■日本代表、ギリシャを攻めきれず(その2)

 昨日の記事でお約束したとおり、今日はギリシャ戦におけるザッケローニ監督の采配について見ていきたいと思います。

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 この試合ザッケローニ監督は4-2-3-1の左サイドハーフから香川選手を外して岡崎選手を入れ、右サイドハーフには大久保選手を起用しました。

コートジボアールに日本の左サイドを狙われて2失点したことから取られた対策だと思いますが、この采配はどうだったのでしょうか。

監督さんの考えとしては、比較的守備のできる岡崎選手を左サイドに入れて前半は悪くとも0-0でしのぎ、後半から遠藤選手や香川選手を投入して勝負をかけるというプランだったのかもしれません。

しかし、ザックジャパンがこの4年間で積み上げてきた攻撃のストロングポイントは、左サイドのトライアングル・本田ー香川ー長友で良い距離感を保ってパスをつなぐことで相手のプレスをかいくぐり、守備ブロックを崩してボールをゴール前まで運んで決めるというところです。

確かに岡崎選手を入れたことで左サイドの守備は強化されたのかもしれませんが、彼はどちらかというとフィニッシャーであり、足元で細かくパスをつないで相手守備陣を崩すというプレーは彼本来の持ち味ではありませんし、岡崎選手を左に入れて相手の守備ブロックを崩すというのはこれまで日本が積み上げてきた攻めの形でもありません。

前回記事で指摘したように、日本の攻撃の組み立てはコートジボアール戦よりかなりましになったものの、左サイドの岡崎選手は攻撃の組み立てにほとんど関与できず、バックからトップの大迫選手の足元へつけるクサビのロングパスを多用していましたが、フィジカルの強いギリシャDFに背後から狙われてうまくパスを落とせず、前半なかなか日本本来の良いリズムでパスを回せなかった分、決定的なシュートチャンスは少なかったですね。

前半のあまり良くない攻めのリズムを後半もどこかひきずっていたように思います。

岡崎選手を左にまわしたことで、左サイドの守備という日本の弱点はカバーできたのかもしれませんが、それによって日本の攻撃における最大のストロングポイントも消え、攻め全体が機能しなくなってしまったのではないでしょうか。

岡崎選手が悪いと言っているのではありません。彼を左サイドにもってくるのが適材適所の判断じゃなかったのではないかと言っているのです。

実際、後半10分すぎから左サイドに香川選手をいれたことで、徐々に日本の攻撃が機能しだし、決定的なシーンを何度もつくり出しましたが、いかんせんゴールするために残された時間が30分と少なかったですね。

サッカーには「試合に負けないよう自分たちの弱点をつぶし相手のストロングポイントを消しにいく」か、それとも「リスクをおかしてでも自分たちのストロングポイントを押し出した試合をする」か、二つの考え方があります。

この試合は決勝トーナメント進出のために、多少のリスクをおかしてでもゴールをあげて日本が勝たなければいけなかった試合であり、相手の良さを消しにいくのではなくて、キックオフから日本のストロングポイントを押し出した試合をすべきだったと私は考えています。

ギリシャ戦の直前記事で、トップ下に本田、ワントップに香川、左サイドに柿谷、柿谷選手の守備に不安があるなら長友選手を左サイドハーフにあげて、左サイドバックには別のDFをいれてみてはどうですかと提案した理由は、左サイドの守備の手当てをしつつも、本田ー香川ー長友という日本が4年間積み上げてきた攻めのストロングポイントを自分たちの手で放棄したくなかったからです。

もちろん日本のストロングポイントを押し出したサッカーをやってもギリシャ戦で結果がついてこなかったかもしれません。
しかし、良くも悪くも自分たちで4年間積み上げてきたもので世界に向けて勝負したという経験が残ったと思うんですね。

香川選手は引退まで残り時間の少ないベテラン選手ではありません。この大会はもちろん、次のW杯以降も日本代表のリーダーの一人としてチームを引っ張っていってほしい選手です。

コートジボアール戦はオーリエのクロスが2点を生み試合を決定づけたことで、左サイドがやられたことへの強いイメージが日本代表チームにもサポーターにもマスコミにも植え付けられましたが、あの試合日本が失敗を恐れることなく普段通りのサッカーをやっていて、本田ー香川ー長友のトライアングルで相手の右サイドバック・オーリエを自陣に押し込んで守備への対応で消耗させることができれば、あの2アシストもなかったかもしれません。

オーリエの精度の高いクロスがコートジボアールのストロングポイントだったとしても、日本のストロングポイントである左サイドを機能させることで相手のストロングポイントを消してしまうというやり方もサッカーにはあります。

しかし、日本はキックオフからコートジボアールの攻めを受けて立ってしまい、それを試せなかったことが何よりも残念です。

そうした意味において、ギリシャ戦で自分たちが4年間積み上げてきたストロングポイントを放棄する形で香川選手を先発から外し、岡崎選手を左サイドにもってきた監督さんの采配はどうだったのかなという疑問が残りました。

