■日本代表、セルビアの地で完敗

 昨日セルビアとのテストマッチが行われ、日本代表は0-2の完敗を喫しました。

セルビア代表は、イングランド・イタリア・ポルトガルなどでプレーする選手が多く、日本とはほぼ互角の実力、日本のホームで日本の勝ち、アウエーではセルビアの勝利が確率の高い結果と見ていました。

セルビアが自らのホームで勝利という結果は順当だったと思いますが、こういうゲームを最低限引き分けなり、日本の勝利にもっていかなければチームの成長はないわけで、残念な結果となりました。

試合内容の方も、あまり良くありませんでした。

        ☆        ☆        ☆

 この試合はスタンコビッチの代表引退試合となっており、彼の家族を呼んでセレモニーが行われました。

90年代末から現在まで、セルビア(ユーゴスラビア)代表の中盤を支え、ストイコビッチやミヤトビッチ、ビディッチらと共にプレーしてきた彼ですが、セルビアが生んだ偉大な選手だと思います。

長友選手もワールドクラスのプレーヤーから学んだことは多かったのではないでしょうか。日本代表のチームメイトにも教えてあげて欲しいです。

 前半10分すぎ、スタンコビッチがサポーターのスタンディング・オベーションのなかピッチから去ると、実質的なキックオフ。

日本は守備では縦にも横にも間延びし、攻撃では味方のボール保持者が自分で局面を打開するのを周りが足を止めて見ているという、チーム全体として消極的で攻守に連動性が見られません。

ゲームは、守備は固いもののさほど攻撃が良いわけでもなかったセルビアがやや優勢。

15分、香川がボールを失い、ラドバノビッチがシュートしますが、ゴール右へ外れます。

26分、日本のペナルティエリア内へタディッチからパス、吉田が足をすべらせクリアしきれず、これを拾ったジョルジェビッチのクロスをトシッチがシュート、内田がなんとか体に当てて最後は川島がキャッチ。

31分、セルビアゴール前中央で、本田→長谷部とつないでスルーパス、相手DFのウラへ抜けた香川がシュートしましたが、GKストイコビッチが左足一本でセーブ。

38分、セルビアのFKからラドバノビッチがクロス、バスタがヘッドでつなぎ、最後はイバノビッチがシュートしますが外れ、ヒヤッとさせられます。

44分、ゴール前右から本田が蹴ったFKはストイコビッチが横っ飛びでセーブします。

 ハーフタイムに監督から修正が入ったのか、日本の守備隊形がコンパクトになり、守備の安定とともに攻撃にもリズムが出てきました。

後半9分、内田のパスを受けた岡崎が中央へ折り返し、柿谷がシュートしますがGK正面。

12分、セルビアを押し込む日本、右サイドの内田が中央へパスし、遠藤がミドルを狙いましたがセルビアDFが足を伸ばして防ぎます。

14分、ここまで日本のリズムでしたが一瞬のスキを相手に突かれます。日本の左サイドからバスタがペナに侵入し中央へシュート性のパス、これを受けたタディッチがフリーで前を向き、放ったシュートがが決まってセルビア先制。

ゴールが決まったとたん、セルビアは同時に三人交代。四日後にあるW杯欧州予選に向けて主力温存でしょうか。

ゴールしたことで自信を持ってプレーするセルビアに対し、先制されて焦りが出たのか、日本は確率の低い浮き球のパスを多用するようになり、攻撃が雑になります。

それでも26分、本田から右サイドへ走りこんだ香川にボールをつないで中央へ折り返し、岡崎がシュートしますが外します。

後半ロスタイム、セルビアのカウンター。
日本の右サイドをドリブルするジブコビッチが逆サイドへクロス、受けたシュチェポビッチのパスに後ろから走りこんできたヨイッチが合わせて0-2。これで息の根を止められました。

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 それではいつものように試合内容を見ていきましょう。まず守備から。

中盤のフィジカルコンタクトの争いで各選手ともがんばっていたと思いますが、前半、縦にも横にも陣形が間延びしてしまった点は良くありませんでした。

セルビアは長友選手の攻撃参加をつぶす狙いか、日本の左サイドから攻めてくるシーンが多かったのですが、チーム組織としてはそれほどレベルの高い攻撃ではなかっただけに、キックオフからしっかりとコンパクトな陣形をつくれていたら難なく跳ね返すことができ、前半からこちらがゲームの主導権を握れたんじゃないかと思います。

