■日本代表をどう立て直すべきか?

 ロシアW杯アジア最終予選の初戦の“誤審”で、厳しいスタートを強いられた日本代表。その逆境が、これまで隠れていたチームのさまざまな問題点を浮かび上がらせることになりました。

機能していない複数のポジション、適材適所で起用されず自分の力を十分に発揮させてもらえない選手たち。

今回は、これから日本代表をどう立て直していくかについて考えてみたいと思います。

 チームの立て直しには、どこが機能していてどこが機能不全におちいっているのか、現有戦力への絶え間ない再評価が欠かせません。

選手を評価する場合は一切の私情を排し、プレーの内容で判断するのが鉄則です。

「槙野はキャラが暑苦しいから、代表に呼ぶな」と言う人もいますが、当研究所はそうした個人的な感情の「好き嫌い」で選手を評価したことは一度もありません。

あくまでも実戦におけるプレー内容や、チームの約束事・監督の指示を守ってチームの勝利のために協調できるかどうかを基準に、その選手をなるべく公平かつ客観的に評価するよう努力しています。

ある選手のプレーをネガティブに評価することもありますが、その選手が憎いから言うわけではありませんし、どこを修正すれば問題が解決され、その選手がフットボーラーとして成長できるか、つねに建設的な提案をするよう心がけているつもりです。

どういう理由であれ、どんなに低調なパフォーマンスでも絶対に交代させられることのない“聖域”となる選手をつくってしまうと、そのチームはたちまち腐っていき、敗北という結果によって厳しい現実を思い知らされることとなります。

プレー内容が悪いのに使われ続ける選手は「何があっても俺は絶対にチームに必要なんだ」と勘違いし、監督の指示を無視して自分勝手な行動をとるようになったり、どんなに練習で良いプレーを見せても試合で使ってもらえない若手は、「これじゃ、一生懸命やるだけムダ」といってベンチで“腐って”しまい、優秀なプレーヤーになるための努力を自ら止めてしまったり、実戦で使ってもらえないのでいつまでたっても経験不足の状態から抜け出せなくなったりしてしまうといった現象は、聖域をつくったがために腐敗してしまったチームにしばしばみられることです。

リオ五輪アジア予選に敗退したなでしこジャパンしかり、ドイツ
W杯で惨敗し最後にチームが内紛から空中分解したジーコジャパンしかりです。

逆に、機能していないとみて当時ナンバー1のスタープレーヤーだった中村俊輔選手を南アフリカW杯の直前に控えに回し、若手に大胆にチャンスを与えて決勝トーナメント進出を勝ち取った、岡田ジャパンの教訓から学ぶべきなのです。そのとき急成長したのが本田選手であり、長友選手でしたよね。

「絶対に外せないスター選手などチームにいらない。すべてに優先させるべきスターはチームである」というのが、当研究所のゆるぎないポリシーです。

「継続性」と「選手間の競争」という2つの相反することのバランスを上手くとっていくことも、チームづくりにとって非常に重要だと思います。

聖域をつくってしまえば、チームはどんどん腐敗していきますが、競争が大事だからといって毎試合先発メンバー全員の顔ぶれが違うというのも、チームの強化から継続性が失われ、勝者になるための経験が蓄積されていきません。

その2つのバランスをうまくとるためには、調子の良い選手は継続して使ってあげることで良い意味で「調子に乗らせる」、低調なパフォーマンスを繰り返している選手はそのポジションから外し、練習で良い動きをしている別の選手にチャンスを与えることで、常に新鮮な風をチームに吹き込み、緊張感を持たせることが極めて重要です。

たった一度でも外された選手はそこでチームから永久追放ということではなくて、新しくチャンスを与えた選手が期待はずれだったり、パフォーマンスが低下してきたときに、自分の弱点を克服したというところを練習で確認できたら、再び実戦で起用して再チャレンジの機会を与えてやり、絶え間なく競争させていくべきです。

