■あれじゃあ、サッカーにならない(その2)

 前回のつづき

 選手個々で特筆すべき活躍だったのは遠藤選手。あまりやったことのないポジションだったはずですが、早くて正確なクロスから武藤選手の先制ゴールをお膳立て。守ってもサイドでの一対一でほとんど勝っていたんじゃないでしょうか。彼がコンスタントに活躍するようになれば、W酒井選手のポジションが危うくなってきます。

逆に森重選手はパク・ヒョンイルに競り負けて同点ゴールを許す要因に。ブラジルW杯でコートジボアールのボニーに競り負け、今年4月のテストマッチでウズベキスタンの選手に競り負け、そして今回と、彼がインターナショナルレベルで一対一に勝てないことがことごとく失点につながっています。何度チャンスを与えてもらっても改善が見られませんし年齢も年齢ですから、彼にはJリーグで対人守備能力をつけてもらうことにして、別の選手にチャンスを与えるべき。同じ失点するにしても20代前半の若手に経験を積ませた方が日本サッカーの将来のためになります。

槙野選手もパク・ヒョンイルに競り負けて逆転ゴールを献上。先にボールに触れなくても、せめて相手に空中で競り合いを挑み、正確なヘッドを許さないといった次善の策をとるべきでした。

武藤選手は先制ゴールは良かったものの、攻撃面でのリーダーであるトップ下としての働きには不満が残りました。前半25分を過ぎたあたりからチーム全体が攻めを急ぎすぎ、意図のないロングボールを前へひたすら放り込むだけになってしまいましたが、そういう時こそトップ下が自分の判断で味方に声をかけ、遅攻をすべきときは自分のプレーで味方にそうしたメッセージを伝え、チーム全体の攻撃をオーガナイズすることでゲームの主導権を奪い返すような働きが求められます。ただ彼にとってトップ下はほとんどやったことのないポジションでしょうから、同情の余地はあります。

山口&谷口選手は、ボランチとして相手に対するプレス守備はまずまず良かったと思いますが、ボールを奪い返したあと、攻撃の基点となるべきパスの質が低すぎます。いくら監督の指示だからといってロングボールをひたすら前へ放り込むのでは、攻撃の形がつくれません。後半の20分すぎから陣形が間延びしバイタルエリアが広く空いてしまったために、北朝鮮のロングボール攻撃を日本のDFがクリアしてもこぼれ球がほとんど拾えなくなりましたが、そういうときこそボランチがチーム全体にコンパクトな陣形を保つよう声をかけ、味方の4バックとの距離を縮めてバイタルエリアのスペースをつぶし、守備ブロックをつくって相手の攻撃をはね返して、そこから反撃につなげるような守備面でのリーダーシップが求められます。

川又選手はワントップとしてほとんど機能せず。パスを受けても味方へ落とすボールがことごとく不正確で、日本が攻めの形をつくれない一因に。彼に限ったことではありませんがこの試合、日本の選手がパスを受けて前方へターンできる場合でもそうせずに、相手ゴールに背を向けてパスを受け、それを意味もなくただ機械的に味方へバックパスするということを繰り返していたことが、攻撃が機能しない原因の一つとなっていました。そうなってしまうのはパスを受ける時のボディ・シェイプが悪いからで、パスはできるだけ半身になって受けないと。これはユース年代までにきっちり身に着けておいてほしい基本事項です。

ボディシェイプ

永井選手は、足元の技術の不足が原因で彼の最大の武器であるスピードが生きてきません。直線的なドリブルだけではなく正確にボールをコントロールしてドリブルしながら曲がることができるようになるとか、味方へ長短のパスを正確に出せる技術をつけるとか、今からでもぜんぜん遅くないので自分で課題をつくって足元の技術を高める練習に取り組んで欲しいです。前半44分のシュートチャンスは大事に打とうとしすぎてワントラップしてしまったことが敗因でした。あそこはノートラップのダイレクトシュートを正確に打たないと相手に対応する時間を与えてしまいます。


        ☆        ☆        ☆
 
 ハリルホジッチ監督の采配を分析しますが、前半25分すぎからチームが攻めを急ぎすぎて、ロングボールをデタラメに放り込む攻撃ばかりになってしまったことが、ボールをほとんどキープできずゲームの流れをこちらに引き寄せられなくなった原因でした。

柴崎選手が本調子ではなく、浦和の柏木選手がケガで代表を辞退したため、トップ下の人材が不足している苦しい台所事情はわかりますが、ほとんど経験のない武藤選手にぶっつけ本番でトップ下をやらせたのは酷だったようです。

それで武藤選手をトップ下から外し、4-1-2-3にしてハーフの一人として柴崎選手を投入したのは悪くない判断だったと思いますが、攻撃の選手で唯一ゴールの匂いがしていた宇佐美選手を柴崎選手の代わりに引っ込めたのは理解に苦しみました。

あそこはフォーメーションを変えずに、個の力でボールをキープでき、チャンスメークもできる宇佐美選手をトップ下にもってきて試すという選択肢もあったのではないかと思います。

センターバックの人選についても、ほとんど成長の見られないベテランを使い続け、ゴール前でやられ続けるのをただ見ているぐらいなら、将来性のある若者を起用して世界に通用するセンターバックに育てるために経験を積ませた方が、どれだけ有益でしょうか。

今回呼んだセンターバック候補が、ロシアW杯時に30歳を超えている選手ばかりというのは、強い懸念を持たざるを得ません。

        ☆        ☆        ☆

 東アジアカップ、日本男子の開幕戦となった北朝鮮戦は、逆転負けという結果は最悪でしたし、試合内容の方も相当にひどいものでした。

Jリーグの試合から中3日で酷暑の武漢に移動して、チーム練習のための時間がほとんど取れず、北朝鮮とのゲームにぶっつけ本番で臨まざるを得なかった日本の選手たちの事情は考慮しなくてはなりませんが、Jリーグの選手たちが卓球やバスケットボールといった全く別のスポーツを初体験でやらなければいけなかったわけではありません。

代表戦といっても同じサッカーなのですから、こういうピンチの時はこうすれば乗り切れるという経験をJリーグの普段の試合でさんざんしてきたはずで、いちいち監督が打開策を指示してあげなければ勝てませんというのではなくて、チームが攻め急いでまったく攻撃の形をつくれないときは遅攻に切り替えチーム全体を落ち着けるとか、防戦一方の時は意識的にコンパクトな守備ブロックをつくって失点を防ぎ、そこからプレスをやり直してボールを奪ったら反撃することで失ったゲームの主導権を取り戻すといったことを、ピッチの中にいる11人の選手たちが自分の頭で考えて、行動に移せるようにならないといけません。プロなんですから。

◇    ◇     ◇     ◇     ◇     ◇    ◇

            2015.8.2 武漢体育中心

          日本  1 ー 2  北朝鮮

          武藤 3'      リ・ヒョクチョル 78'
                     パク・ヒョンイル 88'



        GK 西川        GK リ・ミョングク

        DF 藤春        DF シム・ヒョンジン
           槙野           チャン・グクチョル
           森重           リ・ヨンチョル
           遠藤           カン・グクチョル

        MF 谷口        MF ロ・ハクス
           山口           リ・チョルミョン
           宇佐美          ホン・グムソン
          (柴崎 55)       (ソ・ギョンジン 83)  
           武藤           ソ・ヒョンウク
           永井          (パク・ヒョンイル 66)
          (浅野 84)
                      FW リ・ヒョクチョル
        FW 川又          (キム・ヨングァン 90+)
          (興梠 72)        チョン・イルグァン



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