■日本代表、ベルギーに逆転勝利

 日本代表の今年最後をしめくくるベルギーとのテストマッチが行われ、日本が3-2で勝利しました。

対戦相手のベルギーは、1980年代から90年代にかけてエンツォ・シーフォというエレガントなゲームメーカーを擁してW杯ベスト4を経験したこともある古豪。2002年W杯でベスト16に進出して以降は、長きにわたって低迷してきましたが、近年イングランドやスペインでプレーする若手選手が増え、急成長めざましいチーム。

現時点でのベルギーの戦力評価は、日本のホームで引き分け、アウェーではベルギーの勝利が確率の高い結果と見ていましたが、相手のホームで日本の逆転勝利という結果はとても良かったですね。

ベルギーはこれまで長期間無敗を誇っていたホームゲームでコロンビアに敗れたせいか、それともオランダと引き分けた日本をリスペクトしすぎたのかはわかりませんが、プレーに自信を失い、特に守備で受け身で消極的だったように見えましたが、それを差し引いても攻守にわたって積極的だった日本の試合内容が良かったと思います。

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 試合はややベルギー優勢でスタート。

前半1分、相手が放り込んだボールを吉田が処理を誤り、ミララスがプレゼントボールを拾って中へ切れ込んでシュートしますが山口がなんとか体に当て、最後はGK川島が押さえ事なきをえます。

15分、またしても早い時間帯に日本のゴール前で失点に直結するミスが出ます。日本の右サイドに出たロングパスに対し川島が前へ出ますがボールにさわれず、ルカクに先にパスを受けられる判断ミス。ルカクの中央への折り返しに酒井高が緩慢な対処をしてしまい、彼の死角から飛び出してきたミララスにゴールを決められるというダブルミスで、相手にみすみす先制点を献上して0-1。

先制したことで、ホームにもかかわらずベルギーは引き気味になり「守ってカウンター狙い」というやや消極的な戦術を選択。日本がポゼッションして相手の守備ブロックを崩しにかかるという展開となりますが、相手の堅い守備の前にボールを持たされているという感じ。

それでも29分、CKから本田が香川へパス、香川がドリブルでペナに侵入してニアへシュートしますが、惜しくもポストに跳ね返されました。

31分、ベルギーのゴール前中央で日本がFKを獲得。本田の蹴ったシュートはGKミニョレが横っ飛びでCKへと逃れます。

37分、本田から右サイドをかけあがる酒井宏へパス、酒井の正確なクロスをゴール前でフリーになった柿谷がヘッドでゴールにねじこみ、良い時間帯で日本が追いつきます。

このゴールで試合の流れが日本へ。

44分、日本のカウンター攻撃。香川から左サイドへ流れた柿谷へパス、柿谷がゴール前中央へ折り返すと走りこんだ長谷部が強烈なミドルを放ちますが、相手GKがなんとかセーブ。

 後半日本は遠藤・岡崎を投入、ベルギーもフェライーニを入れて劣勢だった中盤をテコ入れします。

8分、ゴール前左サイドでパスを受けた遠藤が中央へパスをすると、受けた本田が絶妙のトラップで自分の直前にいた相手DFをほんろう、自らコースを空けて放ったシュートが決まって日本が逆転。

ベルギーはゲームのコントロールを失い、日本が押せ押せに。

18分、ゴール前やや右から長谷部がパス、ペナの中にいた柿谷がダイレクトでDFラインのウラへはたくと、最後は岡崎が見事なボレーシュートを決めて3-1。

2点差にしたことで今度は日本にスキが生まれます。さらに追加点を奪うのか、それともリスクをおかさず守備ブロックをつくりプレスをかけて時間を消費するのか、チーム全体で意識の統一ができず、陣形が間延びしたところをベルギーにつかれて反撃の糸口を与えることに。

後半から出場したフェライーニの高いボールキープ力で、ベルギーの各選手も押し上げられるようになります。

31分ベルギーのCK、クロスをファンブイテンがヘッドしますがバーに跳ね返えされ、最後は森重がクリアして助かります。

33分、デブルイネのスルーパスにフォッセンが抜け出しシュートしますが川島がブロック、こぼれ球を拾ったフォッセンが再びシュートしますが吉田が体を張って防ぎます。

34分、ベルギーの右CKから、完全にフリーになったアルデルベイレルドがヘディングシュートを叩き込み、3-2と追いすがります。

ゴールしたことでモチベーションが復活したベルギーが攻めたてますが、日本は守備ブロックをつくり直し、プレスをかけてボールを奪い返すとパスでうまく時間を消費。

スコアはそれ以上動かず、試合終了のホイッスルとなりました。

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 それでは試合内容を見ていきます。

全体的に、日本の各選手が「今やるべきこと」に集中し、積極的にプレーに関与することができていて、攻撃はもちろん守備でも「攻めの姿勢」が良く表れていました。

これこそが「勝者のメンタリティー」であり、W杯本番でもクラブでの試合でも継続していって欲しいプレー姿勢です。

 守備は、チーム全体でコンパクトなブロックをつくって厳しく相手にプレスをかけていくプレーが特に良かったですね。

決して受け身にならず、いけると判断したときはパスを受けようとしている相手の前へ出てカットしたり、それができないときでも厳しく当たりに行って、相手の自由にはやらせない積極的な守備が光りました。

