■日本代表、ブラジルに互角の打ち合いを挑んで完敗

 ポーランド西部の都市ヴロツワフで行われた、日本代表対ブラジル代表のテストマッチは0-4で日本の完敗に終わりました。

ブラジルはW杯予選を免除されているのでコパアメリカ2011以来公式戦を戦っておらず、現時点での戦力評価が難しかったのですが、コパアメリカぐらいの出来ならば中立地での試合ということもありますし、日本にも十分勝機はあると考えていました。

実際には0-4で日本の敗戦という結果でそれは非常に残念でしたし、ブラジルはコパアメリカの時とはメンツ(パト・ガンソ・ホビーニョなど)が入れ替わり、あの時よりもチームがより熟成されたように感じました。

それでは試合展開をおさらいしておきます。

        ☆        ☆        ☆

 前半立ち上がりは果敢に攻撃に出た日本がやや優勢か。
 
8分、ブラジルゴール前で前を向いた香川から本田へパス、本田は迷わずシュートしますが、GKアウヴェスが押さえます。

フランス戦とは違い、良い試合の入り方をしたかに見えた日本でしたが、バイタルエリアで一瞬のスキをつかれます。

12分、バイタルエリア中央でパスを受けたパウリーニョがシュートコースが空いているのを見てミドルシュート、これがゴール左に決まってブラジル先制。

それでも日本が果敢に同点を狙って攻めましたが、26分、右サイドを突破したアドリアーノのパスを受けたカカがシュート、今野がスライディングで阻止しますがこれがよもやのハンドを取られ、PKをネイマールが決めて0-2。日本にとっては酷な判定でゲームが壊れてしまいます。

27分、ウラヘ抜け出して遠藤のパスを受けた本田が中央へ折り返しますが、香川には通らずブラジルDFにクリアされました。

31分、香川からパスを受けた長谷部が強烈なドリブルシュート、しかしGKがファインセーブ。

34分、ネイマールのドリブルからパスを受けたカカがシュートしますがポスト直撃で救われます。

 後半からメンバーを入れ替えて立て直しを図りたい日本でしたが、立ち上がりから出ばなをくじかれます。

3分、ブラジルのファーサイドを狙ったCKを長友がかぶってしまい、ボールを受けたネイマールがシュート、これが吉田に当たって不運なオウンゴールで0-3。

5分、日本のCKからパスを受けた香川が横へドリブルしながらシュートしますが、惜しくもゴール右。

15分、遠藤・香川とつながってペナルティエリア内でスルーパスを受けた本田が後ろから倒されたように見えましたが、ノーホイッスル。

20分、フッキからのパスを受けたネイマールが中央へ折り返し、ファーサイドに走りこんだラミレスが押し込みましたが、クロスがラインを割っていたと判定されゴールは取り消されます。

31分、吉田のミスパスを受けたブラジルのショートカウンター。パウリーニョ・ネイマール・カカと渡り、最後はカカが冷静にゴールへ流し込んで0-4。

試合は日本の完敗に終わりました。
 
        ☆        ☆        ☆

 前回のフランス戦は試合には勝ったものの、日本は相手をリスペクトしすぎて想像以上に自分たちの力を発揮できませんでした。

今回はその反省にたち、失点のリスクをかけてもピッチを広く使い、こちらからも勇気をもって攻撃をしかけてブラジルに真っ向勝負を挑みました。

その結果は0-4と非常に残念なものでしたが、試合内容はフランス戦より幾分かましだったと思います。

ただアジアレベルでは見逃してくれる自分たちのミスが、世界レベルではあっという間に命取りになるのだということを身をもって感じたのではないでしょうか。

 まずフランス戦でも指摘した攻守のトランジション(切り替え)の遅さ。

この試合で日本は相手と互角に攻めあう展開に持ち込みたかったので、ピッチを広く使って攻撃をしたのですが、ピッチを広く使って攻撃すればするほど、守備のときコンパクトな陣形に戻すのが困難になります。

ですからピッチを広く使って攻撃すればするほど、ボールを奪われた瞬間にコンパクトな守備隊形への素早いトランジションが求められるのですが、日本はそれが遅いためにブラジルの速い攻撃をまともに食らってしまった感があります。

