■勇気に欠けた日本代表、失敗を恐れて自滅

 日本代表のブラジルW杯初戦は、1-2でコートジボアールに敗れました。

対戦相手のコートジボアールは、イングランド・イタリア・トルコなどでプレーする選手で構成されたチーム。
日本との戦力差は、ほぼ互角と見ていました。

ブラジルという中立地であれば、勝ち・引き分け・負けのどの結果も同じくらいの確率で起こりうると考えていましたが、そのなかで一番悪い結果となってしまいました。

それでは試合展開を振り返ります。

        ☆        ☆        ☆

 立ち上がりは両チームとも動きが硬く、緊張感がありありとうかがえ、重苦しい雰囲気のなか前半戦がスタート。

8分、ジェルビーニョが右サイドを突破してセンタリング、ゴール前でボニーがシュートしますが、森重が防ぎます。

16分、左サイドのスローインから香川→長友とつなぎ、ゴール前やや左にいた本田へパス、絶妙のトラップでそのまま前へ向いた本田の左足シュートがゴールに突き刺さって日本が先制!

20分、本田のパスを受けた内田が右サイドを突破、ペナルティエリア内で一人抜いてシュートするもGK正面。

先制ゴールに続く一連の攻撃で日本の緊張がほぐれるかと思いきや、攻守にわたって消極的なプレーぶりは変わりません。

それに比べてコートジボアールの方は、時間がたつごとに硬さがとれて動きが良くなり、日本はボールをポゼッションされて徐々に押し込まれていきます。

22分、ゴール前正面から蹴ったY.トゥーレのFKはクロスバーの上。

30分、ゴール前やや右から今度はボカがFKを蹴りますが、ゴールのわずか右上に。

38分、右サイドからディエがクロスを入れ、ゴール前中央にいたボニーがボレーシュートを放ちますが、大きくフカしました。

45分、内田が右サイドからのジェルビーニョのドリブル突破を防ぎ、そのこぼれを拾ったボカがミドルシュートを打ちましたが、GK川島ががっちりキャッチ。

 ハーフタイムに選手の間で声を掛け合って、日本代表のプレーに積極性が戻ってくれと祈りましたが、後半も足を止め、攻守にわたりボールを見ている選手が目立つ状況は変わりません。

9分、ザッケローニ監督がたまらず遠藤選手を投入、チームにカツを入れ、少しパスがまわりはじめますが、5分もたつと元通り。

19分、右サイドでY.トゥーレからパスを受けたオーリエがゴール前へクロス、森重を振り切ったボニーが頭で合わせて1-1に追いつかれます。

21分、同点にして勢いに乗ったコートジボアールは、同じような形からオーリエがクロスし、ニアポスト前でフリーのジェルビーニョがヘディングシュートして逆転に成功します。

逆転されて皆が下を向き、気持ちが沈んだままの日本は攻撃でも足が止まったまま。その後チャンスらしいチャンスもつくれず、試合終了のホイッスルとなりました。

        ☆        ☆        ☆

 それでは試合内容を見ていきますが、ザンビアとのテストマッチにおける日本のパフォーマンスを100%とすると、この試合はせいぜい50%といったところでした。

W杯の初戦を、ザックジャパンになってもっとも悪い内容というか、中身の無い試合にしてしまったと思います。

この試合で私は何が一番悔しいかと言ったら、日本の選手たちが自分たちがもっている本当の実力を自分たち自身で抑えつけて発揮せず、試合に負けてしまったということです。

日本の選手たちが自分たちの実力を100%発揮しなかった原因は、悪い結果が出ることや失敗におびえて、相手との一つ一つのプレーにおいて、チャレンジすることから逃げてしまったからではないですか?

