■イラク戦をどう戦うべきか?

 今月13日に迫ったイラクとのW杯予選。日本代表はどう戦うべきなのか、今回はそれについて考察していきます。

まず日本が所属する予選グループBの現在の状況なんですが、W杯出場権争いは日本・サウジ・オーストラリアの3ヵ国に絞られた格好です。

よって今度のイラク戦は何としても勝ち点3が欲しいですし、そうでなければ、せっかくアウェーのUAE戦に勝った苦労が水の泡になってしまいます。この予選でイラクは、テヘランにオーストラリアを迎えたホーム扱いの一戦を引き分けており、決して油断できない相手です。 

 それではイラクに対してどう戦うべきかですが、昨年10月に埼玉でイラクとやった試合をおさらいしておくと、前半25分に清武選手を中心にグラウンダーのパスを使ったコレクティブ・カウンターから原口選手が先制ゴールをあげたところまでは良かったのですが、その後バックからロングボールを前線へひたすら放り込む攻撃を繰り返すようになり、日本はほとんどシュートチャンスをつくれなくなっていきます。

ハリル監督の守備戦術である“デュエル”も、イラクのショートパスを中心としたパスサッカーにかわされて空回りし、後半はイラクにゲームを支配され、セットプレーから同点弾を許してしまいます。

このまま致命的な引き分けとなってしまうのかと思われたロスタイム、山口選手の奇跡的なミドルが決まって、どうにかこうにか勝ったという試合でした。


当ブログ過去記事・日本代表、イラクに冷や汗の勝利) 


これは、当研究所がこの試合の記事をアップした後の報道で知ったことなのですが、日本が先制点をあげたあと、中盤でのパス回しからボールを奪われて失点することを恐れた弱気なハリル監督が、選手たちに「攻撃する時はロングボールを放り込め」と指示した結果まったく攻め手を失って、イラクにゲームの主導権を握られて、耐え切れずに失点してしまったということらしいです。

ハリル監督は、実は同じような采配ミスを次のアウェーのオーストラリア戦でもやっており、これもその試合の記事をアップした後のサッカーニュースで知ったことなんですが、この試合の日本はいつもの“デュエル”ではなくて、ゾーンディフェンスのコンパクトな守備ブロックから組織的にプレスをかけていって、ボールを奪ったらグラウンダーのパスを中心に、コレクティブカウンターをかけていく戦術がハマって、キックオフから5分で原口選手が先制点をあげるなど、前半は非常に上手くいっていたんです。いじる必要がないくらいに。

ところが後半開始から、またしても1点のリードを守ろうとする弱気なハリル監督が、守備ブロックを自陣深くへ下げ、酒井高選手などへオーストラリアの左サイドの選手にマンマークぎみにつけという指示を出したそうです。

その指示によって、前半はオーストラリアにボールを持たせていた日本が、後半は守備ブロックを下げ過ぎたことによって試合のコントロールを失い、パスサッカーのオーストラリアにガンガンに攻められて最後は右サイドを崩されてPK献上。

もしかしたら勝てていたかもしれない試合をドローにしてしまいました。


当ブログ過去記事・日本代表、オーストラリアと勝ち点1を分ける) 


ハリルホジッチ監督は、ご自分で「負けるのが大嫌い」とおっしゃっていますが、正確には「負けるのを怖がっている」のではないかと思います。

W杯3次予選の前半まで、どんなに不調でも「実績」のあるベテランに偏重した選手起用をしていたこともそうなんですが、臆病なぐらい失敗を恐れているように見えます。

(もちろん論理的に考え抜かれた「勇気ある采配」と、3次予選の開幕ゲームとなったUAEとの試合に守備力の低い大島選手をボランチという誤ったポジションで起用して負けるような「無謀な采配」とはしっかり区別して欲しいのですが)

ザッケローニ前監督も、選手起用がかなり保守的でそこだけは不満だったのですが、彼の場合、圧倒的な強さでW杯アジア予選を勝ち進んでいて、悪いところもないのに無理にいじって調子がおかしくなる恐れもありますから、それもやむを得なかったところはありました。

