■日本代表、ヨルダンで自らの弱さに負ける

 昨日行われたW杯アジア最終予選のヨルダン戦は、1-2で日本代表はゲームを落としてしまいました。

対戦相手のヨルダンはサウジやUAEなど海外でプレーする選手と国内組で構成されたチームです。

日本との実力差はホームでもアウエーでも日本が勝利できる程度と評価していましたが、1-2で敗れるという結果はあってはならないものだったと思います。

実際、埼玉で0-6で日本に負けたヨルダンが短期間で急激に強くなったというよりは、日本が自滅したゲームだったといえるでしょう。

        ☆        ☆        ☆

 ゲームは引き分け狙いのせいかヨルダンが慎重なゲームの入り方をしてきたため、立ち上がりは日本が優勢にゲームをすすめます。

前半4分、香川のスルーパスを受けた清武がウラへ抜け出しGKと一対一になるもパスを選択し、香川がシュートしましたが、体を張った相手に防がれます。

14分、清武の左サイドからのクロスを相手のマークをうまく外した前田がヘッド、これは相手GKがセーブ。

15分をすぎると日本の攻勢が弱まり、試合は一進一退の展開に。

16分、日本の右サイドをハイル・イブラヒムに抜かれシュートされますが、川島が防ぎます。

22分、右サイドで内田・長谷部とつないでクロス、これを前田が再びヘディングシュートしますが惜しくもバーに当たって外れます。

35分、香川のドリブルが防がれたこぼれ球を長谷部がミドルシュート、これはゴール右へ。

前半ロスタイム、たった一つのプレーからゲームの流れは大きく変化します。ヨルダンの左CKから岡崎のマークが甘くなったところをバニアテヤの強烈なヘディングシュートを食らい、日本は絶対にやってはいけない先制点を与えてしまいます。

後半は、先制点を奪ったヨルダンがあまり前に出てこなくなり、日本が同点に追いつくべく前がかりになって攻める展開に。しかし、パスばかりでなかなかシュートを打とうとせず時間ばかりが過ぎていきます。

10分、中央でパスを受けた香川が落としたボールを走りこんだ岡崎がシュートしましたがGKが良く反応して防ぎます。

15分、左サイドでパスを受けたH.イブラヒムがカウンター攻撃、対応した吉田がドリブルで振り切られそのままシュート、日本は0-2とされ苦しくなりました。

二点差とされて目が覚めたように運動量が増え、遅まきながらようやく必死になって攻めにかかる日本。

24分、縦パスを清武が背後に浮かしたラストパス、ウラへ抜け出した香川がこれを決めて1-2とします。

25分、スルーパスに抜け出した内田をヨルダンの選手が遅れてタックルし、PK獲得。キッカーは遠藤でしたが、ゴール右へのシュートはGKが横っ飛びで防ぎます。

36分、右サイドをくずして清武が長谷部へつなぎミドルシュート、これはGK正面。

43分、駒野のクロスをハーフナーがヘッドで落とし、今野がシュートしますがゴール右へ外れます。

この後はヨルダンに上手く時間を消費されゲームセット。日本は力を出し切れないまま敗れました。

        ☆        ☆        ☆

 レーザー光線やらなんやらありましたけど、この試合最大の敗因は「日本の選手たちが失敗を恐れ、勝負することから逃げていた」

この一言につきます。

自分のプレーが悪い結果になることを恐れ、攻守にわたって「サッカーの試合に勝つためにやるべきこと」をやっていませんでした。

これでは負けるのは当たり前。

 攻撃では相手に2点差をつけられるまで、自分がボールに関わってミスするのを嫌がっているのか、味方のボールホルダーを周囲の選手が足を止めて遠巻きに見ているだけ、というシーンが目立ちました。

