■日本代表における選手起用法についての疑問

 今回は、日本代表における選手起用法について、疑問に思っていることを書いてみようと思います。

UAE戦は八百長まがいのジャッジが続出するという大変不運な試合だったとはいえ、トップ下の香川選手と右ウイングの本田選手のところが機能していなかったのは明らかで、つづくタイ戦でもその2つのポジションは放置されたまま、試合にこそ勝ったもののゲーム内容は悪く、このグループでもっとも力の劣る相手に苦戦した大きな要因となっていました。

ハリルホジッチ監督は実際のプレー内容ではなく、「セリエAやブンデスリーガの人気チームでプレーしているから」という肩書き、あるいはブランドだけを見て、どのポジションに誰を起用するか決めているのだろうか?と疑問でならなかったのですが、もしかしたら別の理由があるのかもしれません。

それで思い出したのが「なでしこジャパン」です。

なでしこが、前回W杯準優勝チームでありながらリオ五輪アジア予選で敗退してしまうという大変ショッキングな結末を迎えてしまったその直後に、スポンサー企業や広告代理店から「消費者の話題になるように、宮間・大儀見・川澄らベテランのスター選手をつねに起用しろ」という強い要請があり、佐々木則夫監督はそれを拒むことができず、若手選手への世代交代をしたくてもできなかったので、負けるべくして負けたのだという趣旨の報道を目にしました。

実際、なでしこのリオ五輪アジア予選のウラで行われていたラ・マンガ国際で、U-23日本女子代表がノルウェー・スウェーデン・ドイツに3連勝していたわけで、本当はリオ五輪アジア予選のピッチに立つべきだった選手がラ・マンガ国際でプレーしていたのではないか、もし世代交代がちゃんとできていたらリオ五輪アジア予選の結果もガラッと変わっていたのではないかと、今になって思います。

「消費者の話題になること」を狙ってベテランのスター選手を多く起用したのに、女子サッカーが一番話題になる大会であろうオリンピックに出場できなくなり、リオ五輪期間中なでしこのことを話題にした消費者はほとんどゼロ。

もしそのような報道が事実なら、選手の起用法などサッカーのことは、サッカーを一番良く知っている現場の専門家に任せ、部外者が余計な人事介入をするのは厳に慎むべきです。それをやってビジネス的に一番損をするのは、なでしこのスポンサー企業であり広告代理店なのですから。

そして、なでしこだけではなく男子の日本代表にも同じようなことが起こっているのではないかと心配しています。

日本代表のスポンサー企業やスポーツ用品メーカー・広告代理店が、「消費者の話題づくり」や「ある選手モデルのユニホームやシューズを売るため」に、どんなに不調でそのポジションで機能していなくてもベテランのスター選手をW杯の予選で起用しろとハリルホジッチ監督に圧力をかけ、代表監督には誰を招集しどのポジションで起用するか完全な決定権が与えられていない、なんてことが私たちサポーターの知らないところで起こっているのであれば、リオ五輪アジア予選で敗退した、なでしこ同様の危機です。

消費者でもある私たちサポーターは多くの場合、「勝者」に強いあこがれを持つのであって「ボロボロの敗者」にではありません。

タイ戦での香川選手や本田選手の出来は悪かったように見えましたが、日本やタイだけでなく他のアジア諸国やドイツなど欧州にもあの映像が流れるわけで、どんなにひどいプレーをしていても選手を試合で使い続ければ、かえって「ユニホームやシューズを売るための広告塔」としてのその選手のイメージなりブランド価値に大きな傷がついてしまいかねません。

高額なユニホームやシューズを買うコアなサポーターほど、サッカーを見る目が肥えているわけで、もしスポンサー企業や広告代理店が「とりあえず試合に出しとけば話題になって、シャツが売れるだろう」と考えているのだとしたら、それは世界中の消費者をバカにしすぎです。

その選手が所属するクラブの関係者も代表戦の試合映像は見るでしょうし、それでクラブでもその選手が出場機会を失ってしまえば、「誰得」なんでしょうか?

