■戦う姿勢のまったく見えない日本代表、ブラジルに惨敗(その2)

 (前回のつづき)

 選手個々で特筆すべきは岡崎選手。自分より大きい相手に体を張ってボールをキープし惜しいシュートを放つなど、ブラジルに対して唯一戦う姿勢が見られた選手でした。

途中出場の武藤選手もブラジル相手にどれだけ自分が通用するか、チャレンジしようとした姿勢は買います。

 しかし岡崎選手以外の先発メンバーのほとんどが、精神的にも技術的にもワールドクラスの相手と戦う準備ができていたのか疑問。

本田・香川・長友といったレギュラー陣からポジションを奪う絶好のチャンスなのに、岡崎選手のように全力でプレーして自分の力を出し切るという姿勢がまったくうかがえず、プレーに関与して失敗することを恐れているのか、守備でも攻撃でもボールのゆくえを眺めながら歩いているやつが多すぎます。

田口選手は普段Jリーグの選手を相手にしていて、いきなりブラジル代表レベルに対応しろというほうが酷なのかもしれませんが、どうすればよいかわからないままピッチ上をさまよっていました。バックの前のスペースに侵入して先制ゴールをアシストしたジエゴタルデリへは、まずアンカーが前方へのパスコースを消しに行って欲しかったです。

酒井選手はネイマールへのマークを放してブラジル先制ゴールの一因に。ドリブルするジエゴタルデリへのプレスがまったく掛かっていない状況でしたから、あそこはオフサイドを取りに上がるのではなくネイマールへついて行って欲しいところ。

塩谷選手は自陣において相手をドリブルで抜きにかかったところを奪われ、カウンターを浴びてしまいました。Jリーグでもそういったプレーを時折見かけますが、センターバックの個人戦術セオリーとしてはタブーである「ハイリスク・ローリターン」のプレーです。ミスを自分で取り返して事なきを得たものの、前方へパスしてそのまんま相手にボールを渡してしまうプレーもありました。

ブラジルの3点目のシーンにおいて、川島選手はフェルナンデスのシュートをセーブしたのは良かったのですが、ボールをはじいた先にネイマールがいましたからもう少しなんとかできなかったでしょうか。

柴崎選手は、次のプレーをどうするかの判断の遅さ、ボールコントロールのちょっとしたミスから相手に奪われて、何度もブラジルのショートカウンターのえじきに。

森岡選手はほとんどの時間消えていて、攻撃にも守備にも存在感なしです。

        ☆        ☆        ☆

 アギーレ監督の采配は、理解に苦しむ点が多かったです。

おそらくフォアチェックからボールを奪ってショートカウンターというのが、この試合の狙いだったのかもしれませんが、足元の技術はもちろんフィジカルコンタクトでも個の能力でブラジルに勝っているとはいえない日本人選手の特徴を考えれば、個の強さで相手からボールを奪うことを前提とした戦術を選択したことに疑問が残ります。

仮にフォアチェックからショートカウンターという当初の狙いが外れたとしても、じゃあどう戦術を修正して試合を勝ちなり引き分けなりにもっていくのかという駆け引きも見えませんでした。

ラテンアメリカ気質なのか、ジーコ元監督もチームづくりがうまくいかないと、かんしゃくを起こしたようにスタメン総とっかえみたいなことをやっていましたが、そもそもこれだけ国際経験のない選手たちをいきなりブラジル相手にぶつけた意図がよくわかりません。

Jリーグ選抜のような選手たちに、世界との大きな差を肌身で感じさせるためのショック療法でしょうか?

チームの強化には「競争」も大事ですが、「継続性」というものも大事だと思います。

ザックジャパンはブラジルで思うような結果を残せなかったとはいえ、すべてが無駄だった、間違いだったわけではありません。

それまでの4年間で積み上げた「アジアにおける圧倒的な強さ」や、「コンディションの良いときならイタリアやオランダとも互角に渡り合った」という経験と実績があります。

そうしたものをチームづくりのベースとして、少しづつアギーレ監督の色を出していってはどうでしょうか。

選手の起用法についても、ターンオーバー制みたいに試合ごとに大量のメンバーを入れ替えるのではなく、前の試合で良かった選手は残し、パフォーマンスが悪かった選手を外すという風に、チームづくりには継続性が必要です。

ジャマイカ戦で言えば、本田選手が特別悪かったとは思いません。決定的なシュートを外していましたが積極的に攻めた結果の失敗は、とがめたくありません。

本田選手より小林選手がブラジル戦のスタメンにふさわしいとアギーレ監督が考えた理由、細貝選手より田口選手がアンカーとして優れていると考えた理由が知りたいですね。それほど練習中の動きが良かったのでしょうか。

小林・田口両選手がそうだとは言いませんが、実力のない選手にいきなり無条件で先発ポジションを与えるよりも、本田選手や長友選手など世界のトップリーグの一つでプレーしている選手とポジション争いをさせることで、自分が乗り越えなければならないレベルというものを、海外組はもちろん普段Jリーグでプレーしていて世界を知らない選手であっても肌身で感じることができるようになります。

