■日本代表、邪念を捨ててオランダを追い詰める

 日本代表のベルギー遠征、一試合目はオランダとの対戦となりましたが、2-2で引き分けという結果となりました。

対戦相手のオランダは主軸の高齢化が進み、若返りを図っている途中ではあるものの、W杯優勝を狙える位置にある国の一つだと思います。

アウェーはもちろん日本のホームゲームでも勝ち点1さえ取るのが難しい相手と考えていましたが、中立地でドローという結果は良かったですね。

オランダとしてはモチベーションの上げにくいテストマッチであり、“ゴールマシン”のファンペルシーを欠いていましたが、それでも日本の選手たちは攻撃でも守備でもプレーに「攻めの姿勢」が表れていて、試合内容もまずまず良かったと思います。

それではゲーム展開を追ってみましょう。

        ☆        ☆        ☆

 立ち上がりは日本がやや優勢か。

前半6分、清武のパスを受けた長友が左サイドから中央へ折り返し、ファーサイドにいた岡崎がフリーでシュートしますがヒットせず。 

ここまで日本が押し気味でしたが、たった一つのミスから流れが変わってしまいます。

12分、ストロートマンから右サイドへ出たパスをカットした内田がヘッドでGK西川へ戻そうとしてミスになり、ファンデルファールトが前へ出た西川を見ながら内田からのプレゼントボールをループシュート、これが決まってオランダが先制。

先制したことで落ち着きを取り戻したオランダがボールをポゼッションし、日本は守備ブロックをつくって相手の攻撃をしのぐ展開へ。

23分、ストロートマンのスルーパスを受けたレンスがドリブルで抜け出しますが、内田が良く追いついて後ろからボールをつつきCKへと逃れます。

33分、日本のバイタルエリアで、ストロートマン・ファンデルファールトらが素早くパスを回し、最後はロッベンがミドルを狙いますが西川が横っ飛びセーブ。

38分オランダの速攻、ファンデルファールトがダイレクトで正確なサイドチェンジ、これを左サイドで受けたロッベンがドリブルでカットインし、豪快なミドルを決めて0-2と突き放されます。

オランダに楽勝ムードが流れるなかの44分、長谷部がピッチ中央へドリブルしつつペナの中にいた大迫へパス、大迫が右足をダイレクトに振りぬき、これが決まって1-2とします。

 後半あたまから遠藤・香川らを投入してキックオフ、前半の良い時間帯に1点を返したことで、後半も良い流れが継続しました。本田を抑えていたアンカーのN.デヨングが交代したことも追い風に。

15分、オランダゴール前で岡崎・内田・本田と小気味よくパスが回り、内田のパスをペナの中にいた大迫が落とし、最後は本田が決めて2-2と試合を振り出しに戻します。

一時は2点差をつけて楽勝ムードが流れ油断しきってしまったのか、オランダは体勢を立て直すことができず、日本の攻撃を守備ブロックをつくって耐えるという、前半とはまったく逆の展開に。

21分、内田のパスをうけた香川がドリブルで相手DFをかわしミドルシュート、これはGKシレッセンにセーブされます。

28分、ストロートマンが右サイドから中央へ折り返し、そこに走りこんだファンデルファールトがシュートしますがバーの上で助かりました。

33分日本のカウンター攻撃、ピッチ中央をドリブルする香川からゴール前へスルーパス、柿谷がそれを受けてGKと一対一になりますが、狙いすましたシュートは惜しくもゴール右へ外れます。

オランダを押し込んで攻めたてるもののゴール決定力に欠ける日本、ゲームはそのままタイムアップとなりました。

        ☆        ☆        ☆

 それでは試合内容を見てみましょう。

先月の東欧遠征では、「試合でミスをしたらどうしよう、それで自分がブラジルに行けなくなったらどうしよう」といった、何かにおびえたような弱気で消極的なプレーが非常に目立ちました。