「定番商品はこれから大きく売り上げが増えていくわけではないが販売数や利益はある程度計算できるから、店頭に占める定番商品の面積を減らして新商品を並べるという冒険は一切したくない」というような考え方は、マーケティングの観点からいえば「縮小均衡」で衰退しつつある老舗企業の発想です。

むしろ、香川・本田両選手の調子が悪いなら、勇気をもって清武選手をトップ下のポジションで試したり右ウイングで浅野選手を起用したりして、それで彼らが日本代表で活躍し、クラブでも清武がバルサやレアル相手に良いプレーをする、浅野がブンデス2部で活躍してアーセナルに戻りプレミアでゴールを量産するといった相乗効果が出てくるなら、清武や浅野モデルのシャツやシューズが日本だけでなくアジアを中心に世界中で売れるでしょうし、それに奮起した香川・本田両選手が代表でもクラブでも復活をとげれば、彼らのシャツやシューズの売れ行きも再加速することでしょう。

つまり日本代表は、サッカーの国際競争力においてもビジネス面においても再び成長軌道に乗ることができるというわけです。

実際アーセナルから「青田買い」をされた浅野選手に対する関心が、プレミアファンが多いタイで高まりつつあるのを感じました。

なでしこのように、話題性はあっても低調なプレーを繰り返す選手を試合で使い続けたために日本代表がロシアW杯予選で敗退なんてことが起こってしまえば、チームや選手を応援しているサポーターにとっても、スポンサー企業や広告代理店にとっても、日本サッカー協会にとっても誰の得にもなりません。

誰をいつどのポジションで起用するかは監督やコーチなど現場スタッフに一任し、スポンサーや広告代理店が人事介入するようなことは絶対にやめて頂きたいです。

日本サッカー協会もそのようにステークホルダーを説得しなければなりません。

2006年ドイツW杯でジーコジャパンが壊滅的な敗北を喫したあと代表戦人気がガタ落ちとなり、日本平や熊本みたいな3万人収容以下のスタジアムを埋めるのがやっとだった、あの暗黒時代のことを良く思い出してください。

あのどん底から、ようやくここまで日本サッカーを立て直すことができたのですから。  

 プレー面でほとんど機能していないにもかかわらず、本田選手が右ウイングというポジションにこだわっているのは、スポンサー企業や広告代理店のビジネス上の都合ではなくて、もっと別の理由があるのではないかとも妄想しています。

ブラジルW杯は日本代表にとって非常に悔しい結果になってしまいましたが、ザックジャパンの中心選手だった本田・香川・岡崎・長友選手の間には強固な友情関係が構築されており、「ロシアW杯はこの4人がそろって出場し、絶対にブラジルのリベンジを果たそう」と固く誓い合っているのではないか、

そこで本田選手が「自分の後継者としてトップ下は香川に任せたい。彼が攻撃面での新しいリーダーになってほしい。でもゴールをあげ続けるヒーローとして自分も活躍し続けたいが、センターFWには岡ちゃんがいるのでそこへは行けない。ならば自分が出られるのは右サイドしかない」と考え、ブラジルW杯が終わってから突然、右ウイングのポジションでプレーするようになったのではないかという妄想です。

もしこれが事実だったとしたらですが、そのような“消去法”で自分のポジションを決定して成功できるほど、代表もクラブも世界のサッカーは甘くないです。

どのポジションも基本的には、「自分はそこが一番得意」という選手が集まってくるのが世界のサッカーですし、一対一のデュエルに勝ってサイドで数的優位をつくり相手の守備を崩すという役割が求められる右ウイングというポジションの特性を考えれば、大変言いにくいのですが、若い時よりスピードが落ちつつあり技術も不足している本田選手にとって適任のポジションとは言えないですし、実際にプレーで結果も出せていません。

夢をかなえるためには、その実現を信じることがまず必要ですが、自分の理想と現実とのギャップが大きくなりすぎたときは、現実の方を直視して「戦略的な一時撤退」を決断し、現実と折り合いをつけながら夢をかなえるための次のチャンスをうかがうことも大事です。

私は「常に理想を追い続ける、リアリスト(現実主義者)でありたい」と考えています。

サッカーで言えば、日本人の特徴にあったパスサッカーでW杯優勝を勝ち取って欲しいというのが理想ですが、自分の理想だけを押し通せば、一直線に夢が実現するというほど、現実は甘くはありません。

現状、ドイツやアルゼンチンが日本より格上なのは間違いないですし、もしW杯で当たったら、守備を固めてカウンターサッカーという戦い方を選択しても今はやむをえないと考えます。

W杯で1つでも先に勝ち進むことで日本人選手がいろんな経験を積んだり、代表人気を盛り上げて強化に必要なお金を日本のサッカー界に落としてもらうということも重要ですしね。