先月のガーナ戦では90分間しっかりとコンパクトな陣形がつくれていたのに、たった一か月でどうして振り出しに戻ってしまったのでしょうか。

それはこの合宿で3-4-3の動き方を練習しているからではないかと推測しますが、ザッケローニ監督の3-4-3は、攻撃時に3バック・守備時に4バックになる可変システムなので、合宿でその動き方を集中的に練習していると、試合で4-2-3-1に戻した時にコンパクトな守備陣形の作り方をすっかり忘れてしまうということが非常に良くあるように思います。

3-4-3をやるなとは言いませんが、4-2-3-1に戻した時にコンパクトな守備隊形を90分間ちゃんと維持できるようにして欲しいです。

そうしないと、W杯の本大会までに4バックでのレベルの高い組織的守備力を積み上げていくことができず、3-4-3の練習をするたびに、次の試合では4バックの守備を一からやり直しということになりかねません。

これほどムダで非効率なことはないでしょう。

 失点シーンは、コンフェデでブラジルと戦ったときにパウリーニョにやられたのと同様、ペナの中でDF陣が相手選手を離しすぎていた、フリーにしていたことが敗因。

ペナの中で相手選手を離しすぎていれば、その選手にボールが渡ったとき、どうしても詰めきれなくてゴールを食らうことになります。

まずペナの中にいる相手選手に密着マークし、その選手がボールを持ってゴールを向いたり、自由にボールを扱うのを阻止すること。

ボールはひとりでにゴールへは飛んでいきません。ペナやバイタルエリアにいる誰かがシュートするから飛んでいくのです。だからしっかり相手選手をマークする。

「シュートする相手から離れていれば、失点の責任から逃れられる」ということには決してなりません。

2点目もカウンターを浴びたのはやむをえないとして、みんながゴール前でボールウオッチャーになりすぎ。
だから後ろから走りこんできたヨイッチが見えないということなります。

 攻撃もあまり良くありませんでした。

特に前半、味方のボールホルダーが一人でなんとかするのを、周囲が足を止めて見ているというシーンが多かったですね。

だから、相手選手の陰にかくれている味方に通すため、浮き球やロングパスを多用していましたが、浮き球は身長が高いセルビアの選手に跳ね返され、苦しまぎれのロングパスも味方とほとんど合うことがありませんでした。

中盤のパス回しも、ミスを恐れているのか止めてパス、止めてパスなので、相手に次を読まれてセルビアの守備ブロックとプレスを崩すことができませんでした。

シュートへの意欲も非常に低く、ペナの中でシミュレーションぎみに倒れて、PKを取ってくれとばかりに審判の顔を見る選手が多すぎました。

何におびえているのかわかりませんが、チーム全体として非常に弱気で消極的でしたね。

ピッチが少々悪くても、セルビアの選手のように普通にプレーしてゴールを決めるタフさ、本当の意味での技術の高さが欲しいです。

このゲームを見て思ったんですが、今ゲームでミスをしてブラジルW杯に行くメンバーから外されたくない、だからミスが目立たないよう守備でも攻撃でもゲームにあまり参加しないようにしよう、もしそう考えている選手がいるのであれば、そんな弱気で消極的な選手から真っ先に落としていくべきです。

強いプレッシャーがかかるW杯という舞台では、そういう勇気に欠けた精神力の弱い選手はどうせ通用しませんから。

ともかくこのゲームで目立ったのは、日本代表の弱気と消極性でした。それがとても残念です。

        ☆        ☆        ☆

 選手個々で特筆すべきは内田選手。サイドの守備でも安定した対応ぶり。ゴール前では体を張って相手の決定機を防ぎました。攻撃参加もまずまずの出来。

 逆に今野選手はペナの中で相手を離しすぎてしまい先制点を許す結果に。二点目もボールウオッチャーとなり後ろから走りこんできたヨイッチに決められました。彼はJ2でプレーしていますが、そのことがマイナスに働いていなければいいのですが。

吉田選手も同様に、ペナの中で相手を離し先制点を許す原因に。失点にこそならなかったものの、前半相手のパスをクリアしきれず相手のチャンスにしてしまうプレーがありましたが、クラブで試合に出られないことで試合勘と自信を失っているのかもしれません。

