■日本代表、不可解な判定に苦しみながらも価値ある勝ち点1

 日本代表のW杯アジア最終予選の第3戦は、アウェーのオーストラリア戦。

結果は1-1の引き分けとなりました。

対戦相手のオーストラリアですが、かつては主力選手のほとんどが欧州でプレーしていたものの、エバートンのケーヒルやフルハムのシュウォーツァーあたりを除いて、日本・韓国・UAEなどアジアのクラブでプレーする選手が本当に多くなりました。

日本との力関係はほぼ互角、現時点ではやや日本の方が上かと評価していましたが、アウェーで引き分けという結果はまずまず良かったと思います。

日本の試合内容も悪くはなかったですね。

それでは激闘となった試合を振り返りましょう。

        ☆        ☆        ☆

立ち上がりはホームで絶対に勝たなければならないオーストラリアが、お得意のロングボール攻撃で攻勢に出てきます。

前半5分、ノースが右サイドから日本のゴール前へクロス、競り合いのこぼれ球が“D”のエリアに落ち、待ち構えていたバレリのミドルシュートはバーの上。

同じ形からのミドルがもう一本ありましたが、これは前回記事でオーストラリア対策として挙げていたとおりで、このあとはちゃんとケアができていました。

6分、ロングボールを拾ったケーヒルが日本のDFをかわし強烈なシュート、川島がなんとかセーブしますが、前へはじいたボールを逆サイドに展開されてウィルクシャーがペナルティエリアに侵入して再びシュート、これも川島がファインセーブ!

日本がオーストラリアの猛攻を良く我慢して両チーム互角の展開へ。

8分、日本のショートコーナーから岡崎がフリーでヘッドするもワクをとらえられず。

20分、左サイドからのクロスにケーヒルがヘッド、川島・アレックス・栗原らがもつれて混戦になり、こぼれ球をニールがプッシュしようとしますが、栗原が倒れたまま絶妙のクリア。日本は危うく命びろいをします。

43分、右サイドで香川・本田とつないでからオーバーラップした内田へパス、内田のシュートは大きく浮いてしまいます。

 後半のはじめも互角の展開。

しかし10分にヘッドでクリアしようとした内田に対する危険なプレーでミリガンが退場してから、ゲームの流れは一気に動いてきます。

足が止まりつつあるオーストラリアが守りを固め、日本がそれを崩そうとする展開に。

20分、右ショートコーナーから本田がペナルティエリア内へドリブル、ゴールライン際からのクロスをファーポスト側につめていた栗原が押し込んで、日本が待望の先制点。

ところが23分、オーストラリアのCK時にペナルティエリア内の内田が不可解なPKをとられ、ウィルクシャーがこれを決めてオーストラリアが同点に。

31分、オーストラリアのCKのクリアがオグネノフスキに渡りシュートしますが、クロスバーに当たって跳ね返り日本は助かりました。

PKをもらって一時息を吹き返したオーストラリアでしたが、試合の流れは再び日本へ。

32分、左サイドを突破してのクロスからゴール前フリーの香川がヘッドしますが相手GKがキャッチ。

34分、長友からパスを受けた香川が角度のないところから振り向きざま強烈なシュート、これはGKがよく抑えます。

43分、ゴール前絶好の位置からの遠藤のFKは大きく上へ。

44分、ボールのないところでオーストラリアのFWともつれて倒れた栗原が退場処分に。

ロスタイム、ゴール前右からの本田がFKという場面で試合終了のホイッスル。

日本は勝ち点1をオーストラリアと分け合いました。

        ☆        ☆         ☆

 つづいて攻撃面から試合内容を分析しましょう。

攻撃の内容についてはまずまず良かったと思います。

グループ最強のライバルと目される相手との大一番でしたが、冷静にパスを回して自分たちのストロングポイントを生かしたサッカースタイルをタフにやり抜くことができていました。

やはり試合前にピッチのことが言われましたが、香川選手が試合後コメントしていた通り、パス回しに関して「全然問題なかった」ですね。

日本のピッチがS級ぞろいなだけで、南米やアフリカも含め世界全体ではあれぐらいは並の部類だと思います。

 次のプレーへの判断が早くリズム良く攻めることができたヨルダン戦に比べると、球ばなれがだいぶ遅くなってしまったのが、これから日本がもっと強くなっていくための課題。

「重要な試合だからパスは大事に行きたい」という気持ちはわかるのですが、これまでの2試合と違って相手が勝つために前へ出て来ていましたから、日本がカウンターからゴールするチャンスがたくさんありました。

