■ようやくエンジンがかかるも時すでに遅し(その2)

 前回のつづき

 個人レベルで特筆すべき活躍だったのはまず武藤選手。自身の大会得点王を決定づけた同点ゴールは素晴らしかったですし、味方へのチャンスメークでも徐々に存在感を発揮しています。チームが攻め急ぎすぎていたり、狭いところでパスを回そうとしすぎている場合に、ボールを落ちつけたり、サイドチェンジを使ってピッチを広く使ったりといった具合に、トップ下としてチーム全体の攻撃がバランスの取れたものになるように気配りできるともっと良くなります。

米倉選手は、武藤選手のゴールをアシストした正確なクロスは評価に値します。しかしセンターバックとの意思統一がはかれず、オフサイド崩れから相手FWと味方GKとの一対一の場面をつくられるなど、守備面では不安定なところを何回か露呈。

槙野選手は、武藤選手の同点ゴールを引き出すスルーパスで攻めの基点としてチームに貢献。ただ、センターバックから相手DFラインを抜くスルーパスを出すと、パスの距離がどうしても長くなり正確に通すのが難しくなりますから、パスカットされたときに相手のショートカウンターの格好の餌食となりかねません。よって私個人としてはあまり好きな攻撃の形ではなく、相手ゴール前へのスルーパスはなるべくボランチから前の選手が出すようにしてほしいです。

山口選手は一対一の強さを発揮して、相手からボールを良く奪っていました。これでパスによる攻撃の展開力がついてくれば、もっと良いボランチになれます。それにしても山口選手が貴重な20代前半の1年間を、決してレベルが高いとはいえないJ2でプレーするのは日本サッカー全体にとっての損失です。「自分の責任でチームが降格したから、自分の力で一部にあげないと」という義理人情にとらわれるのではなく、セレッソがJ1に昇格するまでの間という約束で他のJ1チームにレンタル移籍させ、より高いレベルでの環境で彼の成長を促した方が、どれだけ利益になったことでしょうか。

 逆に川又選手はまたしても機能せず。自分で状況判断せずにゴールに背を向けてパスを受け、それをひたすら機械的にバックパスしてしまうので、攻撃に余計な手数がかかって日本の攻めが機能しない原因に。パスを受ける前に周囲を見渡して、フリーなら受けたボールと共に前方へターンしないといけません。バックパスが監督の指示ならば「ボールをもってターンできるときは自分の判断でそうしたいです」と相談してみてはどうでしょうか。

永井選手も改善が見られず。今のプレースタイルだとドリブルで曲がれないのでウイングには使いづらいですし、かといってワントップだとフィジカルコンタクトがあまり得意ではないのでボールがおさまらず、彼を上手く使ってあげられるポジションが非常に限られてきます。ドリブルしながら曲がったり、フェイントで相手をかわしたりするスキルを身に着けないと、かつて浦和に在籍していた“野人”の二の舞になってしまいそうです。

宇佐美選手もキックオフ直後にクロスバーに嫌われたシュート以外はほとんど消えていました。自分1人でペナの中の相手を2人も3人も抜いてゴールを決めたいと気負いすぎているのか、ちょっとプレーに無理がありました。そこまで気負わずとも、味方とのパス交換から1人かわしてシュートとか、自分に相手を2~3人ひきつけておいて空いている味方にパスして決めさせるとか、まずはオーソドックスなプレーで実績を積み上げていくべきだと思います。宇佐美選手の起用法なんですが前にも言った通り、4-2-3-1で使うなら守備の義務から解放されるトップ下で試すというのも一案だと思います。彼に守備をちゃんとやってもらうことが彼自身のためにもなるのですが、そのせいで彼の攻撃がまったくキレを失ってしまうのでは「角を矯めて牛を殺す」というものです。

期待しているのであえて指摘しますが、柴崎選手は今のままではトップ下としてW杯で活躍するにはかなり厳しい状況です。次のプレーへの判断が遅く、フィジカルコンタクトも強くないので、仮にプレミアやブンデスリーガへ移籍しても厳しいプレスに苦しんでボールをキープすることがほとんどできないんじゃないでしょうか。パス出しにおいても自分の一発のパスで決めてやろうと気負いすぎているのか、出すのも難しければ受けるのも難しい凝ったパスのほとんどがつながっていません。自分のプレーの問題点をもう一度洗いなおした方が良いです。

