■岡崎選手の課題、香川選手の課題

 欧州各国リーグが開幕し、日本人選手の活躍が続々と報じられていますが、彼らが欧州四大リーグで輝くためにはどうしたら良いか、課題点を指摘するとともにそれをクリアするための解決策を提案をしていきたいと思います。

 まずプレミアーリーグ、スウォンジー戦に出場した岡崎選手ですが、相変わらず豊富な運動量でチームを助け、パスで攻撃を組み立てるなど新しい一面も見せてくれ、現地での評価も高くなっています。

それはそれで大変結構なことで、これにゴールがあれば「申し分なし」です。

では、どうして岡崎選手の献身的なプレーがゴールにつながらないのかと言うと、「自分がシュートを打つためのスペースをつくり出すこと」ができていないからです。

これが岡崎選手が解決すべき課題です。

彼は「自分がシュートを打つためのスペースは相手DFラインのウラにある」と考えて、サイドにいる味方がクロスボールを入れる態勢に入ると、ペナルティエリアの手前10mぐらいから一目散にダッシュしてペナの中にある相手DFラインのウラを取ろうとするのですが、こうしたプレーがことごとく徒労に終わっています。

具体例をあげましょう。

昨シーズン(2015-16)終盤、オールドトラフォードでのマンチェスターU戦で、レスターが勝てば優勝が決まるという大一番、しかしエースのバーディを出場停止で欠いており、岡崎選手に優勝をたぐり寄せるゴールの期待がかかります。

後半5分だったでしょうか、レスターがカウンターを発動し、シンプソンが右サイドでクロスを入れる態勢を取りますが、岡崎選手は相手DFラインのウラでボールを受け、シュートをしようと猛然と前方へダッシュします。

しかしユナイテッドのDFスモーリングはそんなことは百も承知、走りこむ岡崎選手と併走してプレッシャーをかけ、結局岡崎選手はシンプソンのクロスに触ることはできず、決定的チャンスを逃してしまいました。(図1)

図1
岡崎1
(クリックで拡大 以下同様)

ウラヘ抜けてDFの前でボールに触ってコースを変え、シュートするというプレーは選択として間違いではないですけど、あまりにもコテコテの正攻法で、プレミアの経験豊富なDFが相手ならば簡単に読まれて防がれてしまいます。

1回の決定機で、シュートを打つことができるスペースを最低でも2つ以上見つけ出すことができれば、守備の的が絞れない分DFとしても対応が難しくなりますし、そういうFWこそ高いレベルのリーグで結果を残していくことができるのです。

例えば前述の状況では、スモーリングはボール保持者のシンプソンと自分の背後にいる岡崎選手を同時に視野に入れることはできません。これを上手く利用できれば、岡崎選手はシュートを打つためのスペースを「相手DFのウラ」以外でもつくりだすことができます。

スモーリングが岡崎選手の方を見た瞬間、前方へ猛然とダッシュすれば、スモーリングは自分の前を岡崎選手に取らせないよう一緒に前方へと走るでしょう。そしてクロスがいつ来るか確認するためにシンプソンを見た瞬間、岡崎選手はその場でピタッと止まります。もし必要なら岡崎選手が数歩後退しても良いでしょう。

そうすれば、岡崎選手が自分について来ていると思い込んだスモーリングは前方へ行きすぎてしまい、ピタリと止まった岡崎選手の前方に2~3mのスペースがつくれます。そこでシンプソンとアイコンタクトをしてクロスを自分に入れてもらえば、フリーでシュートが打てるでしょう。

クロスがグラウンダーならトラップせずにダイレクトシュート、浮き球なら頭をブリブリ振り回さずに確実にミートすることを心掛け、GKに当てないように強いヘディングシュートがゴール枠内へ飛ぶようにすれば、ゴールの確率が高まります。(図2)

図2
岡崎2

もしスモーリングが自分の背後で岡崎選手が立ち止まることを恐れて、前方へのダッシュをためらったときは、スモーリングの前もしくは後方へ遠慮なくダッシュして相手DFラインのウラでシンプソンからのクロスを合わせれば、ゴールできます。

「相手DFのウラのスペースへ走りこんでシュート」ばかりでは、いつもパーしか出さないじゃんけんのようなもので、相手に読まれて勝つことはできません。グーやチョキを出すことによって相手に的をしぼらせなければ、自分が一番出したいパーが生きてくるのです。

 ゴール前でのセットプレーなど別のシチュエーションにおいて、「ゴールの嗅覚が優れている」と言われるFWが、クロスが入ってくるのとは反対の、ファーポストの前方数mのところ(イングランドサッカー界で言うところのプライム・スコアリング・エリア)で待ち構えていることがあります。(図3)

図3
PTG1.jpg

このエリアは、直接味方のクロスが飛んでくるだけでなく、味方のクロスを相手GKやDFがクリアしたボールや、味方のシュートをGKがはじいたボールがこぼれてくることが多く、GKの位置を事前に確認しておいて、自分のところへボールがこぼれてきたらどうシュートするか常に頭に思い描いて準備して待ち構えていると、得点の確率が高まります。

