■戦う姿勢のまったく見えない日本代表、ブラジルに惨敗

 昨日行われた日本対ブラジルのテストマッチは0-4で、日本はいいところなく敗れました。

 対戦相手のブラジルについては説明の必要はないでしょう。自国開催となったワールドカップではドイツにスキャンダルとも言える歴史的な大敗を喫し、ドゥンガ新監督のもとでチームの立て直しをはかっています。

一方、日本代表の方もアギーレ監督がザックジャパンのレガシー(遺産)を引き継がず、チームをゼロから立ち上げたところであり、シンガポールという中立地でブラジルを相手にどれだけやれるか注目されましたが、4点取られて大敗という結果はとても残念でしたし、試合内容のほうも不満の残るものとなってしまいました。

それでは試合展開を振り返りましょう。

        ☆        ☆        ☆

 試合は両チームともスロースタート。特にブラジルは、北京でのアルゼンチン戦から中2日というゲーム間隔と移動の疲れで明らかに体が重い様子。

それでもボールをゆったりと回すブラジルに対し、日本は前からプレスをかけますがボールを奪えません。

そうこうしているうちにブラジルのエンジンがかかってきます。

前半15分、ゴール前やや左から蹴ったネイマールのFKは左ポストに嫌われ日本は助かりました。

18分、中盤をスルスルっとあがるジエゴタルデリへのチェックが甘くなったところで絶妙なキラーパスを出され、これを受けたネイマールがGK川島との一対一を冷静に決めてブラジルが早くも先制。

お疲れモードのブラジルは自陣に引いて省エネサッカーを展開、日本はブラジルの守備をなかなか崩すことができません。

それでも23分、太田の左サイドからのクロスをDFがクリアしたボールが小林の前へ。彼が放ったシュートはクロスバーの上。

34分、右サイドから酒井のクロスに走りこんだ岡崎が難しい体勢からバックヘッドしますが、シュートはゴールの左へ。

ロスタイム1分、右CKを田中がシュートしますが相手に防がれ、そのこぼれ球を塩谷がボレーシュートしますがヒットせず。

 後半ブラジルは3人を変え、再び攻勢に出てきます。日本は攻撃も守備も何をどうしたいのか狙いが見えません。

3分、ピッチ中央付近で柴崎がボールを奪われブラジルのカウンター、コウチーニョのスルーパスに抜け出したネイマールがまたしても川島との一対一を決めて0-2と突き放します。

10分、柴崎からパスを受けた田中がゴール前右へスルーパス、走りこんだ岡崎が角度のないところからシュートしますが、右ポストに当たって外れます。

14分、またしても柴崎がボールを奪われカウンターを食らいます。エベルトンリベイロからパスを受けたネイマールが放ったシュートはゴールのわずか右へ。

32分ブラジルの波状攻撃、ネイマールのクロスをカカがヘッドしますがバーに当たり、森重がボールをクリアしますがフェルナンデスが拾ってシュート、川島がセーブしたボールをネイマールがプッシュして試合を決定づけるハットトリック達成、0-3。

36分、ホビーニョからパスを受けたカカがゴール前左からクロス、ネイマールのヘッドが決まってトドメを刺されました。0-4。

がっくりとうなだれる日本。試合はこのまま終了となりました。

        ☆        ☆        ☆

それでは日本代表の出来はどうだったのか試合内容を分析しますが、この試合の日本はどういったサッカーをやりたかったのか、意図がよくわかりませんでした。

もしかしたらジャマイカ戦で見られたように、フォアチェックによって高い位置でボールを奪いショートカウンターを仕掛けたかったのかもしれませんが、それが可能だったのはジャマイカの個の能力が日本より劣っていたために一対一に競り勝ってボールを奪取することができていたからで、ブラジルは個の能力で日本より上回っているために、フォアチェックがほとんど機能しませんでした。

じゃあそうなったときにどうするか、それでもフォアチェックを継続してボールを取り返すのか、いったん自陣へ引いてそこからプレスをやり直すのか、日本がどっちつかずになっているうちにブラジルに先制を許してしまいました。

先制したブラジルに自陣に引かれると、アギーレジャパンの今のところたった一つの攻撃戦術であるカウンターは機能しづらくなるわけで、ロングボールでサイドに基点をつくってからクロスという単調な攻撃の繰り返しで、相手のクリアミスが運よく日本の選手の前にこぼれてきたときぐらいしか、シュートチャンスはありませんでした。

「弱者のカウンター」という戦術の常識ですが、自分たちより強い相手に先制されて相手に引かれると、たちまち手詰まりになってしまうわけで、じゃあそうなったときにどうするのか、というのがアギーレ監督の采配から見えてきません。

(たとえば、チームが連動して相手選手の間でグラウンダーのパスを通してコンビネーションで崩すとか)

 彼我の個の能力差を差し引いたとしても、日本の守備はひどかったと思います。

ドリブルする相手をただ見ているだけで、際限なくズルズル下がってしまうのは、ブラジルW杯のコートジボアールやコロンビアとの試合と同様であり、そのときから何も進歩していません。

こうなってしまうのは、日本のサッカー界で相手のボールホルダーに抜かれることを極端に恐れるがために「相手をディレイさせろ」と指導者が選手に指示することが多いせいではないでしょうか?

