■日本代表の試合内容、どこが悪かったのか?

 前回記事のコメント欄で日本代表を真剣に心配して下さっている読者の皆さん、どうもありがとうございました。

日本サッカー協会会長の田嶋さんがFIFAに抗議するとのことですので、何かしら次の動きがあるまで、今は事件のなりゆきを見守ることにして、次のタイ戦に勝つために私たちができる精一杯のことをやりましょう。

私ができる唯一のことは、日本代表の問題点を指摘して広く
日本サッカー界に問うことで、すみやかにそれを修正してもらうことです。

最後にもう一度言っておきます。確かに日本代表の出来もあまり良くはありませんでしたが、そうした悪い試合内容であっても、浅野選手の1ゴールは日本代表がサッカーのルールにのっとって正当に手に入れた権利ですので、「内容が悪かったのだから浅野選手のゴールが取り消されて負けてもしょうがない」という考え方は、一見、潔くて美しい主張のようにみえますが、絶対に間違っていると思います。

        ☆        ☆        ☆

 そのUAE戦の日本代表、試合内容のどこが悪かったのか、今回の記事で分析していきます。

結論から言えば、「選手配置のバランスが非常に悪かったので、攻撃でも守備でもチーム組織がまったく機能しなかった、それが試合に勝てなかった最大の原因である」という、この一言に尽きます。

図1を見てください。

図1
バランスが悪い
(クリックで拡大)

2014年ブラジルW杯のギリシャ戦(0-0)から、ロシアW杯アジア2次予選初戦のシンガポール戦(0-0)、そしてこの試合と、
日本代表は同じ間違いを何度も何度も繰り返しているのですが、日本がゴールが欲しくて欲しくてたまらない時は、いつも4-2-3-1のフォーメーションを自分たちで大きく崩してしまい、バック3人とボランチ1人以外は、みんながみんな「俺がシュートするから、ボールをよこせ」と言わんばかりに、全員が相手のバックラインと一列に並び、6トップみたいな形になっちゃうんですね。

これがすべての元凶です。

日本の6トップがゴールを焦るあまり、ペナルティエリアの中で相手DFラインと一直線に並んでしまうと、DFラインのウラのスペースがまったく無くなってしまいますし、6トップが敵選手をたくさん呼び寄せてしまうために、バイタルエリアからパスを出したり受けたりするためのスペースまでつぶれてしまいます。

つまり、ゴールが欲しくてたまらないのに、日本の6トップがゴール前に密集することで相手選手を集中させてしまい、「相手ゴール前に2階建てバスを置く状態」を自分から招いてしまっているんですね。

こうなるとサイドバックから単純なクロスをあげるしか攻撃パターンがなくなってしまい、相手はただヘッドでクリアするのを繰り返すだけで済みますので、非常に守りやすくなっています。

そして日本の中盤があまりにもスカスカなので、UAEのバックによってクリアされたボールのほとんどを相手に拾われてしまい、フォーメーションを大きく崩しているので日本は4-4のコンパクトな守備ブロックをつくることもできません。それが原因で相手のカウンター攻撃をもろに浴び、危ないシーンを何度もつくられていました。ゴールが欲しいのに相手のカウンターで日本の攻撃時間が削られてしまうという悪循環。

ゴールが欲しくてたまらないサッカー選手は、ゴールの近くへ近くへと動いていく本能がありますが、その本能が逆に自分たちを得点から遠ざけているのだということに、本田選手をはじめ、すべての代表選手が早く気づいてください!!