もちろん相手が実力的に互角か格下ならば、自らの理想がどれくらい通用するか試す価値は十分あると考えます。

以前のエントリーのコメント欄に、管理人スパルタクはパスサッカーとカウンターサッカー、どちらを支持しているのかというご質問がありました。日本のサッカー界ではその2つは相反するものであり、1つのチームがその両方を武器として持ってはいけないと考える人が多いようですが、私はもっと柔軟でしなやかな考え方です。

理想を追い求めることができるうちはどんどん前へ進んでいき、自分の実力では乗り越えられない現実の壁にブチ当たったら、折り合いをつけて理想と現実とのバランスを取るのみです。

話を本田選手に戻すと、フィジカルコンタクトに強くパス展開力もあるという彼のプレースタイルに加え、ミランでは献身性を評価されているという点を考慮すれば、攻撃的なボランチに転向すれば、代表でもクラブでも再び輝くことができる可能性がありますし、レジスタとしてミランに優勝をもたらすような活躍ができれば、もしかしたらレアルマドリードから声がかかるかもしれません。

日本代表でも同じポジションでプレーすればチームに良い影響をもたらすことができます。

たとえ右ウイングでプレーできたとしてもMLSへ行ってしまったら「もう世界の第一線では活躍できない選手」とみなされて、ヨーロッパに帰ってくることは困難になると思われます。

そのどちらが本田選手にとって、本当の利益になるでしょうか。

攻撃のポジションであれば、センターFWが唯一機能する可能性のあるポジションではないでしょうか。

以上述べたことは、想像力がたくましすぎる私の妄想だとは思いますが、どの選手をどのポジションで起用してチーム全体のバランスを取るか、それを考えるのは監督やコーチの仕事であって、一介の選手がそれに介入するのはルール違反です。

  今の日本代表における選手起用法について、疑問に思うところをつらつらと書いてみましたが、結論としては「純粋に各選手のプレー内容や現在の実力によって、どのポジションに誰を起用するのかを監督やコーチングスタッフといった現場のプロが決めて欲しい」という、その一言に尽きます。

まだリーガエスパニョーラの厳しい環境に適応しようとしている途中ではあるものの、エイバル戦でのゴールにつながった清武選手のスルーパスは良かったですし、カイザースラウテルン戦で先発した浅野選手も、得点こそありませんでしたが、太ももの外側や尻を上手く相手に当てて一対一に競り勝ち、惜しいシュートやチャンスメークがあって、彼もプレー内容はまずまず良かったですね。この試合における彼のデュエルでの勝率が52%だったと、ドイツサッカー界が驚いているらしいじゃないですか。

清武選手は年齢的にはもうベテランの域ですけど、彼に加えて浅野・原口・宇佐美・武藤ら若い世代が中心となり、日本代表を背負って立ってもらわなければ困る時期に差し掛かっているように思います。

 次回は、どうすれば香川選手を再生できるのかについて、考えてみます。



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■コメント

■ [名無し]

本田選手は以前テレビのインタビューで「ボランチはやれと言うならアジアでなら通用すると思うが世界では通用しない、あのポジションは長いことやっている選手にはかなわない」的な事を言っていました。
確かにそうなのかなと思いますが、管理人さんの言うように特にフィジカルは日本人選手の中でも群を抜いていると思いますのでボランチかワントップが生きるポジションではないかと思います。
今の年齢でのボランチコンバートは管理人さん的にはどう思いますか?

■Re:日本代表における選手起用法についての疑問 [名無しさん]

本田選手は日本代表で重要なW杯予選で7試合連続得点、チーム内最多アシストしているのに結果を出していないという表現はおかしいと思う。
機能面でも今はウィングといっても両サイドが外に張るとは限らない。CFW、トップ下共に小さい日本なら特に逆サイドのSHが中に絞らないと得点の可能性が小さくなる。そもそもワンステップで30~40mのパスを正確に蹴れるような選手がいない為ワイドワイドな戦術を取るのは難しいと監督が考えるのも十分ありえる。
UAE戦のように内側に入り続けるのは悪い傾向だが、ザックジャパンでの偽SH岡崎のように左右非対称なSHを置く戦術もありだと思う。現予選や前回W杯で一番得点している選手を後方に下げるとか科学的ではないw
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