■タイに勝利も、課題山積(その2)

前回のつづき

 タイ戦で特筆すべき活躍をしたのは先制ゴールをあげた原口選手。日本人選手が頭を振ってヘディングシュートをする場合、自分のヘソを相手ゴールに向けながら頭を振って、右からきたボールを左へ、左から来たボールを右へとヘディングシュートすることが多いのですが、それではシュートが枠に行かないのは当たり前。 原口選手は自分の肩を相手ゴールへ向けて右から左へ頭を振ったので、シュートがちゃんと枠を捉えゴールすることができました。他の日本人FWも見習うべき。
ただし相手サイドバックの30㎝前方でゴールに背を向けて立ち止まっている時間も長く、それでは相手バックラインを崩せません。サイドや相手バックの前のスペースで、常にフリーでいられるよう「宙ぶらりん」のようなポジションを取ることです。力いっぱいシュートしてゴールが枠を捉えないことも多いので、キックフェイントで相手選手を地べたに這いつくばらせてから、ゴールの枠内へ正確にシュートするなど、駆け引きの面でも向上していくこと。

浅野選手は、バイタルエリアでバウンドしたボールを処理しようとしている相手DFに対し、勇気をもってヘッドでボールをかっさらい、一対一に持ち込んでからGKが一番防ぎにくい右の脇の下を狙ったシュートで落ち着いてゴールを決めることができました。
こういう駆け引きがちゃんと出来るFWは好きですね。得意のスピードでサイドをぶっちぎって味方のシュートチャンスもつくり、UAE戦で沈滞していた日本の攻撃を活性化させました。
ただ、力任せにシュートしてゴールを大きく外す場面もあったので、そのへんは良く考えてプレーを改善させるべきです。

酒井宏選手は、原口選手のゴールを正確なダイレクトクロスで素晴らしいアシスト。ようやくクロスを味方に合わせることができましたね。
しかし、後半ペナルティエリア内で相手にボールを奪われ、失点につながりかねないミスをしたのはいただけません。ペナの中で細かいプレーをするよりも、安全第一で大きくクリアするべきです。

山口選手は相手ボールになった直後、タイのボール保持者を早め早めにつぶしていき、チームのピンチを未然に防ぐプレーで守備に大きく貢献。あとはボールを奪った後、攻撃の選手へ確実にパスをつなげられるとなお良いです。スルーパスを出す場合は、2人のバックの間は確実に抜けるパススピードで、なおかつ相手バックの後方5mぐらいでボールの転がりが弱まるようにキックすれば、ウラヘ抜け出した味方がGKと一対一の形をつくりやすくなります。

西川選手はタイの選手との一対一の場面で、相手のシュートを顔面でナイスセーブ。最後まで我慢して相手の動きを良く見て対応できました。

 逆に香川選手は「結果」を出そうと焦りすぎているのでしょう、完全に平常心を失い、プレーが空回りしています。特に後半は頭がパニックになっているように見えました。

ゴールを焦るあまり相手バックの前のスペースへ早すぎるタイミングで侵入してしまうので、自分も味方のFWもプレーするスペースが無くなってしまいます。香川選手はしばしば「プレーするスペースが無かった」というコメントを試合後に残しますが、その50%は香川選手自身の誤ったポジショニングが原因です。

よほどパスが欲しかったのか、中盤をドリブルする原口選手の横1mを並走して、前方から来たタイの選手をまったく見ておらず、相手と激突してチームの攻撃チャンスをつぶしたり、サイドでボールを持っている味方に接近しすぎて衝突し、ボールを奪われてみたりと、大混乱だった彼のプレーを象徴するようなシーンの連続。

そうかと思えば、後半29分に「結果」を残す絶好のチャンスが訪れ、自分の右前方5mにゴールがあるにもかかわらず、シュートを打たずに左にいた原口選手へのヘディング・パスを選択して、ゴールを記録するチャンスを逸してしまいました。左にヘディングするにしてもせめてゴールの枠内に飛ぶようにして、原口選手が触れても触れなくてもシュートがゴールの枠内に行くよう「保険」をかけておくべきでした。

香川選手は、ダブルボランチやサイドバックがボールを持っているとき、そこから遠くてパスを受けられないところを歩いているシーンが多く、「顔出し」の動きが足りなすぎです。自分がパスを出した後の動きも不適切であることが多く、パス出しした後、相手選手の1m脇を歩いているケースが多く、これでは味方からリターンパスが受けられません。彼の適切でないポジショニングが、チームが中盤で攻撃を有効に組み立てることができない最大の要因になっています。これについてはすでに「岡崎選手の課題、香川選手の課題」で指摘済みです。

