■ギリシャ戦に向けて

 コートジボアール戦後に、ある代表選手がゾーンディフェンスについて話していたので、「ゾーンディフェンスとは何ぞや」ということをここで再確認しておこうと思います。

「ゾーン」ディフェンスという言葉が誤解を生みやすいのですが、ゾーンディフェンスとは、自分が分担するゾーン(スペース)を埋めていればそれでいいという守備戦術のことではありません。

ゾーンディフェンス
(クリックで拡大)

上図を見ながら以下の説明を読んで欲しいのですが、

自分の受け持ちゾーンにボールを持った相手選手がドリブルで侵入してきたり(図の例1)、味方からボールを受けて次にシュートなりパスなりを狙っている選手がゾーン内に侵入してきた場合(図の例2)に、マンマーキングに切り替えて守る戦術のことです。(青の選手が自分の受け持ちゾーン内で相手に寄せてマークしていることに注意)

両チームのフォーメーション上、自分とマッチアップしている相手であるかそうでないかに関わらず、自分の担当ゾーンに相手選手が侵入してきたら、マンマーキングに切り替えて守ります。

自分の担当ゾーンから相手選手が出ていき、自分の隣にいる味方が担当するゾーンへ向かったら、その選手のマークを自分の隣にいる味方へ受け渡します。

ただし、ゴール前まで攻めこまれている場合にマークの受け渡しをやるのは厳禁です。プレーがいったん切れるまで自分が最後まで責任をもってマンマークします。

自分の受け持ちゾーンにフリーの相手選手が複数いるということは、味方の誰かが自分のマークを放してしまっていることを意味しますが、その場合はやむをえないので、より脅威度の高い相手選手に対応するしかありません。

普通はボールを持って前を向き、すぐシュートや決定的なパスを出せる態勢にある選手の方が脅威度が高いと考えます。

どちらの相手選手もボールを持っておらず、味方からボールが来るのを待っている場合は、ケースバイケースとしか言いようがありません。そこでどういった判断をすべきかはプロサッカー選手ならば子供のときから積み上げてきた経験からわかるはずです。

サッカーの守備戦術のすべての基本はマンマークディフェンスにあり、「ゾーンディフェンスとは、マークの受け渡しをするマンマークディフェンスのことである」と言いかえることができるでしょう。

ココ、とても重要です。

20世紀の前半にサッカーの組織的な守備戦術が誕生したとき、それはマンマークディフェンスだったのですが、その後なんでゾーンディフェンスなんていうものが生まれたかというと、完全マンマークはマークする相手にひきずられて守備側の選手が動かなければならないので、相手がゴール前でスペースをつくるために意図的な動きをすると、相手の思惑通りに守備側の選手がひっぱられることでゴール前がガラ空きになり、後ろからあがってきた選手にそのスペースを使われてゴールを奪われるようになったからです。

それを防ぐために、4バックなら4バックでスペースを守るDFの配置をできるだけ変えず、相手が動いたら最後までそれに引っ張られるのではなくて、マークを味方同士で受け渡しながら、マンマークを続けるために考案された戦術がゾーンディフェンスなわけです。

ゾーンディフェンスとマンマークディフェンスを、正反対の守り方と誤解している人をみかけますが、そうではありません。

これで「ゾーンディフェンスとはマークの受け渡しをするマンマークディフェンスのことである」と言った意味が、ご理解いただけたと思います。

ゾーンディフェンスとは、自分が担当するゾーンを埋めていればそれでいいというわけではなく、自分の受け持ったゾーンに、ボールを持った相手選手や次にボールを受けそうな相手選手が侵入してきた場合に、マンマーキングに切り替えて守る戦術のことなのです。

大切なことなので二回言いました。

当研究所で「ゴール前では、まず人をつかまえろ」と言っている意味は、ゾーンをやめてマンマークを採用しろということではなくて、日本代表のゾーンディフェンスのやり方が中途半端になっているのではないかということです。

「ゾーン」ディフェンスだからといって、なんとなく自分の担当ゾーンを埋めているだけだと、日本の選手が守っているゾーンとゾーンの境界線でフリーになった相手選手に、精度の高いパスやシュートを打たれてしまいます。コートジボアール戦のジェルビーニョやオーリエのように。

だから、自分の担当エリアに相手選手が侵入してきたらマンマーキングに切り替え、しっかりマーキングして相手がやりたいプレーを妨害し、できれば相手からボールを奪ったり、相手より先にボールにさわってクリアするのが、本来の意味でのゾーンディフェンスです。

現代サッカーの攻防の本質というのはそこにあります。

どんな名選手だって、敵から体を押されて立ち足がぐらつきバランスを崩していたら、正確なシュート・パス・トラップなんてできませんよね。

ゴールしたい攻撃側は正確なシュートやパスをしたいので、相手選手が守っているゾーンとゾーンの境界線に動いてボールをもらいフリーでプレーしようとし(図の例3)、ゴールされたくない守備側は正確なシュートやパスを防ぎたいので、自分の受け持ちゾーン内でフリーになっている相手選手を見つけたら近づいてマンマークし、それを妨害しようとするわけです。

「顔出し」の動きによって攻撃側がゾーンの境界線でなるべくボールを受けようとするのはそこが守備選手から一番遠くてマークしづらく、フリーになりやすいところだからであり、守備側の二人の選手のどちらがその選手をマークするかで混乱し、マーキングの「お見合い」が起これば、まんまとフリーでプレーできるからです。

