■手倉森ジャパンが化けた?

 先月25日に行われた日本とメキシコの男子五輪代表のテストマッチなんですが、その録画を見てびっくりしました。

それは2-1で試合に勝ったということよりも、U-23日本代表がわずかな期間に、リオ五輪アジア最終予選を戦っていた時とはまるで別のチームに化けていたからです。

どこが一番変わったのかと言えば、選手個々の一対一の能力、特にフィジカルコンタクトの能力が見違えるぐらい良くなっていたところです。

今年1月に行われたアジア最終予選では、日本の選手はフィジカルコンタクトのスキルがゼロに等しく、準々決勝のイラン戦や準決勝のイラク戦では、相手選手に体を寄せられるとあっさりボールを奪われてしまうシーンがかなり目立ち、選手個々のレベルでもチーム全体としてもボールキープ力が高いとは決して言えませんでした。

そのあたりのことは以前の記事で指摘しましたし、もう10年以上日本人選手のフィジカルコンタクト能力強化を訴えてきたにもかかわらず、一向に改善される気配がないのにしびれを切らした当研究所は、“デュエル”に勝つために選手が身に着けるべきコンタクトスキルをいくつか提案しておきました。

ところがメキシコとのテストマッチでは、日本の選手が一対一でかなりの善戦を見せ、ほぼ互角の闘いをしていました。

私もサッカーを見始めてからかなりたちますが、中南米の強豪国の選手に対し、日本人選手がファールをせずにフィジカルコンタクトで相手のバランスを失わせボールロストを誘うところを、初めて見た気がします。

特に前述の記事で取り上げた「太ももガツン」なんですが、アジア予選ではほとんど見られなかったこのスキルを使った日本の選手が、メキシコの選手をレフェリーから反則を取られずに吹っ飛ばすシーンが何度か見られ、これまでバランスを崩してピッチに倒れこみボールを奪われるのはいつも日本人選手の方でしたから、ちょっと感動してしまいました。

(当研究所の訴えが、JFAに届いたんでしょうか?)

 ただ勘違いしてはならないのは、これはあくまでもテストマッチだということ。

たとえテストマッチでも大マジメにプレーする日本人とは違い、中南米の人は「手を抜けるところは抜いて、要領よくやったもの勝ち」という考え方をしますから、「勝ったところでリオ五輪の勝ち点にプラスされるわけでもないゲームでケガでもしたら損だ」と考えたメキシコの選手が本気で当たってこなかったので、日本人選手が一対一で彼らと互角の勝負ができていたのかもしれません。

それでも以前の日本人選手であれば、テストマッチモードの中南米の選手にさえフィジカルコンタクトを含めた一対一で完敗していたわけで、アジア最終予選まで体や手の使い方をまったく知らなかった手倉森ジャパンの選手たちが、コンタクトスキルを身に着けてメキシコの選手と互角のデュエルを展開できたことは、大いなる進歩だと思います。

 またチーム戦術の面でも、アジア予選までの手倉森ジャパンは組織力がきわめて低く、チームでボールをキープすることができないので、相手にプレスをかけられると前へ大きくボールを蹴って、ひたすらカウンターをやり続けなければ生きていけないマグロのようなチームでした。

(マグロはエラの構造上、寝ているときでさえ前へ前へと泳ぎ続けないと酸欠になってしまって生きていけないのは豆ね)

ところがメキシコ戦での手倉森ジャパンは、ポゼッションサッカーもできるぐらい組織力がアップしてきており、特に日本の2点目、南野選手のゴールにつながったシーンは、パスをつなぐテンポといい、選手一人ひとりの的確で素早い決断といい、ポゼッション戦術としては理想的な攻撃の形でした。

詳細なデータを見たわけではありませんが、U-23の選手はゴール決定力が高いように見えるところも良いですよね。

カウンター攻撃をするときでも手倉森ジャパンはグラウンダーのパスを主体にして攻めるため、シュートを打つ選手が無理のない体勢でラストパスを受けられ、それが浅野選手らの高いゴール決定力につながっているように思います。

浮き球のパスをダイレクトでシュートすれば、どうしても当たり損ねる確率が高くなりますし、浮き球をワントラップして確実にボールをコントロールしてからシュートを打とうとすれば、相手選手にシュートコースを消すための時間を与えることになり、「相手が寄せてくる前にシュートを打たなければ」という焦りから、シュートミスを誘発しやすくなります。

だから当研究所は、「ポゼッションにしろカウンターにしろグラウンダーのパスを中心に攻めろ」と口を酸っぱくして言い続けているわけです。

U-23日本代表の対戦相手は若くて経験が少ないですから単純に比較はできませんが、ひょっとしたらA代表よりもシュートやコレクティブカウンターが上手いかもしれません。

ハリルジャパンの選手はラストパスに浮き球を使うケースが多いんですが、シュートを外しまくってしまう原因の一つはそれでしょう。

シュート決定率をどうすれば高めることができるか今から真剣に考えないと、ロシアW杯初戦のピッチに立っている11人が現在とはガラッと変わっている可能性もありえます。

 なんだかU-23代表をベタ褒めする記事になってしまいましたが、足元の技術で劣勢なのはもちろん、フィジカルコンタクトでも勝てなかった日本人選手が、中南米の強豪国の一角、メキシコの選手と一対一で互角の勝負を展開していたことは、ちょっとした驚きでした。

日本のサッカー界においては、プレーヤーの足元の技術を優れたものにすることに高い価値とプライオリティが置かれている反面、いや、だからこそ日本人選手は自分たちより技術の高い選手・チームを目の当たりにした瞬間、ゲームがまだ始まってもいないのに「負けた。こんな相手に勝てるわけがない」と、意識的にあるいは無自覚に自信を喪失してしまい、相手に飲まれて試合結果もその通りになってしまうことが良くあるように思います。

しかしこれからは、相手の足元の技術がたとえ自分たちより高かったのだとしても、フィジカルコンタクトに勝つためのスキルを適切に使えば、一対一で互角の勝負にもっていける可能性があるということを良く憶えておいて欲しいです。

過去のW杯では、技術では劣勢でもフィジカルコンタクトの強い欧州のチームが、何度も中南米のチームを破っているわけですから。

ただ今回のメキシコ戦にかぎって言えば、これはあくまでもテストマッチ。

これで勘違いしてしまうと、大会前のテストマッチでベルギーやオランダに互角以上の戦いをして、「ブラジルW杯は楽なグループに入った。ベスト8も狙える」と舞い上がってひどいことになった、2年前の日本サッカー界と同じ轍を踏むことになってしまいますので、手倉森ジャパンの皆さんは地に足をつけて、油断も悲観もすることなく地道に強化に取り組んで欲しいです。

 最後にオーバーエージについて。
 
当研究所は以前書いたとおり必要ないという立場ですが、JFAはオーバーエージ枠を使うことにしたようですね。

もし使うのであれば、どうしてもそのポジションにふさわしいU-23の選手がいない場合に限り、国際経験を積むチャンスに恵まれなかった23+1~2歳までのなるべく若い選手を呼んだ方が良いと思います。



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