いくらチャンスを与えても何シーズンも成長が見られない選手は、クラブなら売却を、代表チームなら招集を以後見合わせるということになります。

 前置きが長くなりました。それではいよいよ本題に入りますが、UAE戦・タイ戦でプレー内容が良く結果も残すことができていたのは、攻撃ではまず原口選手でしょう。

浅野選手もスピードを生かしてサイドを突破し、タイ戦では本田選手への惜しいアシスト未遂がありましたし、チームを楽にしてくれる追加点もマークしています。

UAE戦での清武選手は最後のクロスのところで精度に難ありでしたが、中盤でのパス出しそのものは悪くなく、1アシストを記録するなどセットプレー時に質の高いボールが蹴れる存在として貴重です。

守備ではタイ戦で起用された山口選手がまずまず良かったと思います。

次のイラク戦では彼らを継続的に使ってあげるべきでしょう。

逆に、味方からボールを受けてそれを確実に前の選手へつなぎ、攻撃の組み立ての中心となる役割を2試合とも果たせていなかった香川選手のポジションは、早急にテコ入れが必要です。

スピードやテクニックで一対一のデュエルに勝ち右サイドを崩すということができていない本田選手のポジションも、現在の代表で大きなミスマッチが起きているポジションです。

本田選手は右ウイングのポジションなのに、ピッチの中央へ中央へと流れてゴール正面で何度も決定機にからんでいるのですから、彼の特徴にあったポジションへコンバートすれば、このチームで生きる余地はまだあると思います。

岡崎選手も、ゴール前で相手のマークを外してフリーになる工夫(この能力だけをみればマインツの武藤選手の方が上)が全然足りず、ただガムシャラに走り回るだけでは限界に来ています。ミドルシュートも枠に飛ばず、今のところ期待薄です。

守備では、西川選手がタイ戦ではまずまずだったものの、UAE戦では不満の残るパフォーマンスでした。ハリルホジッチ監督はしばしば思考に柔軟性を欠いているように思いますが、現時点においては川島選手の方がGKとしての能力が上のように見えますし、試合に出ていないから出さないと決めつけるのではなく、代表に呼んで練習中のパフォーマンスで西川・川島のどちらを使うか決めた方が良いです。

GKは体の手入れを念入りにやれば、40歳ぐらいまでやれる場合がありますし、彼で時間稼ぎをしている間に、身長が最低でも190㎝以上あり、若くてキャッチングが安定しており、反応速度も速い選手を育てるというのも一つの手です。ドンナルンマみたいな将来有望な若手がこの日本にいませんかね。

また長谷部選手もこの2試合、試合を決定づけるようなミスを守備で繰り返しています。彼の後継者育成を考える時期に来ているように思えます。

酒井高選手はタイ戦でひどい出来でした。単にめんどくさがりなのか、自分がプレーに関与してミスするのを恐れる消極性の問題なのかわかりませんが、即失点につながりかねないミスをザックジャパン時代から何度も繰り返しています。あの最悪のクセが治らないかぎり代表には呼べません。

あと、国内組の選手全体に対する評価についてなんですが、Jリーグは中盤で守備側からのプレスや、ゴール前でのフィジカルコンタクトがほとんど無いに等しく、いくらでもフリーでシュートを打たせてもらえるので、Jリーグで何十ゴールを記録したとか、何十アシストしたみたいな結果をそのまま額面どおり受け止めることはできません。

Jリーグで多くのゴールをあげているプレーヤーがACLになったとたん点がとれなくなったり、国内組だけで臨んだハリルジャパンが、昨年の東アジアカップで最下位に終わったことを思い出さないわけにはいきません。

たとえばJリーグで1シーズンに20ゴールあげた選手が、フィジカルコンタクトが厳しくプレースピードやインテンシティが格段に高い欧州四大リーグに移籍したら、ゴール数が1/10以下になってしまうようなことは十分ありえるので、国内組の選手の評価には慎重になる必要があります。