残念ながら今の日本には個の能力だけで広いスペースをカバーして、ブラジルの攻撃を止めるだけの実力はありません。

次にこれまでもW杯予選のエントリーで再三指摘している相手のボールホルダーへの寄せが遅れて、シュートコース・パスコースを簡単に空けてしまうという問題。

日本がブラジルと互角の攻め合いを望んだために、遠藤・長谷部の両ボランチが攻めに重心がかかっていて、バイタルエリアのスペースを空けていたこともありますが、ブラジルの先制点となったパウリーニョのミドルシュートの場面では、ゴールまでそれなりに距離があってパウリーニョの前方で日本のDFが何人も守っていました。

しかしアジアであの距離から打ってゴールになる確率は低くても、ワールドクラスになると十分ゴールになる確率の高いシュートの射程範囲内なわけです。

ポルトガルのC.ロナウドなら、自分の前に2人ぐらい守備がいて、ほとんどシュートコースが見えなくても、無回転のミドルシュートでゴールにブチ込みますよね。

世界レベルでは、アタッキングサードにいる相手ボールホルダーにシュートコースを見せると、パウリーニョのゴールのようにいとも簡単にやられます。

だから当研究所では口を酸っぱくして、たとえ普段のアジアレベルの試合でも相手のボールホルダーをフリーにするな、相手のボールホルダーと自軍ゴールとを結んだ線上に自分が立ち、適切な間合いをとって相手のシュートコースを消すという、正しい習慣を身につけなさいと指摘しています。

これまで「当研究所の指摘は細かすぎる、それぐらいのミスが一つや二つあってもしょうがない」と思われた方もいたかもしれませんが、本田選手や長友選手が目標としている、W杯で準決勝・決勝に行き、それに勝って優勝するということは、そうしたことがごく当たり前にできているということが大前提です。

それをしょうがないであきらめてしまうか、ミスをゼロにできるようベストを尽くすかでワールドクラスの選手なりチームなりになれるかなれないかが決まってくるのではないでしょうか。

 攻撃面では、フランスの攻撃もそうだったのですが、ブラジル人選手一人一人の判断スピードがとても速く、かつ的確でしたね。本当に学ぶべき点が多いです。

フランスとの違いは、ブラジルはゆったりパスを回して相手のスキをうかがう時もあれば、いったん攻撃のスイッチが入ったあと各選手が急激にスピードアップする時もあるといった具合に、攻撃の緩急にメリハリがあること。

そして攻撃のスイッチが入った瞬間に、選手一人一人がどういうプレーを選択すべきかの判断スピードが非常に速くて、相手に守備で対応する時間を与えません。

日本の攻撃の場合、選手一人一人がパスを受けてからルックアップして次のプレーをどうするか考えるケースが多いため、相手がフランスにしてもブラジルにしても、常に相手が守備体勢を整えたあとから攻撃している結果、なかなか良いチャンスがつくれませんでした。

唯一の例外は、フランス戦で香川選手がゴールしたカウンター攻撃。

ですから普段のアジア予選から、攻撃時における日本人選手の判断スピードをもっと速く・正確にすることを求めているわけですが、次のプレーをどうすべきか考える時間とスペースを与えくれるアジアレベルでは通用していた攻撃が、世界レベルでは通用しなくなってしまいます。

現時点の日本の攻撃力からすれば、世界の強豪ががっちりと守っているところを崩してゴールするのは難しいと思われます。相手が守備態勢を整えるまえにシュートまでもっていって攻め切ってしまいたいところです。

 W杯アジア予選でもそうなのですが、最後の最後までパスで崩そうとしすぎるあまり、日本人選手のシュート意識が非常に低いというのも、この欧州遠征で改めて感じました。

アタッキングサードに入ったら常にシュートできないか相手のスキをうかがい、それができないときにパスやドリブルといった選択をするという意識がもっと必要です。

フランス戦でも、ペナルティエリアの境目にいるハーフナー選手や清武選手がシュートコースが十分空いているのに、パスをファーストチョイスにするプレーを繰り返していて、かなり失望しました。

