■フィジカルコンタクトに強くなるために一番重要なこと

  Jリーグで、外国人枠の緩和が検討されているようです。

現在Jリーグにおいて1つのクラブが保有できる外国人選手は、国籍・年齢制限の無い3人に、AFC加盟国の国籍を有する「アジア枠」選手やJリーグと提携している国内リーグを持つ「提携国枠」選手など2人を加えた計5人まで、試合にエントリーできるのはそのうち最大4人までとなっています。

Jリーグに外国人選手を増やそうという動きが出ているのは、やはりU-23日本代表がリオ五輪で敗退したことが影響しているのだと思います。

特に国内組の選手は外国人選手と比べてフィジカルコンタクト能力が低く、相手からボールを奪い返す・自分のボールをキープするというプレーの面で見劣りがしたことは否めません。(コロンビア戦・スウェーデン戦と進むにつれ、少しづつ改善されてはいましたが)

しかし、Jリーグに外国人選手を増やせばこうした問題がすぐに解決するというような単純なものではないと思います。

京都のエスクデロ選手は浦和時代、「自分のフィジカルコンタクト能力をフルに発揮すると、Jリーグのレフェリーにすぐファールを取られるので、いつもセーブしてプレーしている」とコメントしていました。

もしJリーグの審判が、「汚いファール」と「激しいけれども正当なフィジカルコンタクト」をちゃんと区別してジャッジしていれば、エスクデロ選手は浦和時代から自分のフィジカル能力をフルパワーで発揮できて、Jリーグで「無双状態」だったかもしれませんし、そうなってこそ対戦相手の選手もフィジカルコンタクトに強い彼をストップするために、自分たちのコンタクトスキルをどうあげていくかという発想が生まれて、そうした相乗効果でJリーグ全体のフィジカルコンタクト能力があがっていたはずです。

ところが、開幕当初は「激しいけれども正当なフィジカルコンタクト」を流すようにレフェリーに指導が入るのですが、Jリーグのシーズンがどんどん進んでいくと、なし崩し的に元へ戻ってしまい、昨年FC東京に加入したネイサン・バーンズ選手に、AリーグやKリーグと比べて「フィジカル的な戦いは無いに等しい」と評されてしまうような大変残念な状態が、現在まで続いてしまっているように見えます。

国内組選手のフィジカルコンタクト能力強化にとって一番重要なのは、Jリーグ審判団のフィジカルコンタクトに対するジャッジの基準を見直すこと、「汚いファール」と「激しいけれども正当なフィジカルコンタクト」をちゃんと区別して、後者のプレーを許容し奨励していくことなのです。

「手で相手を殴る・つかむ・押す・ヒジ打ちをする」「足で相手を転ばせる・蹴る・踏んづける」「頭突きをする・ツバを吐く」

こういう「汚いプレー」は厳しくファールを取っていかなければなりません。

しかし「自分の腰や太ももの外側・尻を相手の下半身にぶつけてバランスを崩し、ボールを奪う」「並走しながら自分の肩を相手の体の前に入れてボールを奪う」といったような体幹に近い部分でのフィジカルコンタクト、「激しいけれども正当なフィジカルコンタクト」には、Jリーグの審判はもっともっと寛容になるべきです。

そうやって相手のバランスを崩してボールを奪うわけですから、ときには相手選手が倒れたり吹っ飛ばされたりすることはあります。

自分の手を相手の胸に当て「つっかえ棒」のようにして自分のボールを守るやり方もありますが、どこまで手を使っても良いのかも含めて、欧州四大リーグにおいてフィジカルコンタクトがどこまで許容され、どこからが「ファール」となるのかを日本サッカー協会と共に研究し、世界に通用する判定基準を設けてJリーグ各審判員にしっかり教育していくとともに、その判定基準がシーズンの開幕からリーグ最終節まで一貫して変わらないように、マッチ・コミッショナー等がつねに監視していく必要もあります。

審判団やリーグ機構が、Jリーグに所属する選手たちに「激しいけれども正当なフィジカルコンタクト」の基準を示し理解してもらわなければ、日本人選手のコンタクトスキルは上がっていきません。

ゴール前で相手にちょっとでも触れられると「ここでFKをもらった方が得」と考えてシミュレーションぎみにわざと倒れる選手が非常に多いのが日本サッカーの悪しき伝統であり、そこでレフェリーが安易に笛を吹いて甘やかしてしまうことが日本人選手のフィジカル能力がいつまでたっても上がらない原因の一つです。