 以上の点を考慮に入れ、次のイラク戦にどういうメンバーを送り出すべきか考えてみました。



              本田  
            (ハーフナー)

      原口     清武       浅野


           山口   長谷部   
                 (本田)

     長友   森重   吉田   酒井宏
    (太田)

              川島


 センターFWに浅野選手を入れても良いのですが、もし守備に問題がなければ右サイドハーフで起用し、得意のスピードを生かしてこのサイドをぶっちぎり、ゴール・チャンスメークの両面で期待しています。

小林悠選手はこれまで3度このポジションでチャンスを与えられたはずですが、ほとんど機能していません。乾や南野、Jリーグで好調のFC東京・中島など、そろそろ別の選手にチャンスを与える頃合いかもしれません。

センターFWには本田選手をもってきました。「最前線でゴールをあげるヒーローであり続けたい」というのが彼の希望なら、機能する可能性があるのはこのポジションぐらいでしょう。タイ戦で浅野選手からの百点満点のクロスを外しましたが、あれが続くようならこのポジションでプレーする資格はなくなります。

今の代表はサイドからのクロスが多めなのですが、だったらヘディングシュートに長けるハーフナー選手を呼ぶべきではないでしょうか。バイタルエリアで彼の足元にパスを当ててそのリターンを2列目の選手が受けてシュートというプレーも狙えますし(フィジカルの強い本田選手も同様)、彼に引きつけられて他の選手がゴール前でフリーになれる可能性も高まります。ハーフナー選手はクラブで結果が出なくてもじっと辛抱してカッカしないことです。

個人的には岡崎選手は現状このポジションの4番手と考えています。今季開幕戦でドルトムント相手にゴールをあげたのが好例ですが、足の状態さえ問題なければゴール前で相手のマークを外してフリーになるのが上手い武藤選手が3番手です。

クラブでも好調の原口選手を左サイドハーフから外す手は今のところないと思います。もし召集されるなら宇佐美・乾・中島の各選手あたりがこのポジションで競うことになるでしょうか。

トップ下はパス能力に優れる清武選手が現在のファーストチョイスで、香川・柏木選手らがその控えです。

ダブルボランチは山口選手と長谷部選手ですが、本田選手がここでプレーできれば、最近失点につながるようなミスが多い長谷部選手を外して、ワントップにハーフナー選手をいれたらどうでしょうか。

本田選手はフィジカルコンタクトに強く、パス展開力もあり、ミランでは献身性が評価されているわけですから、このポジションで起用したら面白いのではないでしょうか。この位置からゲームをつくり、トップ下やワントップにボールを預けてからリターンをもらい、自分でゴールを決めればチームの攻撃パターンも増えますし、いくらでも本田選手が目立つことはできますしね。

左サイドバックは長友選手と太田選手で競い、右サイドでは最近クロスの精度があがってきた酒井宏選手がそのまま入ります。

GKは練習で特に問題なければ川島選手です。センターバックの層が薄いのは相変わらずで、スペイン2部ヒムナスティックの鈴木選手が良いプレーをしているなら、代表に呼んでみてはどうでしょうか。

守備時は、両サイドハーフがダブルボランチのところまで下がり、4-4のコンパクトな守備ブロックをつくって90分間守ります。

本田選手のセンターFW起用がダメだったら試合中に浅野選手とポジションを交換して元へ戻せばいいわけですし、清武選手のトップ下が機能しなければ、香川選手に戻したり柏木選手にチャンスを与えたりすればいいわけです。

どんなに機能しなくても本田・右サイド、香川トップ下にこだわり続けるのは理解不能です。

 イラク戦をこれで行って勝てた場合、オーストラリア戦でもこのメンバーで行くかどうかは思案のしどころです。

前回記事でも指摘したとおり「あわよくば勝利を狙うが、アウェーなら最低でも勝ち点1取れればOK」と割り切り、守備をガッチリ固めカウンターサッカーを狙うというのも一つの考え方です。

