■日本代表、イタリアにもったいない負け

 決勝トーナメント進出に向けてもう負けられなくなった日本の第2戦はイタリアとの対戦でしたが、激しい打ち合いの末3-4で敗れました。

対戦相手のイタリアはユーロ2012準優勝国。日本との実力差は日本のホームで引き分け、アウエーでイタリアの勝ち程度と見ていました。

ブラジルという中立地での対戦であれば、地力に勝るイタリアの勝利は順当な結果だったとは思いますが、日本より1日休養日が少なかったイタリアは明らかにコンディションが悪く、日程上の有利さを生かして日本が何とか勝ち点を取り、決勝トーナメント進出への望みを第3戦につなげて欲しかったのですが本当に残念です。

試合内容は、どん底だった今年3月のヨルダン戦に比べれば、かなり良くなってきたと思います。

それでは試合展開を振り返ってみましょう。

        ☆        ☆        ☆

 立ち上がりは、厳しいプレスからボールを奪うとテンポ良くパスを回してゴールへ向かうなど、ブラジル戦とは見違えるような動きを見せた日本のペースで始まります。

5分、香川が左サイドから早いタイミングでクロス、マークをうまく外した前田がヘッドしますがGKブッフォンの正面。

17分、バイタルエリア中央へ切れ込んだ香川がミドルシュート!これもブッフォンがセーブします。

21分、川島のゴールキックを受けたデ・シリオのブッフォンへのバックパスが弱く、かっさらおうとした岡崎をブッフォンが倒したとしてPK獲得。本田のキックがゴール右隅に決まって日本が待望の先制点。

33分、今野が放り込んだボールをペナルティエリア内でイタリアがクリアミス、こぼれてきたボールを香川がダイレクトボレーで決めて、早くも日本が2-0。

気持ちが守りに入ったか、徐々に運動量が落ちてきた日本に対し、イタリアが反撃を開始。

41分、ピルロが日本の集中力の欠如を見逃さず素早いCK、デ・ロッシがヘッドでゴールにねじ込み、イタリアが1点返します。

1点取れたことで冷静さを取り戻したか、イタリアが息を吹き返します。

前半ロスタイム、バロテッリの落としを受けたジャッケリーニがシュートしますが、日本は右ポストに救われました。

 後半も、前半のイキイキとした動きがなくなってきた日本に対し、イタリアが攻めます。

5分、ゴールキックに逃れようとした吉田からジャッケリーニがボールをかっさらいセンタリング、これを内田がオウンゴールしてイタリアに追いつかれてしまいます。

こうなると試合はイタリアのペースに。

7分、バイタルエリア中央でパスを受けたジョビンコがミドルシュート、長谷部がブロックしますが、ハンドがあったとしてPK献上。バロテッリがワンフェイント入れてゴールに蹴りこみ、とうとうイタリアが逆転。

体が重いイタリアは守備ブロックをつくって逃げ切りを図り、追いつきたい日本が押し込むという展開。

イタリアの消極性が逆に仇となったか24分、遠藤のフリーキックを岡崎がヘッドで決めて3-3の同点に。

試合の流れは再び日本へ。

26分、本田がドリブルで相手をかわし、ミドルシュートしますがブッフォンがセーブ。

37分、長友のクロスを相手がクリア、これを岡崎がシュートしますがポスト直撃!こぼれ球を香川がヘッドするも決まらず。

41分、大切なところでまたしても日本に痛恨のミス。自陣深くで細かくつなごうとして窮屈になったクリアボールをデ・ロッシに拾われるとマルキージオにパス、カウンターから最後はジョビンコがつめてゴール、日本は息の根を止められました。

        ☆        ☆        ☆

 続いて攻撃から試合内容を分析します。

特に前半30分ぐらいまで、日本の攻撃はとても良かったですね。

各選手の次のプレーへの判断が速くボールホルダーへのサポートも的確で、ワンタッチ・ツータッチでオートマティックにどんどんパスが回っていきました。

ブラジル戦では各選手の判断が遅く、選手もボールも動きを止めながらプレーしていてブラジルのプレス守備の餌食となっていましたが、この試合はテンポよくパスが回るのでイタリアの選手も一発でかわされないようにうかつにプレスには飛び込めず、それによってフリーになった日本の選手のパスがさらに回るという好循環になっていました。

前半5分の前田選手のシュートシーンのように、クロスを入れる時も迷って切り返し切り返しするのではなく、ゴール前にいるDFの準備が整う前にダイレクトで正確なクロスを入れられれば、味方のFWもマークを外しやすくなりますね。

