■日本代表、またしてもカンボジアに苦戦

 2018年ロシアW杯アジア2次予選、今年最後となるカンボジア代表とのゲームが昨日行われ、日本代表が2-0で勝利しました。

カンボジアはアジア最弱レベルの国のひとつであり、選手全員が国内リーグでプレーしています。

この試合、カンボジアの選手たちから「一生に一度できるかどうかのプレーをしてやる」という気迫がひしひしと感じられ、そこは大変素晴らしかったのですが、それでもテクニック等の差を考えれば日本がホームでもアウエーでも大勝しなければいけない相手でした。

わずか2点差で日本の勝利という結果は不満の残るものでしたし、試合内容も良くなかったと思います。

        ☆        ☆        ☆

 この試合、日本が苦戦した原因ですが、まず監督さんの選手起用ミスが第一でしょう。

サッカーはチームスポーツであり、前の試合から8人もメンバーを変えてしまえば、組織やコンビネーションが壊れてしまって、全く別のチームになってしまうというのは良くあることです。 

チームづくりをしていく上で、「継続性」と「チーム内における競争」という二つの面でどうバランスを取っていくか、それが死活的に重要なのは言うまでもありません。

新しい選手を使って失敗するのを恐れ、各ポジションを特定の選手で固定しすぎれば、つねにスタメンという「指定席」を与えられた選手は、その地位にあぐらをかいて努力を怠るようになったり、そうでなくても年齢が高くなるにつれ選手個々の衰えがチーム全体の戦闘力低下につながっていくことになりますし、彼らの後継者も育ちません。どんなにがんばってもゲームにでられない控え選手は腐っていき、不満分子となってチーム内でゴタゴタの原因になることもしばしばです。

よって、新しい選手を試すことで「チーム内における競争」を常にうながしていくことは絶対に必要なのですが、この試合みたいに、チームづくりをしていくうえでの「継続性」を無視し、スタメンを大量に入れ替えたりすると、こんどは選手間のコンビネーションが完全に壊れてしまい、攻守にわたってチームが機能しなくなってしまいます。

「継続性」と「チーム内における競争」のバランスを取っていく上で大切なのは、チームづくりの骨格となるべき良い働きをしている選手は残し、悪いパフォーマンスをした選手は代えるという当たり前と言えば当たり前のことです。

特に若い選手は、良い意味で調子に乗らせると目覚ましい成長スピードを見せることがあり、継続的に得意なポジションで使ってやることで良い意味で調子に乗せてやり、 監督が調子に乗っている若手選手の流れをぶった切るような使い方をしないことがきわめて重要です。

そうした観点から言えば、最悪だったイラン戦から選手を代えて、シンガポール戦はチームの調子が上向いてきました。

チームづくりの「継続性」を重視するなら、先制点をあげた金崎選手がケガで使えなかったのは仕方ないとしても、2アシストを記録した武藤選手や、後方から攻撃の組み立てに参加してこれからの活躍に期待を持たせてくれた柏木選手はシンガポール戦勝利のカギとなったプレーヤーであり、彼らをバッサリ代えたのは不可解としか言いようがありません。

 では具体的に、カンボジア戦で攻撃がなぜうまくいかなかったのか、戦術上の問題点を指摘しますと、カンボジアは引いて守りを固め、ウラのスペースがないという「タテに速いカウンターサッカー」をやるには難しい状況であり、選手たちが「パスサッカー」という戦術で主に攻撃を仕掛けたのは、正しい選択だったと思います。

しかしそのパスサッカーのクオリティに、またしても問題ありです。

シンガポール戦では、サイドを崩してからのクロスボールを武藤選手が味方に落とし、2ゴールをあげたわけですが、カンボジアは5バックでサイドもケアしてきました。

こちらのサイドハーフ(SH)にパスが渡り、サイドバック(SB)がオーバーラップを仕掛けても、カンボジアのバックと2対2の状況となって数的優位をつくれなかったことが、相手をなかなか崩せなかった一つの原因となりました。

そこで、ボランチやトップ下がパスを受けるためにボールサイドにもっと寄り、SHやSBと適切な距離でトライアングルをつくってパスをつないでいけば、攻撃をうまく組み立てられたと思うんですが、シンガポール戦でも指摘したように、ゴールを焦る日本の選手が早すぎるタイミングで前へ前へと行きたがる悪いクセがまったく治っていません。

相手の5バックの前にできるスペースに、センターフォワード・SH・トップ下にボランチ・SBまでが侵入してしまい、バイタルエリアは味方と敵の選手で大渋滞。

これではゴール前のスペースを自分たちでつぶしてしまっています。

また、相手がゴール前を固めていて、プレーするためのスペースも時間も少ない場合、味方がパスを受けてから次のプレーをどうするか考えていたのでは遅いです。

パスの出し手と受け手以外の「第三のプレーヤー」が、どういうプレーで相手を崩すべきか、パスの受け手とアイデアをシンクロさせて、必要であればパスの受け手がボールを受ける前に、三番目の選手が動き出しを始めなければいけません。

例えば前半8分の場面(下図 注:図では前半24分となっていますが間違いです。無視してください)

