■アジアカップ総括

 5度目の優勝を目標として臨んだアジアカップ2015、日本代表は準々決勝で敗退というとても残念な結果となってしまいました。

ブラジルW杯では主にメンタル面での問題から、選手個々としてもチームとしても持てる潜在能力を発揮できず惨敗に終わりましたが、今回のアジアカップはブラジルW杯で露呈した、そうした弱点を克服する絶好のチャンスでした。

相手をリスペクトしすぎたり悪い結果を心配したりして体が思うように動かなくなるようなこともなく、逆に相手をナメて油断し手を抜くこともなく、いつでもどんな試合でも実力を普段通りに発揮する。

これが優勝という結果と並んで重要な、日本の目標でした。

しかし、パレスチナ戦とイラク戦は「失敗したくない」という思いが強すぎたのか、各選手は自信が無さそうに迷いながらプレーをしていて、相手ゴールへ向かってボールを運ぶ、力強さやスピードに欠けました。

ボール保持者が次のプレーをどうするか迷う→相手は動きを止めているボール保持者にプレスをかけやすくなる。フリーだった味方にもマークにつく時間を与えてしまう→やむをえず密着マークを受けている味方へパスをする→味方がフィジカルコンタクトに負けてボールをロストしカウンターを食らう→カウンターへの恐怖からボール保持者がミスパスを避けるため、もっと慎重に長い時間をかけてボールを持ってしまう→よけい相手のプレスがかかりやすくなりボールをロストしてしまう

こういった悪循環こそ、ブラジルW杯における日本の試合で見られた現象でした。

そこで当研究所はドイツ代表のレーブ監督の指導法を紹介しつつ、次のプレーの判断を早くして1人の選手がボールを持つ平均時間をなるべく2秒未満に保つことを修正点としてあげました。

その狙いは、

速いテンポで正確にパスをつないで攻める→相手がうかつに飛び込めなくなる。飛び込めばパスでかわされてしまう状況をつくる→相手のプレスが弱まることでよけいにパスを回しやすくなる→相手が守備の態勢を整えられないうちに攻めるから質の高いシュートチャンスを数多くつくれる→ゴール!

という好循環をつくりたいからです。

グループリーグ最終戦のヨルダンとのゲームでは、各選手の判断スピードが格段に早くなり、相手ゴールへ向かってボールを運ぶ力強さやスピードが出てきて、結果はもちろん試合内容も良いゲームだったと思います。

こういうインテンシティの高いゲームを大会初戦からやって欲しかったのです。

そうすればパレスチナ戦・イラク戦を試合の早い時間帯で3-0なり4-0なりにしてゲームを決めてしまい、あとはゲームをコントロールしつつ主力を休ませて、若手にたっぷり経験を積ませることもできたはずでした。

ヨルダン戦は良い内容で勝利をあげることができたので油断が生じたのか、準々決勝のUAE戦は立ち上がりの一瞬のスキを突かれて失点し、それを取り戻すためによりパワーを消費して攻撃しなくてはなりませんでした。

「準々決勝で敗退しないためにはシュートを絶対に外せない」というプレッシャーと焦りが、よけいシュートの精度を下げてしまったのかもしれませんが、それが公式戦というものであり、克服しないといけませんし、選手が精神的に成長をとげる絶好のチャンスでもありました。

しかし試合の終盤ようやく同点に追いついたものの逆転ゴールのチャンスをついに決めきれず、PK戦の結果によりあまりにも早すぎる帰国が決定してしまいました。

テストマッチではゴールが外れても、それで試合に負けても痛くもかゆくもありませんが、1対1で相手のシュートを防げなければ、1本のゴールを決めなければ、アジアカップのタイトルやコンフェデの出場権を失うという実際の痛みを公式戦は伴います。

そのような公式戦で、のしかかる重圧をはねのけて相手のシュートを防ぎ、狙ったところへゴールを確実に決めるという、単なるテストマッチでは決して経験できない、貴重な真剣勝負をたった4試合しかできずに敗退し、どんな試合であっても普段どおりの実力を出し切るという課題も克服できなかったのが残念でなりません。

