■おめでとう手倉森ジャパン(その2)

前回のつづき

 選手個々で特筆すべき活躍だったのは、当研究所が選ぶ大会MVPの植田選手。

空中戦の強さ、フィジカルコンタクトの強さはやはり目を引きますし、闘争心やメンタルの強さも含めて、日本人には希少なタイプのセンターバックだと思います。

できるだけ早くA代表に呼んで、2018年ロシアW杯に間に合うよう、センターバックとしての集中教育を施し、高いレベルでの実戦経験を積ませたいところ。まずはテストマッチやW杯予選のプレッシャーがかからない場面から使ってやりたいところです。

もちろんバックとして改善すべき点がないわけではありません。

空中戦はかなりの強さを誇る彼ですが、地上戦での一対一で「やばっ」と思ったら瞬間的に飛び込んでしまい、相手に入れ替わられてしまうというシーンをちらほら見かけます。

すぐに飛び込まず我慢すべきところは我慢し、相手の両足やボールの位置・体の重心がどこにかかっているかを良く観察して、相手がこういう状態になったときに足を出せば高い確率でボールを奪えるという、自分なりの「勝負どころ」のタイミングを早く見つけることが重要です。

少しリスクはありますが、相手のボールを奪うフリをしてまずこちらから足を出してみて、動いた相手が自分がボールを取りやすい状態になった時に、足を出して奪うというやり方もあります。

そうした一対一での駆け引きや相手のプレーを正確に予測する能力は、高いレベルでの真剣勝負の場で経験を積み、失敗しながら鍛えられることでしか身についていきません。

逆に「相手との駆け引きや読みの部分で経験不足だから」といって、実戦の場で若い選手を使ってやらなければ、いつまでたっても経験不足のままですし、出場のチャンスを与えられないまま20代前半の貴重な成長期を過ごしてしまうのはもったいなさすぎます。

初めから完成されたプレーヤーなんていませんし、「若手を試合で使って失敗するリスクを取るのが嫌だから」といって、あるクラブが初めから完成されている選手を求めるなら、どこか別のクラブが育成した経験豊富なベテランか外国人選手を買ってくるということになりますが、それではクラブ生え抜きで能力の髙い日本人選手がいつまでたっても育たず、そういう方針のクラブばかりになってしまえば、Jリーグの興業面も含めた日本サッカー界全体の危機です。

ミスが失点に直結するセンターバックのポジションは特に、リスクを取ってでも若手を起用することをJリーグ各クラブが嫌う傾向にあるように思えますし、日本人センターバックの人材不足は、それが原因なんじゃないでしょうか。

「今、どれだけ欠点があるか」という減点法で選手を評価してしまうと、どうしてもそうなってしまいますが、それぞれの選手が持っている「ストロングポイント」や「将来の伸びしろ」を考慮した加点法で選手を評価すべきです。

代表でもクラブでも、もし私が監督なら穴があるのは重々承知のうえで、植田選手の潜在能力に投資してみます。「体の大きさ」や「フィジカルコンタクトや闘争心の強さ」という、彼のストロングポイントに賭けてみたいですね。

投資ですから期待はずれに終わる可能性もありますが、あとは植田選手が自分の努力でチャンスをつかむかどうかです。

岩波・奈良両選手にも期待しているのですが、体や手の使い方をおぼえてもっとフィジカルコンタクトに強くならないといけませんし、一対一の駆け引きやポジショニング能力についても植田選手と同様、もっと改善が必要です。

 つづいて中島選手。

イラン戦での、ドリブルでカットインしてからのミドルシュート2本は、とても素晴らしかったと思います。ああいうゴールを決められる選手は、個人的に大好きです。

その次の試合、準決勝イラク戦のように相手に研究されて、中島選手がドリブルでカットインしたときに、相手DFが彼の右足側を徹底的に切ってきた場合にどうするかが今後の課題でしょう。

カットインからのミドルシュートと見せかけて、相手のウラヘスルーパスを出すとか、カットインから中へ行くと見せかけてタテを突破し、左足で正確なクロスを出して味方に決めさせるとか、相手DFに的を絞らせないような攻め手をいくつも持つようにすれば、カットインからのミドルシュートという一番得意とするプレーが生きてきます。

ただし、フィジカルコンタクトのスキルがゼロに等しく、自分の横やナナメ後方から相手に体を寄せられると、いとも簡単にボールを失ってしまうところは要改善点です。

前回記事で述べたように、体や手を使ったコンタクトスキルを身に着けてボールキープ能力を高めなければ、世界で活躍するのは難しいと思います。

そうした課題をすべて克服して、高いレベルのDFを相手にしてイラン戦のようなゴールを連発できれば、ロッベン・リベリークラスのウイングになれるかもしれません。

 逆に手倉森ジャパンで個レベルの弱点は、両サイドバックの守備力の低さでしょう。空中戦はもちろん地上戦での一対一の守備能力に、相当の不安があります。

 オーバーエージについてですが、まったく必要ないと思います。

前回ロンドン五輪では、センターバックの吉田選手をオーバーエージとして召集したのですが、五輪に出場したことでオフに体をじゅうぶん休めることができなかったせいか、サウサンプトン移籍後にグロインペイン症候群を発症してしまいます。

そのような犠牲を払ってまで得た、ロンドン五輪ベスト4進出という結果でしたが、ベスト4という記録こそ残ったものの、関塚ジャパンの選手たちの成長も含め、日本サッカー界に与えたメリットがあまり思いつきません。

むしろスペインを破ってベスト4になったという“成功”に浮かれ、選手たちの個の能力やチームの組織力を高めることができたのか、本当に大事なことがうやむやになったまま、今に至ってしまった感じがします。

五輪でベスト4になった選手を加えた日本のA代表が、2年後のブラジルW杯でベスト4に進出なんてことにはなりませんでしたし、現在A代表でレギュラーポジションを獲得できている関塚ジャパンの主力選手は、かろうじて山口選手の名前があがるかどうかというところです。

リオ五輪についてはオーバーエージは使わず、あと半年かけてU-23の選手たちの能力を底上げする作業を地に足をつけてしっかりやって、世界はおろかJリーグでも実戦経験を積むチャンスが限られている彼らに、リオ五輪で成功も挫折も味わわせた方が良いと思います。

それこそが将来を担うべき若い選手たちの真の成長や、日本サッカー界全体の長期的な利益につながるのではないでしょうか。

南米のある強豪国は、W杯、コパアメリカ、五輪、U-20・17W杯など、主要国際大会のすべての金メダルをコレクションしたいという理由で、オーバーエージを使い全力で結果を取りに行っているようですが、日本がそのマネをする必要はないと思います。

 最後に、リオ五輪予選の準々決勝ヨルダン対韓国戦で、日本人ラインズマンによる“誤審”がありましたが、近年日本人レフェリーの質が低くなってきているのではないかという懸念が出ております。

ブラジルW杯開幕戦も物議をかもしましたし、2006年W杯アジア予選では日本人主審による誤審で、ウズベキスタンVSバーレーン戦が再試合なんてこともありました。

「これだからアジアのレフェリーは」なんて、日本もだんだん言えなくなりつつありますが、JFAも事態を重く見て早急に対策を打つべきです。

さらに、選手がどこまで手や体を使ってコンタクトすることが許されるのか、Jリーグの判定基準を世界基準に合わせないと、いつまでたっても日本人選手のフィジカルコンタクト能力があがりませんし、フィジカルコンタクトの闘いがほとんどないJリーグがガラパゴス化して、ちょっと大げさに言えば、世界のサッカーとは別の競技になってしまいかねません。




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