■日本代表、オーストラリアと勝ち点1を分ける

 ロシアW杯アジア3次予選、日本代表の第4戦がメルボルンで行われ、日本は1-1でオーストラリアと引き分けました。

対戦相手のオーストラリアは、イングランド・ドイツ・中国などでプレーする選手で構成されており現時点においては日本よりも実力は上、日本のホームで引き分け、アウェーでオーストラリアの勝利ぐらいの実力差と見ていましたが、チーム組織の構築や若手への切り替えが遅れているハリルジャパンの現状を見れば、引き分けという結果は悪くなかったと思います。

ただ、ハリルホジッチ監督の采配がまたしても疑問だらけで、勝てた試合をみすみす引き分けてしまったのではないでしょうか。

日本のプレー内容については改善すべき点はありますが、ハリルジャパンが発足していらい一番良かったです。

        ☆        ☆        ☆

 まず最初に言いたいのは、

だーかーら、本田選手の右ウイング起用がチームが不振に陥っている元凶だと、
言ったでしょーが!!


ということ。

(当ブログ過去記事・イラク戦・オーストラリア戦にのぞむ日本代表メンバー発表!

これまで右ウイングの本田選手のところにボールがいくと、そこで時間がかかってしまって攻撃が停滞し、彼は守りにも戻らないのでコンパクトな守備ブロックがつくれず、UAEやイラク相手に失点を重ねてしまう原因になっていたのです。

イラク戦とプレー内容がガラッと変わったこの試合では、コンパクトな長方形の守備ブロックの右上角を小林選手がしっかりと埋め、日本の選手全員で規則正しくプレスをかけていくことで、グループ首位を走るオーストラリアの攻撃をおおむね封じ込めることができました。

そして前半5分のゴールシーン。みなさんに繰り返し録画映像を見て欲しいのですが、選手のシンキングスピードといい、パスのテンポといい、


これが、グラウンダーのショートパスを使った世界標準のパスサッカーですよ!!


原口選手や長谷部選手も「あれ? そういえば俺たち普段ブンデスでこういうサッカーやってるよね?」って思ったはず。



(4分40秒からゴールまで)


バランスが良い
(クリックで拡大)

上図のように、センターFWが意図的にゴールから遠ざかることで自分をマークするバックを引きつけ、それによってDFラインのウラのスペースを広く保っておき、ゾーンで守るコンパクトな守備ブロックからプレスをかけてボールを奪い返したら、自軍ゴールへ向かって走りながら後退する相手を攻め、あえて空けておいたバイタルエリアにいる味方にボールを受けさせてラストパスを出す基点をつくり、最後はDFラインのウラヘ抜ける味方へスルーパスを出してゴールを決めさせる。

まさにこの試合の先制ゴールシーン。

あの一連のゴールシーンにおいて、バイタルエリア(相手4バックの前のスペース)に日本の選手は何人いたでしょうか?

本田選手と原口選手の2人だけでしたよね。

上の図を見て、「4人のバックに対し攻撃が2枚だけでどうして点が取れるの?」と思った人は、欧州でやっているような世界最先端のパスサッカー戦術というものを知りません。

相手ゴール前に4人も5人もの日本の選手が足を止めてベッタリと張りつき、それによって敵のマーカーをゴール前に集結させることでDFラインの前もウラのスペースも自分たちで消してしまい、敵味方の選手で大混雑しているペナルティエリアの周囲を左から中央へ、中央から右へと遠巻きにパスを回して、最後はクロスをゴール前へ放り込むのが、「パスサッカー」あるいは「ポゼッションサッカー」だと誤解しているのが日本のサッカー界なのですが、それは違います。

コンパクトな守備ブロックをつくって規則正しくプレスをかけていくことは共通ですが、DFラインの高さを相手の強さに応じて「引き気味」「ノーマル」「上げ気味」と使い分けて設定すれば、「堅守速攻のカウンターサッカー」「ノーマル」「攻撃的なパスサッカー」と、シームレスに攻撃戦術を使い分けることができます。

当研究所の定義では、イラク戦の先制シーンは「コレクティブカウンター」であり、この試合の得点シーンは「パスサッカー」ですが、どちらもグラウンダーのパスを使って相手を崩しゴールを奪っているところが共通しています。

(オーストラリア戦の先制ゴールシーンを「タテに速いカウンターサッカー」だと感じた人は、普段Jリーグの遅いプレースピードに慣れきってしまっている人だと思います)

私が「コレクティブカウンターの延長線上にパスサッカーがある」と言ったのはそういう意味であり、この2つの攻撃を日本代表という1つのチームが相手によって、シチュエーションによって、シームレスに使い分けていけば良いのです。

当研究所が、本田・香川・原口選手ら欧州でプレーしている人たちに期待しているのは、この試合の前半のような、自分たちが普段やっている「世界標準のパスサッカー戦術」を代表チームに導入し、日本サッカーのレベルを上げることです。

