■日本代表、己に負けたブラジルW杯

 日本代表のグループリーグ突破をかけた第三戦、対コロンビア戦は1-4という結果となり、ブラジルW杯における日本の成績はグループリーグ敗退となりました。

対戦相手のコロンビア代表は、イタリア・フランス・ポルトガルなどでプレーする選手を中心に構成され、日本とほぼ互角、コロンビアの方がやや実力は上かと見てましたが、大差での負けは大変残念な結果となりました。

日本はグループリーグ突破のために守備が薄くなるリスクをおかしてもゴールを奪って勝たなければならず、後半相手にリードを許したところで極めて不利な状況となり、日本は自分たちより実力が上のチームにアドバンテージを与えてしまった結果、コロンビアはその有利さを存分に利用してこのような大差がついてしまいました。

それでは試合展開を振り返ります。

        ☆        ☆        ☆

 立ち上がりはコロンビアが優勢だったものの、日本が気迫の攻めを見せて逆にコロンビアゴールを脅かします。

前半9分、長谷部のパスをペナルティエリア内で受けた大久保がシュートしますが、ゴール前にいた岡崎は合わせることができず。

10分、本田からパスを受けた大久保がカットインしながらシュートしますが、ゴール左へ外れます。

17分、日本からボールを奪いコロンビアの逆襲、左サイドをかけあがったメヒアのパスを受けたラモスがペナルティエリア内へドリブル、これを後ろから今野が倒してPKの判定。クアドラードの蹴ったシュートが決まりコロンビアが先制。

それでも闘志が衰えなかった日本はあきらめずに攻め続けます。

26分、長谷部のパスを大久保が落とし、左サイドから香川が受けてドリブルからシュートしますが、GKオスピナがセーブ。

32分、吉田が倒されて得たゴール前FK。本田のブレ球ではなくカーブをかけたキックは惜しくもゴール右へ。

前半ロスタイム1分、内田からパスを受けた本田がペナルティエリアの右角まで持ち込んでクロス、これを岡崎がヘッドで決めて日本が同点に。

 後半キックオフ、日本がとても良い時間帯に同点に追いつき、さらにギリシャがコートジボアールを1-0でリードしているという状況、その勢いに乗ったまま決勝トーナメント行きを決める逆転ゴールが期待されました。

ところが日本代表からはどういうわけか前半のような攻撃への積極的な姿勢が消え、コロンビアの攻撃を受けて立ってしまいます。

10分、右サイドからアリアスのパスをゴール前で受けたロドリゲスがさらに左へパス、これを受けたマルティネスのシュートが体を投げ出して防ぎに行った日本DFをやぶりコロンビアが1-2と突き放します。

14分、左サイドを突破した長友のクロスをゴール前へ飛びこんだ大久保がヘッドしようとしますが、相手DFが頭でクリア。

18分、香川が倒されて得たFKを本田がブレ球シュートで狙いましたが、オスピナが右へはじきます。

20分、岡崎からのパスを受けた内田が右サイドからセンタリング、ゴール前から放った大久保のシュートは外れました。

29分、左サイドを突破した長友がエリア内へマイナスのパス、これを受けた今野がミドルを放ちましたが、オスピナががっちりキャッチ。

37分、コロンビアのカウンター、ロドリゲスのスルーパスを受けたマルティネスがゴール前やや右からワンフェイント入れてシュートコースを空けゴール。コロンビアが1-3とリードを広げます。

38分、長谷部のパスをエリア内左で受けた香川がシュートしますが、ゴール右へ外れます。

後半ロスタイム、再びコロンビアのカウンターからロドリゲスがフェイントで吉田をすべらせてからループシュート、これが決まって1-4。日本はとどめを刺されました。

        ☆        ☆        ☆

 それでは試合内容を見ていきますが、この試合の日本代表は先制されはしたものの、前半は自分たちのサッカーを貫き、積極的で攻撃的な姿勢が非常に良く表れていました。

何かを迷いながら余計な横パス・バックパスをしてモタモタするのではなく、なるべく少ないタッチ数でシンプルにボールを相手ゴール前へ運ぼう、ゴール前へ行ったらまずシュートを狙おうという積極的なサッカーができていて、大変良かったと思います。

ところが、この試合の勝敗を分ける最大のポイントとなったと私が考えるのは、後半に入ったとたん、日本からそうした積極性や攻めの姿勢がまったく消え失せてしまったことです。

その理由が、ギリシャが1-0でリードしているという情報をハーフタイム中に知らされたことで日本の選手たちが「コロンビアに1点でもリードして勝てれば自分たちが決勝トーナメントに行ける」と考え、失点することで「すべてを失ってしまう」ことを恐れてまず同点という状況を守ろうと消極的になってしまったのか、後半から投入された相手の中心選手ハメス・ロドリゲスのプレーを恐れたのかそれは今のところわかりません。

「攻めは最大の防御なり」と言われますが、どういう理由にせよ前半の恐れるものはなにもない積極的・攻撃的な姿勢を後半の日本はすっかり失ってしまい、相手の攻めをまず見てそれを受けて立ってしまった結果、コロンビアの攻勢をまともに食らいマルティネスに痛いゴールを許してしまいました。

これがこの試合の勝敗、いや日本が決勝トーナメントに行けるか行けないかを分けた最大のポイントでした。相手に負けたというより己の弱さに負けてしまったのだと思います。

後半立ち上がり、日本のサッカーがまるでコートジボアール戦のようになってしまったことで、半分つかみかけていた決勝トーナメント行きの切符が日本の手からスルリと逃げていきました。

