■手倉森ジャパンのリオ五輪・総括(最終回)

前回のつづき

 今大会を通じて、将来への可能性を感じさせた選手をあげておきましょう。

南野選手は、五輪という大舞台であっても、ナイジェリア戦で相手GKの動きを良く見て冷静に決めたゴールは良かったですね。世界大会に出た日本人選手がパニック同然でシュートを打ち、大きくふかしていた時代とは隔世の感があります。スペースも時間も限られているバイタルエリアでのチャンスメークも光り、コロンビア戦では浅野選手のゴールをナイスアシスト。やはり海外経験があの落着きをもたらしているのでしょう。

浅野選手は、やはりスピードが魅力的で足元の技術もあります。藤春選手のクロスをヒールでコースを変えて奪ったゴールも良かったですし、ゴール中央からギリギリのタイミングでウラヘ抜け出して決めたコロンビア戦のゴールも彼の持ち味が出たのではないでしょうか。この五輪でもっとゴール数を増せるチャンスはあったと思いますので、シュート時のメンタル面や技術面でさらなる向上を。

コロンビア戦でワールドクラスのミドルシュートを決めた中島選手も大変素晴らしかったのですが、シュートを打てるところで味方にパスしてミスになったり、大事にシュートを打とうとしたのか、打つタイミングをワンテンポ遅らせてシュートコースを消されたりと、大会を通じてどういうわけか弱気にも見えました。五輪のアジア予選では簡単に競り負けていましたが、フィジカルコンタクトの強さという面で成長が見られたところは収穫です。FC東京のトップチームで使ってもらえないようですが、その状態が続くようなら自分を評価して先発で使ってくれる他のJクラブや、もしやれる自信があってオファーも来ているのであれば、ドイツやオランダなど海外クラブへ移籍した方が良いのではないでしょうか。

大島選手は中盤での攻撃の組み立てから、バイタルエリアでのゴールにつながるチャンスメークまで大活躍。もう少しでゴールという場面もありました。彼はトップ下のポジションが適任のように思われますが、清武選手や香川選手などA代表ではライバルが多いですね。守備力には課題ありです。

鈴木選手はナイジェリア戦で決めた、右に行くと見せかけたフェイントで直前のナイジェリアDFをはがし、左に切りかえして打った正確なコントロールシュートは見事でした。体を張ったチャンスメークで陰ながら頑張っていた興梠選手はオーバーエージでは一番活躍していた方ですが、PKによる1ゴールのみという成績はセンターFWとして物足りなかったのは否めませんし、もっと鈴木選手を信頼して使ってあげた方が良かったのではないでしょうか。

植田選手は、空中戦では相変わらずの強さを見せてくれましたが、地上戦ではまだ改善の余地があります。ポテンシャルはかなりのものを持っていますし、できるだけ早くA代表へ呼んで監督さんの手元に置き、世界に通用するセンターバックになってもらうために経験を積ませていく必要があると思います。

 中村選手や櫛引選手が特別悪かったとは思いませんが、他国と比べて突出した出来だったとも言えず、川島選手の後継者が見当たらない現状、センターバックと並んでゴールキーパーは強化が特に必要なポジションとなっています。

言うまでもなくGKは専門職であり、身長はできれば190㎝以上欲しいですし、それに満たないのであれば読みや反射神経の良さでカバーしていく必要があります。GK本来の仕事がパッとしないので、ゴールをアシストして攻撃面で貢献しようという考え方は、自分がやるべきことを勘違いしています。

GKはチームに一つしかポジションが存在しないにも関わらず、Jクラブで安易に外国人選手を起用する傾向が近年非常に高まっており、強い懸念を覚えずにはいられません。

あるJクラブのGKが、母国のA代表に招集されて出場したテストマッチの映像を見ましたが、信じられないようなイージー・ミスの連続で、「本当にこの外国人選手よりマシな日本人GKがクラブに1人もいないのだろうか?」と思ったものです。

どういう意図があるのか知りませんが、ある外国のサッカー協会は、どうやらJリーグに自国人のGKを輸出することを“国策”にしているようで、出場機会を失った若手日本人GKの能力低下が心配されます。