建英君をはじめ日本のジュニアユース・ユース年代の子供たちも、オーストラリア戦の先制ゴールシーンを繰り返し見ておき、本田選手や原口選手、長谷部選手のポジショニングやプレーを良く研究して自分たちの戦術理解を高め、もしあの場面で自分だったらどういうプレーをするかイメージしながら、近い将来ワールドクラスのプレーヤーになって欲しいと思います。

 まだ改善すべきところはありますが、前半に攻守にわたって良い試合内容で先制ゴールをあげ、最難関のアウェーのオーストラリア戦で勝ち点3が取れるかもしれないという絶好のチャンスだったのですが、それをみすみすフイにしてしまったのが、迷走を続けるハリルホジッチ監督の采配です。

そもそも、イラク戦でプレー内容が良く試合に勝つことができた功労者の1人・清武選手を外し、タイ戦の絶不調状態から脱しつつあるも、まったく復調していない香川選手をトップ下で起用したのがまったくの謎で、実際この試合も香川選手はほとんど機能せず。

もし清武選手がトップ下だったら彼から良いパスが出て、前半日本に試合の流れが来ている間に、もう1点ぐらい追加でき、もっと楽にゲームを進めることができた可能性がありました。

ハリルホジッチ監督はイラク戦で、トップ下から香川選手を外し清武選手を起用するという正しい決断をせっかくできたのに、自分の決断の何が成功し何が失敗してあのような試合結果になったのか、まったく分析することができないらしく、UAE戦・タイ戦と同じ過ちをこのオーストラリア戦でも再び繰り返してしまいました。

これではイラク戦で好プレーを見せてくれた清武選手が、勢いに乗って成長していくことができません。

以前にも指摘したとおりハリル監督は、前の試合で活躍することで自信をつけ成長軌道に乗ってきた選手を次の試合でベンチに座らせ、良い流れをブッた切るのが得意技。

イラク戦の終盤、浅野選手が胸トラップからシュートしようとして防がれたことが話題になっていましたが、せっかくタイ戦でゴールして自信をつけたのに次の試合でベンチスタートだと、浅野選手だって「W杯予選でゴールしたのにまだ自分は監督から信頼されていないんだ」とネガティブに考えるでしょうし、そういう微妙な心理状態が影響して「監督から信頼を得るためにはもっとゴールが必要だ。決定機では絶対に外さないように慎重にプレーしよう」と考えた結果が、あの胸トラップからのシュートだったのかもしれません。

W杯予選初ゴールで自信をつけた浅野選手に「お前を信頼しているぞ」と監督が声をかけて次のイラク戦もスタメン起用していたら、彼もさらに自信をもってプレーすることができ、同じ決定機でも思い切ってノートラップでシュートを打ち、ゴールを決めていたかもしれません。

こういう部分でハリル監督は若手選手を育てるのがヘタ。

酒井高選手も守備に不安を抱えているのでそれが解決されないかぎり起用しない方がよいと当研究所は指摘しましたが、オーストラリアにPKを与えた場面では、サイドで数的不利をつくられている状況で、あきらかにプレスが間に合わないタイミングでロギッチへの縦パスに高徳選手が食いついてスミスに右サイドを突破され、中央へクロスを入れられてPKを誘発する原因に。

ウッチーならあのタイミングのパスは食いついていないでしょう。

この試合前に、SBに丸山選手のようなセンターバックタイプを起用することも当研究所は提案していましたが、高徳選手の攻め上がりを捨ててでも丸山選手をキックオフから起用していれば、PKを与えることなく1-0で試合を終わらせることができていたかもしれませんし、終盤に高徳(訂正) 原口選手に代えて丸山選手を入れる必要もなくなり、もし丸山選手を起用しても同点にされていたとしたら、オーストラリアから再びリードを奪うべく、交代カード1枚をフレッシュな攻撃の選手を投入するために使うこともできました。

PKから同点に追いつかれ、後半15分すぎから日本の守備ブロックが下がりすぎて相手にボールをポゼッションされ、ボールを取り返しても前方へロングを蹴るので精一杯となり、防戦一方の厳しい展開になってしまいましたが、どんなに遅くても25分までには交代選手を投入して、悪い流れを断ち切るべきでした。

百歩譲って香川選手のトップ下で行くにしても、後半25分に例えば清武選手を投入してボールの収まりどころをつくり、ボールを奪ったらまず清武選手にパスして、彼が中盤でタメをつくっている間に周囲の選手が攻め上がって反撃することで、試合の流れをこちらへ引き戻すようにするべきだったと思います。

香川選手と清武選手の交代ならば、セットプレー時に守備力が下がってしまうという不安が出ることもないはずです。

先月のタイ戦もそうなんですが、試合の流れを見ながら交代選手を上手く使うということもハリル監督はできないんですよね。

守備力のある選手をサイドバックに起用せず、イラク戦での失点にからむなど守備力に不安のある高徳選手を起用し続けたことからPKを誘発し、不調でほとんど機能していない香川選手を90分間使い続け、トップ下から好調の清武選手を外したことで、日本の手から勝ち点2がスルリと逃げていったんじゃないでしょうか。