しかし本田選手や香川選手・長谷部選手が、カウンターから後ろへ下がる相手センターバックに向かって前を向いてドリブルという場面で球ばなれが遅いために、相手が陣形を整えてしまいシュートまでもっていけないというシーンが何度もあって、もったいなかったですね。

カウンターから1点でも取れていればこの試合、日本が勝ちきっていた可能性が高いです。

オマーン戦の記事でも指摘したとおり、自分より相手ゴールに近いところにフリーでいる味方がいれば、即断即決でパスした方が上手くいくことが多いと思います。

シンプルに前へ前へパスをすることで、パス前には予想できなかった相手守備陣のスキが見えてくることもありますし、もしそのパスを受けた選手から先、攻撃の展開のしようのない“行き止まり”になってしまったら、初めてそこでバックパスをして攻撃を組み立て直しても全然問題ないわけです。

現在、ユーロ2012が絶賛開催中ですが、ポルトガルを倒して好発進したドイツ代表のレーヴ監督は、1人の選手がボールを保持する1回当たりの時間が3秒では遅すぎると言い、正確性を保ったままドイツ代表の選手たちがパスを受けてから次のパスを出すまで1.5秒以下になるようずっと努力してきました。

W杯でベスト8・ベスト4と勝ち進んで行くレベルのチームは、今回のオーストラリアが相手ならアウェーでも勝ちきっていたでしょう。

 また、日本が最後までパスで相手を崩そうとしすぎて、ミドルシュートの意識が弱すぎたのも勝ちきれなかった原因の一つだと思います。

ユーロのイングランド戦で決めたナスリ(フランス代表&マンチェスターC)のようなミドルシュートがもっと欲しかったですね。

香川・本田・遠藤選手らがバイタルエリアでフリーで前を向いた場面がいくつかありましたが、いずれも選択したプレーがパスだったのが残念でした。

シュートにしろパスにしろ、大事に行き過ぎてゴールチャンスを失ってしまうのは、技術・戦術よりも選手個々のメンタルの問題。

相手がヨルダンだろうがオーストラリアだろうが、相手をナメずリスペクトもしすぎず、常に平常心でやるべきことをやってきっちり勝利という結果を出す。

選手個々が代表でもクラブでも成長を続け、W杯でベスト4以上を狙えるチームが持つ、そのような勝者のメンタリティーを身につけてほしいと思います。

それでもこの試合の攻撃に関しては内容は良かったです。
 
 守備に関しても内容は良かったですね。

相手がロングボール攻撃を多用してきたので陣形が間延びしやすい状況でしたが、コンパクトな陣形をなるべく保つということができていました。

さすがに疲労からか、後半30分すぎからは陣形がばらけ気味になってしまいましたが。

世界トップレベルのフィジカルコンタクト能力を持つ相手に、ボールの競り合いでも良くがんばっていました。

ただ、多くの選手がフィジカルでの争いに劣勢だったのは事実で、世界のどこと戦っても手を使わずにフィジカルの勝負で互角に持っていかれるよう、体の使い方など日頃の練習から強化していって欲しいです。

レガースをつけない「練習のための練習」をやっていたんでは、いつまでたってもフィジカル能力は強化できません。

        ☆        ☆        ☆

選手個々で特筆すべきはまず栗原選手。

相手の攻撃をよく抑え、前半20分のゴールライン上に倒れた状態からの冷静なクリアは日本を救いました。攻めては貴重な先制ゴールでチームに大きな貢献。

退場の原因となったシーンは映像では確認できませんでしたが、パスが出たところとは無関係であり判定は不可解なものでしたから気にする必要はないでしょう。

ただ北朝鮮戦で相手の若いFWに空中戦で競り負けた時もこの試合後のコメントでも「Jリーグにはいない相手」「世界の選手は思った以上に強い」という言い方をするのが気になります。

ブラジルW杯までにレギュラーのセンターバックになりたいのであれば、世界の強さを常に意識して自分を高めなければなりません。欧州クラブへ移籍するのも一つの手です。

GK川島選手も好セーブ連発で、アウェーで貴重な勝ち点1をゲットするのに貢献。
 
本田選手は攻撃の組み立ての中心として活躍し、ワンアシストを記録。ゴール前でのマルセイユ・ルーレットなど魅せてくれました。もう少し球ばなれが早くなると、ビッグクラブにふさわしい選手にもっと近づけます。

逆にこの試合の長友選手は、ボールホルダーとの間合いをつめるのが遅れ気味で、サイドからの相手のクロスボールを簡単に入れさせてしまったりと、守備がやや軽かったように思います。