カナダ戦から全く改善されておらず、これでは効果的な攻撃の組み立てはできません。

味方のボールホルダーのまわりにいる選手はもっと近寄って(だいたい7m以下に)、複数のパスコースをつくりプレーの選択肢を増やしてやらないと。

そして攻撃の最大の問題点は、シュート意識の圧倒的低さ。

今に始まったことではありませんが、ペナルティエリアに侵入して、相手GKと一対一になってもま~だパスの相手を探しています。

「シュートする角度が少なかったから」「もっと良い位置に味方がいたから確率の高いほうを選んだ」

そんなことは、シュートから逃げていることの言いわけにすぎません。

この試合、ペナに入ってからのクロスやスルーパスは長すぎたりタイミングがあわなくてなかなかシュートできませんでした。

必ずしも「パスの方が確率が高い」なんて言いきれません。むしろペナの中で時間をかければかけるほど相手DFが戻ってきて、良い体勢からシュートを打つチャンスが減ってしまいます。

同じ日に行われたオーストラリア対オマーン戦で、オマーンの先制ゴールは角度のないところから強引に打ったシュートが、シュウォーツァーの股間?を抜けてゴールになっていますよね。

GKが強烈なシュートを前にこぼしてそれをプッシュできるかもしれない、OGがあるかもしれない。シュートを打たなければ何も始まらないんですよ。

シュートしなければゴールは奪えませんし、ゴールしなければ試合にも勝てません。

特に試合の前半、日本の選手は足でシュートすることから逃げていました。

試合の前半、清武選手が二回ほどペナに入って自分の前にGKしかいなかったとき、打てる最初のタイミングで一本でもシュートしていてそれが入っていたら、このゲームの結果はまったく違ったものになっていたでしょう。

あそこでシュートを打つ勇気があるかどうかで、欧州四大リーグで成功できるかどうかが決まるのだと思います。ニュルンベルクで今一つ成功できていない原因はここにあるのではないでしょうか。

ピョンヤンで行われたW杯3次予選でも試合終了間際、長谷部選手がGKと一対一になりながらパスに逃げてしまいましたし、アジアカップ2011の韓国戦だったと記憶していますが、遠藤選手も一対一の場面で味方へのパスを選んでしまっていました。

香川選手や長友選手でさえシュートが打てるのにためらってしまうシーンを見かけますし、代表で一番ハートが強い本田選手でもそういうケースがあります。

世界トップレベルの選手、メッシやC.ロナウド、ファンペルシーがシュートから逃げるというシーンをほとんど見たことがありません。

W杯で優勝するということは、こういう選手がいるチームからゴールをあげて勝つということであり、現時点において、日本の選手はW杯優勝を狙うために必要な精神力の強さがまったく足らないと言わざるをえません。

こうなったらGKをつけてペナルティエリア内の角度のないところからシュートを打ったり、DFをつけてペナの外側からミドルシュートを打つ練習を徹底的にやるべきではないでしょうか。

ペナに入って自分の前にGKしかいなかったら必ずシュートしなければならない、もしパスしたら交代という縛りをかけて練習試合をやるのも良いでしょう。

 守備でもやるべきことが全然できていません。

ザックジャパンは守備の時、4-2-3-1の両サイドハーフがボランチのラインまで下がって4-4-1-1のコンパクトなブロックをつくって守ることが戦術上のお約束ですが、この試合はそれをすっかり忘れてしまったかのように選手がばらけてしまって、あちこちにスペースをつくってしまいました。

敵がクサビの縦パスを入れたときもボールの受け手へのプレスが甘く、前を向いた相手ボールホルダーへのプレッシャーも弱くて、相手のドリブルにあわせてひたすらズルズルと下がって危険なシュートを打たれていました。

前回記事で、ヨルダンの攻撃パターンはヘディングシュートとバイタルからのミドル、そしてカウンターだと警告しておいたわけですが、まんまとそのうちの二つを食らってしまいました。

先制点を献上したシーンはボールウオッチャーになりすぎてマークがゆるくなった結果、相手に先に前へ入られて強烈なヘッドを叩き込まれてしまいました。カナダ戦の失敗が生かされていません。

二失点目のカウンター攻撃は、カナダ戦でも指摘したチーム全体の守備への切り替えの遅さという問題点もあるのですが、吉田選手が相手をディレイさせている間に酒井選手が全速力で戻り吉田選手の後ろに位置して、それを確認したところで吉田選手がプレスをかけ、相手が吉田選手をドリブルで抜きにかかってボールを体から離したところを後ろにいる酒井選手がカットするという守備の基本であるチャレンジ&カバーができていれば防げた失点でした。