そういう場面では選手がどんなに激しく怒りや不満の表情を浮かべてもレフェリーは毅然とし、倒れている選手に「立て」と要求すべきです。

サッカーでは「正当なフィジカルコンタクトによって相手からボールを奪うこと」がルールで認められていることを選手側も理解しなければいけませんし、ましてやそれを逆恨みしてヒジ打ちや頭突きをするなんてことは絶対に許されません。

例を一つ挙げれば、Jリーグ1stステージ第9節のガンバ大阪対川崎戦で、大久保選手が宇佐美選手の顔面にエルボーを食らわせて流血させたことがありましたが、これはそれより前に起こった、センターサークル内で宇佐美選手に体を寄せられてボールを奪われたプレーに対する報復行為と見られ、レフェリーがなぜレッドカードを提示しなかったのか極めて疑問でした。

この試合でのヒジ打ちが見過ごされたことが伏線となって、大宮戦での頭突き退場へとつながったのでしょうが、あの程度のフィジカルコンタクトに負けていちいち腹を立てているようでは、W杯や欧州四大リーグで外国人選手との体のぶつかり合いに勝って結果を残すなんてことはできませんし、ボールを奪われて悔しいのであればヒジ打ちや頭突きで報復するのではなく、相手に当たられてもルールで認められた正当なボディコンタクトの仕方でボールをキープできるようなスキルを身につけるべきで、そうすることによって大久保選手のみならず、Jリーグ全体のフィジカルコンタクト能力が上がっていくのです。

「汚いファール」と「激しいけれども正当なフィジカルコンタクト」を区別できない審判、フィジカルコンタクトを受けるとすぐに倒れて「レフェリーからの保護を受けるのが当然」みたいな甘えを持った選手たち。

この試合は現在のJリーグを象徴するようなゲームでしたが、こういう環境にいくら外国人選手を入れたところで、ただそれだけでは日本人選手のコンタクトスキルは上がっていきません。

もうそろそろJリーグが開設されて25周年を迎えようとしていますが、外国人を入れさえすればすぐにそういった問題が解決されるというのであれば、もうとっくに日本人選手のフィジカル能力は世界トップクラスになっているはずです。

むしろ「レフェリーの判定基準」という一番重要なところを放置して外国人選手だけを増やせば、日本人選手のフィジカルコンタクト能力が上がらないまま、各クラブの外国人選手を増やしすぎて自国選手の出場機会が失われ、代表チームの弱体化が進んでしまった、イングランド・プレミアリーグやイタリア・セリエAの二の舞になりかねません。

特にGKのポジションで、最近日本人選手の出場機会が少なくなっているように思います。

1試合にエントリーできる外国人数は現行の4人のままでも十分であり、一番重要なのは「汚いファール」と「激しいけれども正当なフィジカルコンタクト」をちゃんと区別し、どこまでが「正当なフィジカルコンタクト」なのか、欧州トップリーグでも通用する判定基準を設け、それをJリーグのすべての審判員・すべての選手にしっかり教育していくことです。

それに加え、Jリーグに「フィジカルコンタクトの強さ」を前面に押し出したチームがもっとあっても良いと思います。

選手獲得に高いお金がかけられず、足元の技術が高い選手をそろえることができない弱小クラブこそ選手一人ひとりがハードワークし、引き気味にしたコンパクトな守備ブロックからフィジカルコンタクトをガチガチしかけて厳しいプレスからボールを奪い、そこからコレクティブカウンターを狙うべきなんじゃないでしょうか。

そういうクラブがJリーグに増えてくれば、上位チームもそれに対抗してフィジカルコンタクト能力を高めざるを得ず、リーグ全体の国際競争力がアップしていくと思います。

そこでレフェリーが「見ていてかわいそうだし流して怒られると怖いんで、選手が倒れれば何でもかんでもファール取ります」では、全部が台無しです。



サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。


当ブログ関連記事・フィジカルコンタクトスキルの基本

当ブログ関連記事・ポストプレーヤーへの対処法の基本



  

■コメント

■コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

 



管理人多忙につき、マメにレスを差し上げられません。
ゴメンナサイ。
もちろん、すべてのコメントは拝見させていただきますが、サイトポリシーに違反したものは、予告なく削除します。
悪しからずご諒承ください。

プロフィール

スパルタク

  • Author:スパルタク
  • FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク






   

ブログ内検索