■コンフェデ総括(その1)

 各大陸王者が集うコンフェデレーションズカップ、アジア王者として出場した日本代表は3連敗でグループリーグ敗退という残念な結果に終わりました。

大会はまだ続いていますが、今回は日本の戦いぶりを総括してみたいと思います。

 W杯優勝国を相手に日本人選手が広いスペースにおける選手個々の一対一でまだ勝つ実力がないと見ていた当研究所は、リアリズムに徹して「4-1-4-1のコンパクトなフォーメーションで堅守速攻のサッカー」で臨むことを提案しました。(当ブログ記事・コンフェデをどう戦うべきか?

しかしザッケローニ監督が選択したのは、これまで通りのサッカーによる真っ向勝負でした。

その結果が3連敗、得点4・失点9だったわけですが、コンパクトな陣形を保ったままバックラインを押し上げて、ある程度相手が守備を固めているところを崩してゴールを奪うという、W杯南アフリカ大会のような堅守速攻型サッカーより難易度が高いことにチャレンジしたわけですから、ザックジャパンがあえて困難な道を選択したその意気込みは買いたいですし、全敗という結果も前向きな失敗だったと思います。

コーチングスタッフを含めたザックジャパンのメンバー全員が、この挫折から学んだことをしっかり自らの血となり肉としていって、ブラジルW杯での成功に結びつけられれば、むしろ有意義な経験となるでしょう。

 それを考えると、初戦のブラジル戦はあえて難しいことに挑戦しにいったはずなのに、何の工夫も改善点も最低限のファイティングスピリットさえも見せられず、昨年のテストマッチと同じか、それ以下の内容で惨敗してしまったのはとても残念でした。

ドイツ代表のレーブ監督やジョゼ・モウリーニョもトランジション(攻守の切り替え)の速さの重要性を以前から指摘しており、当研究所もW杯予選のときから「日本代表は攻守の切り替えが遅い」としつこく言ってきましたが、この試合ではブラジルのトランジションの速さと日本の遅さが際立った試合でもありましたね。

ブラジルは守備への切り替えとプレスのスタートが速くて、次のプレーへの判断が遅い日本の攻撃は機能せず、逆に日本は攻撃から守備への切り替えと選手の帰陣が遅く、ブラジルの速い攻撃にやられっぱなしでした。

 それでも次のイタリア戦は、日本はチームをうまく立て直し、なかなか良い内容のサッカーを見せてくれました。

人とボールが良く動いて、判断スピードを速くしてリズム良くパスを回せている時は、魅力あふれるスペクタクルな攻撃を見せてくれ、目の肥えたブラジルのサッカーファンも、日本のパスが回るごとに「オーレ!オーレ!」と声援をかけてくれました。

当研究所が、W杯の予選からずっと「ボールを持ちすぎるな、次のプレーへの判断を速くせよ」としつこく言ってきた理由はこれです。

それはメキシコ戦も同様で、例えば前半4分の遠藤選手のパスをペナの中で受けた香川選手がトラップしながらターンして一瞬でメキシコのDF2人をかわしてシュートしたプレーは、創造性の面でレベルが高かったですね。ゴールが決まれば最高でしたが。

トルシエジャパン時代からずっと「ゴールまで残り20~30mからの攻撃における創造性に欠けるのが課題」といわれてきた日本サッカーにとって、着実な進歩を感じさせるものでした。

南アフリカW杯では、流れの中からの攻撃で通用したのは本田選手のみか、せいぜいフランスでプレーしていた松井選手ぐらいで、パス成功率60%は出場32ヶ国中最低でしたから、決勝Tのパラグアイ戦が典型なんですが、相手が守備で待ち構えているところを崩してゴールを奪う力は当時の日本にはありませんでした。

(南アフリカ大会で優勝したスペインはパス成功率80%。W杯全参加国の平均は70%でした)

コンフェデでのパス成功率等のデータはまだ見ていませんが、イタリア戦やメキシコ戦の前半を見る限り2010年W杯と比べると格段の進歩があったように見えますし、ザックジャパンのサッカーの方向性は決して間違っていないと思います。