これが、自分たちが全力を出し尽くした結果としてコートジボアールに負けたということであれば、まだ納得もできるのですが、日本の選手が攻撃でも守備でも相手と勝負することから逃げてしまったので、W杯に出たのに戦わずして負けた、日本が「不戦敗」になってしまったのが本当に悔しいです。

 攻撃面では、ボールにからんでミスすることを恐れているのか、日本の選手が足を止めて味方のボール保持者を見ているだけなので、相手選手は簡単に日本の選手に密着マークすることができました。

特に前線で、相手にマークされている味方にパスを出しても、フィジカルが強い相手に横から・後ろからチャージされて簡単にボールを失い、ボール保持者がそれを防ぐために、日本の選手を密着マークしている相手が取れないところへパスを出しても、パスの受け手が足を止めているために通りません。

パスの受け手が足を止めていることで孤立させられたパスの出し手は、パスコースがないためにボールを長時間持たざるを得ないので、ボール保持者へもパスの受け手へもコートジボアールはプレスが掛けやすくなり、日本はいつものようにパスによって攻撃を組み立てることが、まったくと言っていいほどできませんでした。

ザンビアよりもコートジボアールのプレスは弱く、守備ブロックの間にスペースもあったのに、日本はミスパスの山を築いていました。

そうではなくて、フィールドプレーヤー10人がもっともっと積極的に動いて、相手のマークを外してパスを受ける「顔出し」の動きをし、ボールホルダーもなるべく1タッチ・2タッチでどんどんパスをまわしていけば、プレスをかけた相手がこちらのダイレクトパスで抜かれてしまうことで、今度は日本の選手に向かって簡単には飛び込めなくなります。

そうなると相手は日本のパス回しを見ている時間が長くなり、相手のブロックの間でもっとパスが回しやすくなることで、日本は攻守において試合の流れをつかめる、だからミスプレーも少なくなるという好循環に持っていけるのです。

この試合の日本代表に欲しかったのは、このように一つ一つのプレーに積極的にチャレンジする姿勢であり、そうした攻撃サッカーをやるために、4年間努力してきたのではないですか?

そうしたサッカーを、自分たちの実力を、いま全力で出し切らずして、いつ出すのですか?


 守備も同様で、ボールにからんでミスすることを恐れているのか、ブロックをつくってはいるものの、相手がパスをしたりドリブルしたりするのを日本の選手が見ていて、守備が後手後手にまわるケースが多かったですね。

ボールを失っても反応がにぶく、相手のボールホルダーへ詰めに行くのが遅れ気味なのは相変わらず。

フィフティ・フィフティのボールを奪い合っているとき、競り負けることを恐れて腰が引けたまま弱気にボールを奪いに行くと、そのまんまフィジカルコンタクトに負けて相手ボールになってしまうのではないですか。

ボールを奪うと決断したら、ぐっと腰を入れ重心を低くして奪いに行くことで、マイボールにできる確率が上がると思います。

相手のタテパスが入ったときは、パスの受け手の前へ出てインターセプトできればベスト。
それができないときはファールする必要はありませんが、日本のゴール方向に背を向けた相手がトラップする瞬間などに後ろから体を寄せたり足を出したりすることでトラップやパスのミスを誘うか、最低でも相手がボールをもって日本のゴール方向へターンするのを防いでほしいです。

最初の失点シーンで修正すべきところですが、ペナルティエリアの角付近からあげるクロスは正確性が高くスピードも速いので守備側が対応しにくいものです。(逆に言えば日本も攻撃で使えるということ)

ですから、遠藤選手がスペースを埋めるのではなく、クロスをあげたオーリエの前にすばやく立ちふさがって、正確なクロスをあげるのをまず妨害して欲しかったです。

ヘッドしたボニーについていた森重選手も、クロスの落下点を見極めて先に体を入れてクリアすることもマークすべき相手についていくことにも遅れ、 ボニーにヘディングシュートを許してしまったことは次の試合までの修正点です。

二点目も同じパターンからでした。

前に立ちふさがった香川選手がボールを頭や体に当てるなどして、まずオーリエの正確なクロスを防いで欲しかったですし、吉田選手は後ろを振り返ってドログバを森重選手が見ているのがわかったので、すぐ前にいたジェルビーニョに近づいてマークしつつクロスの落下点を見極めていたら、ジェルビーニョのシュートを防ぐチャンスがあったかもしれません。