オーストラリアのスカウティングビデオを見て、現在の日本との力関係をどう見るかにもよります。相手が相当上と見るなら、次のようなフォーメーションへの変更も検討する価値があるのではないでしょうか。


             ハーフナー

           浅野
          (香川)


    原口    山口    本田    SH  



    CB     森重    吉田    CB   


              川島

日本では、両サイドバックは何が何でも攻撃参加しないといけないと考えられているようですが、あえて両サイドにセンターバックタイプの選手をいれて攻撃参加は控え、失点しないことを最優先にした布陣です。(そのかわり2トップ+両サイドハーフにはしっかり動いてもらって得点を取ってもらいます)

昌子選手や丸山選手は今でもサイドバックできましたっけ?

右サイドハーフの人選が難しいですが、守備に穴をあけることなく、スピードやテクニックでサイドを突破して相手を崩せる選手ならべストです。

ボールを奪ったら、両サイドハーフや浅野選手のスピードを生かしたコレクティブなカウンター攻撃を仕掛けます。(ロングボールを単純に放り込むような攻撃への対応は、オーストラリアのCBが最も得意とするところだと思います)サイドからのクロスやセットプレーからハーフナー選手のヘッドでゴールしても良いでしょう。

オーストラリアはこういうタイプのチームへの対応は慣れていそうですし、カウンターサッカーという弱気なチョイスが逆に裏目に出て勝ち点が1つも取れなかったという可能性もあり得ますので、トップ下のポジションは無くさずにあえて普段どおりの戦い方で行くべきか、そのあたりの判断は監督さんにお任せします。

 次のイラク戦までたった1か月しか問題を修正する時間が残されていませんが、まだ間に合います。

日本代表の監督・コーチが海外に散らばる代表選手たちに、90分間コンパクトな守備ブロックをつくってゾーンディフェンスをする時のやり方とか、攻撃のときに5トップ6トップみたいな形となってゴール前に張りつくことで相手のマーカーも集結させてしまい、自分たちで相手ゴール前に2階建てバスを置くような攻撃をしないとか、3人の味方で三角形をつくってプレスをかけてきた相手選手1人を取り囲み、いつもの練習でやる「鳥かご」のようにテンポ良くパスを回してボールを前へ運ぶとか、次の予選が始まるまでに解決しておくべき課題を図をふんだんに使った手紙や映像ビデオにまとめて各選手に送り、各自で勉強や個人練習をしておいてもらって、10月に日本に再集合してもスムーズに全体練習に取りかかれるようにしておくべきです。国内組の選手には、監督やコーチがマンツーマンで指導できるはずです。

もう1秒たりとも時間を無駄にはできません。

 以上、W杯アジア最終予選で厳しいスタートを切った日本代表の再建策をいくつか提案してみました。

「本田・香川選手のところを変えるのはリスクが高い」と考える人もいるのかもしれませんが、UAE戦・タイ戦でこれだけ危険信号が出ているのに、何も変えずに現状維持を選ぶ方がよっぽどリスクが高いと思います。

機能していないポジションを2つも放置しておいて勝たせてくれるほど、世界のサッカーは甘くないです。

ライカールトのバルサ・モウリーニョのチェルシー・ベニテスのリバプール・アンチェロッティのミランが、個の能力が高いのは当たり前で組織戦術の高さをCLで競っていた時、日本国内では「組織サッカーは選手の個性をダメにする」というジーコジャパンが「個の自由を大切にするサッカー」として賞賛されていましたが、当研究所はそれは危ういと厳しく批判していました。

うちがヤバイと言ったときは本当にヤバイですから。

次回は、UAE戦の“誤審”問題などについて、ちょっとした雑談をします。




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