■日本代表、シリアに勝って首位浮上(その2)

 前回のつづき

 選手個々で特筆すべき活躍だったのは、まず本田選手。
プレッシャーのかかる中で貴重な先制点となるPKを冷静に決めてくれましたし、相手と競り合いながらのヒールキックから宇佐美選手のゴールもナイスアシスト。後半にゴール前中央よりでのプレーを増やしてから彼もチームの攻撃も機能し出しましたが、何度も指摘しているように右サイドハーフで本田選手を起用するのは適材適所ではないように思います。
コメント欄で読者さんもご指摘なさっているように、レジスタとして守備的MFへコンバートするか、香川選手とともにトップ下に2人を並べるシステムにするか、さもなくば彼をセンターフォワードで起用するというのもアリかもしれません。
最初は右サイドハーフでスタートして試合中にピッチ中央へ流れても構いませんが、その場合は岡崎選手や香川選手が本田選手のもと居たスペースを埋めて、チーム全体の陣形のバランスを取る必要があります。

岡崎選手は前半、相手の厳しいマークを受けてあまり有効に動けていませんでしたが、香川選手のパスをワンタッチでゴールに結びつけたのはストライカーらしい働きでした。PKを獲得したプレーについては最後のまとめで改めて触れます。

宇佐美選手は本田選手からのヒールパスを受け、倒れこむGKの脇の下を狙いすました心憎いシュートで久しぶりの代表ゴール。周囲の味方を生かすプレーも良いですね。

香川選手は左サイドから個人技で突破してペナルティエリアへ侵入し、相手の股を抜くパスから岡崎選手のゴールを絶妙のアシスト。日本のショートカウンターの中心としても活躍していましたが、後半30分ぐらいに相手と3対3になったシーン(下図参照)では、ピッチ中央からウラヘ抜けようとする本田選手と、左サイドからウラヘ抜けようとする宇佐美選手を確認して数秒考えてから、後者へのスルーパスを選択したのですが、オフサイドになってシュートまでもっていけませんでした。
あの局面では、パスが通ればすぐさまGKとの一対一にもっていける本田選手へのパス一択だったと思いますし、そのチャンスは香川選手が本田選手を見た最初の瞬間しかありませんでした。その瞬間にパスが出せる決断力をもったプレーヤーになって欲しいです。

選択
(クリックで拡大)

西川選手は相手のゴール前フリーキックを良くさわって無失点試合に貢献。

長友選手は久しぶりの実戦でしたが、前半ウラを取られそうになって相手をつかんだプレー(判定はノーファール)以外は、攻撃参加も含めてまずまず良かったのではないでしょうか。

 逆に吉田選手はボールを持ちすぎて相手に奪われカウンターを食らいそうになったシーンが前半に1度ありましたし、敵選手が近くにいる味方DFへのバックパスも避けるべきです。一歩間違えばマンチェスターU戦のマルシャルへのプレゼントボールみたいなことになりかねません。

槙野選手は相手が日本のゴール前へ放り込んだロングボールをダイレクトでクリアせず、わざわざワンバウンドさせてから処理しようとしていましたが、思わぬバウンドから相手FWにボールをかっさらわれて失点につながりかねない大変危険なプレーです。
味方のバックがゴール前で相手選手と空中にあるボールを競っているときも、味方をカバーするボジショニングを取らず、リスクマネジメント面でも問題。

酒井選手は、本田選手とのワンツーでサイドを崩したところまでは良いのですが、クロスの精度が悪すぎます。ダイレクトで蹴って味方に全然合わないのであれば、1度持ち直してから正確なクロスをあげた方がまだ良いです。

        ☆        ☆        ☆

 スコアだけを見れば楽勝の試合、楽勝の相手で、初めから3-0という結果が約束されていたかのように見える人がいるかもしれませんが、そうではないと思います。

こういう結果になった最大のキーポイントは、岡崎選手のPK獲得で、後半早い時間帯で先制できたことが非常に大きかったです。

しかしファールをもらいに行ったのがあからさまなあのプレーは、W杯に出てくるUEFAやCONMEBOL所属のレフェリーだと、8割方PKは取ってくれないんじゃないでしょうか。

この試合を裁いたイルマトフ主審も最初は笛を吹くつもりは無かったようでしたが、ラインズマンがファールと判定したので、ペナルティスポットを指差したように見えましたし、これが4万人のサポーターで埋まったシリアの首都ダマスカスでの本当のアウエー戦だったら、やはりPKの笛はなかなか吹けないと思います。

