■日本代表あまりにも早すぎる帰国

 アジアカップの準々決勝に進出した日本代表でしたが、UAEを相手に1-1から延長・PK戦までもつれ、結局4-5でPK戦を落としてしまい、公式記録上は無敗のまま、早くも大会から去ることになってしまいました。

 今回の対戦相手UAEは全員が国内リーグでプレーしています。その戦力は日本とほぼ互角、やや日本の方が地力で上回るかと見ていましたが、中立地で120分を終えて1-1という結果は、確率的には十分あり得るものでした。しかしそういう相手を90分以内に倒さないとチームの成長はないわけで、圧倒的な数のシュートを放ってゴールを決めきれなかった、自分たちのミスから延長でも決めきれず、PK戦という“クジ引き”に準決勝進出の成否をゆだねてしまった時点で負けでした。

大会直前に当研究所の予想として「UAEがサプライズを起こすかもしれない」と書きましたが、日本との試合でそれを起こされてしまったことがとても残念です。

        ☆        ☆        ☆

 日本代表の試合内容も今ひとつ。

守備は、パス回しの上手いUAEを警戒しすぎたのか、それとも中2日の疲労のせいかわかりませんが、立ち上がりからプレスが甘く、相手のボール保持者を見てしまいました。それがたちまち失点につながってしまいます。

日本の中盤左サイドでパスを回されて相手の5番がボールをもって前を向きます。しかし5番へのプレスが甘く、彼から正確なロングパスを通されたあげく、センターバックもパスを受けたマブフートはまだ何もしてこないと決めつけてしまったのか、緩慢なスピードで追いかけているうちに正確なシュートを食らってしまいました。

このシーンで失点したのは、フォーメーションのミスマッチにも原因があると思います。日本はいつもの4-1-2-3に対し、UAEは中盤をフラット、もしくはやや台形にした4-4-2でした。


●日本(4-1-2-3)→

  ●   ⑩        ●○

  ●○      ●⑤    ○
      ●        ●
  ●○      ●○    ○

  ●   ○        ●○

           ←UAE(4-4-2)○


このマッチアップですと、相手の両サイドハーフが中盤で数的優位になっていますが、4バックから変えないならば、こちらのアンカーがサイドに寄って相手のボールサイドにいるサイドハーフを見るか、さもなければボールがない方のサイドバックが1枚余ってセンターバック2枚と共に相手の2トップを見て、ボールサイドのサイドバックがちょっと上がって相手のサイドハーフを見るかのどちらかでしょう。

(アンカーが最終ラインに入って3バックにすることを許されるなら、両サイドバックを押し上げて相手の両サイドハーフを見ることが可能になりますが)

ところが失点シーンでは、相手の10番ウマルを中心にパスを回され、5番が図の10番の位置でフリーでボールを持った時、
アンカーは近くにいなかったのでこちらの左サイドバックに相手の5番を見て欲しかったのですが、そのままフリーにしたため、正確なパスを通されて痛い先制ゴールを食らうことになりました。

大阪でのオーストラリアとのテストマッチでは、アンカーの両サイドのスペースを突かれて苦戦して、攻撃力のあるチーム相手に4-1-2-3では不安があることはわかりきっていたのに、そのまま行ったのはフォーメーションの選択ミスと言えそうです。

失点したあとは立ち直りましたから、キックオフからの10分・15分間プレスを弱めてしまったことが悔やまれます。相手のパス回しが早くてなかなかプレスが掛からなくても、相手のやることを見ているのではなくて、辛抱してプレスを継続していかないと。

 攻撃面も今一つの出来。

次のプレーの判断がヨルダン戦よりも遅くなり、各選手が3秒ぐらい考えてプレーすることで攻撃の組み立てにスムーズさが欠けていました。ただ、後半からはプレー判断も早くなっていったように思います。決勝トーナメントだから大事に行きたいと思ったのかもしれませんが、プレーの正確性を保ったまま、各選手の平均ボール保持時間を2秒未満に心掛けることを前半立ち上がりからやって欲しいですね。

攻撃面で一番の問題は、シュートのクオリティの低さ。

シュートを外した人を非難して次からパスに逃げられるともっと困るので、シュートを打った人を褒めこそすれ非難だけはしたくないのですが、サッカーはどれだけ多くのパスやシュートをしたかに関係なく、シュートがどれだけゴールに入ったかで勝敗が決まるので、シュートの精度が低いというのは大きな問題です。

シュート決定力が高ければ、少ない攻撃回数でも勝つことができ、それだけ体力の温存がはかれますから、W杯のような短期集中決戦で勝ち抜いていくうえでも非常に重要です。

どうして日本の選手のシュート決定力がなかなか上がらないのかと言えば、一番大きな原因はやはりメンタルではないでしょうか。

本来、シュートしてゴールするという行為はサッカー選手にとって一番大きな喜びだと思うので、日本の選手にはもっとシュートという行為を楽しんでボールと遊んで欲しいのですが、実際は「チームへの責任」だのなんだのと重いものを引きずって一種の“苦行”になってしまっているように見えます。

ですからシュートを打つ時にあまりにも心の余裕がなくて、相手GKを良く見て自分の狙ったところへ正確に蹴りこむことができなかったり、どフリーでヘディングシュートを打つ時でも、頭にボールを確実にミートさせてGKのいないとこへ狙って入れるだけで良いのに、全身に余計な力が入り頭を全力でブリブリ振り回すために、頭に当たったボールがとんでもない方向へ外れてしまう、というのがこのUAE戦でした。

シュートの一つ手前、バイタルエリアに攻め込んでラストパスを出す瞬間も日本の選手からはまったく心の余裕が感じられません。

それがアタッキングサードへ入ってからの攻撃の手詰まり感、アイデアの乏しさにつながっています。

相手のセンターバックの前でボールを持ちフリーで前を向けたら、相手選手と遊んでやる気持ちでコンマ何秒わざと余計にボールを持ち周囲を冷静に観察していると、相手選手は必ず自分との距離を詰めてボールを奪いに来ます。

するとその選手が動いたために相手のオフサイドラインは乱れ、動いたあとに必ずスペースが空きますから、そこを周囲の味方と協力して「同じ攻撃の絵を描く」ことで、例えばスルーパスやワンツーを使って相手DFのウラヘ味方選手とボールを送り込めば、質の高いゴールチャンスがつくれます。もちろん眼前の相手選手が前へ詰めてこなければ、プレーの第一選択肢は「自分が打つシュート」です。

バイタルエリアでボールを受け、心の余裕が無いまますぐに無我夢中のパスをすると、相手DFの体にボールをぶつけたり、味方が感じることができずにパスがつながらなくなったりしてしまいます。

アタッキングサードに攻め込んだら、失点しないために何とかしなくてはならない相手が不利でこちらが有利なわけですから、ボールで相手をおちょくってやるぐらいの気持ちでもっと心の余裕をもち、シュートやチャンスメークを楽しんで欲しいと思います。

 攻撃面の課題でつけ加えるとすれば、この大会ずっと続いている長短のパスの雑さ、ミスの多さです。アギーレジャパンになってからパス回しが下手になったように感じるのですが、練習が不足しているのでしょうか。

延長に入って何でもないパスがミスとなり、何としても相手ボールにしたくなかった長友選手が無理をした結果、足を痛めてしまい、交代選手を使い切っていたため、実質相手より1人少ない状態で戦わざるを得なかった、これが延長戦で相手を仕留められなかった原因となり、攻撃面での痛すぎるミスとなってしまいました。

 選手個々の評価と監督采配については次回とします。



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