しかしこの試合では日本の選手からそういった「邪念」が消え、積極的な「攻めの姿勢」が攻守両面に戻ってきたように思います。

こういう前向きなメンタルでコンスタントにプレーできていれば、東欧遠征もあのような結果&内容にはならなかったはずですし、たとえ結果が出なかったとしても、何かしら成長のヒントが得られたはずでした。

こうした正しい習慣をクラブでのプレーも含めて、W杯まで継続していって欲しいです。

 守備については、まずまず。

試合を通じてコンパクトな陣形をほぼ保つことができ、特に後半は組織的にプレスをかけ、サイドに追い込んで相手のミスを誘い、ボールを奪ってショートカウンターという形がたびたび見られました。

ただ、こちらが相手を押し込んでいるとき、バックの4人がオフサイドラインをそろえていなかったり、相手FWへの注意を怠っていたりして、一発のロングパスでピンチを招くことが何度もあったことはいただけません。

ウルグアイと仙台でやったとき、スアレスにさんざんやられて高い授業料を払ったはずですが。

こちらが押し込んでいるからマークを放していても大丈夫だろうではなく、今この瞬間に相手ボールになってもウラは取らせない、常にそういう緊張感をもって90分なり120分なり試合に臨んでほしいです。

最初の失点シーンですが、マイボールを大切にしすぎて自陣深くで致命的なミスになり、それが即失点につながったというのはコンフェデのイタリア戦とまったく同じ。

簡単にクリアしておけば何の問題もないプレーでしたし、これがW杯の公式戦であればオランダも90分間緊張感をもって試合をするでしょうから、あの失点でゲームそのものが終了しかねない痛恨のミスでした。

人間がやることですからミスは避けられませんが、一つのミスから多くのことを学び、同じミスを繰り返さないということを徹底して欲しいです。

そうでなければ成長はありえません。

 攻撃面は良かったと思います。

特にオランダの足が止まり始めた後半は、ショートパスが良くつながってオランダの守備を崩し、良い形から本田選手のゴールを導くことができました。

ただ、東欧遠征時の最悪期は脱したものの、まだ選手ひとりひとりの判断スピードが遅いです。

「ボールを受けて何タッチもして周囲を見回してからパス」を繰り返していたので、前半まだ元気だったオランダのプレス守備を崩すことができず、逆に相手に押し込まれる結果となりました。

「次のプレーへの判断が速い」というのは、前半のオランダのような攻撃をいうのであって、すべての日本人選手にあの判断スピードを見習ってほしいです。

ボールを受けてすぐパスをしたのでは自分が目立たない、プレーに他人との違いをつくりだせないのではないかなどと、サッカー選手として本能的な不安を感じるのかもしれませんが、現代サッカーでは相手が守備体勢を整える前にフィニッシュに持ち込まないとゴールできる確率が低くなってしまいます。

中盤でファンデルファールトがダイレクトで逆サイドへパス、速いサイドチェンジに日本の守備ブロックが逆サイドへスライドするのが間に合わないなか、フリーでボールを受けたロッベンがドリブルでカットインし、自分の前にDFがいても正確にミドルをゴールへ叩き込む、これがワールドクラスの攻撃です。

香川選手もこういうプレーを「自分の必勝パターン」の一つにしてゴールを量産できれば、マンチェスターUでのレギュラーポジション獲得はより容易になるでしょう。

オランダの選手は、バイタルエリアに侵入してドリブルなりフェイントなりで相手をかわしてもバランスを崩さず、シュートを打つ時に良いフォームから打てていることが正確なシュートと高いゴール決定力につながっています。

日本の選手の場合、シュートを打つ前にボディバランスを大きく崩してしまって、打つ前から「外れるな。大きくフカすな」とわかることが多いです。

へばってしまったのか、後半の半ばから味方のボールホルダーが自分でなんとかするのを、周囲が足を止めて見ているというシーンが増えましたが、あともう一歩までオランダを追い詰めていたのですから足を止めず、味方をサポートしてどんどんシュートチャンスをつくって欲しかったですね。

