■シリア相手にゴールもいっぱい、課題もいっぱい

 日本代表のロシアW杯アジア二次予選をしめくくる、シリアとのゲームは5-0で日本が勝利しました。

対戦相手のシリア代表は、イラクやバーレーン・ボスニアリーグなどでプレーする選手で構成され、日本とほぼ互角、地力で
日本が上回るかというのが相手の戦力評価でした。

よって、こちらに地の利があるホームでは日本が絶対に勝たなければいけない相手でしたが、5点差をつけての大勝という結果はとても良かったと思います。

この試合以降、当研究所は日本代表の格付けを1ノッチ上げて評価することにしますが、試合内容の面では改善が見られたものの問題も多々あり、特に守備時のリスクマネジメントがまったくできておらず、ワキの甘い危なっかしいゲーム運びだったと言わざるを得ません。

        ☆        ☆        ☆

 前試合の4-4-2から使い慣れた4-2-3-1に戻したハリルジャパンでしたが、攻撃の内容に進歩が見られました。

シリアを押し込んで優勢にゲームを進めた日本は、ロングボールをひたすら相手のウラヘウラヘというワンパターンかつ無理な攻撃がほとんど見られなくなり、ボール保持者を複数の選手がサポートし、連動した動きから主にグラウンダーのショートパスをつないで相手の守備ブロックをサイドから中央からと崩す多彩な攻撃で、質の高いシュートチャンスを何度もつくり出しました。

前半相手のオウンゴールで先制したあと、前掛かった相手の背後のスペースを狙うコレクティブなカウンターから香川・本田両選手が追加点をあげ、課題であったピッチ内の状況に応じてふさわしい戦術を使い分けゴールをゲットすることができるようになってきたのは一歩前進です。

 ただし2点リードしたあと攻撃の選手があまりにもイケイケでゴールを欲しがり、勝手気ままにポジションチェンジしたあげく相手DFラインの前のスペース、いわゆるバイタルエリアに4~5人の選手が一直線に並んで、間延びした4-2-4や4-1-5みたいな陣形になってしまい、スカスカになった中盤のスペースをシリアに使われて何度も危険なカウンターを浴びてしまいました。

アフガニスタン戦も選手間の距離が近すぎたり、攻守にわたってフォーメーションのバランスが取れていない時間帯があることが課題だと言いましたが、この試合はもっとひどい状態。間延びして守備が崩壊した南アフリカW杯直前の岡田ジャパンを思い起こさせます。

男子のリオ五輪アジア予選決勝を引き合いに出すまでもなく「サッカーで2点差は最も危険なリード」であり、劇的な大逆転試合が起こりやすいんですが、もしシリアのカウンターがたった1度でもゴールに結びついていたら、相手のモチベーションが完全復活して2-2あるいは2-3で日本の勝ち点ゼロという結果もあり得る、危ういゲーム運びでした。

シリアより実力の高い相手だったらと思うとゾッとします。

この試合はW杯二次予選という公式戦であり、最終予選を有利に進めるためにも一位通過を絶対に確保する必要がありましたが、その意味でリスクマネジメントが全然できていなかったと言わざるを得ません。

守備面でも、前線の広いスペースで相手を激しく追い回してボール奪取を狙うハイプレスを実行していましたが、それによって試合の後半ベテランの本田選手を中心に攻撃の選手がスタミナ切れを起こして守備のために自陣に戻れなくなり、そのことも日本の陣形が間延びした4-2-4みたいになってしまった原因となりました。

選手どうしで適切な距離(7m前後)を取り、トライアングルをつくりながらパスを回して、誰かがポジションチェンジしたら別の選手がそのポジションをちゃんと埋め、できるかぎりフォーメーションを維持しながらボールを前方へと運んで行き、大きくフォーメーションを崩すのは攻撃の最終ステージに入ってからにせよと当研究所が言っている理由は、こういう危ういゲーム展開を防ぐためです。

(関連記事・より高度なパスサッカー(その2)

なるべくフォーメーションを維持しながらパスをつないでボールを相手ゴールへ運んでいけば、ボールを失った時すぐプレスをかけて危険なカウンターをまだ芽のうちに摘み取ることができますし、選手間の距離が適切であれば守備時にコンパクトなブロックを再構築しやすいので守るべきスペースを限定することができ、プレスをかける時に走らなければならない距離も短くなります。

それによってスタミナ切れをなるべく防ぎつつ、90分間安定した守りをすることが可能になるのです。

逆に陣形が間延びして攻守が入れ替わるたびにロングボールが行ったり来たりするゲーム展開になると、選手がピッチを長い距離走って上下動を繰り返さなければならなくなり、それだけ体力を消耗します。

ですから、ボールを失ったらまず一番近いプレーヤーが相手ボールホルダーにファーストチャージをかけて前方へのパス展開を防いでいる間に、その他の選手は自陣へ戻ってコンパクトな守備ブロックをつくり、ファーストチャージによって相手陣内でボールを奪い返すことができたらショートカウンターを仕掛け、そうでなかった場合は4-4の守備ブロックで組織的に相手をサイドへ追い込んでボールを奪い返した方が、この試合のように途中でスタミナ切れを起こして危険なカウンターを何度も浴びることなく、試合の最後までディフェンスを安定させやすいです。

もちろん味方同士で適切な距離やフォーメーションのバランスを取ることで、敵選手同士の距離を遠ざけスペースを広げることができれば、攻撃もよりスムーズになります。

ザックジャパン時代よりもサッカーのレベルをもうワンランク引き上げるためには、選手一人ひとりが自分のやりたいことばかりに夢中になるのではなく、チーム全体のバランスまで目くばせしながら、賢くゲームを進めることができるようにならなければなりません。

 それでは選手個々の評価は次回エントリーにしましょう。

つづく




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■コメント

■ [名無しさん]

ハリルホジッチが試合後のコメントで言ってたオーガナイズがこのことなんだね。
ハリルホジッチと管理人さんの意見は一致してたみたい。
あとは選手がそれに気づくか監督が気づかせるか。
あの監督のコメントからすると次はちゃんと修正加えてきそう。
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