いつもいつもゴール前中央で相手DFにヘディングで競り勝とうとするのではなく、たまにはこういうプレーを狙っても面白いのではないでしょうか。

 次に香川選手の課題です。

2ゴールをあげたポカールやリーガ開幕戦となったマインツとのゲームでは、中盤での攻撃の組み立てが今ひとつ上手く行っていないようでした。

その原因は、中盤でパスを受ける時のポジショニングが適切でないことにあります。

香川選手は味方にパスを出した後、大きく動きすぎてしまい、敵選手の死角に入ってしまうことがしばしばあります。こうなると浮き球のパスが来ない限りボールが受けられませんが、ヘディングで相手に競り勝ってマイボールにするというプレーは彼の持ち味ではなく、そうなるとドルトムントの選手は香川選手へパスを出すことができません。(図4)

図4
香川1


また、味方からの縦パスを香川選手がゴール方向へ背を向けて受け、ターンして前方を向こうとする場面も多いのですが、相手に背後から激しいフィジカルコンタクトを受け、ミスになるケースも多いです。(図5)

図5
香川2


中盤で攻撃を組み立てる場合は、なるべくダイアゴナルパスを使うべきです。パスを出したら大きく動きすぎず、「ゴールへの階段を一段一段登るように」次にグラウンダーでダイアゴナルパスが受けられるスペースへ移動しパスを受けます。

縦ではなくダイアゴナルでパスを受ければ、半身でボールを受けることができますから、前方へすばやくターンすることが可能となり、相手が自分にフィジカルコンタクトをしてくる前に仕事を終えることができます。中盤においては、自分と味方2人でトライアングルを常につくるようにしてパスを回し、このプレーを繰り返していけば、スムーズに攻撃を組み立てることができます。チームメイトにも香川選手がパスを受ける瞬間までにグラウンダーでパスが受けられるスペースへ常に動いてくれとお願いしておくべきです。(図6)

図6
香川3


当研究所はあまり推奨しませんが、どうしても縦パスを受けないといけないという場面では、パスが出た瞬間、自分の背後についている相手の胸を自分の背中全体で押して相手のバランスを崩してから前方へすばやくダッシュして半身でパスを受けるようにすると良いでしょう。

相手ゴールに背を向けてボールを受けるというプレーも当研究所は推奨していませんが、どうしてもやらないといけない場合は、両腕をやや後方に伸ばし、腰を低くして自分の尻を突き出しながらボールを受けると、自分の背後についている相手選手から一番遠いところにボールを置いてキープできますし、自分の両腕で背後にいる相手の位置がつかめているなら、ボールをどちらかの足のアウトサイドでコントロールしつつ相手の体に自分の体を軽く預け、自分を押してくる相手の体を支点にしてクルッと前方へ体を入れ替えて抜いてしまえば、次回からは相手がそうやって抜かれるのを警戒して、香川選手へのフィジカルコンタクトを控えるはずです。そうすればフリーでボールを受けられる可能性が高まります。

ゴールに背を向けてボールを受けたとき、相手が自分の立ち足はもちろん、ボールをコントロールしようとした逆の足を蹴ってきた場合は、ちょっと派手に倒れて警告をもらうように仕向ければ、次からは激しく来ることができなくなります。そういうプレーをあらかじめ予測しておき、どう対応するか準備しておくことがケガを防ぐことにもなるのではないでしょうか。

それでも「半身でボールを受けるのがベスト」というのが当研究所の結論であるというのは変わりませんが。

 香川選手がペナルティエリア内へ侵入して、味方からパスやクロスを受ける時も、岡崎選手と同様、自分がシュートを打つためのスペースをつくる動きにもっと工夫が必要です。

上の図2のように、香川選手をマークしている相手がこちらを見た瞬間、前方へ走り込み、相手が味方のボールホルダーを見たときにその場でピタッと立ち止まるか、数歩後退してやれば自分の前方にシュートを打つためのスペースができるはずですので、そこでボール保持者にアイコンタクトしてラストパスを出してもらい、前もってGKの位置などを確認した上で、シュートを落ち着いて決めます。

 以上、岡崎・香川両選手が欧州四大リーグはもちろん、W杯の予選や本大会で輝くためにはどうすれば良いか、課題を指摘するとともに対策を提案してみました。

もちろん彼らだけではなくて、海外組・Jリーグ組の別なくすべての日本人選手が使える実用的なスキルを紹介したつもりですので、これを生かして、世界に通用する日本人プレーヤーがどんどん出てきて欲しいですね。

こういった実用的なプレーが正確にできるよう普段から何度も練習しておき、本番の大事な試合では「初戦が一番重要だから人生最高のプレーをしてやろう」とか「初戦で勝てばあとが楽になる。だから絶対に勝たなければ」などといった邪念は一切捨てて、普段の練習で出来ていることを本番の試合でも正確にプレーできるように、そのことだけに集中すべきです。




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