守備側にとって、日本の選手に怖さというものがありません。

パウリーニョの先制ミドルが好例ですが、あの距離から自分の前にDFがいてもお構いなしにゴールに叩き込むシュート能力の有無は、日本人選手が世界から遅れをとっている分野の一つだと思います。

そうした能力を身につけるためにも、まずシュート意識を高めることが重要でしょう。

        ☆        ☆        ☆

 選手個々で特記すべきは、まずトップ下に起用され攻撃の中心として期待された中村選手ですが、フランスやブラジルなどフィジカルでも技術でも勝る相手のなかでは埋没して消えてしまいがちです。もっと個の能力をあげていかないと今後厳しいのではないでしょうか。

清武選手もパスばかりでまったく怖さがありません。プレー選択の判断スピードも遅く、ブラジル守備陣の予測を容易にしていました。ニュルンベルクの不調もこうしたプレーと無関係ではないかもしれません。

途中出場の乾選手でしたが、ミスパスが多くプレーが空回りしていたのが残念でした。

        ☆        ☆        ☆

 あえて互角の勝負をいどんだブラジル戦、0-4という結果は大変残念でしたが、試合内容は何もできなかったフランス戦に比べればいくぶんましだったと思います。

日本のサッカーのどこが世界と通用して、どこが通用しなかったのか、世界トップレベルと自分たちとの距離はどれくらい離れているのかを、選手一人一人が自らの皮膚感覚で感じ取れたはずです。

それが今回の欧州遠征における、ゲームの勝ち負けを超えた貴重な収穫となったのではないでしょうか。

現時点では残念ながら、世界トップレベルを相手に個の能力だけで広いスペースをカバーして守るだけの実力は日本代表にないと思います。

日本が勝負に徹するなら、フランス戦のようにコンパクトな陣形をとり、相手の薄くなった守備をカウンターでついてゴールする堅守速攻型のサッカーをやらないと、世界トップレベルのチームから勝ち星をあげるのは難しいのかもしれません。

今のスターティングメンバーは、世界トップレベルのチームとやるときは、攻撃にバランスが片寄りすぎているようにも思えます。

今回のブラジル戦のように、ボランチが攻め上がって今野・吉田の前方にあるバイタルエリアのスペースを広く空けて、格上の敵にそこから正確なミドルシュートを食らったら、それでゲームが終了になりかねません。

例えば、遠藤選手を外して守備能力の高いダブルボランチにして、6人で守って前の4人で攻めるような新布陣もオプションとして検討する必要がありそうです。

 選手一人一人がクラブに戻り、この遠征で自分に何が足りなかったのか、解決すべき課題を設定してそれを乗り越えるための毎日を過ごして欲しいです

やはりW杯本大会では、フランスやブラジルと五分の打ち合いをして勝ちたいですから。


--------------------------------------------
2012.10.16 スタディオン・ミエスキ・ヴェ・ヴロツワフ

      日本  0 - 4  ブラジル

              パウリーニョ 12'
              ネイマール(PK)26'
              ネイマール 48'
              カカ 76'


    GK 川島      GK Di.アウヴェス
 
    DF 長友      DF カスタン
       今野         D.ルイス
       吉田         T.シウヴァ
      (栗原 90+)     アドリアーノ
       内田
      (酒井宏 46) MF ラミレス
                  (サンドロ 87)
    MF 遠藤        パウリーニョ
       長谷部       オスカル
      (細貝 62)     (T.ネーヴィス 89)
       香川
       中村      FW カカ
      (乾 46)       (L.モウラ 82)
       清武         ネイマール
      (宮市 90+)     (L.ダミアン 85)
                   フッキ
    FW 本田        (ジュリアーノ 77)




↑いつもポチッと応援してくださって感謝です。


  

■コメント

■管理人のみ閲覧できます []

このコメントは管理人のみ閲覧できます
■コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

 



管理人多忙につき、マメにレスを差し上げられません。
ゴメンナサイ。
もちろん、すべてのコメントは拝見させていただきますが、サイトポリシーに違反したものは、予告なく削除します。
悪しからずご諒承ください。

プロフィール

スパルタク

  • Author:スパルタク
  • FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ






   

ブログ内検索