■日本代表、勝利で予選を締めくくるも...

 W杯アジア予選のラストゲームであるイラクとの試合が中立地のカタールで行われ、日本が1-0で勝利をおさめました。

対戦相手のイラクは、カタールなど海外でプレーする選手もいるものの、国内リーグでプレーする選手中心のチームです。

日本はアウエーのヨルダン戦を落とし、ホームでオーストラリアと引き分けるなど、最近公式戦で結果を出せていません。

よって日本の格付けをワンランクダウンさせてイラクと戦力比較しましたが、現時点においてホームで日本の勝ち、アウエーで引き分け程度の実力差があると見ていました。

日本が実力で勝るなら中立地ではイラクに確実に勝利が欲しいところでしたが、1-0という結果は順当だったと思います。

ただ試合内容のほうはレギュラーポジションが獲得できていない選手を多く起用したせいもあってか、課題が多く残るものとなりました。

それでは試合をざっと振り返りましょう。

        ☆        ☆        ☆

 この試合に勝たなければブラジルへの道が閉ざされるイラクが、気合のこもった試合の入り方をしてきて、日本が立ち上がり受け身になったところもありましたが、徐々に実力通りの展開となります。

9分、細貝が不用意にボールを失ってイラクのショートカウンター、ダウッドのドリブルをリトリートする伊野波が一度は見失いますが、体のバランスを崩しながらもなんとか止めました。

12分、左サイドから長友がクロス、これを受けたハーフナーが振り向きざまシュートしますが、イラクDFが防ぎます。

15分、ゴール前で相手のクリアを拾った今野が後ろへ戻し、遠藤がミドルを放ちましたがワクをとらえません。

26分、清武のパスを受けた香川がペナルティエリアに侵入して、清武へリターン、彼のシュートは相手に当たってコースが変わりますが、イラクGKが必死のセーブ。

31分、左サイドから清武がクロス、ゴール前のハーフナーが相手に競り勝ってヘッドしますが、惜しくもゴール右へ。

 後半に入ると、暑さのせいか日本の足が止まり始め、思うような展開をつくれません。

8分、左サイドでパスを受けたアルタミミが強烈なミドル、これは川島が横っ飛びでおさえます。

14分、右サイドでクロスを受けた香川が落とし、遠藤がシュートしますが大きくふかします。

19分、日本のゴール前でイラクのFK。ユニス・マフムード・ハラフのキックは日本の壁に跳ね返されました。

35分、ゴール前でのラフプレーからイラクの選手が退場処分を受けたこともあり、イラクの足が止まりだすとゲームの流れは再び日本へ。

42分、中村からパスを受けた長友がカットインしてミドルシュート、これはゴールバーの上。

44分、日本のカウンター攻撃。岡崎がドリブルからDFラインのウラへ抜けた遠藤へスルーパス、遠藤はGKと一対一になるも中央への折り返しを選び、最後は岡崎がつめて日本がようやく先制点を決めます。

4分間のロスタイムをうまく消費した日本が久しぶりの勝利をおさめました。

        ☆        ☆        ☆

 つづいては試合内容の分析です。まずは攻撃から。

 攻撃面では、日没後も30℃を軽く超えるような暑さの影響もあったとは思いますが、やはり一つ一つのプレー判断が遅いですね。

以前にも言いましたが、5mでも自分より相手ゴールに近いところでフリーな味方がいたら、とりあえず前方へのパスを試してみるという“オートマティズム”をもっと取り入れたらどうでしょうか。

それでパスを受けた味方が前を向ければ、そこを新たな攻めの基点として周囲がサポートしていけば良いのです。

逆にパスを受けた選手にプレスがかかって前を向けず、バックパスせざるをえなかった場合でも、パスを受けた味方に敵選手が食いつけば、その選手が動いた分スペースができているはずですから、そのスペースに別の味方がポジショニングして、バックパスを受けた選手がそこへパスをすれば、そこが新たな攻めの基点となります。