後半シリアは足が止まり始めていましたから、いずれは日本が先制ゴールをあげていた可能性は高いですが、もし岡崎選手のプレーでPKが取れていなかったら、日本が先制するまでもっと時間が必要でした。

ましてや何かの間違いでシリアに先制されれば、シリアもモチベーションがMAXになって最後まで足を止めずにがんばり、全く別の結果になっていた可能性もあります。

ゴールを奪うために普通にプレーして倒されたのであれば、ありがた~くPKをいただいときますけど、あからさまにPKをもらいに行ったり、シミュレーションでレフェリーをあざむいてまでゴールしてでも、試合に勝てば良いという考え方にはまったく賛同できません。

(岡崎選手のあのプレーがシミュレーションだったという意味ではありません)

南欧や東欧・中南米やアジア・アフリカなどの国々で「ずるいことをしても、要領よくやって結果を出した者の勝ち」という価値観を持つところは多く、そうした価値観がそれらの国々のサッカーに反映されることがよくあります。

PKのもらい方を指導したというハリルホジッチ監督の出身は東欧のボスニアで、南欧・フランスでの生活が長いですよね。

反対に日本は、「まじめに努力して内容を改善し続け、それがいずれ良い結果につながるはずだ」という価値観を持つ国で、第二次大戦に負けて焼け野原になったにもかかわらず、短期間のうちに世界第2位の経済大国になれたのは、そういった国民性のおかげだと思います。

(逆にあまりにも内容や努力の過程を重視しすぎるために、これまでの日本サッカーはパスによるアシストが得意なMFばかりを輩出し、ゴールという結果を出すFWや、相手のゴールを防ぐセンターバックに世界的プレーヤーが出なかったという側面もあるんじゃないでしょうか)

ラグビーのW杯で日本が優勝候補・南アフリカを破るという歴史的快挙をあげたことが大きな話題となりました。

ラグビーはまったくの門外漢なのですが、小柄な体格という日本人選手の不利を克服するために低い姿勢からの協働タックルとアジリティの高さを生かしたすばやい集散、そして相手に勝る持久力を生かしたことが勝因であるという分析があるそうですね。

ハリルホジッチ監督も彼らに刺激されて、「私たちも日本のアイデンティティーをつくらなければならない」「ジャパン・ウェイをつくり上げなければならない」と言っていました。

だからこそ言いますが、「試合に勝てるんならペナの中でファールをもらいに行ったりダイビングしてゴールをゲットできればそれでいいじゃないか」というのは、日本サッカーが大切にすべき価値観ではないと思います。

日本人選手の長所と個性を生かし、パスワークと選手のコンビネーションで相手を崩してゴールを奪うというプレーの質を高めていくことをあくまでも追求していくべきであり、それこそが日本サッカーのアイデンティティでありジャパン・ウェイだと当研究所はこれまでずっと考えてきました。

(W杯で日本より明らかに強い相手と対戦するときに、現実策としてカウンターサッカーを選択することはやむをえないとは思いますが)

その意味では、この試合の前半は課題が決して少なくありませんでした。

それでも、決して楽な試合ではなかったにもかかわらずシリアに3-0で勝ったという結果については良かったと思いますし、日本代表の試合内容も、特に後半は今後につながりそうな明るい兆しが見られたことも評価できます。

 W杯のアジア2次予選、次節は日本がお休みとなります。それを利用して行われるイランとのテストマッチを有効活用して、今後につながる、いろいろなことを試して欲しいと思います。

◇    ◇     ◇     ◇     ◇     ◇    ◇

     2015.10.8 イスターダ・アルシーブ・アルヤーダ

        シリア  0 - 3 日本

                   本田(PK) 55'
                   岡崎    70'
                   宇佐美   88'


  GK アルミハ          GK 西川

  DF サバグ           DF 酒井高
     アルマスリ           吉田
     アルサリハ           槙野
     アルシュブリ          長友

  MF アブドルジャファル    MF 長谷部
    (ユーシフ 80)          山口
     アルフサイン          本田
    (ウマリ 72)            香川
     ムハマド・ザヒール      (清武 79)
     アルマワス            原口
                       (宇佐美 66)
  FW ハルビン  
    (ラフィ 64)         FW 岡崎
     マルキ             (武藤 85)



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