■日本代表、またしても守備崩壊

 昨日、日本代表のテストマッチが久しぶりに宮城スタジアムで行われましたが、とても良かったですね。

この試合が東北の人々に元気を与え、未来への希望につながるものとなることを強く祈っています。

それだけに、日本代表が東北の人々に良いところを見せ、ぜひとも勝ちたい試合でしたが、相手はウルグアイ。

リバプールのスアレスやアトレチコマドリードのゴディンなど、欧州四大リーグでプレーする選手が多いチームです。

ただ代表チームに集まるとうまく機能しないのかW杯南米予選では苦戦しており、自分たちに有利なホームであれば、日本が勝たなければいけない相手と見ていましたが、2-4で大敗という結果はホームゲームとしてあってはならないものだったと思いますし、試合内容も悪かったです。

それではまたしても打ち合いになってしまったこのゲームを振り返りましょう。

        ☆        ☆        ☆

 立ち上がりはやや日本が優勢な展開か。

しかし、日本の選手は攻守にわたって体が重いように見え、ボールを保持しているわりには決定的なシュートシーンがさほど多くはありません。

前半11分、攻める日本が虚をつかれたようにウルグアイにラストパスを通され、吉田を振り切ったスアレスがシュートしますが、GK川島がファインセーブ。

14分、ゴール前やや右から日本のFK、本田のブレ球シュートはGKムスレラが前へこぼし、吉田が詰めようとしましたが惜しくもヒットできませんでした。

27分、ゴディンのクリアボールに反応したスアレスに対し、吉田がウラを取られてスアレスが独走。スアレスはフリーのフォルランへのパスを選択し、彼が冷静にゴールへ流し込んでウルグアイが先制。

29分、日本のゴールほぼ正面でウルグアイにFKを与え、これをまたしてもフォルランに決められ、早くも0-2。

32分、岡崎のパスを受けた柿谷がペナに侵入してボールを浮かし相手GKをかわそうとしますが、GKに当たってしまいました。

41分、ウルグアイの左CKからのボールが相手と競った遠藤に当たり、あやうくオウンゴールになるところでしたが、クロスバーに救われます。

42分、柿谷からパスを受けた岡崎が右サイドからカットインしてシュートしますが、相手DFの体に当たり防がれます。

 後半も、早く追いつきたい日本が攻め、ピッチ中央を中心に固く守るウルグアイがカウンターをうかがうという展開。

ところが選手のコンディションが悪いのか、後半立ち上がりから日本がいったん攻めると、多くの選手が自陣になかなか戻れないため、日本の4バック+ボランチが丸裸になって相手のカウンター攻撃に何度も襲われます。

後半2分、ウルグアイのクリアミスを拾った岡崎がムスレラと一対一になりますがシュートは防がれ、こぼれを拾った香川のシュートも決まりません。

8分、こちらの左サイドを突いたM.ぺレイラのクロスを吉田がクリアミス、これを拾ったスアレスのシュートが決まり、0-3と突き放されます。

ウルグアイの「往復ビンタ三連発」でようやく目が覚めたように、運動量が増えた日本。

10分、ゴール前から本田が浮き球のラストパス、これに飛び出した相手GKとDFが交錯し、こぼれたボールが香川の前へ。香川が無人のゴールへ流し込んでようやく1-3。

13分、ロデイロのパスを日本DF陣のウラへ抜け出したロドリゲスが受けて中央へ折り返し、最後はゴンサレスがヘッドで決めて1-4。日本の反撃ムードがしぼんでしまいました。

それでも27分、FKから右へ巻いた本田のキックが決まり2-4。

しかしその後はウルグアイにしっかり守られて、大勢に影響せず。

日本はホームで大量失点負けとなりました。

        ☆        ☆        ☆

 結果はもちろんですが、試合内容も悪かったですね。

選手のコンディションが悪く、キックオフから体が重そうでした。

W杯アジア予選もそうだったのですが、欧州クラブでプレーする日本人選手が増えてから国内で蒸し暑い時期に行われる試合での動きが特に重く、スタミナ切れを起こす時間が以前より早くなった気がします。