体格やフィジカル能力ではこちらが劣勢だったものの、積極性と強い気持ちで当たりに行って、球際の競り合いではなんとか互角にわたりあえるところまで持っていけていました。

このレベルの守備をW杯まで本当に忘れないで欲しいです。


それだけに、自分たちのゴール前でまたしても無駄な失点に直結するミスが出たのが残念。

2点取られても3点取り返せばいいじゃないかという意見が出てきそうですが、こういうイージーミスをやってしまうと、ブラジルやスペイン相手ならそこでゲームが終わってしまいかねません。

W杯で格上の相手に勝ちたいなら、早い時間帯に先制ゴールを与えて相手に精神的な余裕を与えては絶対にだめです。コンフェデのブラジル戦のようにそれでは相手が気持ちよ~くプレーして100%の実力を発揮してしまいます。

辛抱して同点の状態を長く続けるか、できればこちらが先制ゴールをゲットして相手を焦らせ、普段やらないようなミスを相手にさせたいのです。

ベルギーの2点目も、ペナの中でマークが甘くなってフリーにした相手に簡単にヘッドを決められてしまいました。

こういう失点は自分たちが集中することでいくらでも防げることですから、W杯本番ではどの試合もクリーンシートを目指して欲しいですね。

ここのところ日本と互角かそれ以上の相手に、毎試合必ず2点は取られている状態なので、もっと締まった試合が見たいです。2試合負けていないので目立たなくなっていますが「守備の立て直し」は依然として重要な課題です。

 攻撃は、オランダ戦に引き続き良かったんじゃないでしょうか。

中盤ではもっと判断や球離れを早くして、テンポよくパスを回して欲しいのですが、それでも各選手が積極的にプレーに関与し、味方のボール保持者をサポートして、うまく攻撃を組み立てることができています。

シュートへの積極性が戻ってきたのも良いです。外れるのを恐れ、シュートを打つのを互いに押しつけ合うかのように、ペナの中でいつまでたってもパスを回しているようなプレーが消え去りました。

これまでの日本は、ゴール前にいる味方を直接狙ってクロスをあげるケースが多かったように思いますが、1点目は、酒井宏樹選手がダイレクトで相手DFの間のスペースに正確なクロスを落とすことができたのが勝因でしょう。こういうタイプのクロスを待ち望んでいました。

柿谷選手がうまくフリーになってそこへ入り込んだことでシュートできましたが、こうすればたとえ相手より身長が低くても、ヘディングシュートは決まるという好例ですね。

2点目のシーンは、遠藤選手の素早い判断からのパスも素晴らしかったのですが、絶妙のトラップ・ボールコントロールで目の前のDFをゆさぶり、自分でコースをつくって相手DFの前からシュートし、正確に決めてみせた本田選手のゴールがワールドクラスのプレーでした。

こういうシュート能力は世界で戦う上で必須でしょう。

1点目と同様、プレミアでは「ダイレクトプレー」が高い評価を受けるわけですが、3点目もボールを持ちすぎず、ダイレクトでパスがつながり、最後はファーストタッチがシュートになる岡崎選手のボレーが良かったです。

止めてパス・止めてパスだと守備側も次のプレーが予測しやすくなりますが、ダイレクトで正確なパスやクロス、シュートをされると読むのが難しく、相手を崩しやすくなりますね。

 しいて課題をあげるなら、相手のペナの中に落下するボールに対し、落下点が自分から3~4mも離れれば「俺には関係ないや」とばかりに足を止めて見ている選手が多いことでしょうか。

そこは黙って見ているのではなく、3mの距離をダッシュして勢いをつけてジャンプし、相手とヘッドで競り合って直接ゴールに叩き込むか、味方に落としてシュートさせれば、それだけで1ゴール稼げるわけですから、もっと積極的に行ってほしいです。

また、後半2点リードをつけたあとホッとして気が緩んだのか、チーム全体の意志統一がとれなくなり、もっと攻めてゴールを奪いに行くのか、それとも無駄なリスクをおかさずに守備ブロックをつくって時間を消費するのか、中途半端になって1点差につめられたことも、試合巧者になるためには改善すべき点です。

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 個人で特筆すべきはまず柿谷選手。ゴール前でうまくフリーになって、良い時間帯で価値あるゴール。ダイレクトパスから岡崎選手のゴールもお膳立てし、1ゴール1アシストの活躍。

本田選手も絶妙のボールコントロールで相手DFを振りまわし、自らシュートコースをつくって決めたゴールが素晴らしかったですね。今後も相手DFの前から打つシュートがビシバシ決まるようだとビッグクラブでレギュラー獲得が容易になると思います。