しかしハリル監督の場合は前半戦を折り返すまで、ベテラン偏重で結果が出ない、有望な若手も出てこず日本サッカーに明るい未来が見えてこないという、それこそ綱渡りの危うさでした。

 そして今度のイラク戦は「ピッチの状態が悪いから浮き球のロングボールを使った攻撃が多くなりそうだ」とハリル監督は言っていますね。

アジアでは最高レベルのピッチを持つ埼玉スタジアムでさえ、中盤でグラウンダーのショートパスを使った攻撃をほとんどせず、浮き球のロングボールを使ったタテポンサッカーしかやらないハリル監督が、そもそも芝のデコボコを気にする必要があるの?というツッコミはひとまず置いておきますが、中盤で変なボールの取られ方をして失点したくないということなのでしょう。

しかしそれではシュートチャンスをほとんどつくれず、あと数秒で致命的な引き分けに終わりそうだったホームのイラク戦と同じ失敗を繰り返しかねません。

香川選手や原口選手が言っているように、浮き球のロングをひたすら放り込むような極端な攻撃のやり方をする必要はありません。

会場となるダストゲルディ・スタジアムで行われたイラクVSオーストラリア戦の映像を見ましたが、両チームとも普通にグラウンダーのパスをつなげていましたし、少なくとも今年3月の時点でピッチの状態にそれほど大きな問題があるようには思えませんでした。

よって、中盤でグラウンダーのパスを使って着実に攻撃をビルドアップしていき、バイタルエリアで質の高いゴールチャンスを多くつくっていくことで、勝ち点3ゲットをめざすべきです。

バックラインを下げすぎず、DF4人・MF4人でゾーンディフェンスのコンパクトな守備ブロックをつくり、そこから組織的にプレスをかけていくような守り方をすべきでしょう。3月のタイ戦のように4-2-4みたいな中盤がスカスカのフォーメーションではいけません。

そのタイ戦ですが、右サイドに張った久保選手へロングボールを当てて攻めの基点をつくり、彼のクロスから香川・岡崎両選手がゴールをあげたところまでは良かったのですが、タイが久保選手をケアするようになると、攻め手をまったく失ってしまいました。

中盤でパスの受け手が「顔出し」の動きをしないので日本は攻撃のビルドアップがまったくできなくなり、バックやボランチは無理矢理グラウンダーのパスを通そうとして3m前にいる相手選手にことごとくボールをぶつけて、タイに逆襲から危ないシュートを雨あられと打たれるという、本当に情けない試合。

これまでロングボールをひたすら前方へ放り込むような、クォリティの低い攻撃戦術をやってきた弊害が如実にあらわれたゲームでした。


当ブログ過去記事・日本代表、不安の残る大勝劇

当ブログ過去記事・日本代表、不安の残る大勝劇(その2)
 

今のハリルジャパンは、「攻撃戦術=久保」あるいは「攻撃戦術=大迫」となってしまっており、そこを相手にケアされるとたちまち攻め手がなくなってしまいます。

こういうレベルの低いサッカーを避けるためには、たとえピッチの状態が少々悪くとも、普段から中盤でグラウンダーのショートパスを使って攻撃をビルドアップしていくことで選手の連動性や組織力を高め、相手の出方によって複数の攻撃戦術を使い分けることができるようにしておかなくてはダメです。

 長期的なビジョンに立った日本サッカーの強化という観点からも、「ピッチの状態が悪くて負けるのが怖いから、前へロングボールを大きく蹴っておこう」という発想のサッカーは絶対にやって欲しくありません。

地面がデコボコでボールがどうイレギュラーするかわからない石畳の道でストリートサッカーをやるような環境から、ワールドクラスの超絶テクニックをもったプレーヤーが生まれてくる例が少なくありません。