しかしその指導者がディレイを指示した後、「どう対処するか」ということを選手に教えているようには見えません。

日本人選手がドリブルする相手をただ見ているだけでズルズルと下がるのは、ただ単に問題解決を先延ばしにしているだけであり、ペナルティエリアに入ってもう下がれないよというところで、射程距離に入った相手に正確なシュートを食らったり、決定的なパスを通されたりして失点を重ねています。

日本のサッカー界は「技術」へのリスペクトが非常に強いので、特に相手選手の足元の技術が自分たちより上回っているのを見ると、日本人選手は自分が抜かれることを恐れてとたんにビビッてしまい、ズルズル下がる傾向が強くなります。

こうなってしまうと、本来の個の能力差以上に日本人選手の一対一の弱さが増幅されてしまいます。「無条件降伏」して、相手の攻撃を黙って見ているようなものですから。

一対一のチャレンンジを避け続ければ、「この瞬間なら相手からボールを奪える」という選手個々の判断力が養われることもありませんし、自分の成功体験に基づいてボールを奪い返す行動を起こす自信や勇気も身につくことはありません。

技術の差だけが一対一の強さ・弱さを決定する要素なのでしょうか?それは違うでしょう。

たとえば、ドイツVSアルゼンチンのブラジルW杯決勝を見ても、足元の技術ではフンメルス・ボアテンクの両センターバックがメッシにかなわないのは明らかです。

それでもフンメルスがいっぱいいっぱいになりながらもフィジカルコンタクトをしてメッシが自由にプレーするのを妨げ、ボアテンクも体を張りフンメルスをカバーして、とうとうメッシを完封しました。

技術で勝てないのなら「戦う気持ち」とフィジカルコンタクトで相手に勝つよう心掛け、自分の体で相手に最後まで食らいついていって何としてもボールを奪い返す、そういうサッカーの基本中の基本が日本の選手に一番欠けています。

 それでも抜かれたときのために守備のチーム戦術があるわけで、必要に応じて相手をディレイさせたあとコンパクトな守備陣形が整ったのを確認したら、相手のボールホルダーに対してハーフが当たっていき、ドリブルする相手がその選手を抜くためにボールを体から放したところでハーフの背後をカバーするアンカーが奪う、

相手のボールホルダーにアンカーが食らいつき、相手がバランスを崩したところでバックがボールを奪う、こういったチャレンジ&カバーという守備戦術の基本もまったく見られません。

日本がボールを失いブラジルが攻撃を始めているのに日本は攻守の切り替えが遅く、ブラジルの攻めを見ながら歩いているやつが多すぎます。

 「歩いているやつが多すぎる」というのは攻撃も同様で、ロングボールを放り込んで味方がサイドに基点をつくっても、その他の選手が歩いていてフォローしてやらないために、1対3や1対4の状況でブラジル守備陣につぶされていました。

何度も繰り返しますが、カウンター攻撃をやるにしても、前線の選手がもっと連動してグラウンダーのパスをつなぎ、3人なり4人なりで相手の守備態勢が整わないうちにフィニッシュまで持ち込まないと、カウンターをする意味がありません。

個の能力で劣るなら、せめて相手の2倍走るつもりでがんばらなければならないのに、お疲れ気味で運動量の少ないブラジルにお付き合いするように、歩いている選手ばかりだったのが大変残念でした。

ブラジルW杯の苦い教訓というのは、日本人選手は大事な試合になればなるほど、緊張したり悪い結果を恐れたりして、おじけづいて動けなくなってしまう、守備では相手がやることをただ見ているだけでズルズル下がり、攻撃でも味方のボールホルダーがすることを足を止めて見ているだけ、結局自分たちが持っている本来の実力を出しきれないまま試合に負けてしまう、ということです。

大きな犠牲を払って学んだその教訓が、この試合にまったく生かされなかったことが本当に悔しいです。


        ☆        ☆        ☆

 選手個々の評価と、この試合の総括については次回にしましょう。


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