 次に、バランスの取れた選手配置による攻撃の例を示します。図2を見ながら説明します。

図2
バランスが良い
(クリックで拡大)

攻撃でも守備でも組織を最大限機能させることで相手からゴールを奪い、失点を防ぐため(つまり試合に勝つため)には、4-2-3-1ならそのフォーメーションをできるだけ維持しながら、味方の3人の選手でトライアングル(赤線による三角形)をつくり、いつも練習でやっている「鳥かご」のように、リズム良くパスを回しながら相手のプレスをかわしてボールをバイタルエリアへと運んでいきます。


        CF


 LH     OM     RH
       

      DM    DM


 SB   CB    CB   SB

        GK


センターFW(CF)と左右のハーフ(LH・RH)は、中盤で味方がパスを回している段階では、相手DFラインのウラヘ動き出すタイミングをできるだけ遅らせます。

ゴールが欲しいからといって早すぎるタイミングでウラヘ動くと、相手DFラインまで下がってしまうからです。よってゴールから自分が遠くにいる状況に不安を感じても我慢すること。

相手DFのウラは広ければ広いほどスルーパスを受けやすくなりますし、そこでパスを受けてドリブルでGKと一対一になってしまえば、自分がそれより以前のタイミングでゴールから遠くにいることなんて不利でも何でもありません。

自分の感情で動くな、戦術セオリーの理詰めで動け!

バイタルエリアの一つのスペース(DFラインの前にある黄色い丸)に入れる日本の選手は原則として1人です。バイタルエリア全体ではどんなに多くても3人ぐらいまでにしておくこと。それ以上の味方が集まると、味方がスルーパスを出すために使うスペースがつぶれてしまいます。

トライアングルをつくりながらパスを回してボールを前へ運び、バイタルエリアの黄色い丸の中にいる味方にパスが通ったら、別の選手がいよいよ相手DFラインのウラヘ走りこみます。

サイド攻撃を狙うなら、RHにボールが入ったタイミングで右のSBがオーバーラップをかけ、RHが右のSBにスルーパスを通し、ウラヘ抜けた右のSBがゴール前へグラウンダーでアーリークロスを入れたり、サイドをえぐってからマイナスのクロスを入れて、中央へ走り込んだ味方に決めさせます。

中央突破を狙うなら、CFにパスが入ったタイミングでLHが相手DFラインのウラヘダイアゴナルラン、CFはLHへスルーパスを通し、LHはGKとの一対一に勝って冷静にゴールを決めます。

あるいは、わざと空けておいたバイタルエリアのスペースに、トップ下(OF)やボランチ(DM)が走りこんでパスを受け、そのタイミングでダイアゴナルランしたLHやCFにスルーパスを通します。

この状態でもしボールを失ったとしても、分厚い中盤が控えていますので、左右のハーフがダブルボランチの横まで戻ることで、すみやかに4-4-1-1の守備ブロックをつくり、相手の攻撃に備えます。

選手配置のバランスが非常に悪い、図1を見てください。

もしRHの浅野選手のところでボールを失ったら、敵のボール保持者の前で守っている日本の選手は4人しかいません。

これが選手配置のバランスが良く取れている図2の状況においては、RHのところでボールを失っても、敵ボール保持者の前方にいる日本の選手は7人です。

どちらが相手のカウンター攻撃に強く、失点の確率が低いかは一目瞭然ですね。

図2のような攻めを、日本がたとえ1点リードされた状況でも辛抱強くやらなくてはダメです。焦って図1のような攻めをやったらゴールを奪うのは本当に難しくなります。

 以上が、日本がUAEに勝てなかった、戦術上の最大の原因です。

もしこの記事を読んでいる方で、ハリルホジッチ監督など代表チーム関係者とコンタクトが取れる人がおられるなら、次のタイ戦まで練習時間が2日しかありませんが、この記事を読んでもらって代表チームの戦術上の問題点をすみやかに修正するよう伝えてもらえないでしょうか。

今の日本代表の状態は本当に心配です。

「欧州4大リーグでやっている俺たちがアジアで負けるわけがない。攻撃も個の能力だけで崩せるし、守備ブロックをつくるために自陣に戻るなんてかったるいことやってられるか。バックも個でも守りきれるでしょ」みたいに、日本代表の選手一人ひとりが自分にうぬぼれ、思い上がっているのでしょうか?