 後半10分すぎから香川選手を入れたことでショートパスの組み立てが機能しだし、あともうちょっとでゴールというシーンを何度かつくりましたが、ロスタイムまで残り10分あたりで吉田選手を前線にあげて、彼を目がけてロングボールを蹴るというパワープレーをやったことで、香川選手や本田選手・遠藤選手らの頭上をボールが越えていき、彼らが試合からほとんど消えてしまったことで日本はまったくシュートチャンスをつくれなくなってしまいました。

後半何度もシュートチャンスがつくれていた、日本のストロングポイントである左サイドからショートパスで相手を崩してゴールを狙うという自分たち本来の形を、自分たちの手で放棄してしまうのではなく、最後の最後まで辛抱強く貫いて欲しかったですし、その方がゴールの確率は高かったと思います。

前線に身長の高い選手を置いてロングボールを放り込む攻撃は、これまたザックジャパンの4年間でまったくやっていない形でした。まったく攻めの形がつくれなかった試合終盤のパワープレーという戦術を選択したことについては、強い疑問が残りました。

もう二度とやってほしくないというのが正直なところです。

        ☆        ☆        ☆

 選手個々で特筆すべきはまず川島選手。またしても雨でスリッピーなピッチ・ボールという状況でしたが、相手の危険なシュートを何回も防ぎ、日本のグループリーグ突破へ向けての可能性を残すことに貢献。

吉田選手&今野選手も相手の攻撃をゼロにおさえることで見事に責任を果たしましたが、吉田選手のロングパスの精度の悪さが目立ったところは修正点でしょう。

内田選手は守備のバランスも考えながら攻撃参加し、精度の高いクロスから大久保選手の決定機を演出。自らも積極的に得点を狙い、ゴール前まで進出して惜しいシュートを放ちました。

逆に大久保選手ですが、この試合ではゴール前でファールをもらうためにシミュレーションぎみに倒れるシーンが多かったのがとても残念。大久保選手であれば相手DFに体を寄せられても倒れずにふんばって、シュートまで持ち込んだ方がゴールの確率は高いと思います。「ゴール前ではわざと倒れてFKをもらった方がいい。それがマリーシア」というのは、本田選手や香川選手・長友選手らが登場する前の、日本サッカーが弱くて消極的だった古い時代の選手の考え方です。そういう考え方は倒れずにシュートを打ってゴールを決める自信がないメンタルの弱い選手がやる一種の「逃げ」であって、そういう悪い習慣はキッパリと捨て去り、積極的にゴールを狙って欲しいと思います。

        ☆        ☆        ☆

 是が非でも勝ち点3が欲しかったギリシャ戦でしたが、引き分けという結果は残念なものでした。
しかし、日本の試合内容はコートジボアール戦に比べれば良かったと思います。

自分たちがやりたかったサッカーにトライして、100%の出来だったとは言えないし結果もついてこなかったけれども、ピッチの上で選手たちが全力でそれを表現できたことについては一歩前進だったと前向きに評価したいです。

次はグループリーグの最終戦であるコロンビア戦です。

前回記事でも言いましたけど、ワールドカップはここからが本当の勝負です。ワールドカップの歴史をひもとけば、三戦目でいくつもの涙あり笑いありのドラマが起こってきました。

真の勝者に値する人間なのかどうか、サッカーの神様はわれわれ日本人を試しているのです。

だから選手もサポーターも決勝トーナメント進出を絶対にあきらめてはいけませんし、自分たちが今やれることを精一杯やるだけです。

つまりコロンビアに2点差以上をつけて勝利することを目標にして、それに向かってベストを尽くさなければなりません。

そのために、日本代表の選手たちにはこれまでの2試合で結果が出なかったというネガティブな感情を一切捨て、精神も肉体もリフレッシュして活力を回復させ、「神様があの悔いが残るコートジボアール戦をやり直し、自分たちのサッカーでもう一度チャレンジするチャンスを与えてくれたんだ」と考えて、コロンビアとの戦いに臨んで欲しいです。

私は日本の選手たちが決勝トーナメント進出を絶対に勝ち取ってくれると信じています。

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   2014.6.19 アレーナ・ダス・ドゥーナス(ナターウ) 

    日本  0 - 0 ギリシャ

 
      GK 川島        GK カルネジス

      DF 長友        DF トロシディス
         今野           マノラス
         吉田           パパスタトプーロス
         内田           ホレバス

      MF 長谷部      MF カツラニス
        (遠藤 46)        フェトファツィディス
         山口          (カラグーニス 41) 
         岡崎           マニアティス
         本田           コネ
         大久保        (サルピンギディス 81)
                       サマラス
      FW 大迫        
        (香川 57)    FW ミトログロウ
                     (ゲカス 35) 


<了>


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