キャプチャ1
(クリックで拡大)

サイドで藤春選手がパスを受けますが、5バックの前のスペースに山口選手までが入り込み、香川選手がプレーするスペースをつぶしてしまっているうえ、画像では見えていませんが、近くに宇佐美選手もいてバイタルエリアが大混雑。

みんなが早すぎるタイミングで前へ前へと急ぎ過ぎるんです。

この局面では、山口選手が藤春選手をナナメ後方でサポートし、香川選手がもっと藤春選手の方へ寄ってやることで、藤春ー山口ー香川のトライアングルをつくってパスをつなぎ、香川選手がバイタルエリアでパスを受けて前を向くのと同時ぐらいに、宇佐美・岡崎両選手が相手のウラヘダイアゴナルランを始める「第三の動き」をすると、攻撃はもっとスムーズになります。

次に前半9分の場面(下図 注:図では前半25分となっていますが無視してください))

キャプチャ1
(クリックで拡大)

相手のボランチの前まで下がって香川選手がパスを受けた場面ですが、藤春選手が前へ行くタイミングが早すぎて、香川選手からグラウンダーのパスをもらいにくい位置にいますし、香川選手の前に相手が立ちふさがっていて前方へのパスが困難なのに、宇佐美選手はもうウラへの動き出しを始めていますが、これも早すぎます。

岡崎選手も香川選手をまったくサポートできないところにいて、香川選手が何とかするのを見ているだけです。これでは相手は崩せません。

まず藤春選手が香川選手からグラウンダーのパスをもらえるところまで下がってサポートし、宇佐美選手もやはりグラウンダーのパスをもらえる香川選手の左ナナメ前方(白丸の地点)まで一旦下がり、半身になってそこで待ちます。

そして香川ー藤春ー宇佐美のトライアングルをつくってパスをつなぎ、パスを受けた宇佐美選手がボールを持って前を向くのと同時ぐらいに、岡崎選手が相手のウラヘダイアゴナルランしたり、藤春選手が宇佐美選手の外側を追い越すようにオーバーラップしたところへスルーパスをすると、相手をスムーズに崩せると思います。

ダメ押しで前半15分の場面。(下図 注:図では前半31分となっていますが無視してください))

キャプチャ1
(クリックで拡大)

藤春選手にパスが入った場面ですが、香川選手は藤春選手から後ずさりしてだんだんと遠ざかっていき、宇佐美選手は中央へ流れて、早すぎるタイミングでウラヘ抜け出そうと動いています。

ボールを持っている藤春選手が孤立させられているかわりに、ゴール前中央は香川・宇佐美・岡崎選手らで大渋滞。
宇佐美選手がピッチ中央へ流れたことで左SH役がいなくなってしまい、攻撃に幅をつくることもできていません。

香川選手が藤春選手にもっと近づいてサポートしてやり、さらに画像には見えていませんが、ボランチの一人が藤春選手のナナメ後方にポジショニングして、藤春ーボランチー香川のトライアングルをつくってパスをつなぎます。

香川選手にパスが入りバイタルエリアでフリーで前を向くのと同時ぐらいに、岡崎選手がダイアゴナルランしてウラヘ抜け出したり、宇佐美選手が相手の右SBの外側からゴール方向のウラヘ向かってダイアゴナルランすれば、相手を崩せるのではないでしょうか。

上の画像の宇佐美選手のように、相手のバックラインと一直線に並び、そこからウラヘ走りこもうとすると、パスの出し手とのちょっとしたタイミングのズレでオフサイドになりやすいですし、助走が取れない分スピードに乗ったランもできません。

しかし味方の選手がフリーでボールを持ち、相手のボランチとボランチにはさまれたスペースやバックの前のスペースで前方を向いた瞬間に、相手バックラインの数m前の地点からウラヘ向かってダイアゴナルランすれば、パスの受け手はスピードに乗ってダイアゴナルランできますし、オフサイドにならないように走るスピードを調節することもできます。その分パスの出し手もスルーパスを出すタイミングが合わせやすいです。

早すぎるタイミングでこちらの3トップが前へ前へと行かずに、相手のバックラインをなるべく高く保つように仕向けることで、相手の4バックなり5バックを自分のゴール方向へ走らせながら、そのウラヘダイアゴナルランする味方へスルーパスを出すという、守備側が守りにくい絶好の攻撃の形をつくることができるのです。

 自陣に引いてフィールドプレーヤー8~9人で守備をがっちり固める相手を崩すには、トライアングルをつくってパスをつなぎサイドを崩してからクロス、ゴール前の味方がシュートできずに相手にクリアされたら、ペナルティアーク付近でそれを拾ってミドルシュート、

それでも跳ね返されたら、再びサイドへ展開してセンタリング、クリアボールをゴール前で拾ってワンツーやスルーパスで中央突破を狙うか、再度ミドルシュート狙うといった感じでゴールできるまで、決して焦らず根気よく攻め続けるしかありません。

そうした意味で、この試合の日本代表にミドルシュートが少なすぎたのも問題でした。

守備の分析と選手個々の評価は次回としましょう。



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