■日本代表、ボスニアに逆転負け

 キリンカップ2016決勝は、日本代表とボスニア・ヘルツェゴビナ代表との対戦となり、日本は逆転負けを喫してしまいました。

日本は本田選手に加え香川選手まで欠場してしまった一方、ボスニアもジェコやピャニッチら中心選手を欠いたメンバーで来日し、両チームとも「飛車・角落ち」での対戦という少しがっかりな状況だったのですが、本田・香川両選手抜きでドイツ・ベルギー・スペイン・イタリアなどでプレーする選手で構成された相手にどこまでやれるのか試されるゲームとなりました。

あの吹田スタジアムのピッチに送り出された11人が現時点における「ベストの日本代表」であり、自分たちに有利なホームゲームなのですから絶対に勝たなければいけない試合でしたが、1-2という結果はとても残念でした。

当然、日本のゲーム内容も解決すべき課題が次々と露呈する試合となりました。

        ☆        ☆        ☆

 シュート数が日本12対13ボスニアと、両チームが拮抗した白熱の試合となりましたが、ボスニアは勝ち負けが決まる一番大切なところ、つまり点を取るところと失点を防ぐところで非常に要領が良く、逆に日本はチーム全体としてゲームの進め方がつたないもので、その差が1-2という結果にモロに出てしまいました。

どの時間帯でも失点は良くないものですが、キックオフからの10分間とタイムアップの笛が鳴る直前の10分間、そして自分たちが得点した後の10分間は選手の集中が切れやすく、特に失点しないよう注意を要する時間帯であるとサッカー界では良く言われます。

序盤のボスニアの攻撃をしのいだ後、左サイドの宇佐美選手を中心に何度も相手を攻めたて、前半28分に先制したところまでは良かったのですが、ゴールしたことで喜びすぎて集中が切れてしまったのか、ボスニアの攻撃でゲームが再開されてもコンパクトな守備ブロックができておらず、一発のミドルパスから失点。

その後も宇佐美選手のドリブルがキレッキレで、左サイドを崩してボスニアゴールに何度も迫りますが決めきれず。

後半も日本がボスニアを押し込む展開が続きましたが、相手が劣勢を打開するために後半21分ステパノビッチを投入すると、その瞬間またもや日本の選手が集中を切らしていて守備態勢ができておらず、誰が彼を見るのかあいまいになった一瞬のスキをつかれて逆転ゴールを浴び、それが決勝点となってしまいました。

ブラジルでやったコンフェデ2013でも、こちらがリードしている状況で、まるで給水時間が終わるまで相手が攻撃を待ってくれると思い込んだかのように水を飲んでいる間に、イタリアのピルロに素早くCKを始められてそれで失点したことが、3-4の大逆転負けとなるきっかけとなりました。

いつまでもこういう稚拙なゲーム運びをしていてはいけません。

 守備に関して言えば、この試合もブロックのつくり方が非常に甘かったです。

MF4人の動きがバラバラで4バックの前に広いスペースが空いてしまっていましたし、DF4人とMF4人で2つのラインがつくれている時もその間隔が開きすぎていました。ボールホルダーにかけるプレスも甘いので、相手のパスの出し手と受け手の双方にとってベストのタイミングで正確な長いパスを出すのを容易にしてしまいました。

ブルガリア戦の記事でも書いた通り、ハリルホジッチ監督が目指しているハイプレス・ディフェンスはちょっと無謀だと思います。

この試合のようにハイプレスを掛けるこちらのFWやMFの頭上をロングボールで越されてしまうと、バックが相手FWにいつも競り勝てればいいのですが、そうでない場合4バックの前にスペースが広く空いている分だけ相手FWが落としたボールを敵選手に拾われ、攻めの基点を自陣深くにつくられる確率が高くなってしまいます。

やはり4-4のコンパクトな守備ブロックをつくり、相手のボール保持者を追う前線の2人以外は、なるべくそのブロックを崩さないようにすることで自分たちが守るべきスペースを限定し、それによってロングボールのこぼれ球を味方の選手が拾いやすくしつつ、正確なパスを出されないように相手のボール保持者に対し規則的にプレスをかけるようにすべきです。

ゾーンディフェンス
(クリックで拡大 以下同様)

              ↓

ゾーンディフェンス2

              ↓

ゾーンディフェンス3

自分たちが相手陣内で攻めていてボールを失った場合は、5秒間は相手のボールホルダーに前線の2~3人で厳しくプレスをかけて相手の前方へのパスやドリブルを防ぎ、残りの7~8人はコンパクトな守備ブロックを形成することを優先させ、5秒以内にボールが奪えたらショートカウンターをかけ、奪えなかったらある程度自陣に引いて前述のように4-4の守備ブロックをつくり、プレスを掛け直した方が良いと思います。

