■サウジ戦をいかに戦うべきか?

 11月15日に行われるサウジとのW杯予選をいかに戦うべきか、今日はこれをテーマにして考えてみます。

まず日本が属するW杯アジア予選グループB全体の、現在の状況をおさらいしておきましょう。

前節、現時点でこのグループで最も実力があるチームと当研究所が考えているオーストラリアとのアウェー戦で引き分けることができたのは、我々にとって悪くない結果だったと思います。

これでオーストラリアがロシアへ行くためには、サウジとUAEをホームに迎える2試合に勝たなくてはいけない状況に追い込まれましたから、必死になってがんばってくれることでしょうし、サウジはホームでオーストラリアとドロー、UAEは同じ条件でオーストラリアに負けていますから、オーストラリアのホームゲームでサウジとUAEが勝ち点3を獲得するのは相当の困難が予想されます。

また同じ節でサウジはホームでUAEを降しており、UAEはロシア行きのレースから一歩後退です。

日本としては、タイ・イラクとの残り2試合を絶対に取りこぼすことなく、アウェーゲームを勝ってUAEとの対戦成績を五分に戻し、オーストラリアとのホームゲームに是が非でも勝利しなければなりません。

もしそれが達成できれば、対サウジ戦は2勝を目指すのはもちろんなんですが、H&Aの2試合で悪くとも1勝1分の勝ち点4が獲得できれば、日本がW杯出場権が得られる2位以内を確保できる確率が高まります。逆に1勝1敗だと一気に先行きが不透明になってしまうでしょう。

サウジから勝ち点6をゲットするためにも今度の試合は当然勝利が欲しいのですが、試合終了まで残り10分の段階で同点であっても、負けるリスクを冒してセンターバックをゴール前へ上げてというような攻撃をやる試合ではないと思います。

その場合は最悪でも勝ち点1を確保して、アウェー戦で勝利を目指すことになりますが、やはりホームでサウジに勝っておきたいところです。

 では具体的にどう戦うかですが、クビになりたくないのならハリルホジッチ監督はこれまで自分が選択したことのどれが成功してどれが失敗だったのかをちゃんと分析し、成功したものだけを残して失敗だったものはキッパリと捨て去るようにしないといけません。

守備でも攻撃でも前回日本のホームゲームだったイラク戦のような戦い方をもう一度やってしまったら絶対にダメです。

オーストラリアと比べるとサウジの選手はアジリティがあってドリブルの技術もありますから、相手に広いスペースを与えてスピードに乗ったドリブルをさせるとやっかいなことになります。

よって守備は、オーストラリア戦で成功したのと同じように4-4のコンパクトな守備ブロックをつくり、DFラインを引きすぎないように注意しながら、ゾーンディフェンスのセオリー通りに相手のボールホルダーにプレスをかけ、相手に攻撃のための時間とスペースを与えないようにしつつ、組織的にボールを奪いに行くべきです。これをロシアW杯本大会まで変更する必要はありません。

攻撃については、前回「ロングボール攻撃がイラクには有効」というスカウティング部門での分析があって、その意見を採用した結果あのようなレベルの低い攻撃になったという報道がありましたが、もしそれが事実ならスカウティング担当者による切腹もののとんでもない分析ミスでした。

身長もフィジカルコンタクト能力も高くない日本代表にとって、ロングボール攻撃が有効な試合などまずありませんし、たとえそのような分析がスカウティング部門から上がってきても、監督が論理的思考力でもってそういう誤った分析は却下しないといけません。

よって攻撃についても、原口選手のゴールシーンに象徴される、オーストラリア戦の前半で見せてくれたレベルの高いパスサッカーを継続すべきです。

センターFWが意図的にゴールから遠ざかることで自分をマークするバックを引きつけ、それによってDFラインのウラのスペースを広く保っておき、ゾーンで守るコンパクトな守備ブロックから組織的にプレスをかけてボールを奪い返したら、自軍ゴールへ向かって走りながら後退する相手を攻め、あえて空けておいたバイタルエリアに侵入した味方にボールを受けさせてラストパスを出す基点をつくり、最後はDFラインのウラヘ抜ける味方へスルーパスを出してゴールを決めさせる。(図1)

図1
バランスが良い
(クリックで拡大)