サッカーとはつくづく「弱気で消極的になったチーム・選手が罰を受けるスポーツ」だと痛感させられます。

「なんだ精神論かよ」と思われる方もいるかもしれません。

結局グループCを突破したのはコロンビアとギリシャになりましたが、決勝トーナメントに進出したギリシャと日本の選手を比べれば、フィジカル能力がやや劣勢だったかとは思いますが足元の技術は日本の方が上で、チームの組織力も総合的な個の能力も日本の方がやや上だったと思います。

しかしコートジボアール代表も含めて、これら3チームで個の能力やチームの組織力で大きく差がつかない状況では、選手ひとりひとりの精神力の強さに差があれば、それが勝敗を大きく分けてしまいます。

ザックジャパンの選手たちは、南アフリカW杯を戦った岡田ジャパンのメンバーより個の能力は格段に上がりましたが、精神力の弱さで自分たちの力を100%発揮できなかった、それが自分の能力を出し切って決勝Tに行けたコロンビアやギリシャとの差になってしまいました。

次のW杯までの4年間で、日本サッカー界が全力で取り組まなければならないのは、ただ足技が上手いだけの選手を育てるのではなくて、W杯のようなプレッシャーがかかる大舞台であっても、初戦から自分の能力を100%出し切って結果を出すことができる選手・チームを育成していくことです。

        ☆        ☆        ☆

 選手個々で特筆すべきはこの試合日本唯一のゴールをあげた岡崎選手。相手DFに後ろからぴったりマークされていましたが、クロスを正確にヘッドしてゴール右へ決める難易度の高いシュートをよく決めました。

本田選手もピンポイントクロスから岡崎選手の同点ゴールをおぜん立て。やはりペナルティエリアの角付近からのクロスは得点の可能性が高いです。これがこのW杯で高い代償を支払って日本が学んだことでありそれをすぐ生かしたのはさすがでした。

長谷部選手も気合の入ったプレーで中盤を良く動きまわり、この試合は特に攻撃面で効いていました。

逆に今野選手はPKを献上する残念な結果になってしまいました。相手はゴール中央ではなく縦にドリブルしていましたので、あそこはまだすべりにいかず、我慢してついていっても良かったように思います。

        ☆        ☆        ☆

 ザックジャパンのブラジルでの冒険は大変残念なことですがここで終わりです。

冷静にギリシャやコートジボアールとの戦力を比較してみると、日本代表のポテンシャルからすれば早すぎる敗退だったと思います。

ブラジルW杯に臨んだ代表は、南アフリカW杯のようにまず固く守って相手の守備が薄くなったところをカウンターで突くというサッカーから1歩進めて、こちらから攻めの主導権を握って相手に互角以上の戦いを挑むというより難易度の高いやり方で勝利を目指しました。

とても残念な結果となってしまいましたがこの失敗の教訓から多くを学び、次のW杯では今回のように攻めの主導権を握ってなおかつ勝利という結果も出すことができる日本代表チームをつくることができれば、この経験は決して無駄にはなりません。むしろ絶対に必要な、避けて通ることのできないプロセスなのです。

そうした努力と歴史の積み重ねが、日本独自の魅力や楽しさを持ったサッカースタイルの確立へとつながるのだと思います。

一番いけないのは、「やっぱりあの国のサッカースタイルが理想だ、いやあそこだ」といった具合に、結果が出なかったことにうろたえて右往左往し、継続性のないままサッカースタイルをコロコロと変えてしまうことです。

結果は結果として厳粛に受け止めなければなりませんが、日本の選手たちは現時点において自分たちがやれる精一杯の努力をしてくれましたし、そのことについては温かい拍手を送りたいです。

 次回は、ブラジルW杯における日本の戦いぶりを振り返りながらザックジャパンの総括と、ザッケローニ監督の4年間をどう評価すべきかについて述べたいと思います。

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    2014.6.24 アレナ・パンタナーウ(クイアバー)

     日本 1 - 4 コロンビア


     岡崎 45'+       クアドラード(PK)17'
                   マルティネス   55'
                   マルティネス   82'
                   ロドリゲス    90'+


   GK 川島         GK オスピナ
                    (モンドラゴン 85)
   DF 長友
      吉田         DF アリアス
      今野            バルデス
      内田            バランタ
                     アルメロ
   MF 長谷部
      青山         MF メヒア
     (山口 62)         クアドラード
      香川           (カルボネロ 46)
     (清武 85)         グアリン
      本田            キンテーロ
      岡崎           (ロドリゲス 46)
     (柿谷 69)         マルティネス

   FW 大久保        FW ラモス


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選手やスタッフの皆さんもサポーターの皆さんもお疲れさまでした。気を付けて日本にお帰りください。


  

■コメント

■ [める]

是非聞いてみたいのですが、代表の応援についてはいかがお考えですか?
自分は常に歌っている代表の応援と、海外の試合を見ててその状況に応じたリアクションを比べると、そのメリハリの効いた応援に非常に羨ましくもあります
それが日本の文化として今はあるのかもしれませんが、良い時と悪いときに適正な評価のできるような、サポーターの成長というのもまた必要な気がします。

■ [名無しさん]

協会のサポート体制はいかがでしょうか?
暑い会場での試合に関わらず涼しいイトゥ選んだのはコンディション面で失敗だったのではないでしょうか?
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