 課題はいろいろ残ったものの、チーム状態は最悪期を脱し、攻守両面で試合内容はまずまず良かったと思います。
        ☆        ☆        ☆

 個人で特筆すべきはまず大迫選手。ボールを持ちすぎず、オランダゴール前の時間もスペースも無いなかでファーストタッチがシュートになるよう積極的にプレーしていた点が好感が持てます。ポストプレーからチャンスメークもして1ゴール1アシストの活躍。

本田選手も貴重な同点ゴールをゲット。ただ1試合を通じて動きが重く、フィジカルの強いオランダのアンカーN・デヨングにも苦しめられました。

後半から出場の香川選手もカウンターからのチャンスメークに活躍しましたが、やはりゴールが欲しいです。

 逆に、内田選手はマイボールを大切にしすぎて自陣深くで失点につながる致命的ミス。シンプルにクリアするなど自分たちのゴールに近いところでは安全第一が求められます。

長谷部選手も、大迫選手へのラストパスは良かったのですが、ロッベンのゴールシーンでは守備が淡泊で軽かったように思います。ロッベンの左足が脅威なのはわかりきっているのですから、カットインから左足シュートを常に消すような守備ができていれば、最悪縦に突破されてもまだ対処するチャンスはありました。

今野選手は一瞬レンスへの注意を怠り、ウラをとられたところを後ろから倒すという、W杯の公式戦なら一発退場もののミス。

清武選手もほとんど相手に脅威を与えられず。彼はサイドハーフには向いていないのかもしれません。トップ下やボランチの位置からパスを散らすいわゆる“レジスタ”向きではないでしょうか。

        ☆        ☆        ☆

 ザッケローニ監督の采配面では、先発から遠藤・香川・川島の各選手を外し、フレッシュな顔ぶれを先発させたことでチームに健全な競争と活気・闘争心が戻ってきました。

欧州のビッグクラブでやっている選手でさえ、レギュラーポジションが保証されているわけではない、ということを監督自身が行動で示したことで選手たちから余計な邪念が消え、「ブラジルW杯で勝つために目の前の試合に全力を尽くす」ということに集中でき、選手のプレーに対する姿勢が前向きで積極的なものに変わったように思えます。

これをW杯まで継続していって欲しいですし、J2以下に所属している選手も含めてすべての日本人プレーヤーにブラジル行きの可能性があるわけですから、これまで代表歴がなくてもクラブの試合において自らの能力を全力でアピールして欲しいですね。

        ☆        ☆        ☆

 オランダとのテストマッチは2-2の引き分けでしたが、結果は良かったですし、試合内容の方もまずまず良かったと思います。

ただ、W杯の決勝トーナメントに進出し、そこで勝ち進んで行くには解決すべき課題も多いです。

自陣深くで致命的なミスを犯し、簡単に失点してしまう問題。

シュートを打つ時ボディバランスが崩れ、打つ前から外れるとわかるような悪いフォームでシュートを打ち、ゴール決定力が改善されない問題。

次にシュートを打つべきか、パスすべきか、それともドリブルすべきか、プレーの判断スピードがオランダやスペイン、ドイツなどの優勝候補から劣る問題。

W杯の本番では香川選手の同僚である“RVP”も間に合うでしょうし、オランダもこの試合のように緊張感の欠けたプレーをしてくることはまず無いと思います。

次のベルギー戦では、この試合の反省点をふまえ、同じミスを繰り返さないように一歩でも成長したところを見せて欲しいです。

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       2013.11.16 クリスタル・アレナ(ヘンク)

        日本 2 - 2 オランダ


       大迫 44'      ファンデルファールト 13'
       本田 60'      ロッベン 39'



      GK 西川        GK シレッセン

      DF 長友        DF ヤンマート
        (酒井高 73)      フラール
         今野           デフライ
         吉田           ブリント
         内田
        (酒井宏 79)   MF N.デヨング
                      (ビレムス 46)
      MF 長谷部         ファンデルファールト
        (遠藤 46)       (デグスマン 78)
         山口           ストロートマン
         清武   
        (香川 46)    FW ロッベン
         本田          S.デヨング
         岡崎         (デパイ 70)
                      レンス
      FW 大迫
        (柿谷 73)






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