オーストラリア戦ではDFラインを下げ過ぎてしまい、このようなレベルの高い攻撃を1~2回しかできませんでしたが、サウジ戦ではDFラインをできるかぎりノーマルに保ち、原口選手のゴールシーンのようにテンポの良いショートパスで相手を崩してゴールを奪うような攻撃を数多く見せて欲しいです。

 それではこれまで述べたゲームプランを実現するためにどういった選手を起用するかですが、今までどおり4-2-3-1を使うなら次のようなシステムはどうでしょうか。




               本田  
           

      原口      清武      宇佐美
                        (斎藤) 

            山口   長谷部   
                 

     長友    森重    吉田   酒井宏
    

                GK



まだどういうメンバーが召集されるかわかりませんが、前回招集メンバーをベースに考えますと、センターFWには本田選手を引き続き起用します。

4-2-3-1のセンターFWは、足元でボールを収めて前線で攻撃の起点となりつつ、ゴールをゲットすることが求められますが、フィジカルコンタクトの強い彼なら前線でボールが収まって、貴重なゴールをアシストすることもできるということがオーストラリア戦で証明されましたし、ハリルホジッチ監督のチョイスとしては成功でした。

本田選手を右サイドハーフ(ウイング)に置いてしまうと、スピードもドリブルの技術もないために右サイドの攻撃が機能不全に陥ってしまうというのは、この前のミラン対ジェノア戦で改めてハッキリとしましたし、右ウイングのポジションからピッチ中央へ流れる時間が長く守備に戻ってこないので、4-4のコンパクトなブロックをつくることができず守備が不安定になりハリルジャパンの失点が増えている大きな原因にもなっています。

誤解の無いように言っておきますが、「本田選手」がチーム低迷の元凶だと言っているのではありません。本田選手を「右ウイングで起用すること」が元凶なのです。

レスターの岡崎選手が日本のナンバーワンFWだから代表の1トップにふさわしいと考える人も多いのでしょうが、それは「論理の飛躍」だと思います。

彼がレスターで評価されているのは、2トップのセカンドストライカーとして前線から守備をしたりパスをつないだりして、バーディやスリマニのような点取り屋をサポートするプレーであって、ワントップとして前線でボールを足元へ収め、個の能力で相手バックに競り勝ってゴールを量産しているからではありません。

それでもレスターでゴールしているじゃないかという反論がありそうですが、リーグカップのチェルシー戦の1点目やプレミアシップのクリスタルパレス戦でのゴールは相手選手のクリアミスを拾ってのものであり、個の能力で相手との一対一に勝ってゲットしたゴールより価値はやや落ちます。

1トップとして十分やれるというところを彼が証明してくれるなら話は別ですけど、彼のプレーを長く見てきて思うのは、相手バックがフィジカルコンタクトに強いタイプであればあるほど、1トップとしての彼がゲームから消えている時間は長くなってしまうということです。

岡崎選手をどうしても生かしたいのであれば、レスターと同様に代表のシステムを2トップに変え、そのセカンドストライカーとして起用すれば成功するかもしれません。

左サイドハーフで好調を維持している原口選手のところを次の試合でいじる必然性はないと思います。

トップ下には清武選手をもってきました。

前の試合は、4-2-3-1(日本)と中盤をダイヤモンド型にした4-4-2(オーストラリア)とのマッチアップだったわけですが、ピッチ中央のMFはこちらが数的不利、相手の2トップに対しCB2枚に加えSBを1人余らせて守ったとしても、逆にサイドではこちらが2対1の数的優位の状況にありました。

そこでトップ下にボールキープ力のある選手を入れ、ボールを奪い返した後トップ下に預けてサイドハーフが押し上げる時間をつくり、攻撃の起点をどちらかのサイドでつくることができれば、後半あそこまでオーストラリアに押し込まれることはなかったはずですが、トップ下に本来セカンドストライカータイプである香川選手を起用してしまったために防戦一方となってしまいました。

そこでパサータイプの清武選手を起用して中盤でのボールキープ力の改善を図ります。

その選手の何年も前の実績とか所属しているクラブの格・最近ゲームに出ているかどうかなどといった条件は二の次・三の次であって、一番重要なのは現時点におけるその選手の実力・ポテンシャルです。