岡崎選手も見事なボレーシュートで試合を決定づける3点目をあげました。

酒井宏樹選手は、ノートラップからDFとDFの間に正確に落とす素晴らしいクロスで、柿谷選手の同点ゴールを演出。

 逆に川島選手は「特別な試合」で気負いがあったか、ルカクへのロングパスに前へ飛び出したものの間に合わず。立ち上がりの大事な時間帯で失点するきっかけに。

酒井高徳選手も同じシーンで、危険察知能力の低さを露呈。ルカクが折り返したボールにできるだけ早く近づいて、最悪ラインの外へクリアしておけば何てことはないプレーでしたが、相手にボールを奪ってくださいとばかりに、なぜ走るスピードをゆるめたのか全く意味不明。W杯アジア予選のヨルダン戦でも、彼の怠慢プレーから敗戦につながる失点がありましたが、こんなことでは本当に困ります。

清武選手はゴール前でパス・パスばかりで、ほとんど相手の脅威になっていません。

山口選手は、ボール奪取能力に良いものを持っていて今後に期待できますが、前へのつなぎのパスでミスが目立ちます。ボランチからのパスがミスになって逆襲から相手のトップにボールが入ると、もうバック4枚しか守っている味方がいません。今はまだ気の利いたパスが出せなくてもやむをえないので、守から攻へのつなぎのパスを確実に成功させてほしいです。

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 ザッケローニ監督の采配面では、そういうことを監督さんが意図したものだったのかはわかりませんが、結果的に見て、試合を決定づけるゴールが欲しいときに遠藤選手を後半から「切り札」として投入する策が、オランダ戦に続いてベルギー戦でも効果を発揮。

以前から、柿谷・本田・香川・岡崎の4人に加えボランチに遠藤選手を入れるのは、ブラジルやスペインなど格上の相手に対しては攻撃に偏りすぎていて、逆に相手の高い攻撃力を防ぎきれないのではないかと考えていました。さらに長友・内田の両サイドバックがガンガン上がるならなおさらです。

そこで格上の相手に対し、前半はより守備を重視して長谷部・山口の両ボランチでしっかり我慢して0点に抑え、 後半に遠藤選手を投入して試合を決定づけるゴールを奪うという策もアリかもしれません。

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 近年の急成長で勢いがあるベルギーとのテストマッチは、アウェーの環境にうまく適応した日本の勝利という結果は大変良かったですし、試合内容のほうも課題はまだまだ残っているものの、攻守に積極性と前向きさが感じられて良いです。

W杯で戦うために必要最低限のレベルを60点だとすると、ベラルーシ戦は50点40点と言いましたが、オランダ戦は65点、このベルギー戦は68点といったところでしょうか。

しかしこれはあくまでもテストマッチ。ベルギーも本番に向けての調整はこれからでしょう。

この試合に負けたからといってベルギーが失うものはありませんし、勝ったからといって日本のW杯決勝トーナメント行きが決まるというものでも全くありません。

日本代表はブラジルW杯で、まだ何も手に入れていないのです。

W杯まで残された時間が少なくなり、代表で集まれる時間も限られてきましたから、選手ひとりひとりがクラブでどう過ごすか、1日1日を大事につかって自らの長所を伸ばし、弱点を克服することに真剣に取り組み続けることがとても大事になってきます。

 まさかとは思いますが、来年3月にテストマッチを1試合やっただけで、即ブラジル行きメンバー発表では調整の場が足りなすぎます。

日本は、特にセンターバックや守備型ボランチが不足していますから、その2つのポジションでの人材の発掘・育成を目的として、日本に中南米あたりの歯ごたえのある相手を呼び、国際Aマッチデー以外に招集できる国内組だけでも良いので、何試合かテストマッチを組むべきではないでしょうか。

センターバックやボランチの候補として、森重選手や高橋選手・山口選手にもっともっと国際経験を積ませたいですし、他にも良い選手が発見できればなおさら良いです。

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    2013.11.19 スタッド・ロワ・ボードワン(ブリュッセル)

        ベルギー 2 - 3 日本

            ミララス 15'      柿谷 37'
     アルデルべイレルド 79'      本田 53'
                          岡崎 63'


     GK ミニョレ            GK 川島

     DF フェルトンへン        DF 酒井宏
        フェルマーレン          森重
        ファンブイテン          吉田
       (ムニエ 79)            酒井高
       アルデルべイレルド       (今野 86)

     MF ウィツェル          MF 山口
        メルテンス            (遠藤 46)
       (デブルイネ 62)         長谷部
        デンベレ              清武
       (デフール 72)          (岡崎 46)
        アザール              本田
       (フェライーニ 46)         香川
        ミララス              (細貝 82)

     FW ルカク            FW 柿谷
       (フォッセン 75)         (大迫 63)
      





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