同じシーンで、ドログバやジェルビーニョに遅れてゴール前に突っ込んでいったボニーを山口選手が途中でマークを放してしまっています。そうなるとDFラインでマークが混乱したり、人が足りなくなったりするもとなので、最後まで責任をもって自分のマークすべき相手についていってほしいです。相手にゴール前まで攻め込まれているときのマークの受け渡しは厳禁です。

ボールがひとりでゴールすることはありません。人間がシュートするからゴールするのであり、ゴール前ではまず人間をマークしてつかまえることです。

そしてクロスの落下点を見極めて誰よりも早くそこに体を持っていきクリアできればベスト、そうでなければ先に落下点に入られた相手に体をしっかり寄せて、自由にプレーさせないことです。

吉田・森重の両センターバックは、相手の足元のシュートは良く防いでそこを高く評価できるだけに、空中戦で課題が出たのは残念。

ゴール前にクロスが入ってくるとき、相手をどうマークし、どうクリアするか頭でよく整理できていないときは、選手全員で積極的にザッケローニ監督やコーチ陣に質問してみてはどうでしょうか。

次の試合までまだ4日もあります。それまでにきっちりと修正してくれることを望みます。

雨でスリッピーなピッチを利用して相手が基本通りにシュートを地面にバウンドさせてきましたから対応が難しかったとは思いますが、ボールを手に当てたぶん川島選手は惜しいセービングでした。

攻撃面での修正点で書き忘れましたが、内田選手はシュートを打つ直前に相手GKを見て、そのまま無意識にGK正面へシュートを打ってしまっているようです。(他の日本代表選手にもありがち)

人間は本能的に見たものへ向かって、モノを蹴ったり投げたりしますから、GKの位置を確認したら強く意識してGKがいないところへ向かってシュートすると良いと思います。

 本田選手のトラップからのシュートは素晴らしかったですが、選手個々で特筆すべき活躍を見せた者はいません。ピッチにいた全員が失敗や悪い結果が出ることにおびえて、自分の実力を発揮できないまま試合が終わってしまったのが大変残念でした。

        ☆        ☆        ☆

 ザックジャパンのW杯初戦は負けという結果以上に、日本の選手たちが実力を半分も発揮しないまま、ゲームを終えてしまったのが本当に残念でなりません。

この世の真理の一つだと私は考えていますが、死ぬまで一度も失敗しない人なんていません。サッカーの世界においても「失敗は世界最高の先生」なのです。

大切なのは、失敗から多くを学びとり、次に同じ失敗を繰り返さないことであって、たいていの場合「小さな失敗を経験することから逃げ続ける者は、後でドカンとまとめて大きな失敗のツケを払うことになる」ものです。

ボールにからんでミスするという小さな失敗を恐れて、味方のボールホルダーがパスを出す相手を探しているのに相手DFの50㎝脇で立ち止まっているとか、ゴール前での競り合いに負けるという小さな失敗を恐れて、相手がシュートするのをただ見ているだけとか、シュートを打って外れるという小さな失敗を恐れて「確率の高いところにいる味方」へのパスに逃げるといったようなことを繰り返していると、W杯のような大事な試合に負けるという、大きなツケをまとめてドカンと支払わなければならなくなります。

当研究所では「サッカーとは弱気で消極的なチーム(選手)が罰を受けるスポーツである」と口をすっぱくして繰り返してきましたが、この試合で失敗を恐れて消極的なプレーに終始し、罰を受けたのは日本の方でした。

前回エントリーで「大切な試合だからといっていつもより大事に行こうとしてプレーが小さく消極的になるよりも、失敗を恐れずどんどん積極的にプレーしてほしいです」と書いたのは、今日の試合のような結末だけは見たくなかったからです。