それはプロの監督なら、試合前の練習で選手のプレーを自分の目で見れば、選手それぞれのプレーの特徴・長所短所・選手間の優劣の判断はつくはずなんです。

最近ゲームに出ていることがそれほど重要なら、中学生をW杯の予選で使うんですか?という話です。

右サイドハーフも、オーストラリア戦で攻撃力に物足りなさを感じた小林悠選手ではなく、守備力も考慮に入れながら宇佐美選手か横浜Mの斎藤選手のうち、現時点で調子の良いほうを起用します。

ケガをしてしまったのが大変残念なんですが、ELのガバラ戦で左足から良いゴールを決めていたマインツの武藤選手も、右サイドハーフで起用したら面白いんじゃないかと考えています。

長谷部・山口のダブルボランチは前の試合で良く機能していましたから変える必要ありませんし、バックとGKはレギュラークラスのうち、もっとも調子の良い選手を使っていけば良いと思います。

 サウジとのW杯予選の前にオマーンとのテストマッチが組まれていますが、戦力の底上げを図るために、勝負を度外視して若くて将来有望な選手をどんどん試して欲しいです。

4-2-3-1で行くならこんな風に...。



              ハーフナー
              (大迫)  
           

      斎藤      清武      宇佐美
     (宇佐美)   (香川)     (斎藤) 
                        (浅野) 

            DM    小林祐   
                 

     SB     CB     植田    SB
    

              川島
           


心肺機能を回復させるために当研究所が提案したOBLAトレーニングをちゃんとやっていて欲しいのですが、本田選手がセンターFWとして90分間プレーできるかは今のところ未知数ですので、途中交代のオプションとして足元にボールを収めて前線で攻めの起点がつくれる別の選手が欲しいところです。

そこでハーフナー選手か大迫選手のうち好調な方を。

ハーフナー選手を入れたら何が何でも彼の頭めがけてロングボールを放り込まないといけないと考える頭が非常に硬い人がいるようですが、サッカーの競技規則に絶対そうしなければいけないというルールはありません。

あくまでも足元でのポストプレーを期待しており、彼の背の高さはサイドからのクロスをヘッドでシュートするときだけで十分です。ロングボールを多用したタテポンサッカーをやってしまえば、原口・清武といった日本の攻撃のストロングポイントが生かせなくなって、イラク戦のような自爆行為になってしまう可能性が高いと思います。

清武選手の起用をハリルホジッチ監督がそれほど不安に感じるなら、テストマッチで前後半45分ずつ香川選手と交代で起用してみて、どちらがトップ下として機能するか試してみれば良いのではないでしょうか。

左右のサイドハーフでも、斎藤・宇佐美・浅野らスピードやドリブルの技術のある選手をどんどん試して欲しいです。

監督の指示やチームの約束事を絶対に守ることが最低条件となりますが、ヘーレンフェーンでレギュラーポジションを獲得している小林祐希選手は、ボランチで是非とも試して欲しいプレーヤーです。

守備的MFはある程度の体の大きさ(できれば身長180㎝以上)が無いと守備の面で不利になってしまいますが、その点でも小林祐選手には期待しています。

層の薄さが相変わらず改善されていないセンターバックのポジションですが、植田選手がA代表でどれくらいできるか見てみたいですね。パートナーとしては同じクラブの昌子選手が適任でしょうか。

柏の中谷選手も将来日本代表を背負って立つCBに成長してくれないかなとひそかに期待しているのですが、柏を率いる下平監督は勇気をもって若い選手を多く起用しながらチーム作りを進めており、彼のチャレンジを応援したくなります。

最後にGKですが、ここまでの西川選手のパフォーマンスは不満の残るものであり、川島選手をテストしてみたらどうでしょうか。

ここでも一番重要なのは現時点における選手の実力であって、試合に出ているかどうかは二の次。それをオマーンとのテストマッチで試してみたら良いのではないでしょうか。

もちろん監督さんが行けると思うなら、柏の中村選手や松本のシュミット選手など、若手にチャンスを与えても全然構いません。

 というわけでサウジ戦をどう戦うべきかについて当研究所なりに考えてみましたが、直前のテストマッチを最大限有効に活用し、サウジから勝利を収めてW杯予選の前半戦を折り返して欲しいです。




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■コメント

■ [名無しさん]

アンダー世代が頑張ってくれたので、次はA代表の番ですね!
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