これで日本代表の公式戦はロシアW杯アジア予選の試合だけとなってしまいましたが、その初戦から、悪い結果を恐れず、かといって相手をナメることもなく、自分たちの実力をいつでもどんな試合でも100%発揮して、勝利という結果をきちんと出すことができるように、各選手はクラブに戻り、常に実戦のつもりで練習にはげんで欲しいです。

プレーの正確性を保ちつつも、1人の選手が1試合当たりにボールを持つ平均時間を2秒未満に保ち、それをロシアW杯の本番までになるべく短縮していくことも、日本代表の練習や実戦において継続して取り組んでいくべきことです。

そうした練習によって、どんなにプレッシャーがかかる試合でもなるべくインテンシティを一定に保ち、各選手の潜在能力を出し切って安定した結果を出すことにつながります。

 アジアカップ2015ではブラジルW杯の主力だったベテラン勢を脅かすような若手の台頭も望まれましたが、UAEやイラクなど新しい世代が着実に成長している国がある反面、日本の若手の成長スピードに物足りなさが残ったのも、今回の大会で感じたことです。

個人名を出して申し訳ないんですが、今回召集されなかったメンバーでも、柿谷・大迫・宮市ら期待されている若手がヨーロッパで伸び悩み、結果が出ないことでプレーが小さく小さくなっていっているように見えます。

年末年始にザックジャパンの特集をテレビでやっていましたが、そこで一番驚いたのは岡崎選手のドイツ語によるコミュニケーション能力でした。

マインツにあるパン屋さんに入り、店員のおばさんや偶然居合わせた他のお客さんとドイツ語でジョークを飛ばしながら会話する彼の姿が映し出されていましたが、岡崎選手が今なおサッカーが上手くなり続けていて、ブンデスリーガでゴールという結果を出せている秘訣がわかった気がしました。

サッカーはチームスポーツですから、単にボールを蹴ることが上手くなるだけではだめで、もし海外移籍するならその国の言葉を覚え、監督やチームメイトが自分に何を要求しているのかをピッチ上で瞬間的に理解し、チームメイトや監督にどうして欲しいのかを自分の言葉で即座に伝えることができなければ、海外で成功することは困難です。

言葉を覚えるのがめんどくさい、通訳を雇ってその分サッカーの練習をした方が..という選手もいるでしょうが、欧州主要リーグで成功するという夢は、「言葉を覚えるのが面倒くさい」という気持ちに負けてしまう程度の軽いものなんでしょうか?

そうではなくて、外国語を自分の武器にして、あらゆる努力を惜しまずに成功させるものが海外移籍ではないんですか。実際、岡崎選手にしろ本田選手にしろ海外で成功できている選手の成績と語学への努力は正比例しているように見えます。

柿谷選手や香川選手は、岡崎選手のようにドイツ語をマスターしているのでしょうか?

ここ数年アジアにおけるユース年代の大会で、日本の代表が敗退を重ねており、世界への道が閉ざされてしまっています。

それは決して好ましいことではありませんが日本の場合、欧州各国リーグへ若手選手を直接送り出して、そこで世界に通用するサッカー選手に求められる経験を積ませ成長させるというルートを持っており、このルートを上手く活用できれば、世界レベルのユース大会に出場できないマイナスを打ち消してあまりある成功を日本サッカー界にもたらすことは可能です。

外国語学習の支援や食生活の指導も含めて、日本サッカー協会が海外移籍した若手選手を上手くフォローしてやり、次の日本代表を担う選手の育成を積極的にはかっていくことが求められます。

攻撃のポジションばかりでなく、特にセンターバックの選手を海外に送り出して、世界に通用するプレーヤーとして育てることが急務でしょう。

ロシアW杯の決勝トーナメント進出を目指している日本が、アジアのベスト4にさえ食い込めなかったという今回の結果を、日本サッカー界は深刻に、ハッキリとした危機として受け止めるべきです。

 次回は総括の締めとして、アジアカップに出場した各選手のプレーと、アギーレ監督の采配について評価したいと思います。



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