その原因が、湿気が少なく冷涼な欧州の気候に日本人選手が慣れすぎたり、90分間プレーできるレギュラーポジションが確保できないためスタミナが落ちたことで、ホームゲームにもかかわらず高温多湿のアジア気候が苦手になってしまったのだとしたら深刻な問題だと思います。

ブラジルW杯では、日本対イタリア戦の会場となったレシフェやマナウス、フォルタレザといった都市では、日中のゲームで気温が30℃前後まであがる可能性があります。

前述のようなブラジル北部の開催地で戦う欧州の代表チームは、高温多湿の気候に苦しめられそうですが、日本も同じように苦戦してしまうかもしれません。

世界の列強とくらべてまだまだ個の能力で劣勢な日本のサッカーは、相手より長い距離を走ってコンパクトな陣形を保ち続け、攻撃では味方のボールホルダーを周囲が分厚くサポートしてパスで攻撃を組み立てていくための運動量が生命線です。

国内組が多かった2010年W杯では、出場国でトップクラスの走行距離が90分間崩れないコンパクトな守備陣形を実現させ、それによってベスト16進出というすばらしい結果につながりました。

にもかかわらず、コンフェデでもそうでしたが相手よりこちらが先に足が止まってしまうのでは、W杯優勝どころか、決勝トーナメント進出さえ難しくなってしまいます。

決勝Tに進出するためには、メキシコやウルグアイのような中堅クラスには勝たないとお話になりません。

日本サッカー協会がイニシアチブをとり、代表各選手や所属クラブと打ち合わせしながら、もし選手にスタミナ面で問題があるなら、ケガを避けるために適切な自主練プログラムをつくり、選手に実行させるような対策をとらないと、来年のブラジルで取り返しのつかないようなことが起こりかねません。

 つづいて守備面から試合内容をくわしく見ていきますが、あいかわらず良くありません。

日本の守備がここまで崩壊してしまったのは、これまで再三指摘しているようにトランジション(攻守の切り替え)に多くの問題をかかえているからです。

日本が攻撃しているとき、その瞬間ボールを奪われても失点につながらないようなポジショニングをとるといった、相手の反撃に対する備えがまったくできていません。

例えばウルグアイの先制点の場面、前線で日本がボールを失い、相手が日本DF陣のウラへロングボールを放り込んだ瞬間、吉田選手はスアレスを自分の背後に置いておきながらオフサイドがとれませんでした。

吉田選手のまずいポジショニングのうえに、真ん中を守っていた今野選手もスアレスの位置を見て吉田選手とオフサイドラインを揃えるという意思統一ができていませんでしたし、ドリブルするスアレスが独走状態になったあと、サポートに来たフォルランにあらかじめ危険を予測して酒井選手がタイトにマークしておけば、少なくともフォルランへのパスを防ぐことができたはずですが、フォルランに決定的なパスが出てからあわてて詰めに行ったために、シュートを防げませんでした。

攻撃することばかりに気をとられているせいか、守備の基本が2つも3つもおろそかになっていて、これではやられるのが当たり前。

日本がボールを失ったあと、相手がパスをつないで攻撃してきた時も、攻撃から守備へのトランジションや自陣への戻りが緩慢なのは、コンフェデの時と相変わらず。

ボールを奪われたら、フォーメーションで自分がマッチアップしている相手を探すのではなく、誰でも良いから、まず一番近くにいる選手が相手のボールホルダーにマークについて、前方へのドリブルやパスを防ぎ、タッチラインの外へ大きく蹴りだしても良いから味方が自陣へ戻る時間を稼ぐことです。