だから守備側はゾーンの境界線でフリーでボールを受けようとしている相手選手をみつけたら、チームの約束ごとにしたがってすぐに誰かがマークしなくてはいけません。

サッカー勝利の鉄則は、「攻撃する時はフリーになれ、守備の時は相手をフリーにするな」ということになります。

足が止まったチームがサッカーの試合に勝てないのは、攻撃の時にフリーになれず、守備の時に相手をフリーにしてしまうからです。

上に書いたゾーンディフェンスのルールを100%完璧に守ろうとするあまり、選手が緊張して動きがカチコチになってしまうのは本意ではありません。

「これまでうまく言葉で説明できなくてモヤモヤしてたけど、頭の中でゾーンディフェンスの動き方というものをすっきり整理できた」ということであればOK。

あとは「攻撃する時はフリーになれ、守備の時は相手をフリーにするな」という大原則を常に意識してプレーすれば良いでしょう。

 さて、コートジボアール戦を見ていて思ったのですが、香川選手は相手の両センターバック(CB)の前のスペースを中心にプレーした方が、彼のゴールゲッターとしてのストロングポイントを最大限に生かすことができるのではないでしょうか。

しかしトップ下には本田選手がいます。

またワントップのポジションで絶対的な存在感を示すことができている選手もいません。

ギリシャがどういうシステムで来るかも考慮しなければなりませんが、監督さんとも相談しながら香川選手をワントップにして、トップ下を本田選手、香川選手がやっていた左サイドハーフに柿谷選手というシステムを紅白戦で試してみてはどうでしょうか。

もし柿谷選手の左サイドでの守備能力に不安がある場合は、同じ布陣で左サイドハーフのところに長友選手をあげて、別の左サイドバックに守備に比重を置いてプレーしてもらうというのも一つの案です。ケガ明けの高徳選手をいきなりというのは不安なので、酒井宏樹選手が左サイドを安定して守れるなら彼に左SBをお願いすることになるでしょうか。

香川選手と本田選手がタテの関係でCBの前のスペースを出たり入ったりしながら、香川ー本田ー柿谷(長友)の左のトライアングルで崩し、本田(柿谷もしくは長友)のラストパスから香川が決めるとか、逆に香川のパスから本田(柿谷もしくは長友)にゴールさせるとか、左サイドのトライアングルに相手の守備が集中したところで逆サイドの岡崎選手を使ってゴールとか、いろいろな攻めの形が考えられます。

左サイドハーフに清武選手を入れると、彼はロングの浮き球のパスを好む傾向にあるので、身長がそれほど高くなくバイタルエリアで足元へパスが欲しい香川選手とプレーがかみ合わなくなる可能性があるので、そこは注意です。

紅白戦で機能するようであれば、実戦でチャレンジしてみる価値があるのではないでしょうか。

 ここまでいろいろ書いてきましたが今度のギリシャ戦、日本代表の選手たちには失敗を恐れずに、自分の実力を100%発揮することだけに集中して欲しいです。

日本代表選手の誰もが、「グループリーグを突破して決勝トーナメントに行きたい!そのためにがんばってきたこの4年間を無駄にしたくない」と心から願っているはずです。

だったらコートジボアール戦のことをいつまでもひきずるのではなくて、失敗から学ぶところを学んだら、次の試合に向けて頭を切り替えることです。気持ちはわかりますけどね。

試合中に失点してガックリと落ち込んでみたところで、相手の得点が取り消されるわけではありませんし、どんなにくよくよしてみたところで、コートジボアール戦の勝ち点が0から3に変わるわけではありません。

コンフェデで日本に0-2とリードされたイタリアは、ショックで気持ちまで落ち込んで自分たちが今やるべきことを忘れてしまうのではなく、ピルロやデロッシは目を光らせて「まだ試合に負けたわけではない、ゴールを奪い返せばいいじゃないか」といった感じで、すぐさま1点返してその後3点を追加しましたよね。

それがワールドカップで4度優勝した国の経験ということなのでしょう。 

暗い気持ちをひきずったままサッカーをやって、日本が決勝トーナメントに進出するために得になることなんてゼロです。

決勝トーナメントに行きたいんでしょ?
だったら、そのために得になることだけをやること。

苦しいときこそ笑い、明るい晴れ晴れとした気持ちでプレーすることです。

明るく笑うことで人間の肉体は疲労や痛みを感じにくくなり、体が軽くなりキレが出て、自分のプレーが100%に近づいていきます。

暗い気持ちで緊張しながらプレーすると、その逆になります。

リーダーはチームが苦境にある時こそ、自分からチームメートに積極的に笑いかけ、チーム全体のムードやモチベーションをあげていくことです。

笑い袋というオモチャがありますが、あれって自分が可笑しくなくても機械の笑いが伝染して、つい自分も笑ってしまいますよね。笑いや明るい気持ちって伝染するのです。

どうしても笑えない、そんな気分じゃないというときは、スマホでYouTubeの「笑い袋」を検索して、それを使って無理にでも笑ってみてはどうでしょうか。

チーム全体でやってみれば、きっとムードも変わると思いますよ、長谷部キャプテン。

ともかく、日本代表の選手たちが子供の時からやってきて大好きなサッカーを、4年に1度しかないワールドカップという世界最高の舞台でプレーできる、その喜びを心の底からかみしめて、それをピッチの上で全力で表現して欲しいですね。
 
ワールドカップは苦行の場ではなくて、楽しい楽しいサッカーをするところなのですから。

ギリシャ戦では、サッカーをやる喜びに満ちあふれ、自分の実力を100%発揮することだけに集中した日本代表が見たいです。

それができたときに、日本の希望が見えてくるはずです。



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