そうした競争によって、本田選手や長友選手を追い抜いていく若手が現れれば、前の世代の経験やレベルが次の世代へと受け継がれ、うまくいけば「サッカー強国としての伝統」を築きあげていくことができます。

アギーレ監督からは、そうした継続性がうかがえません。

ザックジャパンのレガシー(遺産)をすべてご破算にしてゼロからチームづくりを始め、前の試合で特別悪かったとも思えない選手を外して、スタメン大量入れ替えということをやっているので、いまだに攻撃の軸となる戦術が確立されているようには見えませんし、苦しいときにこのチームを引っ張る軸となるようなリーダー的な選手も、少なくともブラジル戦の前半までピッチ上には皆無でした。

いつまでも「選手選考」ばかりやってはいられません。チーム戦術を熟成させる時間が無くなってしまいます。

このままだと、大事な公式戦であるアジアカップが「ぶっつけ本番」になってしまわないか、強く懸念されます。

        ☆        ☆        ☆

 というわけでまとめます。今回のブラジル戦、0-4の惨敗という結果は残念でしたし、試合内容も不満の残るものでした。

守備はともかく、アギーレジャパンはいまだに攻撃の軸となる戦術、ゴールを奪うために効果のある攻めの形が見えてこないのが気になります。

この試合に収穫があったとすれば、「Jリーグ選抜」の選手たちに世界との差を痛感させることができたことでしょうか。

日本の指導者が「ボールホルダーをディレイさせろ」と指示することが多いせいか、残念ながらJリーグは世界的に見てもボールホルダーへのプレッシャーが弱いリーグです。

この試合の日本代表のように、ボールホルダーを見ているだけで体を寄せに行かないことが多いので、次のプレーをどうするかボールホルダーが考える時間はたっぷり与えられますし、トラップミスして少々ボールが体から離れても、自分の周りに広いスペースを与えてくれるので、ミスがミスになりません。

しかしブラジルのような世界レベルでは、そうしたことが即失点に結びつくミスになってしまいます。

(だから、世界トップレベルのリーグヘ行くチャンスがあるなら、できるかぎり若いうちに行くべき!)

 ブラジルのジャーナリストが「日本はセレソンにおびえていた」と言っていましたが、技術の差はしょうがないとして、この試合の日本代表からは戦う姿勢がまったく見られなかったのが、とてもとても残念です。

ブラジルW杯でどうして日本代表は負けたのか、その分析がウヤムヤにされていて、正確な敗因が日本サッカー界でいまだに共有されていないように思えます。

どうしてブラジルW杯で日本は負けたのかと言えば、今回のブラジル戦とまったく同じで、日本人選手は大事な試合になればなるほど、緊張したり失敗を恐れたりして、おじけづいて動けなくなってしまうからです。

コートジボアール戦は「初戦が一番重要」ということでガチガチになり、もう負けられないギリシャ戦は死にもの狂いで勝ちに行きましたが引き分け、勝たなければ決勝T行きがなくなるコロンビア戦の前半は、よけいなことは考えずに本来の実力を出し切って1-1、ハーフタイムにギリシャがコートジボアールをリードしていることを聞かされ、日本があと1ゴールあげれば決勝T行きの可能性が出ることを知ると再び失敗を恐れて動けなくなってしまい、ハメス・ロドリゲスのドリブルにおびえてズルズル下がって失点を重ねていきました。

ブラジルW杯で優勝したドイツのプレーを見ても、シュバインシュタイガーをはじめ選手ひとりひとりが試合中であっても時おり笑顔を見せるなど、世界一を決める戦いという本来とてつもないプレッシャーがかかるであろう試合でも、適度にリラックスして普段どおりの実力が出せているようでした。

技術やフィジカル能力にも差はありますが、日本人選手が世界トップレベルの選手たちと一番差をつけられているのが、こういったメンタル面の強さではないでしょうか。

この弱点が治らないかぎり、ポゼッションサッカーをやろうが、ショートカウンターをやろうが、ワールドカップで日本が勝つことはできないと思います。

送り出した選手がピッチの上で動けなくなってしまえば、監督がどんなに優れた戦術をさずけたとしても無意味です。

◇    ◇     ◇     ◇     ◇     ◇    ◇

    2014.10.14 シンガポール・ナショナル・スタジアム

         日本  0 - 4 ブラジル

                    ネイマール 18'
                    ネイマール 48'
                    ネイマール 77'
                    ネイマール 81'


      GK 川島        GK ジェフェルソン
 
      DF 太田        DF ダニーロ
         森重          (フェルナンデス 46)
         塩谷           ミランダ
         酒井           ジウ
                       フィリペルイス
      MF 田口
         森岡        MF ルイスグスタボ
        (本田 46)       (ソウザ 73)
         柴崎           エリアス
        (鈴木 84)       (カカ 76)
                       オスカル   
      FW 田中          (コウチーニョ 46) 
        (細貝 70)
         岡崎        FW ウィリアン
        (柿谷 78)       (リベイロ 46) 
         小林           ジエゴタルデリ
        (武藤 52)       (ホビーニョ 65)
                       ネイマール




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