メッシ、ロナウジーニョ、ジダン、古くはヨハン・クライフなどもそうですよね。

「弘法も筆を選ばず」と言いますが、地面がデコボコでもボールを正確にコントロールして、蹴る・止める・ドリブルできるようにならないと相手に勝てないというストリートサッカーの環境が、本当に足元が上手い選手を産み出すのだと思います。

スペイン代表も、ボスニア代表のホームでゼニツァにあるビリノ・ポリェみたいな荒れたピッチを持つスタジアムでW杯予選を戦うことがありますが、イニエスタもブスケツもダビド・シルバもグラウンダーのパスをノーミスで出したりトラップしたりしますからね。もちろんドリブルも。

バルサも、芝の状態が悪いアウェーのスタジアムでは苦戦することもしばしばですが、だからといって彼らは自分たちのサッカー哲学を変えることはしません。

私は、ワールドクラスの技術を持つ日本人選手が出てきてほしいと強く願っているので、「ピッチが悪いからロングボールを放り込んでおけ」という逃げの発想ではなくて「どんなにピッチの状態が悪くても、その環境に適応できるような技術を身につけるべきだ」という考え方をします。

それを普段の練習や実際の試合でできるようにしなければ、意味がありません。それが日本が世界で勝つための近道だと思います。

日本人選手に「埼玉スタジアムのような整ったピッチでなければ、サッカーはできません」みたいな、ひ弱な内弁慶のプレーヤーになって欲しくありません。

 というわけで、今度のイラク戦を日本代表はどう戦うべきか考察してみました。

ザックジャパンは「自分たちのサッカー」=「ポゼッションサッカー」でしたが、ハリルジャパンは「自分たちのサッカー」=「ロングボールをひたすら放り込むカウンターサッカー」になってしまっています。

相手やピッチ内の状況によって、戦術を適切に使い分けることができていないという意味では、まったく進歩していません。

これではたとえロシアW杯に行けたとしても不安が残りますし、日本サッカーの長期的な発展にもプラスになるとは思えません。

 最後に、7日に行われるシリアとのテストマッチなんですが、1か月ぐらい前に「シリア戦はベテランを再生するために使う」というニュースを目にしました。

しかしベテラン選手の力量がどれくらいなのか、もうわかっていることですし、年齢的にこれから大きな伸びしろが見込めないのであれば、若い選手に追い抜かれて代表チームのレベルにもうついてこられないことが明らかになった時点で、無理に再生させる必要はないと思います。

それでは大きな伸びしろが期待できる若い選手が成長する機会を奪ってしまうだけなので、フレッシュなプレーヤーに実戦経験を積むためのチャンスを与えて欲しいです。

特にセンターバックと、守備力が高くて中盤の底から攻撃を組み立てるパスも出せるボランチの人材が不足しており、このテストマッチでW杯本大会でも使える選手を発掘して層を厚くしておきたいところ。

ハリル監督が招集したメンバーにケガ人がいないという前提で、4-2-3-1を組むならこんなのはどうでしょうか。イラク戦に出場して欲しいレギュラー陣はほぼお休みです。

                      
                                                 
                   FW           


         原口       乾       浅野     
        (乾)      (倉田)          


               今野    加藤  
                  

      長友     昌子    槙野    酒井高
    

                  中村
                 (東口)



GKと両センターバックは、経験を積ませるためです。

負傷明けの今野選手は実戦カンを取り戻してもらうための起用で、加藤選手にはボール奪取だけでなく攻撃の組み立ても期待します。

最近調子が落ち気味の原口選手を左SHで、乾選手はトップ下でも上手くやれるのではないかと思います。

今回召集されたメンバーで久保選手以外に右SHを任せられるプレーヤーが見当たらないので浅野選手にしておきましたが、守備力をもっともっとアップさせるという条件付きで、将来的に浦和の関根選手を入れても面白いんじゃないでしょうか。

私だったらマインツの武藤選手を呼んで、ワントップで試したかったのですが、今回は呼ばれていないのでセンターFWは空欄にしておきます。

ともかく、貴重なテストマッチなのですから有意義に使ってもらいたいものです。



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