■ブラジルW杯の金縛り状態ふたたび(その2)

 前回のつづき

 選手個々で及第点以上の活躍をした人はいませんでした。

 逆に柴崎選手は、攻撃の基点として前方へ速いパスをどんどん入れていき、チーム全体に良いリズムと流動性を与えるべきでしたが、ボールを受けてから次のプレーを選択するまでの判断が遅すぎで、中盤をゆっくりドリブルしながら4タッチ5タッチしている間に、相手が守備態勢を整えるのに十分な時間を与えてしまい、攻撃面でのブレーキに。

長谷部選手も柴崎選手と同様、中盤でボールを持ちすぎで、チームが相手ゴールに向かってボールを運ぶときの、スピード・ダイナミックさ・迫力を失わせていました。若い柴崎選手を始めチーム全体が過緊張に陥っていることはピッチの中にいて肌身で感じていたはずです。キャプテンとして「失敗を恐れず、勇気をもってチャレンジしよう。後悔しないよう思い切って全力を出し切ろう」とチーム全員に声をかけて欲しかったと思います。

香川選手は前半、岡崎・本田・宇佐美の3選手に吸収される形で相手の4バックと一直線に並び、4トップみたいなポジショニングを取っていましたが、これでは攻撃に深みが生まれません。相手のウラでパスを受けてゴールしたいのはわかりますが、まず相手のセンターバックもしくはボランチの前で半身でパスを受けて前を向き、一度岡崎・本田・宇佐美の誰かにボールを当ててから相手DFのウラヘ抜け出しつつ、リターンパスを受けてシュートするようにしないと相手を崩せません。

宇佐美選手は先輩たちの緊張が伝染したのか、いつもの人を食ったような大胆不敵なプレーが影をひそめ、ボールを失わないことを優先する安全策の方が目立ち、ゴールへの怖さがなくなってしまいました。

本田選手は、相手がゴール前で密集しているにもかかわらず、右サイドからカットインしての中央突破にややこだわりすぎで、日本の攻撃から横幅が失われることでゴールをより難しくしていたように思います。右サイドをタテに突破するためのスピードが加齢とともに落ちてきているから、中へ中へと行くのでしょうか? もしそうでなかったとしても3年後のW杯を見据えるならば、クラブの偉大な先輩ピルロや世界王者ドイツ代表のシュバインシュタイガーみたいに、中盤の底からゲームをつくることでチーム全体をコンダクトすることをそろそろ覚えても良い年齢にさしかかっていると思います。

岡崎選手は、両サイドハーフがあまり幅を取ってくれず、トップ下まで相手4バックと横並びになるような形になって自分が動けるスペースがなく苦しかったと思いますが、相手ゴールに背を向けて棒立ちになり、ボールホルダーを見ているだけでは相手を崩せません。味方がバイタルエリアでボールをもって前を向いたら、相手DFのウラヘダイアゴナル・ランしたり、逆に相手バックを引き連れながら味方のボールホルダーに近づいて行って、仲間のためにスペースをつくってやるとか、パスを引き出す動きに工夫が全然足りません。

酒井選手は焦りがあったのかバタバタしていて、自分の真正面にいる敵にパスしてしまったり、味方からのサイドチェンジをトラップミスして相手ボールにしたり、ロングパスがそのままゴールラインを割ってしまったりと、ボールが足についていない感じでした。

        ☆        ☆        ☆

 W杯アジア2次予選、開幕からのスタートダッシュを決めたい日本代表でしたが、シンガポールに引き分けてしまったのは痛すぎる結果でしたし、試合内容も悪かったですね。

「大事な初戦だから絶対に失敗したくない」という恐れが、選手ひとりひとりを金縛り状態にし、これまで数度の合宿と3つのテストマッチを使って練習してきた攻撃が、まったくできなくなってしまいました。

どのプレーヤーも、自分のところでボールを失ってカウンターを浴びることを極度に心配して、自分より前でフリーになっている味方がいるのに速いパスを入れるのをためらい、ひとりひとりがボールを持ちすぎてしまうことで、日本の攻撃からスピード・ダイナミックさ・相手に与える恐怖感が失われてしまいました。

仮にチーム全体でボールを長時間保持するとしても、1試合で選手1人がボールを持つ平均時間をできるだけ少なく(目安としては2秒以下に)しないと、攻撃に良いリズムが生まれてきません。

後半の半ばをすぎてから、だいぶ硬さが取れてきたと思いますが、あと20分で1ゴールしなければという焦りが、シュートやラストパスの精度をどんどん下げていったように思います。

これがサッカーというもので、アップセット(番狂わせ)と呼ばれる試合が起こるメカニズムはみんなこれです。

失敗を恐れず、まだ十分時間が残されているキックオフから勇気をもってチャレンジし、1試合を通じて全力を出し切ることがいかに大切かがわかります。

 これまで、さも「ブラジルW杯での日本の敗因はポゼッションサッカー」であったかのように主張していたところも含め、ハリルジャパンのカウンターサッカーをもろ手を挙げて絶賛していたマスコミが、シンガポール戦後に一斉に黙りこくってしまったのは面白い現象ですね。

「ポゼッションサッカー悪玉論は間違い(その2)」の記事で、当研究所はこう指摘しました。


「今メディアはハリルジャパンのカウンターサッカーをもろ手を挙げて絶賛していますが、いずれそれが相手に研究されて、日本のカウンターを防ぐために自陣深く引いてスペースを消し、逆カウンターを狙ってくるチームが現れることでしょう。

相手が「強豪の日本からは勝ち点1取れればOK」と判断して前へ出てこなければ、ハリルジャパンが相手をワナにはめるために引いてカウンターのチャンスをうかがっても試合時間がどんどんすぎるだけで、日本は0-0のドローゲームが増えていくだけになると思います。

そういう場合は、守備ブロックをつくって自陣で構えている相手からゴールを奪う戦術が必要になります」



この予言が当たる日が必ず来るとは思っていましたが、ここまで早く来るとは思いませんでした。

シンガポールは守備を固め、特に後半はゴール前でベタ引きとなり、日本はボールを持たされていました。

ならば、効果的なパスサッカー(ポゼッションサッカー)をやって相手の守備ブロックを崩さなければいけなかったのですが、それができずにスコアレスドローとなってしまいました。

これまで何度も言ってきたように、「カウンタサッカーだけ」とか「ポゼッションサッカーだけ」とか、たった一つのことしかできないチームなり選手は、すぐ行き詰ってしまうのです。

 ザックジャパンのブラジルW杯、アギーレジャパンのアジアカップ2015、そして今回のシンガポール戦と、日本がパスサッカーをやるときに、戦術面でほとんど進歩が見られません。

そこで得点力不足に苦しむ日本代表のために、攻撃戦術の集中講座を開きます。

私の仕事が忙しいので、今度の土曜か日曜を目標に記事をアップしたいと思います。

◇    ◇     ◇     ◇     ◇     ◇    ◇

        2015.6.16 埼玉スタジアム2002

        日本  0 - 0 シンガポール



       GK 川島       GK イズワン

       DF 太田       DF ナズルール
          槙野          マドゥ
          吉田          バイハッキ
          酒井宏        (フィルダウス 80)
                       シャイフル
       MF 長谷部
          柴崎       MF ズルファミ
         (原口 71)       ハリス
          宇佐美         ファズルール
         (武藤 78)      (ヤシル 90+)
          香川          シャフィク
         (大迫 61)       ハフィズ
          本田      
                    FW ハイルール.A
       FW 岡崎         (ハイルール.N 85)



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