攻撃における創造性の面ではイタリアやメキシコの方が平凡のように私には見受けられましたから、「身内びいき」を抜きにしても、攻守におけるサッカーのレベルの「瞬間風速」は日本の方が高かったと思います。

ただ「瞬間風速が高い」時間帯ではイタリアやメキシコを押し込んでも、それをコンスタントに1試合90分間持続させることができず、「瞬間風速が低い」時間帯では足が止まって相手に一方的に押し込まれ、我慢できずにあっけなく失点してしまうのがコンフェデにおける日本代表でした。

そこが今後解決すべき課題です。

 かなり実力差のあるチーム同士の対戦であっても、片方が90分間攻めっぱなしというゲームはまずありません。

試合の流れが相手に行ってこちらが押し込まれる時間帯でもコンパクトな守備陣形を保ち、チーム全体でどこでボールを奪うのか統一された意識をもってプレスをかけて、相手に攻撃の自由を与えないことで失点をゼロに抑えることがとても重要です。

GKもゴールキック等で時間をかけて、相手の良い時間帯を寸断して、相手が良いリズムで継続して攻撃できないように妨害するのも有効でしょう。

別に押し込まれたからといって動揺する必要は1%もありません。ゴールさえ許さなければ試合に負けることはないのです。そこはずうずうしく構えて、慌てず騒がず失点を防ぐために必要なことは全部やることが大事です。(慌てず騒がず、守備で手を抜いて失点では最悪ですが)

相手の時間帯をしっかりゼロに抑えれば、試合の流れがこちらにやってくるチャンスが生まれてきます。相手に攻め疲れが見えたら押し返して、日本の時間帯ではチャンスを確実にモノにして試合に勝つためのゴールを奪う。

ゲームの流れを的確に読み攻守の勝負どころを見極め、それを勝利という結果に結びつけることができる試合巧者としての能力を磨いていくことが日本代表の今後の課題です。

そのためには、まず相手より走り勝つ体力的スタミナとゲーム終盤でも冷静に正しい判断を下すことを可能にする精神的スタミナが求められます。

今や日本は欧州のビッグクラブでプレーする選手を輩出するようになりましたが、コンフェデで明らかになったようにまだまだ個の能力では劣勢であり、守備ではフィールドプレーヤー10人でコンパクトな陣形を維持して相手が使えるスペースを限定し、攻撃では複数の選手が味方のボールホルダーを適切な距離(7m以下)でサポートしてやる必要があります。

それを90分間可能にするには、相手が1試合で11㎞走るならこちらは12㎞走れるようなスタミナを身につけることが最低条件ではないでしょうか。

 来年はいよいよワールドカップイヤーです。

海外組の代表選手は数週間しっかり休養し体のケアをしたあと、新シーズン前の自主トレやクラブのキャンプで走り込みをするなどして、W杯で相手に走り負けないだけの持続力を養ってほしいと思います。

ケガ防止のためにも、代表のコーチングスタッフが協力して適切な走り込み指導をしてあげるのが望ましいですし、シーズン中も試合に出れなかった選手は、クラブのフィジカルコーチの指導のもと、ボールを使ってダッシュとストップを繰り返しながら長距離の走り込みをするなどして、スタミナ維持を図った方が良いかもしれません。

「瞬間風速」が高い時間帯は、日本が攻守両面においてイタリアやメキシコを圧倒したように見えましたが、あれが単なるまぐれだったとは思えません。

もしそうであるなら、「瞬間風速」で相手を上回る時間を90分持続させられれば、イタリアやメキシコともW杯で互角以上の戦いを見せられる可能性が高まります。

そして、自分たちに流れが来ている時にチャンスを確実にゴールに結びつけ、相手の時間帯はしっかり我慢して無失点に抑えることで、良い内容のゲームを勝利という結果に結びつけることができるでしょう。

そのためには、これまで述べてきたチーム組織力の強化はもちろん、選手個々の能力アップが欠かせませんが、それは次回に述べることにします。

またザッケローニ監督の采配も分析して、コンフェデ総括を締めくくりたいと思います。

(次回につづく)




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