味方が相手のボールホルダーをディレイさせている間に、その他の選手はすばやく帰陣して、自分が守るべきスペース、マークすべき相手にすみやかにつかなければなりません。

相手のボール保持者をディレイさせている味方が本来マッチアップしていない相手を見ているなら、それを考慮したポジションチェンジも必要です。

ボールを失って攻守が入れ替わった瞬間というのは選手の集中力が切れやすく、直後の攻撃がゴールに結びつきやすいため、トランジションは現代サッカーにおいてきわめて重要視されています。

チェルシーに復帰したモウリーニョやドイツ代表のレーブ監督もそれを指摘していますし、香川選手が攻撃の中心となっていたときのドルトムントの戦術である「フォアチェッキングからボールを奪ってのショートカウンター」にせよ、いったん自陣にリトリートしてからプレスをかけるにせよ、トランジションの重要性はかわりません。

ポゼッションサッカーの代名詞であるバルサも攻撃サッカーのイメージが強いですが、攻守の切り替えの速さとボールをできるだけ早く奪い返す能力の高さにおいても世界トップレベルです。

アジアカップ2011でカタール代表監督のブルーノ・メツが「日本はアジアのFCバルセロナだ」と言っていましたが、今の日本代表は「ボールを奪われたら、なかなか奪い返そうとしないバルサ、自陣に戻れないバルサ」だと思います。

 攻撃面も良くなかったですね。

選手ひとりひとりの運動量が少なくてボール保持者へのサポートも足りず、効果的なパスが回らないため、ウルグアイの堅守をなかなか崩せませんでした。

近年バルサの強さにかげりが見え、メッシが個の能力で局面を打開するのを周りの選手が足を止めて見ているというシーンが増えてきたことがその原因の一つだと思いますが、この試合の日本もまさにそうでした。

最後までパスで崩して無人のゴールにシュートを流し込みたいという気持ちが強いのか、シュートへの意識も弱く、消極的なプレーが目立ちました。

味方から来たボールを止めてパス・止めてクロスだと、相手が次のプレーを予測しやすいため、なかなか崩すことができません。

逆にコースが空いたら思い切ってシュートすれば、GKが前へはじいたり相手DFに当たってコースが変わったりして相手が予測不可能なことが起こります。そういう時に相手の守備は崩れるわけです。

韓国戦の決勝ゴールも原口選手が思い切ったシュートを打ったからこそ、柿谷選手にゴールチャンスが生まれました。

プレーの選択肢はまずシュートです。それができないときにドリブルやパスを考えるべきです。

        ☆        ☆        ☆

 選手個々で特筆すべきはまず本田選手。
本田選手のFKからのゴールは久しぶりですし、FKのキレがここにきて戻ってきましたね。フィジカルの強いウルグアイの選手にガチガチ当たられてもボールを失わないのはさすがです。本田選手並みのフィジカルコンタクト能力を持つフィールドプレーヤーがあと9人欲しいです。

1ゴールの香川選手も良くあそこにつめていました。ただ逃したチャンスもあり、ゴール決定力をもっと高める必要があります。

逆に吉田選手は大不調。まずいポジショニングでスアレスにウラをとられたケースが少なくとも二度あり、そのうちの一つがウルグアイの先制点となってしまいました。相手のクロスをクリアミスして試合を決定づける3点目の原因ともなるなど、ボロボロの出来。

川島選手は、フォルランのキックがよく見えなかったのか、自分から見て右へ飛ぶと初めからヤマをかけたのかわかりませんが、相手のFKで逆をつかれて失点。かつての代表GK川口選手もそうでしたが、PKなど至近距離からのシュートに絶対の自信を持つゴーリーは、まだ距離がある相手のシュートへの準備が遅れたり(例:昨年10月、対ブラジル戦のパウリーニョのゴール)、相手のミドルシュートにヤマをかけて逆を突かれたりするケースがあるように思います。ウルグアイの4点目のシーンでも、GKが一度ゴールマウスを空けて前へ出たら、少なくともボールには触らないといけません。