こうした攻撃をW杯の予選から見たかったんです。

ただし、途中で相手に押し込まれる時間帯があったとしても、このレベルの攻撃を最低90分間続けられなければ、日本がW杯の決勝トーナメントを勝ち抜いていくという可能性は見えてきません。

しかも決勝トーナメントは中2日~3日の試合間隔で、イタリアやブラジル・スペインレベルの相手に勝ち進んでいかなければ、優勝はありえないのです。  

そうした意味において、今の日本代表は肉体的にも精神的にも持久力・スタミナがぜんぜん足りません。

 シュートに対する意識もかなり改善されてきました。

ただ、カウンターからこちらが数的優位にある状況でシュートではなく弱気なパスを選んでミスになってしまうなど、まだまだ改善点はあります。

ミドルシュートの意識も高まってきたのは良いのですが、最低限ワクに入れて欲しいところ。

長谷部選手や清武選手なんかがそうなんですが、ミドルを打つとき上半身がのけぞり、腰だけを前に押し出してキックするので、シュートが大きくワクを外れるかボールにうまくパワーが伝わらない感じがします。

シュートを打つとき、上半身をややかぶせ気味に踏み込んで腰を入れて打つと、強くて押さえの効いた正確なミドルがゴールマウスの狙ったところへ向かうと思います。

 守備については、やはり前半30分までは日本のプレスが良く効いて、イタリアからボールが面白いように取れていました。これも攻撃と同様に最低90分間続けなければ、意味がありません。

イタリアのタテパスが入る瞬間、バロテッリやジョビンコの背後に体を寄せて、相手を自由にさせまいとする努力もうかがえました。

あとはフィジカルコンタクト能力や体の使い方のテクニックを高めて、手で相手のユニをひっぱらなくても守りきれるよう練習を積んでほしいです。

しかしながらこの試合の敗因はやはり守備。

日本の選手は、今自分がピッチのどこでプレーしているか、どういう時間帯なのかに応じたリスクマネジメントがまったくできていません。

ピッチを三分割したとき、自分たちのゴールに近い1/3のゾーンは、たった一つのミスが即失点につながる危険な場所であり、何よりも安全第一が優先されます。

「自分がミスするはずがない」ということをプレー選択の前提にしてはいけません。

たった一度でもミスすれば失点の可能性があるプレーを選択するくらいなら、タッチラインの外へ大きくクリアして失点の可能性そのものを消すべきです。

優先順位
(クリックで拡大)

後半5分に、吉田選手が日本のゴールキックにしようとしたボールをペナの中で相手に奪われ、オウンゴールを誘発してしまいましたが、シンプルにクリアしておけば何でもないプレーでした。

決勝ゴールのシーンも、イタリアに前線からプレスをかけられていたのに、日本の守備陣が自陣深くで細かくパスをつなごうとして、追い込まれた今野選手が窮屈な体勢からクリアしたボールが短くなり、バイタルエリアにいたデ・ロッシに拾われてショートカウンターを食らうという形からでした。

この試合は日本が前線で非常にテンポ良くパスを回していて、DFがタッチラインの外へクリアして相手ボールにするのはもったいないような気がしたのかもしれませんが、「失点を防ぐこと」が「ボールキープ」より大切なのは今さら言うまでもありません。

これまで「消極的な安全策ほど危険な策は無い」と繰り返し述べてきましたが、「DFがゴールキックにしようと相手をブロックしたつもりがボールをかっさらわれてゴール」というプレーはその典型であって、私が一番嫌いなプレーの一つです。

(もう一つは、DFがダイレクトでクリアできるのに「空振りしないよう確実に」と思って、ゴール前でわざわざワンバウンドさせたボールを相手FWに奪われて失点というプレー)

また、前後半開始から10分と終わりの10分は選手の集中が切れやすく点を取られやすい時間帯であり、リスクマネジメントをよりしっかりやっておかなければならないのですが、ブラジル戦もこの試合も、何度も何度もこの時間帯にやられていて、失敗から学ぶということが見えません。

日本は、経験の浅いユースチームのような、本当にもったいない試合をやってしまったと思います。

 チーム全体として気になるのは、選手同士で声を掛け合うことの少なさですね。失点するとみんなで下を向いてしまうシーンがこれまでも目立っていました。

チームが苦しい時こそ全員で声を掛け合って闘志を奮い立たせ、失点にからむようなミスをしたチームメートをそっとしておくのではなく、すぐさま駆け寄って「みんなで取り返せばいい。頭を切り替えていこう」とみんなでフォローしてあげて欲しいです。