岡崎選手も相手に脅威を与えることがあまりできませんでした。フリーでヘディングシュートしたら最低限ゴールマウス内に入れてほしいところ。

香川選手は、プレー内容は決して悪くはないですがもっとシュートの意識を強くもって欲しいですね。
マンチェスターUで成功するためには、こういうビッグゲームでも自分のゴールでチームに勝利をもたらしてやるという強いメンタルとリーダーシップが必要です。

ドイツカップ準決勝でしたか、フリーのヘッドを外してドイツの新聞に厳しい採点をつけられたことがありましたが、この試合でも同じような場面がありました。彼は足技が抜群に上手いですが、ヘディングシュートも練習しましょう。

代表でなかなかゴールできない焦りがあるのか、この3連戦はパスやドリブルに移る前のトラップが雑になっているのが気になります。香川選手はポテンシャルがケタ違いに大きいのでつい要求レベルが高くなってしまいますね。

長谷部選手も悪くはないのですが、中盤でのフィジカル勝負で押され気味でした。クラブでボランチのレギュラーが獲得できていないのはこのあたりに原因がありそうです。

ボルフスブルグではチームの黒子役・「何でも屋」に徹していますが、最近出番が減っています。もっと積極的に我を出してボランチのレギュラーを獲得できるように、フィジカル・精神面での強化をした方が良いと思うのですがどうでしょうか。

        ☆        ☆        ☆

最終予選初のアウェー戦となったオーストラリアとの試合は引き分けとなりましたが、結果としてはまずまず良かったと思います。

試合内容も攻守にわたって良く、オーストラリアより一枚上手のサッカーができていました。


それだけに1-1という結果は論理的なものではなかったと思います。

「それがアウェー戦だ」と言ってしまえばそれまでですが、ピッチの上にいた“オーストラリアの12人目の選手”に勝ち点2を盗まれた気分です。

前回記事で、「ホームとアウェーのレフェリングの違いに注意」「ペナルティエリア内で相手に手をかけるとPKを取られる可能性がある」と指摘しておきましたが、確かに手が少しかかっていたように見えたものの内田選手がそんなに悪質なファールをおかしたようには見えません。

内田選手へのファールでミリガンを退場させたので、観客をなだめるために無理矢理バランスをとったのでしょうか。

栗原選手の退場も不可解でした。

この先こういうことがあるかもしれませんから、日本の選手には手を使わずにフィジカル勝負に勝てるよう練習にはげんでもらいたいですが、この試合を裁いたサウジアラビアのアルガムディ主審は、アジアカップ2011で日本が韓国に勝った準決勝でも笛を吹いていました。

で、あの時も今野選手が不可解なPKを取られたんですよね。

彼の脳内では我々が見ている現実とは違う試合映像が流れているのかもしれませんが、日本対オーストラリアのようなレベルの高い試合を裁くスキルがあるとは思えません。

AFCレフェリーの要注意人物として今後もマークしておくべきでしょう。

本田選手がFKを蹴ろうとした瞬間、試合を終わらせたことも話題になっていますね。

Jリーグのレフェリーには、ロスタイムが終わっても負けている方のチームにもうワンプレーだけさせて、ボールを失ったりプレーが途切れたところで笛を吹くという、謎の習慣があります。

Jリーグのレフェリーが試合終了の笛を一番吹きやすいのは、勝っている方のGKがゴールキックを蹴ってボールが空中にある瞬間ではないでしょうか。

サッカーのルールブックには必ずそうしなければならないとは書いていないはずですし、海外のレフェリーはプレーが途切れなくても時間がくれば容赦なく試合終了の笛を吹きますから、本田選手がFKを蹴ろうとした瞬間ゲームを終わらせてもルール上は間違いではないですけれども、何か釈然としないものが残るのも確かです。

あくまでも審判はわき役であって決して主役になってはいけません。アジアレベルを超越した好ゲームを目立ちたがり屋のレフェリーにブチ壊された気がします。

 次回は、このアジア最終予選の3連戦について総括しましょう。

記事のアップは今度の土曜か日曜を予定しています。

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    2012.6.12 サンコープ・スタジアム(ブリスベン)

        オーストラリア 1 - 1  日本

  ウィルクシャー '70(PK)      栗原 '65


  GK シュウォーツァー       GK 川島

  DF カーニー            DF 内田
     オグネノフスキ          (酒井 73) 
     ニール                今野
     ノース                栗原    
                         長友     
  MF マッケイ                  
    (ルカビチャ 64)       MF 長谷部  
     バレリ                遠藤
     ブレシアーノ            岡崎
    (ミリガン 13)           (清武 86) 
     ウィルクシャー           本田
    (クルーズ 90+)           香川
                        (伊野波 90+)
  FW ケーヒル          
     アレックス          FW 前田 




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