酒井選手はアウエーのヨルダン戦でもそうでしたが、ディフェンダーとしての危機予測能力に大きな問題を抱えています。ウルグアイの先制シーンで危険なことがわかりきっているフォルランをフリーにしていたのは大きなミスでした。失点にこそならなかったものの、相手に囲まれて苦しまぎれのバックパスがスアレスへのプレゼントボールになったケースもありましたが、あのような場合は無理につなごうとせず、前方へのロングパスかタッチラインの外へ大きく蹴りだすべきでした。

内田選手、遠藤選手もパスミスが多かったですね。

特別悪いと言うわけではありませんでしたが、期待された柿谷・豊田両選手もフル代表にホロ苦デビュー。柿谷選手は緊張していたのか、トラップが乱れてシュートチャンスを逃し、豊田選手も屈強なウルグアイのバックに苦しみました。

韓国やオーストラリアのDFより1枚も2枚も上手というのを実感したと思いますが、そういう経験をしなければ世界に通用するプレーヤーにはなれません。今後に期待したいと思います。  

        ☆        ☆        ☆

 久しぶりに仙台での代表戦、東北のサポーターに良いところを見せたい日本代表でしたが、ホームでの大量失点負けは、あってはならない結果でしたし、試合内容も悪かったです。

体力面で問題があって守備に戻れないのか、チームメイトに欧州の名門クラブでやっている選手がいて油断しているのかはわかりませんが、このような「ザル守備」では世界で勝つのは夢のまた夢です。

 ザッケローニ監督は、相手に点をとられてもそれ以上にゴールをとりかえす攻撃的サッカーを目指すとおっしゃっていますが、今のところそれは現実的ではないと思います。

ブラジルやスペインならいざ知らず、センターバック2枚で守って8人が攻撃というサッカーでは、攻撃にバランスが崩れすぎていて守りきれません。

日本はまだまだ世界トップクラスの実力はありませんし、こちらより格上のチームに3点も4点も失っていたらゲームに勝てないのは、コンフェデの結果からも明らかです。

センターバックならダビド・ルイスやピケ、ボランチならアンカー1枚でも守りきれるようなブスケツ・クラスの個の能力を持つ選手がいないと...

南アフリカW杯のときのように、7人8人でずっと守っているようなサッカーをやれとは言いませんが、ザッケローニ監督が以前からおっしゃっているようにバランスが重要であり、今の日本代表は攻守のバランスを取り戻す必要があります。

日本の選手ひとりひとりも地に足をつけてもっと危機感をもたないと、ブラジルで大変なことになりかねません。

---------------------------------------------------------------------------------
     2013.8.14 宮城県総合運動公園宮城スタジアム

         日本 2 - 4 ウルグアイ


        香川 55'       フォルラン 27'
        本田 72'       フォルラン 29'
                     スアレス  53'
                     ゴンサレス 58'


       GK 川島       GK ムスレラ

       DF 酒井       DF M.ぺレイラ
          今野          ルガーノ
          吉田          ゴディン
         (伊野波 56)     (コアテス 81)
          内田          カセレス
         (駒野 83)
                   MF ガルガーノ
       MF 遠藤         (ラミレス 62)
          長谷部        ロデイロ
         (山口 75)      (エグレン 62)
          香川         ゴンサレス         
          本田         (ストゥアニ 67)
          岡崎         ロドリゲス
                     (A.ぺレイラ 67)
       FW 柿谷
         (豊田 64)   FW フォルラン
                      スアレス



↑いつもポチッと応援してくださって感謝です。


  

■コメント

■コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

 



管理人多忙につき、マメにレスを差し上げられません。
ゴメンナサイ。
もちろん、すべてのコメントは拝見させていただきますが、サイトポリシーに違反したものは、予告なく削除します。
悪しからずご諒承ください。

プロフィール

スパルタク

  • Author:スパルタク
  • FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ

リンク






   

ブログ内検索