この試合ハリル監督の数少ない正しい決断だったのは、本田選手を右ウイングから外しセンターFWで起用したことです。

しかし当研究所は昨年6月のW杯アジア2次予選の初戦、シンガポール戦ですでに本田選手の右ウイング起用に疑問を感じ、昨年10月のシリア戦で本田選手のセンターFWへのコンバートを提案しています。


(当ブログ・2015年6月シンガポール戦記事

(当ブログ・2015年9月カンボジア戦記事

(当ブログ・2015年9月アフガニスタン戦記事

(当ブログ・2015年10月シリア戦記事


ハリル監督は、本田選手の右ウイング起用が適切でないということに気づいてコンバートを決断するまで、当研究所から1年遅れているわけです。

もし私が監督だったら、1年前のカンボジア戦やアフガニスタン戦から本田選手をセンターFWや攻撃的なボランチにコンバートして試し、右ウイングには原口・宇佐美ら若くてスピードや技術があり個の能力でサイドを突破できる選手を試して競わせながら経験を積ませ、1年後のこのオーストラリア戦に通用するレベルまで成長を促すような選手起用をします。

ところがハリルホジッチ監督は、かたくなに本田選手をまったく機能していない右ウイングで起用し続け、不調の香川選手をいつまでたってもトップ下から外さず、カンボジアやタイに苦しんでようやく勝ちUAEには負けるという危険信号がさんざん出ているのにグズグズと決断が遅れ、ミランやドルトムントの首脳陣も本田・香川の代表での低調なプレーぶりを見たのでしょう、彼らはクラブでの出場機会を失ってしまいました。

ハリルホジッチ監督は「欧州でプレーしている日本人選手の多くが出場機会を失うのを1年前に知りたかった」と言っていましたが、その原因の多くは、選手のプレーの特徴・長所短所・選手の調子の良し悪し・選手間の優劣というものを見極めることができず、選手を不適切なポジションで使い続け、実力以上にヘタクソに見せてしまうハリル監督自身にあると思います。

彼が代表監督をやっていることで、日本のサッカー界全体が「負のスパイラル」に陥っています。

これで本田選手を再び右ウイングに戻したりしたら本気で怒りますけど、そういう不可解な采配をやってしまいかねないのがハリル監督なんですよね。

やれ欧州組は移動があってコンディションが悪いとか、出場機会を失ってどうのとかグチグチ言ってますが、日本代表選手の士気にも悪い影響を与えかねません。

グループ首位を走っていたオーストラリア代表の選手たちは、欧州からオーストラリアへ飛行機で帰るとき、欧州から日本へ飛ぶ場合の2倍の距離がかかるわけです。それでもあるオーストラリア人選手は「世界中でプレーしているのだからそれが当たり前だ」とコメントしていました。

クルーズもレバークーゼンで出場機会があまりないはずですが、ポステコグロウ監督が代表戦ではちゃんと機能するような使い方をしているのではないでしょうか。

 たぶんハリルホジッチさんは、ものごとを感情的に認識(インプット)し、感情的に行動(アウトプット)するタイプの人なんだと思います。

「ミランやドルトムント・レスターでやっているからいつだって
日本最高の選手なんだ」という思い込み(感情)で、誰をどのポジションで起用するか決めているから、選手起用で間違いを繰り返し、日本代表を不振に陥らせているのではないでしょうか。

2次予選においてベタ引きで来たカンボジア代表にスペースを消されて自分がやりたいカウンターサッカーが通用せず、相手のオウンゴールもあってようやく勝った試合後、「カンボジアはもっと前へ出て攻めてくるべきだ。アジアではカウンターサッカーをやっている国が多いが、だからアジアは世界から遅れているんだ」みたいなコメントをしていましたが、日本に「タテに速いカウンターサッカー」をやらせようとしている監督さんが、こういう感情まかせのメチャクチャなことを言っていいのでしょうか?

こういうタイプの人は絵描きや音楽家など芸術家には向いていますが、企業のリーダーや政治家のような実務家にはもっとも不向きなタイプです。

実務家に向いているのは、ものごとを論理的に正確に認識し、正しいロジックを脳内で積み上げていってそれに基づいて行動し、成功を納めることができるタイプの人です。

もちろんサッカーチームの監督も、実務家タイプでなければなりません。

大変残念ですが、もし彼よりマシな監督が招聘できるなら、今のタイミングでハリルホジッチ氏を解任すべきだと思います。

この先どういうヘマをやらかして勝ち点を失うか、わかったものではありません。

選手それぞれのプレーの特徴を見極め、適材適所で起用していく、試合の流れを見ながら勝負どころで適切な交代カードを切っていくという「勝負師」としての面では、少なくとも手倉森さんの方がハリル氏より上だと思いますが、もし後任監督のリストアップができていないなら手倉森さんを暫定監督にして、来年までに適当な人を内外から探すようにしたらどうでしょうか。

ちょうど来月、オマーンとのテストマッチがありますが、その試合で新監督に予行演習をさせて、日本がW杯に出場するために非常に重要な試合となった、サウジとのホームゲームに臨むべきだと思います。



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