3人(香川選手を除く)では守備的過ぎて、それをやるにはちょっと荷が重かったかもしれません。

 前半戦で攻撃の形がほとんどつくれなかったことに業を煮やしたハリル監督は、後半からメンバーをガラっと変えました。

後半18分以降のメンバーを見てください。


 
                大迫           

      乾                    浅野

            倉田      本田     
                  

                井手口  
                  

      長友     昌子    吉田    酒井宏
    

                 川島


 後半キックオフから本田選手を右ウイングに入れたのですが、やはり機能せず。

しかし、後半14分に左ウイングに乾選手を入れ、18分に右ウイングに浅野選手を投入して、右ウイングの本田選手を右インサイドハーフにもってきたことで、がぜん日本の攻撃が良くなります。

特に、足元の技術がある乾選手のところで攻撃の基点がつくれるようになり、彼は個の能力でマッチアップしている相手をはがしサイドを崩してシュートやチャンスメークができるので、それが大きかったですね。

やはり「ウイングプレーヤー」というものはこうでなくちゃいけません。

本田選手も、片側をタッチラインで限定されることなくピッチを180°広く使うことができるインサイドハーフのポジションから、攻めで良いパスを何本か出していました。フィジカルコンタクトの強さを生かして相手からボールを奪い返すシーンもありましたね。

私は、もう2年前から「本田選手をボランチにコンバートすべき」と提唱してきたわけですが、今の本田選手には、ボランチやインサイドハーフのようなポジションしか代表で生き残るチャンスはないということが再確認されたと思います。

ただACミランで控え選手としてほぼ1年間ベンチ生活をしていたことが原因と思われる、動きのキレや実戦勘が鈍っていることも感じましたね。

 後半のメンバーで良い攻撃ができたことで、イラク戦に向けて希望が出てきたのですが、相手バックラインを攻略してゴールを奪うための「攻撃の最終ステージ」のところで、日本代表のいつもの悪いクセがまたしても顔を出してくることになりました。それは以下の3点。

(1)3人のFWを中心に、相手DFのウラヘ走りこむタイミングが早すぎ

(2)相手4バックの前のスペースに人が多すぎ

(3)味方のボールホルダーに近づきすぎ

まず(1)についてですが、味方が相手ボランチの前やサイドのスペースでボールを持って前を向くと、こちらのFW全員が一斉にワンパターンの動きで相手のウラヘ走りこんでしまうので、相手4バックもつられてズルズル後ろに下がり、ウラのスペースがどんどん狭くなっていきました。こうなると相手のウラでスルーパスを受けるのが難しくなって逆にゴールから遠ざかってしまうことになります。

スルーパスを受けるためにDFラインのウラヘ走りこむのは、味方が相手4バックの前のスペースでボールを受けて前を向いたタイミングです。焦らなくてもそのタイミングで十分間に合います。

また相手ボランチの前やサイドのスペースで味方がボールを持って前を向いたら、少なくともFWの1人は相手4バックの前のスペースでその味方からパスを受ける動きをすること。

相手4バックの前のスペースでFWなりMFなりがパスを受けて前を向くことができれば、相手DFは必ず大慌てでプレスをかけてきます。そうなると相手のバックラインはジグザグ状態になり、別の味方がオフサイドにならずに相手バックのウラのスペースでスルーパスを受けやすくなるのです。

そのタイミングでDFラインのウラ5mでボールの転がりが弱まるようにポンとパスを出してやれば、味方と相手GKが一対一という形をつくりやすくなります。後はそれを決めるだけ。

日本のFWなりMFなりが相手4バックの前のスペースで味方からパスを受ける前にまわりをよく見ておき、誰がDFラインのウラヘ抜けてゴールを決める役目をするのか確認して、パスをもらって前を向いてから誰に出すか慌てふためかないように準備しておきます。

誰がバックの前で基点をつくってスルーパスを出すのか、誰がウラヘ抜けてボールをもらいゴールを決めるのか役割分担が出来ていないから、ボールをポゼッションする時間が長いばかりでゴールが決まらないのです。そうした役割分担を3人のFW+インサイドハーフ等がゲーム中の局面ごとにアイコンタクトするだけで「感じ合って」できるようにしておくこと。

もともと日本人は仲間が何を考えているのか、その「空気」を読むのが大得意のはずでしょう?

(2)に関しても(1)と同様、得点を焦るあまりゴール前へ走りこむタイミングが早すぎるということです。相手4バックの前のスペースに4人も5人もの味方がひしめいていると、相手選手まで引っ張ってきて攻撃で使いたいスペースをつぶしてしまい、自分たちで相手ゴール前に「2階建てバスを置く」ような状態をつくってしまうことになります。

乾選手がシュートしたら、相手DFじゃなくて味方の選手がナイスクリアしてしまうという場面がありましたが、人がウジャウジャ多すぎるからそうなってしまうのです。

よって相手バックの前のスペースに侵入する味方は多くても3人で十分。

3次予選の開幕戦となったUAEとの試合ほど極端ではなかったのですが、それと良く似たスペースの使い方のミスがこの試合でも見られました。(下図)

バランスが悪い


何度も何度も言いますが、理想的なスペースの使い方はこうです。(下図)


バランスが良い


(3)も、味方のボール保持者に対してわずか1~2mの距離でパスをもらおうとする選手が少なくないのですが、やはり多くの敵選手を狭いスペースへ引っ張ってきてしまい、かえって攻撃しづらくなっています。

日本の選手が狭いスペースでゴチャゴチャとくっついているので、相手の選手1人で日本の選手2人をマークできるようなマズイ状況をつくり出してしまっています。

スイッチプレーのような例外は除き、ボール保持者に対し3m以内に接近するのは極力避けること。5~7mの距離かつグラウンダーのパスを受けられるスペースにポジショニングすることでサポートすれば十分。ピッチを広く使うことで相手も守りにくくなります。

 守備に関しては、失点シーンは個人的なミスが原因でしたが、相手のボール保持者に誰もプレスに行かず、全員がズルズル下がるだけというシーンが見られ、コンパクトな守備ブロックからどういう決まり事でもってプレスをかけて相手からボールを奪い返すのか、もう一度再確認した方が良いです。

ボールを奪いに行って相手に簡単にかわされてしまうシーンも見られましたが、敵ボール保持者に対しての応対の仕方は、失点リスクが高いピッチ中央方向を切ってサイド方向へ追い込むようにしたり、相手の効き足側を切ってボール扱いが苦手な足の方向へ追い込むなどして、「いける」と思ったタイミングでボールを奪いに行きます。

当ブログ関連記事・手倉森ジャパンのリオ五輪・総括(その3)

そして1人がボールを奪いに行ったら、もう1人がカバーのポジショニングを取り、もし1人目が抜かれたとしても、ドリブルで抜きにかかった相手がボールを体から大きく離したりバランスを崩したタイミングで2人目がカットする「チャレンジ&カバー」も欠かせません。

シリアのフィジカルの強さにも手を焼きましたが、フィジカル争いの勝ち方は以前書いたとおりです。

当ブログ過去記事・おめでとう手倉森ジャパン

 選手個々の評価は次回にしましょう。

つづく


サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。



  

■コメント

■コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

 



管理人多忙につき、マメにレスを差し上げられません。
ゴメンナサイ。
もちろん、すべてのコメントは拝見させていただきますが、サイトポリシーに違反したものは、予告なく削除します。
悪しからずご諒承ください。

プロフィール

スパルタク

  • Author:スパルタク
  • FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ






   

ブログ内検索