        ☆        ☆        ☆

 選手個々で特筆すべきはまず香川選手。これまでの代表マッチで一番出来が良かったのではないでしょうか。味方がヨーロッパのチームのようにテンポ良くパスを回してくれると彼が生きるのかもしれません。

日本の2点目となったボレーシュートも思い切りが良かったですし、判断の速いクロスから味方のチャンスもお膳立て。バイタルでスピードに乗ったドリブルから強烈なミドルシュートを放ってブッフォンを脅かしました。代表でもクラブでもこのミドルにもっと磨きをかけていくべきです。中盤のパスの組み立て時に球離れを早くすると、もっと良くなるでしょう。

岡崎選手も、後ろから相手に体を寄せられていたと思いますが素晴らしいヘディングシュートでした。あのように正確なヘッドができるならブンデスでゴールが量産できるはず。守備でも運動量豊富でチームへの貢献度は高いです。

本田選手は、名手ブッフォンを破る見事なペナルティキックでしたね。

遠藤選手も、岡崎選手へナイスアシストでした。
普段、遠藤選手はCK・FKの時にふわっとした山なりのボールを使ってそのままGKにキャッチされることが多いような気がしますが、このアシストのようにスピードが速くて急激に落ちるボールを蹴った方が味方のゴールの確率は高まると思います。キックの名手である遠藤選手もミドルシュートは苦手のようですね。練習でもっと精度を上げて欲しいです。

 逆に吉田選手は、前述のようにリスクマネジメントの判断ミスから痛恨の失点の原因に。
2-0でリードしていたチームが同点ゴールを許すと逆転まであっという間という「サッカーで2-0は一番危険な点差」であることを示す教科書のような試合でしたが、その意味で吉田選手のミスはこのゲームの勝敗を決定づける大変残念なものであったと思います。

長谷部選手は相手CKの時に一瞬集中力を切らし、そこを抜け目のないピルロにつかれてデ・ロッシのゴールを許す痛いミス。

長友選手は依然として本調子ではないのか、相手のアーリークロスを再三許し、攻めてもサイドの突破にキレがありません。

 ザッケローニ監督の采配面では、前半30分以降日本の足が止まりはじめ、試合の流れが相手に傾いて後半10分までに3失点してイタリアに逆転されても動かず。

中盤に運動量のある選手を投入するなど早めに手を打って逆転される前にチームを立て直し、ゲームの流れを日本に引き戻すべきだったと思われますが、後半ロスタイムにようやく中村選手を入れたのは遅きに失したのではないでしょうか。

        ☆        ☆        ☆

 決勝トーナメント進出のために勝負のかかったイタリア戦、3-4という結果はイタリアとの地力や経験の差からすれば順当だったとは思いますが、イタリアは1日休みが少なくコンディション不良だったのは明らかで、日本が勝たなければいけない試合でしたし、勝てた試合だったと思います。

こういう厳しい試合を勝って結果を出していかなければ、チームの成長はあり得ませんし本当に残念です。
2連敗ということで日本のグループリーグ敗退が決定しましたが、それにも深く失望しています。

ただ試合内容の方は、特に攻撃面で最悪期を脱しつつあるのは明るい兆しです。

前半30分までの攻守にわたって高いクオリティのゲームを90分間続けられれば、それを中2~3日で毎試合繰り返すことができる肉体的精神的スタミナを身につけられれば、ブラジルW杯の決勝トーナメントで日本が好成績を残す希望が見えてきます。

 これで決勝トーナメント行きの可能性はなくなりましたが、香川選手のチームメート・チチャリート率いるメキシコに何としても勝ち、ブラジルで1試合でもしっかりと結果を残して、日本のコンフェデでの冒険を締めくくりましょう。

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   2013.6.19 イタイパバ・アレナ・ペルナンブコ(へシフィ)

      イタリア  4 - 3  日本

        デ・ロッシ 41'        本田(PK) 21'
      O.G.(内田) 50'         香川 33'
    バロテッリ(PK) 52'        岡崎 69'
       ジョビンコ 86'


       GK ブッフォン        GK 川島

       DF デ・シリオ        DF 内田
          キエッリーニ        (酒井宏 73)
          バルザーニ         吉田
          マッジョ            今野
         (アバーテ 59)        長友

       MF モントリーボ      MF 長谷部
          ピルロ            (中村 90+)
          デ・ロッシ           遠藤
          ジャッケリーニ        岡崎
         (マルキージオ 68)     本田
          アクイラーニ         香川
         (ジョビンコ 30)
                        FW 前田  
       FW バロテッリ         (ハーフナー 79)




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