特に自分たちがゴールした直後や、相手に選手交代があったときなど、集中が切れやすい時間帯は注意すること。

 攻撃に関しては、ボスニアがコンパクトな守備ブロックをつくりながらバックラインを高くあげている状況に対し、左サイドの宇佐美選手をキープレイヤーにパスサッカーで攻めましたが、前半の攻めはブルガリア戦に引き続き悪くなかったと思います。

しかしハリルホジッチ監督が、ボスニアの攻撃力に対し柏木選手では守備に不安があると見たか、後半の頭から遠藤選手を投入すると、とたんに相手の守備ブロックの中でパスがつなげなくなってしまいました。

そしてパスサッカーが機能しなくなったので、やはり監督さんの指示だと思いますが、相手の守備ブロックの背後へロングボールを放り込んで、ウラヘ抜け出した味方のFWへパスを通そうとしますが、これぐらいのレベルの相手ともなると、そんな単純な攻撃が何度も通用するほど現実は甘くありません。

ロングボールがラインを割ったりオフサイドになったりして相手ボールになるということを繰り返しているうちにゲームの流れをだんだんと失っていき、そうこうしているうちにボスニアの監督さんがステパノビッチという切り札をきって、その奇襲攻撃にやられてしまいました。

リードを奪ったボスニアは守備ブロックを下げて逃げ切り態勢に入り、惜しい場面もありましたけど日本は最後まで追いつくことはできませんでした。

後半は日本がゲームをコントロールしていたというより、「持たされていた」のだと思います。

ボスニアのほぼ2軍という、あのレベルの守備ブロックさえ崩せないというのでは、W杯で好成績を残すことは難しくなります。

カウンターサッカー一本やりのチームには本当にありがちなんですが、守備ブロックの中でパスをつないで相手を崩しゴールを奪う戦術を持たないので、リードを奪われた相手にDFラインを深く引かれ、カウンターを仕掛けるためのウラのスペースを消されたらそこでジ・エンドとなりかねません。

前回も言いましたが、ダブルボランチとトップ下でつくるトライアングル間のコンビネーションが希薄(特に後半)で、この3人がもっとがんばってパスをつなぎ、相手の守備ブロックの中である程度攻撃を組み立てていかないとパスサッカーが機能しません。

さらにパスサッカーをやるとき、ワンタッチプレーにこだわりすぎていると思います。

全部のパスをワンタッチでつなごうとするあまり、パスの出し手も受け手も動きながらパス交換をしようとするケースが目立ちますが、ミスになってパスが通らないケースも多くなっていますね。それでハリルホジッチ監督が我慢しきれなくなって「ロングボールをウラヘ蹴れ」と指示するのでしょう。

しかしFCバルセロナの場合、DFラインのウラヘ出すスルーパスなど「スペースへ出すパス」以外の、いわゆる味方の足元へのパスは、複数の敵選手の間にできるギャップで適切なポジションを取って立ち止まっている味方の足元へ正確にパスするのが基本です。

(適切なポジションについてはこちら

パスを受けた選手はプレスをかけるために近寄ってくる敵選手が自分の体に触れる前に、ギャップで立ち止まっているかDFラインのウラのスペースへ走りこんでいる味方へのパス、ドリブルあるいはシュートといった自分がやるべき仕事を終えてしまいます。

バルサのパスサッカーは、簡単に言えばそのプロセスの繰り返しです。

なぜならバルサのレギュラークラスでも、複数の敵選手に囲まれた狭いスペースの中を高速で移動している味方にタイミングを合わせて正確にパスを通すのは難しく、ミスになってしまう確率が高くなるからです。

バルサのレギュラークラスでさえ基本的には「立ち止まった味方の足元」へパスをしているのですから、日本の選手たちがそれより難易度が高いプレーをしようとするのはやはり現時点では無謀だと思います。

「立ち止まった味方の足元」へパスするためには、敵選手に囲まれたギャップでパスを受ける選手がつねに正しいポジショニングとボディシェイプを取るということが極めて重要です。

あとは、相手にリードされてから顕著に見られた現象ですが、ゴールが欲しいと焦るあまり、相手のバイタルエリアに日本の選手が3人も4人も集まりすぎです。

これでは、中盤で攻撃を組み立てる選手が手薄になって、そもそもシュートチャンスがつくれなくなってしまいますし、攻撃のために使いたいバイタルエリアのスペースを自分たちでつぶしてしまい、余計ゴールから遠ざかってしまいます。

このあたりは「より高度なパスサッカー」の3回めで指摘済みですね。

選手個々の評価は次回にします。



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