柿谷選手は、攻撃時にチーム全体の足が止まっていたこともありましたが、ほとんどの時間消えてしまっていました。

岡崎選手も同様に相手にほとんど脅威を与えられず。
これまでがむしゃらにプレーしてきて、シュートへの貪欲さで彼には日本代表もずいぶん助けられてきましたから、それをいじってしまうと彼の長所が消えてしまう可能性があって難しい問題なのですが、かといってクラブでの現状を見ていると、これまでの「がむしゃらプレー」にも限界を感じつつあります。「自分は誰かに生かしてもらうセカンドストライカー」という考えにこだわり続けるかぎり、2トップを採用していて強力なセンターFWのいるチーム以外では苦しい立場になってしまいそうです。

無我夢中で打ったシュートが一本決まれば、ストライカーとしての能力が覚醒するというものではありませんし、毎日の練習と努力でFWとして求められる能力を高めていくしかないでしょう。トラップやシュートの正確性を向上させ、冷静さを保ちシュートを打つ時に周囲を良く見て打つ、そしていかにゴール前で相手DFのマークを外してフリーになってシュートするかというポジショニング能力などを磨いていかないと、困難な状況が続いてしまうかもしれません。

日本人選手全体に言えることであり岡崎選手にかぎった話ではありませんが、シュートを左右どちらかに打つ時、倒れこむGKの脇の下を狙うのは基本中の基本。次の候補はGKの肩の上。シュートを打つキックモーションより先に相手DFが伸ばした足が届きそうだと思ったらフェイントで相手をすべらせてから打つのも一つの手。いずれにしてもシュートを打つ時に周囲をよく見る冷静さがなくてはいけません。

ともかく、クラブでも代表でも今後どういうストロングポイントでもって生き残っていくか、プレースタイルの改革が岡崎選手に必要なのではないでしょうか。

        ☆        ☆        ☆

 東欧遠征の初戦となったセルビア戦は0-2という結果も残念でしたし、試合内容もあまり良くありませんでした。

ブラジルW杯を戦う上で、日本代表に求められる最低合格ラインが60点以上のレベルだとすると、先月横浜で行われたガーナ戦の出来が62点だとすれば、今回は50点といったところでした。

スタンコビッチの引退試合ということもあり、やりにくさもあったでしょうが、本来であればガーナ戦の出来をベースとして70点80点とサッカーのレベルを上積みしていって欲しかったのですが、残念な内容でした。

ガーナ戦からたった一か月で、一からやり直しになってしまう原因はなんなのか、3-4-3を練習するたびに4-2-3-1の守備戦術を忘れてしまうのか、ミスをしてW杯行きのメンバーから外れるのが怖いのでゲームに積極的に参加することから腰がひけたのか、美しく刈り込まれた日本のピッチ以外では足元の技術がガクッと下がってしまうのか、アウエーの雰囲気に飲まれて実力が発揮できなかったのか、しっかり原因をつきとめて次の試合以降おなじ失敗を二度と繰り返さないようにして欲しいです。

ブラジルW杯まで時間がそれほどあるわけではありません。

 これまで何度も繰り返してきたように、センターバックのポジションの立て直しも急務だと思われます。

ザッケローニ監督が今後とも吉田・今野両選手のコンビをファーストチョイスにするのだとしても、森重選手や、まだ呼ばれていない選手も代表に呼んでインターナショナルマッチで実戦経験を積ませ、あるいはフィジカルの強い酒井宏樹選手をコンバートするなりして、全力でセンターバック陣の層を厚くしておくことはMUSTです。

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    2013.10.11 スタディオン・カラジョルジェ(ノビサド)

       セルビア 2 - 0 日本

     タディッチ 59'
     ヨイッチ  90'+


   GK ストイコビッチ       GK 川島

   DF トモビッチ         DF 内田
      ナスタシッチ          吉田
      イバノビッチ          今野
      ルカビナ            長友

   MF マティッチ         MF 長谷部
     (ミリボエビッチ 60)      (細貝 65)
      スタンコビッチ          遠藤
     (ラドバノビッチ 12)       岡崎
     (ヨイッチ 86)          (ハーフナー 88)
      トシッチ              本田
     (ジブコビッチ 60)        香川
      タディッチ            (乾 86)
     (ペトロビッチ 78)      
      バスタ           FW 柿谷
                       (清武 68)
   FW ジョルジェビッチ
     (シュチェポビッチ 60)




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