■守備が戻れないアゼルバイジャン戦

 W杯アジア最終予選へ向けた最後のテストマッチとなるアゼルバイジャン戦が行われ、日本が2-0で勝利しました。

対戦相手のアゼルバイジャンは、ほとんどが国内リーグでプレーする選手で構成され、UEFA加盟国を上からABCにランク分けすればCランクのチーム。

もしW杯出場をかけた大陸間プレーオフで当たったとしても、日本がホームでもアウェーでも勝利できるぐらいの戦力差があると評価していました。

日本が2-0で勝利という結果は順当でしたが、試合内容はあまり良くなかったと思います。

それでは試合展開をおさらいしておきましょう。


       ☆        ☆        ☆


キックオフから日本が優勢に試合を進めますが、細かいパスミスが多くギクシャクとした立ち上がり。

前半11分、香川のスルーパスに追いついた長友がゴール前へクロス、これを難しい体勢から岡崎が合わせるもGKに抑えられます。

17分、長谷部のスルーパスを受けた森本がゴール右上へ突き刺しますが、惜しくもオフサイドの判定。

24分、ゴール左前から本田のFKが急激に落ち、GKが必死に弾いたボールがポストに当たり再びGKの体に当たってあわやオウンゴール寸前となりますが、残念ながらボールは枠の外。

43分、センターサークルでパスを受けた本田が後ろへ流し、それを拾った長谷部が香川へパス。香川がペナルティエリア内でワンフェイントいれて相手DFをひきはがし、冷静にゴールへ叩き込んで日本が待望の先制点。

しかし、1点とったことで日本の攻守の切り替えがとたんに遅くなりアゼルバイジャンのカウンターを浴びます。ロスタイム、オズカラのクロスをゴール前へ走りこんだブダクが合わせ、あわや失点というシーンでしたが川島がよく防ぎました。

 後半立ち上がりも守備がピリッとしないザックジャパン。

2分、ロングパスを受けたオズカラが日本のゴールやや右へ一直線、川島と一対一になりかけましたがシュートは枠を外れまたしてもヒヤッとさせられます。

それでも13分、左サイドを突破した香川がクロス、これをゴール前で本田がヘッドし、岡崎のシュートが相手に当たってゴール!2-0とします。

15分、後半出場の酒井が右サイドから絶妙のクロス、本田のヘディングシュートはGKに阻まれました。

28分、岡崎のパスを受けた宮市がゴール前やや左からシュート、これはGKに防がれます。

37分、アゼルバイジャンのFKのボールに誰も触れず日本のゴールポストに当ててしまい危なかったのですが、最後は栗原がクリア。

後半の後半は両チームとも足が止まり陣形がバラけてしまって、あまり良い形をつくれないままタイムアップとなりました。

 
        ☆        ☆        ☆


 それでは試合内容を守備から分析します。

守備については、まだW杯予選の真剣勝負を戦えるだけのレベルに達していません。

特に先制点をあげてから、とたんに攻守の切り替えが遅くなり、前へ攻めに出た選手が戻れなくなりました。

その結果アゼルバイジャンのカウンター攻撃を何度か浴びてしまい、2対2や4対5といった危険な形をつくられてしまいました。

これが公式戦なら死に物狂いでカウンターを仕掛けてくる相手に、失点する可能性が高いです。

守備時にコンパクトな陣形をつくれている時と、逆に間延びして相手に広いスペースを与えている時があったりと安定しません。

スタミナなど体調面がまだ整わないのか、それとも味方に「世界の香川」がいるから敵を甘く見ているのか、どちらにせよこれではいけません。
  
ザックジャパンの4-2-3-1の場合、守備時は"3"の両サイドハーフが下がって4-4-1-1のコンパクトな守備ブロックをつくって相手にスペースを与えないのがお約束のはずです。

そして相手のボールホルダーにプレスをかけて自由を与えず、プレスで味方が相手を追い込んでパスコースを限定したら、相手が唯一パスコースが空いている味方にパス出ししたところを狙って奪う。

こういうプレス守備の連動性も今の代表にはあまり見られません。

2月に対戦したウズベキスタン代表のプレス守備は、私たちにとても良いお手本を見せてくれました。そのビデオを見て再確認するのも良いでしょう。

味方がプレスをかけたとき、DFラインが怖がらずにラインを上げて陣形のコンパクトさを保つということも大事です。

味方のプレスで相手がバックパスをした時は、プレスをかけている味方のMFラインと同じ距離(10m以内)を保ちながらDFラインをしっかり上げる、逆にプレスがかかっておらず相手のボールホルダーがフリーで前方へパスができる状況で、別の相手選手がこちらのDFラインのウラを狙ってきたときはラインを下げてウラを取られないようにするという、的確なラインコントロールをこまめに行って陣形全体のコンパクトさを保たなければなりません。

これについても改善すべき点が多いです。

球際のボールの競り合いも、まだまだ弱いと思います。

日数もあまりありませんが、本番までの練習で課題を解決していって欲しいですね。

 次に攻撃面について。

守備よりはましでしたが、パス回しで細かなミスが多いです。

味方の足元へピッタリ出すでもなく、かといって味方が先にボールに追いつけるスペースに出すでもないという中途半端なパスが目立ちます。

さらに前半の前半は選手個々がポジションチェンジのやりすぎで、陣形がグチャグチャになったことも、うまくパスが回らなかった原因の一つでしょう。

陣形がグチャグチャになりすぎるとボールを奪われた瞬間守備への切り替えが難しく、失点しやすい大変危険な形をつくる原因ともなってしまいます。

もちろんポジションチェンジは攻撃の有効な手段ですが、ある程度まとまった陣形を保ちながら、ボールの前進・後退とともにチーム全体で前進・後退していくことが欠かせません。(下図)