この試合、W杯という大舞台で失敗を恐れずに自分の実力をすべて出し切ることに専念できていたのは、ドログバだけだったと思います。

チェルシーで何度もビッグマッチをくぐりぬけ、数限りなく成功も失敗も経験してきたからこそできることなのでしょう。

日本にはドログバのようにチーム全体に勇気と落ち着きを与える存在がいませんでした。

W杯で優勝候補と呼ばれるチームやそのレベルに達している選手と、そうでないチーム・選手との差は、技術やフィジカル能力の差もあるのでしょうが、W杯やチャンピオンズリーグのどんな大事な試合であっても、自分の普段の実力を100%発揮できるか、そうでないのかで分かれるのだと思います。

だったら日本の選手全員が今から勇気を出して、苦しい時こそ笑顔でピッチの上で声かけあってドログバになればいい。相手チームは関係ありません。そうするかしないかはすべて自分たちしだいです。

日本代表は、ブラジルW杯という大舞台で悪い結果を恐れて実力を出し切れなかった、W杯の雰囲気に飲まれてガチガチに緊張し、体が動かないまま無我夢中のまま、気づいたら試合に負けていた。

それはテストマッチ100試合でも経験できない、W杯に出た者だけが経験することのできる失敗であり、W杯の常連で優勝候補と呼ばれる国々が乗り越えてきた壁なのだと思います。

ならば、この失敗を日本サッカー界全体で共有して、同じ失敗を繰り返さないよう次の試合に生かせば良いのです。

日本は普段の実力の半分も出せませんでしたが、最少失点差1での負けだったり、コロンビアがギリシャを大差で破ったことについても、まだ日本にツキがあります。

次のギリシャ戦は勝利が絶対条件であり、できれば大量点差で勝ちたいところですが、それはいったん忘れましょう。

試合の結果をあれこれ心配してプレーするのではなく、目の前の一つ一つのプレーにおいて自分がやるべきことだけに集中し、実力を全部出し切ることだけに集中すること、攻撃でも守備でも一つ一つのプレーに勇気をもって全力で勝負することだけに専念すべきです。

南アフリカではチーム最高の遠藤選手が1試合当たり平均12km弱走っていましたが、この試合はチーム最高の長友選手でさえ11km、その他の選手は10km台と運動量が少なすぎで、いかに足を止めてプレーが消極的だったかがわかります。

うまくいっているチームは黙っていてもモチベーションがあがって良く走ることで次の試合も勝つ確率が高くなり、うまくいっていないチームは足が止まって、次の試合もうまくいかなくなりがちです。

この試合のように攻撃でも守備でも足を止めていたら日本の勝利は難しくなります。次のギリシャ戦は13km走りきるつもりでいかないと。

そうやって一つ一つのプレーで日本の選手たちが勝利を積み重ねていったその先に、試合全体の結果が待っているのです。

私が座右の銘は“NO GUTS,NO GLORY”(勇気がない者は、栄光をつかめない)です。

コートジボアール戦の日本代表は、悪い結果が出ることにおびえてばかりで、勇気がまったく欠けているように見えました。

次の試合こそ、勇気をもって挑戦する日本代表が見たいです。

-----------------------------------------------------
     2014.6.14 アレナ・ペルナンブーコ(ヘシフィ)

    コートジボアール 2 - 1 日本

     ボニー 64'               本田 16'
     ジェルビーニョ 66'


     GK バリー           GK 川島

     DF ボカ             DF 内田
       (ジャクパ 75)          森重
        バンバ              吉田
        ゾコラ              長友
        オーリエ
                       MF 山口
     MF ディエ              長谷部
       (ドログバ 62)         (遠藤 54)
        ディオテ             岡崎
        ジェルビーニョ         本田
        Y.トゥーレ            香川
        カルー             (柿谷 86)

     FW ボニー          FW 大迫
       (コナン 78)          (大久保 67)



サッカー ブログランキングへ
苦しいときこそ笑って前へ向かって挑戦しよう。



  

■コメント

■コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

 



管理人多忙につき、マメにレスを差し上げられません。
ゴメンナサイ。
もちろん、すべてのコメントは拝見させていただきますが、サイトポリシーに違反したものは、予告なく削除します。
悪しからずご諒承ください。

プロフィール

スパルタク

  • Author:スパルタク
  • FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ






   

ブログ内検索