香川選手は、トップ下として自分が果たすべき仕事について、頭の中でぜんぜん整理できていないのだと思います。
当研究所が考える4-2-3-1のトップ下に求められる仕事は、
「攻撃80%・守備20%」です。「80%の攻撃」のうち、サイドバックやボランチからパスを受け、それを前方の3人へつないで中盤におけるパス回しの中心として働いたり、味方へラストパスを出してゴールを決めさせるなど「攻撃を組み立てる仕事が70%」、機を見てゴール前へ侵入し味方からパスをもらって
「自分でゴールを決める仕事が30%」です。「20%の守備」は、前線から相手ボール保持者を追いかけて、後ろの選手が守りやすいようにパスコースを限定するのが仕事となります。

こうした役目をきっちり果たすことが香川選手に求められる最低限の「結果」であり、それでチームを勝たせた上に自分でアシストやゴールを記録すればボーナスポイントが与えられます。香川選手は自分でゴールやアシストを記録することだけが「結果」だと勘違いしているから、間違ったプレーを繰り返し、それによってチームの攻撃が機能しなくなっているわけです。

UAE戦後の記事で「トップ下から香川選手を外すべきだ」と書きました。読者の皆さんは「いくら出来が悪かったとはいえ、そこまでしなくても...」と思われたかもしれませんが、私はタイ戦での彼のプレーを見て、自分の判断が正しかったと確信しました。次のイラク戦こそ勇気をもって彼を外すべきです。

状況が改善されないかぎり何度でも同じことを指摘しますが、本田選手は右ウイングとしてまったく機能していません。タイ代表レベルでさえ一対一に勝ってサイドを突破し、シュートチャンスをつくることができていません。サイドを抜けない彼がピッチの中央へ中央へと流れてくるため、右サイドの攻撃に幅がつくれなくなり、酒井宏選手からのクロスしか右サイドの攻め手が無くなっています。加齢でスピードや体のキレが低下しており、日本の攻撃に速さが出ない要因の一つになっているようにも見えます。コンパクトな守備ブロックをつくるために自陣へ戻ることもできず、守備が安定しない原因に。

もし日本がロシアW杯に出場することができたとしても、欧州や南米などのレベルの高いチームが相手なら、なおさら本田選手の右ウイングが日本の弱点になります。日本代表を本気でW杯へ行かせたいなら、もう彼を右ウイングで起用してはいけませんし、このままだと彼と一緒にすべての日本代表選手がロシアW杯を自宅のテレビで観戦することになりかねません。

本田選手はピッチの中央で惜しいシュートを放ったり、スルーパスを出したりしているのですから、ピルロやヤット選手のように攻撃的なボランチなどでプレーすれば彼もチームも生きるのに、どうしてそういう選択が取れないのでしょう。右ウイングでの起用はハリルホジッチ監督の指示でしょうか、それとも本人の希望なんでしょうか。

ブラジルW杯以後クラブでも代表でも、突然彼はトップ下から右ウイングへとポジションを変えたわけですが、どんなに結果が出なくてもそこにこだわらなければいけない理由を、本田選手自身がマスメディアを介してサポーターに説明してくれないでしょうか。取材が認められているプロの記者さん、お願いします。

酒井高選手は後半24分、相手ボールになっても4バックのラインをそろえるために戻る動きが緩慢で、彼のウラのスペースをタイにつかれて、あわや失点かとシーンをつくられてしまいました。 後半37分には、ボールの一番近くにいた酒井高選手が大きくクリアしておけば何でもないところを、わざわざ遠くにいたGKの西川選手に処理を任せたため、背後からやってきたタイの選手にボールを奪われてあわや西川選手が一発退場かというピンチを招くボーンヘッド。 彼は2013年11月に行われたベルギーとのテストマッチでも、ルカクのゴール前へのクロスをさっさとクリアしておけば何でもなかったのに、ゴール前で無駄に余裕をかましているうちに、背後から追い抜いたミララスにボールを奪われて失点という大失敗をやらかしています。 失点に直結しかねないミスを何度も何度も繰り返している彼のDFとしての危機感の無さは異常であり、この悪いクセが完全に治るまで代表に呼ばなくていいです。

長谷部選手は浅野選手のゴールをアシストしたのは良かったんですが、前半27分に失点につながりかねないミスパス。UAE戦でもドリブルが大きくなって、決勝点となるPKの遠因をつくってしまいましたが、ボランチの後ろはもうバックしかいないわけで、自陣深くでは安全第一でのプレーをお願いします。経験あるベテランらしくないイージーミスが最近多すぎで、もう一度パスやトラップ・ドリブルから自分の技術を見直して欲しいと思います。

ボールの空気圧が弱いとアピールした森重選手の行為は余計だったと思います。もしそれをアピールするなら、相手陣内深くのタッチラインを割るように自分がボールを大きく蹴り出してから、ボールボーイに交換を要求した方が良かったのではないでしょうか。

 次回は、疑問だらけだったハリルホジッチ監督の采配について見ていきます。



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