今の日本代表は、昨シーズンのダメダメだったACミランみたいに、攻撃でも守備でも個人がバラバラにプレーしており、組織というものがありません。

この試合で言えば、UAEに先制したところまでは少なくとも攻撃に組織はあったと思いますが、試合の後半はゴールを焦るあまり冷静さを完全に失ってしまったのか、全然ダメでした。

6人もの選手が「俺がゴールを決めるからクロスを入れろ」と最前線に張りっぱなしで、サポートしてくれる味方がいないので、パスコースがないボール保持者はどこへパスを出すか迷うばかり。

パス回しにスピードがでるどころか、ぜんぜんパスがつながらないので相手の守備を崩すことができません。

結果、ゴール前へサイドから単調なクロスを入れては、はね返されるのを繰り返すだけ。

次の試合でもこれを繰り返したら本当にヤバイです。


パスサッカーの基本(その1)

パスサッカーの基本(その2)

より高度なパスサッカー(その1)

より高度なパスサッカー(その2)

より高度なパスサッカー(その3)



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■コメント

■Re:日本代表の試合内容、どこが悪かったのか? [名無しさん]

やはりこういう俺が俺が決める主義は俺たち欧州にいって活躍してるというプライドやうぬぼれもあると思いますが、それと当時にそう選手を付けあがらせてしまう、日本のヒーロー主義の報道も影響してると思います。
あと良くも悪くも南アw杯で16強に行き、本田選手がヒーロー、救世主になってしまったのも余計に拍車かけてしまったと思います。誰が決めてもチームの1点なんですが、他国でもそうですがゴールした人がもてはやされてしまうがために...。
精神的には負けず嫌いですが自分は黒子、脇役でOKって考えの内田選手の存在の大きさが身に沁みます。

■Re:日本代表の試合内容、どこが悪かったのか? [名無しさん]

香川選手好きで応援してますが、こういうところ成長できてなくて残念です。
ドルトムントでは香川選手もゴールの意欲持ってますが、優先権はオバメ、ロイスにあるので少し引いたところで上手くやれているんですけど、代表になるとどうしてもエース、10番だから、香川が決めろっていうマスコミやわれわれサポーターからの無言の圧力も責任感となってゴールとは逆効果になってしまっているのも毎度苦しい思いです。
香川選手自身はそれに打ち勝ってゴール決めたいって思ってるだろうけど、まずはハリル監督の指示を守り、チャンスが来たら決めるくらいの落ち着いたスタンスでいてほしいんですけどね。

こういう報道が続くかぎり今の北京世代が代表引退してもまた新たなスターをもてはやすだけだと思うので、日本社会のいびつな構造も影響して暗い気持ちになってしまいますね。

■ [名無しさん]

この試合で、日本代表が弱いから負けたのだ。誤審を責めるよりちゃんと勝てばいいだけ。サッカーなんてそんなものだという意見がよくみられます

確かにそういう意見にも、ある程度理解もできる部分もあるかも知れませんが、その事と今回の誤審の問題は全くの別問題だと思います

今回の事は許してはいけない事であり、それならば日韓W杯の時のスペインやイタリアは韓国より実力が無かったからだという話になってしまいます

相手にフェアを求めず自己反省ばかりするような精神があるからこそ日本は舐められているのだと思います

■Re:日本代表の試合内容、どこが悪かったのか? [名無しさん]

焦り始めると中央にワラワラ集まっちゃうのはザック時代からずっと今も続く悪いところで、
日本代表チームの弱さというか大きな欠点は良くなかった試合、負けてしまった試合の反省点が次の試合になると、
時間が経つとすっかり忘れてしまう事です。
一言言いたい「あなたたちは何度同じ失敗を繰り返せば分かるのかと」

判断力も問題です。中央の密集地帯でワンツー繰り返して上手くいかないなら自分の判断で、サイドにもうちょっと開くとか多様さを作るべきです。日本の選手は上手くいかない時に違う事をやってみるということが非常に苦手のように
感じられます。明らかに冷静さを失い一本調子で同じことをやるので見ていても
守る方は楽なように感じられます。
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