ボールを持ってルックアップして、ドリブルしながらどこへ出すかグズグズ迷っていると、その時間だけ相手が守備隊形を整えてしまい、いつも相手の守備ブロックの前から攻撃しなければならなくなります。

それでは相手を崩せません。

ドルトムント時代がそうでしたが、バイタルエリアで香川選手がフリーでいるときに、ボランチなどからタイミングよく彼の足元にパスが入ると、それがスイッチになってうまく攻撃につながっていったのですが、代表だとそういうシーンがほとんど見られませんね。

チーム全体としてシュートの意識が低いのも相変わらずではないでしょうか。

 守備面ではヘッドの競り合いの時、あからさまに相手の肩に手をかけてジャンプする選手が目立ちます。Jリーグでは許されても国際審判の多くはファールをとりますし、それがペナの中だとPK献上となります。

できるだけ手を使わずに空中戦に勝つスキルを身につけて欲しいですし、腕やヒジを使って相手を押さえるならレフェリーに絶対に見つからないようにやって欲しいです。
 
ボランチやサイドバックがパスミスやドリブルで相手を抜きにかかって不用意にボールを失い、イラクのカウンターを浴びるというシーンも目立ちました。

自陣深くで相手選手に囲まれたら無理してつなごうとせず、大きくクリアすべきです。

バックやボランチのように、自分より後ろでカバーしてくれる味方があまりいないポジションの選手や、自分のゴールに近いピッチの1/3でボールを扱う時は、リスクマネジメントをしっかりして安全第一にお願いします。

バックが自陣深くで相手FWを抜けたとしても、ただちに得点には結びつきませんが、もしドリブル突破に失敗して相手FWにボールを奪われた場合、ただちに失点に結びつく可能性があります。

同じドリブル突破の失敗でも、相手ゴール前でやるのとは全く意味が違います。そうした意味において、ハイリスク・ローリターンのプレーを選択すべきではありません。

        ☆        ☆        ☆

 選手個々で特筆すべきは、決勝点をあげた岡崎選手。常にシュート意識が高いのは評価できますし、攻守に体を張った活躍が光ります。ただしFWとしての能力にはまだまだ「のびしろ」がありますね。

ストライカーはパスを受けた時、トラップしたボールを自分の思い通りのところへ置けるかどうかで、シュートが入るかどうか50%以上決まります。トラップしたボールが体から離れすぎれば、バイタルエリアではあっという間に相手DFにつつかれますし、ボールが足元に入りすぎれば正確なシュートは望めません。

味方からどんな強いパスを受けたとしても正確にトラップする能力を練習で身につけること、そしてキックはもちろんのこと、ヘッド(前頭部だけでなく、側頭部を使ったヘッドやバックヘッドも含めて)を使った正確なシュート力を身につけること、これが当面クリアすべき課題でしょう。

遠藤選手はミドルシュートへの意識が高かったことが評価できます。シュートがゴールマウスの中に入ればもっと素晴らしかったです。

決勝アシストも素晴らしかったのですが、本気でW杯で優勝を狙うなら、あの場面でシュートを打つ意志の強さとそれをゴールに入れる能力の高さを、セントラル・ミッドフィルダーには求めたいですね。

清武選手も惜しいシュートがありましたし、クロスからチャンスメークしていましたが、後半16分に左サイドを突破してGKと一対一になりかけたシーンでは、シュートを打てなかったでしょうか。

 逆に、細貝選手は不用意にボールを失って何度もピンチを招いていました。今のところボール奪取力も特別高いというわけではありませんし、ヘルタベルリンで実力をつけて代表へ再チャレンジしてもらってはいかがでしょうか。