この試合、ヨルダンのボール保持者へのプレッシャーが弱くなったのも日本の選手が失敗を恐れ、もしプレスをかけて抜かれたら怖いからとズルズルと下がって、ゴールが近づいてもう下がれないというところで相手にシュートを打たれていました。

抜かれるのが怖いなら、すばやく戻ってチャレンジ&カバーの態勢をとれば良いのに、そういったサッカーの基本ができていません。

どうしても一対一で対応しなくてはならない状況なら、相手がペナに入る前に日本の選手がベストと思われるタイミングでボールを奪うための勝負をしないと。

 もう何度も指摘してきましたが日本のサッカー選手の弱点の一つは、プレーをして悪い結果が出ることを恐れたりどんなに上手くても自分の能力に自信がなかったりといったメンタルの弱さです。

(もう一つはフィジカルコンタクトの弱さ)

その結果、日本の選手なりチームは、どんな状況でも安定して自分の実力を100%発揮するということが苦手のように見えます。

欧州リーグでゴールをあげたりすばらしいパフォーマンスを見せた選手が、次の試合からしばらく鳴かず飛ばずだったり、Jリーグなんかでも、降格争いをしているクラブのJ2行きが決定したとたん、それまでの金縛りにあったようなプレーがあとかたもなくなって、次の試合で優勝争いをしている上位チームを食ったりするのを見かけたりします。

でも、今までとほとんど変わらない選手たちでプレーしているのにまったく逆の結果になるということは、選手の心の持ち方しだいで結果は大きく変わるということですよね。

どんな状況でも、失敗を恐れず自分ができることを精一杯プレーすることに専念するということがいかに大切なことか、ということを示しているのではないでしょうか。

 こうしたことは、「失敗しない人間をつくる」という日本のしつけや学校教育にも問題があって、「失敗しないこと=成功」ではないんだということを理解している日本の大人が少ないということも大きく関係していると思います。

サッカー界としてできることは、子供の時から失敗を恐れずに自信をもってプレーすることの大切さを繰り返し教えることです。

そして自信をもってプレーさせるにはその裏づけとなるサッカーの基本を子供のときから身につけさせ、正しく習慣づけることが重要でしょう。

サッカー選手が必ず知っておくべき攻撃の一番の基本とは、自分の前に相手フィールドプレーヤーがいなければ、ゴールまでの最短距離をできるかぎり速くドリブルして、GKがいようがいまいが自分でシュートしてゴールを決めてしまうことです。

自分の前に相手フィールドプレーヤーが立ちはだかった時、初めてドリブルで抜くか味方にパスを出すか、フェイントで相手を振ってその前からシュートを打つか考えれば良いのです。

守備の基本はこれの逆です。 

相手ボールホルダーと自軍ゴールを結んだ線上(つまりゴールへの最短距離)に自分が立って、まずシュートコースを隠すこと。そして相手と適当な間合いをとってボールを奪う決断をしたら実行に移すこと。

こういう一対一のプレーの基本の上に、11対11のゲームがあるわけです。

日本サッカー協会に確認したいところですが、ジュニアユースまでにこうした基本がしっかりと日本の子供たちに教えられているのでしょうか?

日本人選手を見ていると、自分の前にGKしかいないのに「それが正しいことだ」という確信をもってシュートを打っている様子をあまり見かけませんし、カウンターで相手DFのウラに抜け出してゴールまであと25m、でもそのまま全速力でドリブルしてシュートするのではなく、わざわざスピードを落として左右を振り返って、味方が押し上げてくる「タメ」をつくっているシーンを見かけることもあります。

こういう現象が起こるのは、やはりサッカーの基礎がちゃんと教えられてこなかったからではないでしょうか。

今回の敗戦の一番根っこのところには、こういった個人戦術の問題もあると思います。

長くなりましたので、選手個々の評価は次回にしましょう。

つづく




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