引きぎみ
(クリックで拡大)

     ↓     ↑

普通

     ↓     ↑

押しぎみ



逆に前半の後半以降は足が止まって、味方のボールホルダーに対して「顔出し」の動きが少なくなり、パスがスムーズに回って行きませんでした。

これでは遠藤選手がいるいないにかかわらず、ウズベキスタンのように厳しいプレスをかけられると、まったくパスが回らなくなる可能性が高いです。

また、相手のペナルティエリア内でもう少し空中戦をがんばって欲しいですね。

ピョンヤンでの北朝鮮戦で相手に決められたゴールのように、相手のペナの中でたった一度でも競り勝てれば、それが即決勝点につながるかもしれないわけで、多少クロスが自分から遠いところへ落ちてきてもそれを立ち止まって見送ってしまうのではなく、逆にスピードに乗って相手より高い打点から気迫でゴールにねじこむようなプレーをもっと見せてほしいです。

        ☆        ☆        ☆

 選手個々で特筆すべきは、まず香川選手。

ワンフェイントで目の前のDFをひっぺがし、冷静に一度シュートコースを確認して正確なキックからゴール。

とうとう日本代表も、こういった高いレベルのフィニッシャーを手に入れたのですね。

本田選手も久しぶりの代表戦でしたが、先制点の起点になったり惜しいFKがあったりと、今後に期待を持たせてくれる出来だったと思います。

北朝鮮戦でボロボロだった細貝選手も、相手の攻撃の芽をつぶすプレーに成長の跡がうかがえました。

代表デビュー戦となった宮市選手も、速いドリブル突破やサイドからのシュートが光りました。

プレミアでは終盤、相手に研究されてあまり活躍できませんでしたが、今シーズン始めの香川選手も同じような状態でしたね。

宮市選手もその試練を乗り越えて、プレミアを代表する選手に成長していってくれることを望みます。

ボランチで途中出場の高橋選手は、新たな発見だったのではないでしょうか。

まだミスが多く世界レベルの相手にどれくらい守備力が通用するか未知数ですが、中盤の底から積極的に動いてゲームをつくり好印象です。

酒井選手もサイド攻撃に持ち味を発揮。クロスの質で言えば日本トップクラスでしょう。

 森本選手はFWとして動きすぎ。ボランチまで下がってパスを受ける必要性はありません。

三人のハーフがパスを受ける前後のタイミングで動き出しても遅くはないでしょう。

味方ハーフがボールを持って前を向いた時、ウラを狙う動きで相手DFラインを下げてバイタルエリアのスペースを広げハーフを助ける、逆にボールを持ったハーフに近づいていって相手DFラインを上げさせてウラのスペースを広げて自分と入れ替わりにウラヘ抜けようとする味方を助ける、そういう動きをして相手の守備を崩してから自分がシュートしやすい場所へ移動すれば良いわけです。

クラブでなかなか結果が出ない理由が垣間見えた気がします。

        ☆        ☆        ☆

 アゼルバイジャンは負けても痛くもかゆくもないテストマッチでしたから、2-0で勝利という結果は順当としても、この試合に勝ったからどうこうというものではありません。

ゲーム内容も、特に守備面で課題がたくさん浮き彫りとなりました。

先制点をあげた前半43分以降、前へ攻めると後ろへ戻れなくなり、攻守のバランスを失ってあわや失点かというシーンは、黒星をつけられた2月のウズベキスタン戦とまったく同じパターンでした。

これは決して見過ごせないものです。

川島選手が「このゲームで満足している者はいない」と言っていましたが、それが選手たちの本音でしょう。 

久しぶりの実戦で各選手のコンディションが整わなかったのが原因かもしれませんが(それ以外の理由だとシャレになりません)、W杯予選本番まで残された時間を使って、コンパクトな陣形を保って攻守にバランスを取る、90分ハードワークできる体調を取り戻す、球際の競り合いに絶対に勝てるようメンタルを戦闘モードに盛り上げていく等、悔いの残らない万全の準備をしてくれることを望みます。

 W杯予選に向けたメンバーが発表されましたが、それについては次回エントリーで触れることにします。

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  2012.5.23 静岡県小笠山総合運動公園スタジアム


      日本  2 - 0  アゼルバイジャン


     香川 '43
     岡崎 '58


    GK 川島        GK アガエフ

    DF 長友        DF メドベデフ
       伊野波        (ナディロフ 65)    
      (槙野 87)        ナビエフ
       栗原          アラベルディエフ
       内田          ゴクデミル
      (酒井 46)
                  MF シュクロフ
    MF 細貝           チェルトガノフ
       長谷部          アビショフ
      (高橋 46)        (アミルグリエフ 72)
       香川           ブダク
      (宮市 62)
       本田        FW アリエフ
      (中村 74)       (スバシッチ 80)
       岡崎           オズカラ

    FW 森本
      (前田 37)




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■ [名無しさん]

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