日本サッカー協会は日本人GKの強化に本腰を入れ、安易に外国人選手に頼らないようJリーグ各クラブに呼びかけていくべきです。

 手倉森ジャパンは、マスコミから「世界で勝てない世代」と言われ、自分たちもそう思い込んで自己暗示をかけてしまっていた側面があったのではないかと思うのですが、この世代はU-17W杯では世界大会に出てまずまずの結果を出していたはずですし、リオ五輪では個の能力でもチーム組織の面でも大きく劣るようなことはありませんでした。 
 
ただ、コロンビアやスウェーデンと互角以上の戦いが出来たことに、変な安心感を持たないでほしいですね。

コロンビアやスウェーデンの選手が欧州四大リーグに移籍して活躍し、自分たちがJリーグでプレーしているままだと、27~28歳になったとき、サッカー選手としての能力に大きな差が開いてしまうのが現状です。

それが年齢制限の取れた日本代表の、W杯における成績にも影響しかねません。

ですからリオ五輪代表に選出された人も、そうならなくて悔しい思いをした人も、U-23世代のすべての日本人プレーヤーに言えることですが、やれる自信があって実際にオファーがあるなら、なるべく若いうちに欧州四大リーグか、オランダやスイス・オーストリアなどのような周辺国リーグへ移籍した方が良いと思います。

 Jリーグは日本のプロサッカー選手育成のための「ゆりかご」であり、Jリーグを非常に重視しているからこそ言いますが、日本人選手がJリーグで数年プレーすれば、世界のどこへ行っても通用する国際競争力を身につけることができる、というのが本来あるべき自然な姿であり、リオ五輪で痛感させられたのはベテラン選手でさえJリーガーは国際競争力に問題(特に守備面で)を抱えているということです。

一対一で抜かれるのを極度に恐れて“ディレイ”に逃げたり、相手とのフィジカルコンタクトを避ける守備戦術が横行しているのが、その最大の原因だと思いますが、これは持って生まれた才能も関係はするものの、大部分はある程度経験を積めば克服できるものであり、その経験をJリーグで積むことができないというのが最大の問題です。

ACLでもフィジカルコンタクトで劣勢なJリーグクラブの敗退が続いていますし、村井チェアマンも一生懸命やっていらっしゃるんでしょうけど、問題を解決するためのソリューションを持たず、同じところで何度も何度もつまづいているようにしか見えません。

Jリーグチェアマンは、必ずしも元プロのサッカー選手や監督である必要はないと思いますが、会社でいえばCEO(最高経営責任者)なのですから、自社が取り扱っている商品や所属している業界のことについて十分な知識がないというのが一番困ります。

村井さんがチェアマンになって2年たちましたが、Jリーグの国際競争力が上がったとはまったく思えません。

 リオ五輪はブラジルの優勝で終わりましたが、日本のマスメディアでは「王国復権」の文字が躍っています。

しかしながら、ブラジルは有利な自国開催に加え、A代表のエース・ネイマールをオーバーエージで招集して本気で勝ちに行ったのに対し、アウエーを戦ったドイツは、エジルやマリオ・ゴメスなどA代表の主力をオーバーエージとして招集していませんし、キミッヒやドラクスラーなどU-23の枠で呼べる選手も五輪には連れて行きませんでした。

本来であれば、圧倒的に有利な条件にあるブラジルが90分以内にドイツを仕留めなければいけない試合でしたが、120分戦って引き分け、PK戦で決着というのは、実質的にはドイツの勝ちに等しい“ドロー”であり、これがH&Aでドイツホームのセカンドレグがあり、ちゃんとオーバーエージを使っていたら、どうなっていたかわからないと思います。

「マラカナンの呪縛」から逃れることで自信をいくらか回復させ、また強くなっていくかもしれませんが、ネイマールに頼りながらフルメンバーではないドイツU-23代表をホームで降すことができなかったブラジルの「王国再建」は、まだ道半ばといったところじゃないでしょうか。

テストマッチでブラジルに手も足も出なかった手倉森ジャパンの選手たちでしたが、ドイツから学ぶべき点は多いと思います。



<了>




サッカー ブログランキングへ
↑いつもポチッと応援ありがとうございます。



  

■コメント

■コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

 



管理人多忙につき、マメにレスを差し上げられません。
ゴメンナサイ。
もちろん、すべてのコメントは拝見させていただきますが、サイトポリシーに違反したものは、予告なく削除します。
悪しからずご諒承ください。

プロフィール

スパルタク

  • Author:スパルタク
  • FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク






   

ブログ内検索