伊野波選手は一生懸命さは痛いほど伝わってくるものの、CBとしては不安定な出来。イラクはワントップにロングボールを当てて、バックヘッドで日本のDFラインのウラへ落としたボールを二列目が飛び出して拾い、ゴールを狙うというのが戦術でしたが、伊野波選手はユニス・マフムード・ハラフとの空中戦で競り負けるシーンが多かったです。

途中からハラフにフリーでヘッドさせてそのこぼれを拾うという戦術に方針転換したようですが、伊野波選手はバックラインの押し上げが足らず、ヘッドするハラフと後ろで待ち構える伊野波選手との距離が近すぎるため、ハラフがフリーでバックヘッドしたボールが伊野波選手の後方に落ちて、飛び出してきたイラクの二列目と川島選手が一対一になりかけるというケースもありました。

イラクの足が止まり始めた後半はやや安定したものの、W杯に出場して伊野波選手がイブラヒモビッチやファンペルシー、ファルカオなんかを完封するというイメージが持ちにくいです。

中村選手は、停滞した日本の攻撃にカツをいれる目的で投入されたはずですが、ほとんどの時間消えていました。

ハーフナー選手は惜しいシュートが2本ありましたが、ポストプレーは改善の余地が大きいですね。恵まれた体格の上手い使い方を考えて、ボールを確実におさめて攻めの基点をつくって欲しいです。オランダ出身の偉大な先輩、ルート・ファンニステルローイのビデオを見て研究してみてはどうでしょうか。個人的には彼のポストプレーが世界最強だったと思います。

香川選手は、ドリブルでボールを持ちすぎです。もっと次のプレーの判断を速くすると、より攻撃がスムーズになると思います。

        ☆        ☆        ☆

 日本のW杯アジア最終予選は勝利で締めくくることができました。

レギュラーポジションがとれていない多くの選手にチャンスが与えられましたが試合内容は今一つで、レギュラー陣を脅かすような選手は残念ながら見当たりませんでした。

個人的には、身長が比較的恵まれているC大阪の扇原選手に「ボール狩り」のスキルを教え込んだら、長谷部選手を脅かすような良い守備的MFになりそうな予感がありますし、柿谷選手もトップ下でどれくらいやれるか見てみたいですね。

もう若くはないですが、鳥栖の豊田選手もセンターフォワードとして体をはれそうですし、ポスト前田候補として試す価値があるのではないでしょうか。

Jリーグに良いセンターバックがいないなら酒井宏樹選手をコンバートして、センターバックとして安定したプレーができるように仕込めば、ユーティリティープレーヤーとして重宝しそうです。

 さて日本代表はアジアカップ2011に優勝した「ご褒美」として、いよいよブラジルに乗り込んでコンフェデレーションズカップに臨みます。

世界の強豪との距離を測るという目的のほかに、W杯の貴重なシミュレーションの場でもあります。

スタジアムの芝やその下の土質はどうか、6月のブラジル各都市の気温や湿度、高地では酸素濃度が体力にどう影響するか、いろいろなデータを集めてきてほしいと思います。

初戦はブラジルが相手ですが、昨年のテストマッチは小細工せず正面からブチ当たって完敗したわけですが、今回もそうするのか、それともシステムや選手を入れ替えて別の戦い方をするか。

ザッケローニ監督はどうするのでしょうか。今から楽しみです。

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     2013.6.11 グランド・ハマド・スタジアム(ドーハ)

         イラク 0 - 1 日本
 
                      岡崎 89'


    GK アルバイラウィ     GK 川島

    DF アルタミミ        DF 酒井宏
       I.ハラフ            今野
       エルハイマ          伊野波
       アルラミ           (高橋 90+)
                        長友
    MF アルジルジャウィ
      (カラール 85)     MF 細貝
       アルダイーア        遠藤
      (ファディル 79)       岡崎
       アルムハマダウィ     香川
       ダウッド           清武
       アルアザウィ       (中村 67)

    FW Y.ハラフ        FW ハーフナー
                      (前田 70)




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