        ☆        ☆        ☆

 東アジアカップをしめくくる中国との試合は、引き分けという結果は不満の残るものでしたし、日本の試合内容も前の2試合に比べれば良くなってきているものの、まだまだ及第レベルにはありません。

日本は4か国中、2分け1敗で最下位に終わりました。残念な結果ではありますがより長期的な視野に立って考えれば、この大会は勝負を度外視して将来の日本代表を担う若者に国際経験を積ませる場として、割り切って参加することも十分ありだと思います。

しかしこの大会に呼ばれたメンバーを見ますと、3年後のロシアW杯開幕時に30歳前後になっている選手が多すぎました。

どうせ最下位になるのであれば、もっと若いメンバーを招集してスタメンの平均年齢が23~24歳ぐらいになるようなチームを出場させ、東アジアのフル代表を相手に厳しい経験を積ませた方が、3年後の利益を見据えればどれだけ有益だったことでしょうか。

(特に、槙野選手と組ませる形で神戸の岩波選手や鹿島の植田選手らを起用して、若いセンターバックを育成して欲しかったですし、ハリルホジッチ監督に強く要望しますが、これからテストマッチや勝負がついたあとのW杯予選等でサザンプトンの吉田選手と岩波選手や植田選手らを組ませてどんどん経験を積ませるべきです。プレミアリーグの現役選手と組ませることで若い選手はお金には代えられない貴重なものを吸収できるはず)

ベテランを多く招集したので勝ちに行ったのかといえばそうではなく、かといって多くの若手選手に経験を積ませることもできず、日本サッカー協会がどういう目的をもってこの大会に日本代表を参加させたのか、そこのところが非常にあいまいで中途半端でした。

ハリルホジッチ監督はこの大会前に、「ロシアW杯に参加する日本代表の50%は国内組になる」とおっしゃっていたように記憶していますが、この大会のパフォーマンスを見る限り、あと3年時間が残されているとしても今回プレーした国内組がW杯で世界を相手に戦えるレベルまで引き上げるのは、容易な作業ではないというのが率直な感想です。(だからといって海外組のすべての選手が世界と戦えるレベルにあるということでもありません)

大会直前までJリーグの試合があり、練習時間がほとんどなくて選手全員が疲労していたことは同情の余地があるのですが、肉体的な疲労とは関係のない、メンタルの部分があまりにも弱かったり、ゴールをいかに奪うか・いかに失点を防ぐかというゲームの勝負どころにおいて、日本の選手がいかにサッカーというものを知らないかを痛感させられたりと、今から3年後が思いやられます。

国内組の選手たちが、これからわずか3年後にW杯に出場して勝利することを本当に望むなら、東アジアカップのような低レベルの試合をしては絶対にいけませんし、相当な危機感をもって毎日のトレーニングや試合に励んで、よほどの成長をみせないと。

「ロシアW杯に参加する日本代表の50%は国内組になる」なんて、現時点ではたちの悪い冗談でしかありません。

 最後に余談ですが、今回最下位になったことで、日本がそれほど重要でもない次回東アジアカップに参加するために、香港や台湾などを相手にした予選を戦わなくてはいけなくなったのでしょうか?

もしそうなら「痛し痒し」ですねえ。

◇    ◇     ◇     ◇     ◇     ◇    ◇

          2015.8.9 武漢体育中心

          中国  1 - 1  日本


     ウー・レイ 10'       武藤 41'


  GK ワン・ダレイ          GK 東口

  DF ラオ・ウエイフイ        DF 丹羽
     レン・ハン              森重
     フェン・シャオティン        槙野
     ジー・シャン             米倉

  MF カイ・フイカン         MF 遠藤
     リウ・ジャンイエ          山口
     ウー・レイ              永井
     ウー・シー             (浅野 84)
    (ジェン・ジィ 69)          武藤
                        (柴崎 74)
  FW ガオ・リン              宇佐美
    (ジャン・チミン 80)   
     ユ・ダーバオ         FW 川又
    (ヤン・シュー 61)         (興梠 63)




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